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西洋館de古楽2010コンサート
必聴! ルネサンス・フルートの調べ
ソフィオ・アルモニコ・コンサート
(西洋館で親しむバロック音楽 第9回)
"Sofio armonico concert in
Yamate-Seiyoukan”
2010年2月14日(日) 午後6時30分開演(6時開場) ベーリックホール((元町公園内) 横浜市中区山手町72番地)
6:30pm 14th February. 2010 at
YamateBerrick-Hall
主催:「横濱・西洋館de古楽」実行委員会
共催:財団法人横浜市緑の協会/公益財団法人横浜市芸術文化振興財団/横浜市市民活力推進局/横浜市中区役所/山手プロムナードコンサート
協力:横浜山手聖公会/アンサンブル山手バロッコ/久保田彰チェンバロ工房/オフィスアルシュ
協賛: 東急グループ/元町SS会
出演 ソフィオ・アルモニコ
前田りり子(ルネサンス・フルート) Liliko Maeda
(Renaissance Flute):
9才よりモダンフルートを始め、全日本学生音楽コンクール西日本大会フルート部門1位入賞(高校2年)。その後バロック・フルートに転向して有田正広氏に師事し、桐朋学園大学音楽学部古楽器科に進学。1993年にオランダのデン・ハーグ王立音楽院に留学し、バロック・フルートをバルトルド・クイケン氏に師事。1996年、山梨古楽コンクールにて第1位入賞し、1995、96年には栃木「蔵の街」音楽祭に招聘されて出演。1999年、ブルージュ国際古楽コンクールで2位入賞(フルートでは最高位)。2000年にデン・ハーグ王立音楽院大学院を修了。帰国後、全国各地でしばしばリサイタルや室内楽コンサートを催すと同時に、ソロやアンサンブルのCDレコーディングを行っている。2006年には、単行本「フルートの肖像」を東京書籍より出版した。バッハ・コレギウム・ジャパン、ラ・フェート・ギャラントなど各種演奏団体のメンバー。音楽教室「ダ・カーポ」、東京芸術大学非常勤講師。
菅きよみ(ルネサンス・フルート) Kiyomi Suga (Renaissance Flute):
9歳より豊中市少年少女リコーダー合奏団(大阪府)に入団。10歳よりリコーダーとフルートを若林正史氏に師事。16歳よりバロック・フルートを有田正広氏に師事し、1992年、桐朋学園大学音楽学部古楽器科卒業。1994年、同大学研究科修了。ブリュッセル王立音楽院にて、バロック・フルートをバルトルド・クイケン、マルク・アンタイ、フランク・トゥンスの各氏に師事し、1998年、同音学院をグラン・ディスティンクションで卒業。1999年夏、ブルージュ古楽コンクールにて3位入賞。アニマ・エテルナ、ラ・プティット・バンド、イル・フォンダメントなどのオーケストラや種々のアンサンブルでベルギー、ドイツを中心に演奏活動を行う。2007年に帰国し、バッハ・コレギウム・ジャパン、オーケストラ・リベラ・クラシカ、東京バッハ・モーツアルト・オーケストラで演奏やCD録音を行う。
菊池香苗(ルネサンス・フルート) Kanae Kikuchi (Renaissance Flute):
東京音楽大学付属高校、桐朋学園大学をフルートで卒業。大学在学中よりバロック・フルートを始め、以後両方の分野で活動を続ける。モダンフルートでの新作初演から古楽器を使っての様々な時代の音楽を演奏。日本管打楽器コンクール、現代音楽協会演奏コンクールなど国内フルートコンクール複数入賞の他、ニューヨークで行われたアメリカのフルートコンヴェンションコンクールで優勝。桐朋学園芸術短期大学フルート科非常勤講師。日本クーラウ協会、日本フルート協会理事。これまでに、フルートを糸井正博、青木明、植村泰一、小泉浩、野口龍、加藤元章の各氏、バロック・フルートを有田正広氏に師事。
川端勇輝(ルネサンス・フルート) Yuuki Kawabata (Renaissance Flute):
東京音楽大学付属高校を卒業後、同大学に進学。モダンフルートを植村奏一、斉藤賀雄、中野真理に師事をする。高校在学中より古楽器によるバロック演奏に興味を持ち前田りり子にバロック・フルートを師事。その後大学を中退しオランダのデン・ハーグ王立音楽院に進みルネサンス・フルート、バロック・フルートをケイト・クラーク、ウィルバート・ハーツェルツェットに師事。留学中には室内楽やルネサンス・フルート・コンソートに力を入れて取り組みアン・スミス(スイスのバーゼル・スコラ・カントールムで教鞭)の講座にも参加。06年夏にはオランダ留学、ヨーロッパでの演奏活動を経て帰国。その後アンサンブルを中心に活動し、これまでにバッハ・コレギウム・ジャパン、モーツアルトアカデミートウキョウなどのオーケストラにも参加。一方アンサンブル室町のメンバーとして現代の作曲家による作品の演奏、ワークショップなど現代曲の分野でも活動している。読売・日本テレビ文化センターでバロック・フルート科を開講。
ゲスト
鷲崎美和(ハープ) Miwa
Washizaki (Harp)::
桐朋学園大学卒業。チェンバロを有田千代子、オルガンを水野均の各氏に師事。同大学卒業後、渡欧。ブリュッセル王立音楽院古楽器科にてチェンバロ専攻、室内楽専攻の修士課程を修了。ユトレヒト音楽院チェンバロ科にて学士課程修了。チェンバロをR.コーネン、H.スティンダース、S.ヘンストラ、室内楽をP.ファン・ヘイゲン、鈴木秀美、Y.ド・ヴィネの各氏に師事。またフォルテピアノをB.ヴォデニチャロフ、P.クイケンの各氏に師事し研鑽を積 む 。第1回ヨーロッパ音楽コンクール(アトリ)チェンバロ部門第3位。留学中よりH.ドゥヴァール氏のもとでバロック・ハープを学び、オペラ公演などに参加。帰国後は、チェリスト青木十良氏とJ.S.バッハ「ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのためのソナタ」全曲を共演のほか、ソロ・リサイタルや室内楽など積極的に演奏活動を行っている。
西洋館de古楽2010コンサート
必聴! ルネサンス・フルートの調べ
ソフィオ・アルモニコ・コンサート
(西洋館で親しむバロック音楽 第9回)
"Sofio armonico concert in
Yamate-Seiyoukan”
「ルネサンス・フルートを何本も抱えてイタリアから帰ってきたんですよ」と前田りり子さんが目をキラキラ輝かせて話をしてくださったのはもう数年前になるでしょうか。「これで念願のフルート・コンソートができます。」とお話いただいたのには訳があります。ルネサンス・フルートは本当に分からないことだらけの神秘的な楽器だからです。
前田さんがその著書「フルートの肖像」で「(ルネサンス)フルートに関して記述している資料で現存しているものは、わずか10数冊にすぎません。(中略)フルートに関する記述はまったく不完全、不十分なもので、これらの本のみから断定的に当時の演奏法を推定するには曖昧な点が多すぎます。」と書かれている通り、楽器そのものの残っている数も限られているルネサンス・フルートは、多くの楽器が残っており、オトテール、クヴァンツといった当時の第一線の演奏者が自ら精緻に書いた教則本が残っているバロック・フルート(フラウト・トラヴェルソ)とは大きなギャップがあります。また、ルネサンスの合奏曲は歌でも、弦楽器でも、管楽器でも良いという曲が殆どで、フルート特有の話法を曲から推測することもできません。
私的な経験で恐縮ですが、40年近く前にフラウト・トラヴェルソの演奏を続けているなかで、ルネサンス・フルートは、数回楽器を手にする機会はありましたが、バロックの一つ隣の時代の楽器にも関らず、全くコンセプトが違う楽器に感じ、演奏はもちろん、その楽器でのアンサンブルなど、はるかに遠い存在と思っていました。
一昨年、前田さんより「ルネサンス・フルートのコンソートを東京でやりますよ。」とお知らせをいただき、本日演奏してくださる4人の演奏者によるコンサートを聴きに行きました。最初の1音が鳴り出した瞬間に本物だけがもつ世界が会場全体に広がりました。古色蒼然とは正反対の明るい太陽を感じさせる音色、純粋で溶け合う4本のフルート。全てが体験したことのないもので思わず鳥肌が立ちました。ルネサンス・フルートのコンソート(合奏)初演だけに、演奏者も、初めて聴く会場のお客様も4〜500年の時空を超えたルネサンスのコンソートの雰囲気に浸るのにはしばし時間がかかりましたが、曲が進むにしたがってぐいぐいと新たな驚きの世界に分け入っていくのが手に取るように分かる、記憶に残るコンサートでした。是非、山手の洋館でこの響きを聴きたい!と、ソフィオ・アルモニコの皆さんにお願いし、また西洋館の館長さんにも協力をいただき、今回の「横浜・西洋館de古楽」でコンサートを実現することができました。
本日演奏のソフィオ・アルモニコのメンバーは、古楽がお好きなかたなら皆ご存知のように、ひとりひとりが世界の古楽のコースやコンクールで輝かしい成績を修め、ソロ演奏者として、またバロックやクラシカルの古楽オーケストラのトッププレーヤーとしても大活躍の人ばかりです。今回はハープの鷲崎さんも加わり一層華やかで拡がりのあるコンサートなり、とても楽しみです。1500年〜1650年ころのヨーロッパの館の一室でお抱え楽師が奏でる音楽に思いを馳せて、このベーリック・ホールと一体になってお聴きいただき、楽しんでいただければ幸いです。
曽禰寛純 (横浜・西洋館de古楽実行委員、アンサンブル山手バロッコ)
プログラム
ジョスカン・デ・プレ
国中のすべての悲嘆に暮れた心よ
Cueurs desolez par toute nation
C.デ・ローレ 別れの時 Anchor che co’l partire
C.デ・ローレ 愛しい人の美しい白き手 La bella netta ignuda e bianca mano
ギョーム・ド・マショー
我が終わりは我がはじまり
Ma fin est mon commencement
いとしい御方、まだ気付いてくださらないのですか Dame, se vous n’avez
ギョーム・デュファイ
燃えるような眼差しが恋人よ Dona i ardenti ray
陽の輝きを装われた美しい処女マリアよ Vergene bella, che di sol vestina
ジョスカン・デ・プレ
最高のうちでも最高の人 La plus des plus
死にあたって/御身、み母なること示したまえ A la mort/ Monstra te esse
matrem
スザート編集 舞曲集より
「袋に1000ドゥカーテン金貨」の主題による舞曲 Mille ducas en vostre bource
パヴァーヌ – ガイヤルド – ロンド Pavanen – Gaillarden – Ronden
郵便 – モール人の踊り – 4拍子のブランル De post – La mourisque – Quatre branles
作者不詳 美しい愛を Qui belles amours
♪ ♪ 休憩 ♪ ♪
作者不詳 グリーン・スリーブスの旋律によるディヴィジョン
バッサーノ ファンタジア 第14番
A.パドヴァーノ リチェルカーレ 第13番
J.ボールドウィン 4声のコンソート
P.サンドリン 甘い思い出 Doulce memoire
C.デ・ローレ 愛のために歌おう Io canterei d’amor
J.ル・コック 死別の悲しみ、そして不安、心配、後悔、苦痛 Dueil et ennui souci regret et paine
J.ル・ロワ 到達するために強い風が吹いた Tant ay souffert pour parvenir
「ソフィオ・アルモニコ・とルネサンス・フルート」について
コンサートの準備に忙しい合間に、楽器や皆さんの出会い、アンサンブルの楽しみなどについてうかがってみました。
− 前田さんは、ルネサンス・フルートにはどのように出会い、どのような切掛けでこのコンソートをはじめることになったのですか? 仲間はどのように集まったのでしょうか?楽器はどのように揃えられたのですか?
(前田) ルネサンス・フルートに初めて出会ったのは大学一年の夏休み中にヨーロッパに訪れた時です。ルネサンス・フルートどころかルネサンスの音楽というものをそれまであまり聞いたことがなかったのですが、教会に響き渡るアカペラの音楽を初めて聴き、本当に空から天使の声が降ってくるようで大きな衝撃を受けました。その時に行ったイタリアの講習会の講師ワルター・フォン・ハウヴェ氏がルネサンス・フルートを持ってきていて、それを借りて吹いたのが初めての出会いです。見よう見まねでしたアンサンブルが滅茶苦茶楽しくって、「いつか絶対ルネサンスを本格的にする!」とその時一人で心に誓いました。
その後オランダのデン・ハーグに留学し、自分のルネサンス・フルートも手に入れ、友達と一緒にコンソートを組んで楽しんでいたのですが、古楽科の学生としてはまずはバロック・フルート、そして19世紀の多鍵式フルートを勉強せねばならず、残念ながら、なかなかルネサンスに本格的に取り組む余裕はありませんでした。でもその頃、有田正広先生のお供で、イタリアのヴェローナにある世界最大のオリジナルのルネサンス・フルートコレクションを訪れて、実際に演奏する機会があり、ルネサンス・フルートへの思いはますます高くなりました。その時の感動を今でも忘れることができません。まるで魔法の杖を一振りした様というか、プッと息を吹き込んだとたんに部屋全体がふわっと軽やかになったのです。楽器を吹いているというより、部屋自体が生きた楽器になったというか、とにかく初めての体験でした。
帰国後しばらくは、残念ながら周りにルネサンス・フルートを一緒に吹いてくれる人が誰もいなかったので、リュートや歌などと細々と続けていましたが、「やっぱりルネサンスの醍醐味はコンソートしかない」と思い、菅きよみさんや川端勇輝さんがヨーロッパから帰国したのを期に、菊池香苗さんにも声をかけてグループを作ることにしました。楽器はローマ近郊に在住のタルディーノ氏のところに私自身が買いに出向きました。せっかくなら日本にルネサンス・フルートを流行らせたいと思い、メンバー分だけでなく、知人、友人の分まで14本も抱えて帰ってきました。
− 菅さんは、前田さんと前から共演されてきていますが、このコンソートを誘われたときは、どのような気持ちでしたか? また、ルネサンス・フルートの魅力を一言で言うのは難しいと思いますが、敢えて一言で表すとしたら?
(菅) ルネサンス・フルートを一言で言いますと「純粋な響きの美しさ」でしょうか。最初にその音に魅せられたのは、ブリュッセルの音楽院で勉強した時です。その年に初めてトラヴェルソ科でもルネサンス・フルートを学ぼうと音楽院が5本セットの楽器を購入し、アシスタントのフランク・トゥンス先生と共に最終学年の3人の生徒が1年間アテニャン編集のフルートのためのコンソートを勉強しました。先生にとっても生徒達にとっても初めてのコンソート体験だったので、ファクシミリ譜の当時の記譜法による音価やムジカ・フィクタ(記譜されないが当時の習慣で付けられたであろう臨時記号)に戸惑いながらも、先生にフランス語歌詞の意味や歌い回し、当時使われていた(ミーントーン)音程の取り方等を習い、チャペルで行う生徒発表会の時には旋律同士が絡み合う美しい響きを作り上げる事ができ感慨深かったです。
さて、日本で前田りり子さんにルネサンス・フルートのコンソートをしないかと誘われた時に、あの純粋な響きを再現したい、実行力のあるりり子さんとなら可能だと思い、即座に「是非やりましょう、すぐ始めましょう!」と賛同したものの、実はまだ楽器も所有していませんでしたので無責任な話でした(笑)。楽器はりり子さんにお願いして用意してもらい、実際にコンソートを始めてみると色々と難題にぶつかり、想像していた程容易でない事が徐々に見えてきました。当時のほとんど楽器指定の無い曲集からの選曲、フルートの音域に合う様に演奏するためのクレフ(音部記号)の読み替え、もしくは現代ではあまり見かけない当時の多種類のクレフの読み、実際に歌詞を歌うわけではありませんが曲のイメージを得るためにそのままでは辞書にも載っていない数々の古語を含めた歌詞の解釈、バロック演奏では余り使わないミーントーン音程や拍節と関係なく各声部に少しずつ違ったタイミングで始まる旋律やその横の流れ(当時の楽譜には小節線はありません)。一曲、それも2〜3分しかない曲を演奏出来る様になるまでに多大な労力と時間がかかり、毎週会って練習しているにもかかわらずなかなか曲が出来上がらないのですが、 努力が大きい程何かを理解し体得できた時、アンサンブルが上手くいった時の喜びは大きく、ルネサンスの世界が垣間に見えた時のなんとも言えない新発見感覚は、ルネサンスと言う深く広がる魅惑の湖に片足を浸し始めている感じです。
− みなさんバロックフルート(フラウト・トラヴェルソ)を極められ、ソロもアンサンブルもオーケストラでも活動をされているわけですが、このルネサンス・フルートのコンソートでしか得られない楽しみはなんでしょうか?
(菊池) ルネサンス以外のアンサンブルでは、もちろん合わせるという事が前提にはなっていますが、その時々の個人から出るパッション、まるでスナップ写真のような瞬間の美しさが音楽を作って行く上での重要な役割を担っていると思います。相互に反応し合うだけでも、面白い音楽が作れます。ルネサンス音楽は、それ以後の時代より、よりいっそう緊密な共通理念、語法がないと成り立たない音楽だと、やっていて気付きました。練習の中で、それぞれが同じメロディーを同じように吹いている気満々でも、良く聴くと違っていたりする事があります。より理性的で客観的に、しかし音楽だという喜びを忘れずに、4人が統制され一致した時のみ、さらにその上に行く事が出来るという、未知への魅力を感じ初めています。
− 川端さんは、メンバーで唯一の男性で、大きなバスフルートを担当されていますが、演奏で他の楽器と合わせる上での苦労はありますか? 高音の笛で目立つメロディーを吹いてみたいと思うことはありませんか?
(川端) バスフルートは楽器自体が長く大きいため(約80センチあります!)発音のタイミングが遅くなる傾向があります。特に速い音形や、パッセージなどを吹く時などはその傾向が大きい為、時々指運と発音がずれている様に感じる時もあり、演奏する時はそれをカバーするため多少早めに発音をするようにしたり、早いパッセージでは特に固めの発音を心がけたり、個々の音の粒がちゃんと見えるように演奏するように努力しています。他の楽器や人と会わせる時は特にその遅れが目立たないように注意しています。それに比べてテノール、ディスカント管は反応もよく、音もよく通るので「たまにはな〜」とは思いますが、バスにはコンソート全体をさらに安定させる重要な役目もあるので、その役目をさらにしっかりこなしていけるように頑張りたいと思っています。
− 鷲崎さんは、チェンバロも演奏され、いわゆるバロック音楽のアンサンブルも多く経験されていると思いますが、ルネサンス・フルート・コンソートとの初めての合奏はどんな体験でしたか?
(鷲崎) ハープを始めたのはベルギー留学時代でしたが、そのころからフルートやガンバの学生たちがコンソートのレッスンなどをしているのを見て、いつか入ってみたいなあと思いながら眺めていました。今回、コンソート初体験となりましたが、ハープでの演奏やルネサンスはまだまだ経験も浅く、わからないことだらけなのにもかかわ らず、その空間にいられることに、バロックとはまた違った心地よさを感じます。通奏低音と同じく一番下のパートを弾いていますが、バロックの通奏低音は旋律と対等ではあっても、ある意味特殊なパートで、あくまで通奏低音と旋律という関係なので、鍵盤楽器奏者には旋律楽器への憧れがあります。ですので、このように本当に全員が等しく対等である中に1パートとして入れることがとても新鮮であり、また新たな音楽の喜びを見つけた気分です。
− ルネサンス・フルートのアンサンブルの難しさ、醍醐味はどのようなものですか? 今回のコンサートは西洋館の一室という身近な空間で、休憩時間にワインなども交え、演奏者と一体になって聴いていただくわけですが、どのように期待されていますか?
(前田) ルネサンスのアンサンブルの難しさと醍醐味は何と言っても「調和」です。グループ名ソフィオ・アルモニコも「調和の息吹」いう意味ですが、ルネサンスの音楽はバロックとは違い、最高音部が主旋律というわけでも、バスが縁の下の力持ちというわけでもありません。あくまですべての旋律が対等であり、その関係性が一瞬一瞬で変わり続けることで音楽が紡ぎだされます。例えば音程にしても誰かが正しい音程を持っているわけではなく、その時その時で、みんなで歩み寄るべき音程は変わり続けます。三銃士の言葉に「一人はみんなのために、みんなは一人のために」というのがありますが、まさしくそんな感じです。すごくうまく行った時は、一体自分がどの旋律を吹いているのかも分からなくなり、自分自身が調和の中に溶け込んでいくのを感じることができます。一緒に聴いている方々もそんな調和の世界を一緒に楽しんでいただけたら嬉しいです。
− どうもありがとうございました。
アンコール
どうもありがとうございました。
沢山の拍手をいただきましたので、
セルミジ/花咲く日々に生きる限り
をお送りします。
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