バロック音楽について


Homeへ

 バロック音楽は、おおよそ1600年ころから大バッハ(ヨハン・セバスチャン・バッハ)の亡くなった1750年頃までの音楽を言います。その前のルネサンス時代の多声部からなる様式の整った音楽は、1600年ごろにイタリアの作曲家モンテヴェルディらによって、各楽器の個性を活かした音色の変化、強弱の変化や劇的な感情表現の変化を重要視する形に、大きく変わりました。これが、後にバロックと呼ばれる音楽の時代の始まりで、劇的な性格から、バロック(いびつな真珠)と言われます。

 その後、フランス、イタリアの特長的な音楽を取りこみ発展し、両者が融合変化しながらヨーロッパ全土に拡大しました。バロック時代の楽器や演奏法もこの好みの変化に対応して150年の間に徐々に変化して行きます。

 そして、1685年生まれのバロック時代の天才バッハは、オペラを除く全てのジャンルのバロック音楽をマスターし、それを組み合わせ、発展させ、その様式も整備し、あらゆる味付けの1000曲以上の名品を残しました。バロック音楽はこのバッハをもって集大成されたとも言えましょう。

 また、この時代は、ルイ王朝を始めとする貴族文化の花開いた時代で、後期になるまでは、音楽の中心は、王朝、貴族の館と教会に限られていました。絵画の世界でも初期のルーベンス、レンブラントの劇的な表現や、後期の華やかなロココ趣味を加えたワトーなどがこの時代に対応し、同じような時代精神を反映しています。フランス革命やアメリカ合衆国独立も、蒸気機関発明による産業革命もまだまだ後のことです。日本では、ちょうど徳川時代の前半にあたり、鎖国と武士の世の中だったころです。

 その後、バロック音楽は、商人や市民の台頭にともなって、貴族・教会でのプロ(おかかえ楽師、合唱団)の世界から、市民生活の場やアマチュア演奏へと世界を広げ、啓蒙思想や個人主義の時代精神を反映した多感様式(美術や文学では疾風怒濤時代とも言われる)を経て、ハイドン、モーツアルトに代表される整った音楽形式を持つ古典派(クラシック)へと変化して行きます。

(山手バロッコの山手市民講座「古楽器によるバロック音楽の楽しみ」から抜粋)

Homeへ