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山手西洋館コンサートシリーズ
〜春のプレリュード、恋するメヌエット 〜
“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 第46回コンサート
2014年3月29日(土) 午後6時開演
横浜市イギリス館(横浜市指定文化財)
主催:クラングレーデコンサート事務局/アンサンブル山手バロッコ
アンサンブル山手バロッコ ホームページ:http://www.geocities.co.jp/yamatebarocco
クラングレーデブログ:http://blog.livedoor.jp/klangredeconcert/
出演:
大山有里子 (バロック・オーボエ):
大阪教育大学音楽科卒業。同大学専攻科修了。オーボエを大嶋彌氏に師事する。卒業後、関西を中心に活動し、「大阪コレギウム・ムジクム」のソロオーボエ奏者として、バロック時代の作品を中心に数多くの月例演奏会、定期演奏会等に出演する。その後ピリオド楽器(バロック・オーボエ)による演奏に専念し、バロック・アンサンブル「アルモニー・アンティーク」等に参加。現在、バロックから古典のオーボエ奏者として、関東を中心に活発に活動している。「クラングレーデ」「ダブルリーズ」メンバー。
橋爪香織(ヴィオラ・ダ・ガンバ) :
国立音楽大学楽理学科卒業。ヴィオラ・ダ・ガンバを神戸愉樹美氏に師事。卒業後は神戸愉樹美ヴィオラ・ダ・ガンバ合奏団(YKVC)に籍を置き、国内はもとより欧米各地で演奏会、CD録音、テレビ、ラジオ、公開講座、多種のイベントに出演するなど経験を積む。古楽器で古典から現代作品、ポピュラーまで幅広く対応する。また、Ph.ピエルロ氏、P.パンドルフォ氏らに指導を仰ぎ、独奏者、通奏低音奏者としても活動。よみうり文化センター横浜、東京古典楽器センター講師。
野口詩歩梨 (チェンバロ):
桐朋学園大学音楽学部古楽器科卒業。同大学研究科修了。チェンバロを故・鍋島元子、アンサンブルを有田正広、本間正史、中野哲也の各氏に師事。さらにクイケン兄弟、モルテンセン氏などのレッスンを受ける。これまでに国内外の数々の音楽家や室内オーケストラと共演。“音の輝きをもとめて”と題したリサイタルシリーズ(2000〜2004年)やアンサンブル“ブラヴォー!バロック”のコンサートでは、チェンバロのソロ楽器としての可能性やアンサンブルにおける新たな存在感を示し、各方面より高い評価を得る。2011年ワオンレコードよりソロCD「バロックの華」をリリース(「レコード芸術」誌・準特選盤)。古楽情報誌「アントレ」製作ビデオ、吉岡次郎フルートリサイタルCD「疾風怒濤」等に出演。http://shihocem.petit.cc/
〜春のプレリュード、恋するメヌエット 〜
プログラム
春のイギリス館にようこそ。18世紀の「組曲」と「パルティータ」は、アルマンド、クーラント、サラバンド、メヌエット、ジークなど、いくつかの舞曲を一組にして作られているという共通点があります。バッハのパルティータの楽譜扉には「愛好人士の心の憂いを晴らし、喜びをもたらさんことを願って、〜」と記されています。山手西洋館周辺の爛漫の桜とともに、典雅なバロック音楽の世界をお楽しみください
F.ショヴォン:曲集『ティビアード』より
組曲第6番 ヘ長調
J François Chauvon (active from 1710 to 1740): "Tibiades"
Sixiéme Suitte
Prélude / Allemende / Fantaisie / Lentement /Courante /
Tres lentement / Gigue
M.マレ:『異国趣味の組曲』より
アルマンド「尊大さ」「夢見るひと」「アラベスク」
Marin Marais (1656-1728):"Suitte d'un goût
étranger"
Allemande la Superbe / La Reveuse / l'Arabesque
.オトテール:組曲第1番 ト短調 Op.5-1
Jacques-Martin Hotteterre (Le Romain) (1674-1763):"Deuxième livre de
pièces" Premiere Suitte
Prelude / Allemande / Sarabande /Ter.Menuet - Uer.Menuet / Gavotte / Gigue
♪♪♪♪♪
J.S.バッハ:パルティータ 第4番 ニ長調 BWV828
Johann Sebastian Bach (1685-1750):Partita Nr.4 BWV 828
Ouverture / Allemande / Courante / Aria / Sarabande
/ Menuet / Gigue
G.P.テレマン:『忠実な音楽の師』より
組曲 ト短調 TWV 41:g4
Georg Philipp Telemann (1681-1767): "Der getreue Music-Meister"
Suite TWV 41:g4
Ouverture, tres vite
/ Sans Souci / Hornpipe / Gavotte / Passepied / Irlandoise
♪♪♪♪♪
アンコールは F.ショヴォン:曲集『ティビアード』より組曲ヘ長調より「田園のプレリュード」でした。ありがとうございました。
会場のみなさんと一緒に、春爛漫のコンサートに感謝し、大きな拍手で締めくくりました。
また、「西洋館で親しむバロック音楽」シリーズを長年多方面でご支援いただきました、公益財団法人 緑の協会 渡辺事業所長に感謝を申し上げます。
プログラム・ノート
本日は「春のプレリュード、恋するメヌエット」にお越し下さいまして、ありがとうございます。
「組曲」と「パルティータ」はいくつかの舞曲(もともとはダンスのための曲)を一組にした器楽曲です。18世紀には盛んに作曲され演奏されました。本日は、前半にはフランスの曲を、後半にはドイツの曲を演奏いたします。
フランソワ・ショヴォンはF.クープランの弟子で、国王付きの音楽家でした。この曲がおさめられている曲集「ティビアード」は師匠のクープランに捧げられています。「ティビアード」とは動物の脛(すね)の骨から作られた古代の長い笛のことです。
この曲集の表紙には「ヴァイオリンのための数曲のソナタ付きの、フルート、オーボエのための新しいジャンルの曲集」と記載されていますが、それぞれの曲に楽器の指定はありません。 T.プレリュードには「スィミアヌ侯爵」 U.アルマンドには 「聖バリエ」(女性)という実在の人物の名前がつけられています。
フランス・バロック音楽の栄光を支えた立役者の一つがヴィオラ・ダ・ガンバ(フランスでの呼称はヴィオル)です。マラン・マレはパリに生まれ、全生涯をパリで、しかもその大部分を宮廷に仕えて過ごしました。20歳でルイ14世の王室楽団に入団。69歳(亡くなる3年前)で引退するまでの間に5巻のヴィオル曲集(550曲以上を収録)を出版しました。本日演奏する『異国趣味の組曲』(全33曲)は、マレが61歳の時に出版した第4巻に収められています。
原題の“un goût étranger”には、「外国風の趣味」と「風変わりな趣向」という二つの意味があります。老年になってもなおヴィオルの新しい響きの可能性を追求していくマレの心意気が感じられます。
ジャック・オトテール(ジャック=マルタン・オトテール)はパリの有名な楽器職人の家に生まれ、管楽器奏者として宮廷楽団の一員としても活躍しました。ダブルリード族の楽器は17世紀にもありましたが、より繊細な表現のできる新しいオーボエは、当時としては最新とも言える楽器でした。彼とその一族が中心となって同業者たちとともに改良を重ね、オペラのオーケストラで他の楽器とともに使われるようになったのです。そして、その後またたくまにヨーロッパ中で広く演奏されるようになりました。
本日演奏する曲は旋律楽器(フルートその他)と通奏低音のための曲集におさめられています。
1726年11月1日付けの『ライプツィヒ新聞』には、6曲のパルティータの出版予告が次のように書かれています。:「・・・・・・・ヨハン・セバスティアン・バッハ氏は一連の鍵盤作品を出版する意向を示す。彼はすでに第1曲目のパルティータを書き終えており、今後も作品集の完成まで各パルティータは順次刊行され続ける予定である。鍵盤演奏の愛好家の皆さまは是非ご注目されたし。なお、出版に際しては、この作品の作曲家自身が出版者であることも有益な情報として補足しておこう」。
こうして1726年のパルティータ1番を完成した後、バッハは1年に一編のペースでパルティータ(舞曲組曲)を書き続け、1731年「鍵盤練習曲集/第1巻」として6つのパルティータ全曲をまとめた曲集を自費出版。飾り文字で綴られたタイトルページには『クラヴィーア練習曲集――プレリュード、アルマンド、クーラント、サラバンド、ジーグ、メヌエットおよび他の賑やかし舞曲からなる。愛好家諸氏の精神の慰み供すべく、ザクセン=ヴァイセンフェルス公の宮廷楽長にしてライプツィヒ市の聖歌隊・音楽監督たるヨハン・セバスティアン・バッハ、これを作曲す。作品番号1、作曲者自身により出版。1731年』と記されています。
今回演奏するのは第4番、バッハ44歳の頃の作品です。フランス趣味の華やかで生き生きとした序曲から始まり、個々のスタイルが表現された舞曲が連なっていきます。厳格な秩序と規則性を守りながらも、当時流行したフランスやイタリア趣味をうまく融合させ、これまでの組曲の枠から大きく一歩を踏み出そうとするバッハのパルティータをお楽しみ下さい。
ゲオルク・フィリップ・テレマンは後期バロック音楽を代表するドイツの作曲家で、40歳以降は北ドイツのハンブルクで活躍しました。18世紀前半のヨーロッパにおいては随一と言われる人気と名声を誇った彼は、86年の長い生涯で膨大な数の曲を作ったため、『ギネス世界記録』において、クラシック音楽の分野で最も多くの曲を作った作曲家として正式に認定されているほどです(失われた作品を含めると一説には4000曲以上)。
本日演奏するオーボエと通奏低音のための組曲は、「忠実な音楽の師」(1728〜29年)という全68曲からなる曲集に含まれています。この曲集は1年間にわたってつぎつぎと刊行されるという、当時としてはたいへん新しい発表形式をとりました。いわば音楽ファンのための定期刊行物として企画、出版されたのです。組曲もソナタも楽章ごとにバラバラにして出版されたので、一つの組曲を全楽章そろうまでつぎつぎと買わなくてはならない仕組みです!うまいことを考えたものですね。
このト短調の組曲の旋律パートは「オーボエまたはヴァイオリン」と指定されています。
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