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木島千夏ソプラノコンサート Vol.20 記念演奏会
美しの島から
〜ヴァイオリン、フォルテピアノとの音楽会〜
“Fairest Isle” to
Songs with Violin and Fortepiano
洋館で楽しむバロック音楽 第149回
2025年5月19日(月)14時開演 横浜市イギリス館(横浜市中区山手町115−3)
14:00 19d May, 2023 at British House
Yokohama
主催:アンサンブル山手バロッコ
出演:
木島 千夏(ソプラノ)
©星合隆広
国立音大在学中に古楽に出会い、卒業後バロックのオペラを初め様々なコンサート活動を経て、ロンドンに留学。第30回ブルージュ国際古楽コンクールにて4位入賞。 W.Christie指揮のオペラ公演やリュートのNigel Northとデュオ・リサイタルをはじめ、ヨーロッパ各地で音楽祭や演奏会に出演。帰国後は、バロックを中心に、グレゴリオ聖歌から現代曲まで幅広いレパートリーに取り組み演奏活動を行っている。
2004年より毎年横浜山手西洋館でリサイタルを行っている。2013年には横浜市開港記念会館にて横浜音祭り「パーセルのオペラ」に主演し好評を博す。「カペラ・グレゴリアーナ ファヴォリート」メンバーとしてハンガリーのヴァーツ国際グレゴリオフェスティバルに出演。アンサンブル・レニブスやアンサンブルDDなど声楽アンサンブルメンバー。聖グレゴリオの家 教会音楽科講師。
小野 萬里(クラシカル・ヴァイオリン)
東京藝術大学ヴァイオリン科卒業後渡欧、バロック・ヴァイオリンをS.クイケンに師事、以来たゆみない演奏活動を展開している。「ムジカ・レセルヴァータ」メンバー。アンサンブルsonore cordiを指導している。
寺村 朋子 (フォルテピアノ)
東京藝術大学卒業。同大学大学院修士課程修了。山田貢、鈴木雅明の両氏に師事。第7回国際古楽コンクール‹山梨›チェンバロ部門にて第2位入賞。シエナ、ウルビーノ、インスブルック、アントワープなど国内外の講習会を受講し研鑽を積む。NHK「FM リサイタル」に出演。マスタークラスの伴奏やバロックダンスとのアンサンブルなど様々な団体の通奏低音奏者、またはソリストとして活動。近年では中世声楽やフォルテピアノにも取り組み、活動に広がりを見せている。
「フルート・バロックソナタ集」「J.S.バッハ作品集」(増刷)を編曲、出版。チェンバロ・ソロ CD「お気に召すまま Capriccio」(レコード芸術準推薦)リリース。宮地楽器チェンバロ科講師。日本チェンバロ協会会員。(一財)チェンバロ振興財団クープラン理事。現在YouTubeチャンネル「Cembalo チェンバロう!」を開設し演奏動画を配信中。
美しの島から
〜ヴァイオリン、フォルテピアノとの音楽会〜
“Fairest Isle” to
Songs with Violin and Fortepiano
プ ロ グ ラ ム
「本日はようこそおいでくださり、誠にありがとうございます。
このコンサートシリーズは今回で20回目を迎えますが、え?もうそんなになるの?というのが正直なところです。本日も演奏しますが、ピントという作曲家にはまっていた頃に、ピントを歌うにはコンサートホールでも教会でもなくサロンのような場所がふさわしいと思っており、どこかに良い会場がないかと探している、ということを、山手バロッコの曽禰さんに、ぽろっとお話ししたのがきっかけでした。
曽禰さんが山手の洋館でコンサートの機会を作ってくださり、上尾さんのスクエア・ピアノと共にピントやハイドンを演奏させて頂くことができました。私としては念願が叶ったのですっかり満足していたのですが、翌年また洋館でやりませんか?とお声がけいただき、以来毎年「木島さん、今年は何をやりますか?」と怠け者の私を上手にその気にさせてくださり、気がつけば20回続けていた、というわけです。
裏方を一手に引き受けてくださる曽禰さん、洋館の館長さんやスタッフの皆様、共演してくださったたくさんの演奏家の皆様、そして聴きにいらしてくださった皆様のおかげで、これだけ歌い続けることができました。心から感謝申し上げます。外の景色が見え、日射しや空気を感じながら、趣のある素敵な洋館という空間で演奏できることは、私にとっても幸せなひとときです。どうぞ最後まで寛いでお楽しみください。」
木島千夏
「久しぶりに千夏さんと弾けると思い、前後を顧みず参加いたしました。 ロマン派初挑戦、頑張ります。」 小野萬里
「木島千夏さんとは、初めてお目にかかった場面を思い出せないくらい、ふんわりと自然にお知り合いになっていた感覚があります。凄いことを穏やかにサラッとこなされる魅力と実力は、この20回のプログラムを見れば一目瞭然の脱帽で帽子がいくつあっても足りません。この度は節目となるコンサートに参加させて頂き大変光栄に存じます。」 寺村朋子
♪ ♪ ♪
G.F.ピント(1785〜1806) George Frederick
Pinto
「懐かしい故郷の谷」 "Dear is my little native vale"
「自然への誘い」 "Invocation to Nature"
「エロイーザからアベラードへ」 "Eloisa to Abelard"
「羊飼いが美しいニンファに恋をした」 "A shepherd lov'd
a nymph so fair“
G.F.ピント(1785〜1806) George Frederick Pintoは幼少期からヴァイオリニストとして並外れた才能を示し、10代で早くも公開演奏会を行い注目を集めていました。ピアノも好きでその演奏も卓越しており、両方の楽器を操る天才と賞賛されていました。残念ながら21歳という若さで夭折してしまったこともあり、残された作品は多くありません。ピアノソナタやファンタジー、ヴァイオリンソナタやコンチェルトなど、そして歌曲が残されています。本日は4曲歌いますが、耳に馴染みやすいメロディーと時折お洒落な和声が何気なく美しく繊細に歌詞をサポートしていて、短いながらも音楽的に充実した歌曲ばかりです。
G.F.ピント George Frederick Pinto
ヴァイオリンとフォルテピアノのためのソナタ イ長調 第2楽章、第3楽章 Violin Sonata in A major
アンダンテ - アレグレット Andante – Allegretto
演奏するヴァイオリンとフォルテピアノのためのソナタ イ長調 はヴァイオリン伴奏つきのフォルテピアノソナタとして、ピントの死後1806年に出版された3つのソナタの曲集の2番目に収められたものです。同時代のイギリスのヴァイオリン伴奏つきのフォルテピアノソナタと異なり、ヴァイオリンの声部が充実しており、ピントの優美で端正な曲に欠かせない役割を担っています。曲は、3楽章構成ですが、本日は、スコットランドの民謡(ワルツ)を元にした楽し気な第2楽章、真剣な表情をもつ主題を柱においたロンド形式の第3楽章を演奏します。
J.P.ザロモン(1745〜1815) Johann Peter
Salomon
「おお、妙なる声」 "O tuneful voice"
「時が移ろいやすいものだなんて」 "Say not that minutes swiftly
move"
「行け、幸せなバラよ」 "Go, Lov'ly
rose"
ピントの音楽的キャリアに大きな影響を与えた重要な人物の1人がザロモンです。J.P.ザロモン(1745〜1815) Johann Peter Salomonはドイツ出身のヴァイオリニストですが、ハイドンをロンドンに招いたりしてプロモーターとしても有名です。8歳の頃からピントを教え、9歳でロンドンデビューさせ、その後イギリス各地やフランスなどへも演奏旅行を行うなどサポートしました。もっと長生きしていたら第二のモーツァルトになっていただろうと述べています。
ザロモンの作品としては、バイオリン奏者だったため弦楽四重奏曲やバイオリンソナタ、ピアノ三重奏などの室内楽があり、英語やドイツ語の歌曲も残しています。本日演奏します3曲は歌いやすく愛らしい小品です。
J.C.バッハ(1735〜1782) Johann Chiristian Bach
フォルテピアノソナタ ニ長調 Op.5 No.2 Sonata for
Fortepiano in D-major
アレグロ・ディ・モルト - アンダンテ・ディ・モルト - メヌエット
Allegro di molto – Andante di molto - Menuetto
J.S.バッハの末息子であるJ.C.バッハ(1735〜1782)は、1762年、ロンドンに渡英し活躍したことから「ロンドンのバッハ」と呼ばれています。そこではモーツァルト一家を歓待し指導もしました。1766年、本日演奏する「フォルテピアノ・ソナタ ニ長調 Op.5 No.2」を含む6つのソナタを作曲し、その中から3曲をモーツァルトがコンチェルトに編曲しています(Kv107)。そんな大作曲家がお気に入りの作品をお楽しみください。
L.シュポーア(1784〜1859) Louis Spohr
「遠くても近くても、どこでも」 "Everywhere, far and near"
「魔王」 "Erlkönig"
「夕べの憩い」 "Abend-Feier"
L.シュポーア(1784〜1859)もヴァイオリンの名手であり、作曲家、指揮者、指導者としても活躍し、当時はベートーヴェンと並び称されるほど高名な音楽家でした。ヴァイオリン協奏曲、弦楽四重奏などの室内楽曲、歌曲、そしてオペラや宗教曲まで多岐にわたって作曲しています。
「遠くても近くても、どこでも」 "Everywhere, far and near"はロンドン東部のダルストンにあったジャーマン・ホスピタルのためのチャリティー・イベント用に作られました。どこにいても、眠っていても起きていても、笑っていても泣いている時もいつでも愛する人のことしか目に入らない、という恋の歌です。「ヴァイオリンとピアノの伴奏がついた6つのバリトンのための歌曲」から「魔王」"Erlkönig"と「夕べの憩い」"Abend-Feier"を演奏します。華麗なヴァイオリンパートが、時にドラマティックに時に優雅に詩の世界を彩ります。
F.シューベルト(1797〜1828) Franz Schubert
「ただ憧れを知る者だけが」"Nur wer die Sehnsucht kennt"
「春に」 "Im Frühling"
「至福」 "Seligkeit"
「セレナーデ」 "Ständchen"
F.シューベルト(1797〜1828) Franz Schubertは友人の邸宅やサロンで自作の演奏会を開いていました。シューベルティアーデと呼ばれるその集いでは、彼の歌曲やピアノ曲などの演奏、詩の朗読などが行われ、友人や芸術家、芸術の庇護者達や愛好家などが集まってシューベルトの新作に耳を傾けました。私(木島)が最初にピントの作品をサロンのような場所で演奏したいと思ったのは、このシューベルトのサロンコンサートのイメージが頭の片隅にあったからかもしれません。
「ただ憧れを知る者だけが」"Nur wer die Sehnsucht kennt"はゲーテの「ヴィルヘルム・マイスターの修行時代」の中で、詩的な言葉でしか語ることのできない神秘的な少女ミニヨンと竪琴弾きによって歌われる歌です。憧れの心と共に喪失感と苦悩を歌っています。
「春に」 "Im Frühling"は大好きな歌の一つです。恋人との幸せだった時を思い出して、夏の間じゅう歌っていよう、というラストも心に沁みます。
「至福」 "Seligkeit"は軽快なワルツのリズムに乗って天国の素晴らしさを歌い、でもラウラが微笑んでくれるなら地上が僕にとって天国のようなもの、というラブソングです。
「セレナーデ」 "Ständchen"は最晩年に書かれた作品を集めて彼の死後に出版された歌曲集「白鳥の歌」の中の1曲です。恋人の窓辺で歌うこの名曲には下手な解説は不要でしょう。
F.シューベルト Franz Schubert
フォルテピアノ独奏のための「アダージョ」 D178 Adadio for Fprtepiano D178
シューベルトは、未完作品の多い作曲家で、一つの作品を完結させる前に次の作品に取りかかり、前の曲のことはしばしば忘れてしまった、と伝えられています。フォルテピアノ独奏のための「アダージョ」 Adadioには2つの異なる稿が存在し、第1稿は1815年4月8日という作曲の日付があり完成しています。第2稿は第60小節で中断されていますが、本日は完成された第1稿をお届けいたします。
フランソワ・シューベルト(1808〜1878)
ヴァイオリンとピアノのための作品集『12のバガテル 作品13』より「蜜蜂」 “L‘Abeille” for Violin and Fortepiano Op13
フランソワ・シューベルト(1808〜1878) François Schubert、本名 フランツ・アントン・シューベルトは、ドイツ生まれの作曲家で、フランスで活躍したためフランソワ・シューベルトとも呼ばれています。作曲とヴァイオリン演奏を学び、ドレスデンの宮廷楽団で楽器奏者として音楽活動をスタートしました。先に歌いましたオーストリアの作曲家フランツ・シューベルトは同姓同名の別人です。演奏する「蜜蜂」 “L‘Abeille”は、1856年に出版されたヴァイオリンとピアノのための作品集「12のバガテル 作品13」の中の1曲です。この5月、蜂は蜜を求めて忙しい。ブーンと滑空してきて花を見つけると羽を高速で動かし見事に滞空します。軽量の蜂になって、弾いてみたいと思います。
R.シューマン(1810〜1856) Robrt Schumann
トロイメライ Op.15 No.7 Träumerei
R.シューマン(1810〜1856)Robrt Schumannのフォルテピアノ作品「子供の情景」作品15は、1839年に出版された12曲からなるピアノ小品集で、シューマンの曲のなかでも有名な作品です。第7曲の「トロイメライ」"Träumerei"は、曲集のなかでも随一の有名曲で、当時から様々な編成に編曲され親しまれました。本日はヴァイオリンとフォルテピアノのための編曲でお届けします
たくさんの拍手をいただきましたので、シューベルト 歌曲 「ドイツの戦勝に寄せて」 D81をお聴きいただきます。
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