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90th Concert
三溪園「観月会」コンサート
古楽器の響きで味わう
クラシカル・フルートの魅力
Ensemble music of Classical Flutes、Viola and Viola da gamba
アンサンブル山手バロッコ 第90回演奏会
“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 第97回
2020年10月3日(土) 18時30分開演 三溪園 旧燈明寺本堂
18:30 4th Oct.. 2020 at Kyu-Tomyo-ji Hondo in Sankei-en
主催:公益財団法人 三溪園保勝会(横浜市中区本牧三之谷 58-1)
出演
清野由紀子(クラシカルフルート)
昭和音楽大学管弦打楽器科卒。卒業後は音楽出版社勤務の傍ら研鑽を続け、現在モダンフルートを岩花秀文氏、フラウト・トラヴェルソを中村忠の各氏に師事。バロックアンサンブル『ラ・クール・ミュジカル』主宰。
曽禰 寛純(クラシカルフルート)
フルート演奏を経て、フラウト・トラヴェルソを独学で学び、慶應バロックアンサンブルで演奏。1998年にリコーダーの朝岡聡と共に、アンサンブル山手バロッコを結成し、横浜山手の洋館でのコンサートを継続。カメラータ・ムジカーレ同人。
小川 有沙(ヴィオラ)
慶應バロックアンサンブルでヴィオラを演奏。卒業後、オーケストラ、室内楽の両面で活動している。アンサンブル山手バロッコメンバー。
加藤久志(ヴィオラ・ダ・ガンバ)(ゲスト)
洗足学園音楽大学卒業。同大学院修士課程修了。ヴィオラ・ダ・ガンバを福沢宏、武澤秀平の各氏に、コントラバスを藤原清登氏に師事。藍原ゆき、中野哲也、マリアンヌ・ミュラー、ジョシュ・チータムの各氏のレッスンを受ける。
2015年ニース夏期国際音楽アカデミーにてディプロマを取得。古楽やポップスなど、様々な演奏活動を行っている。
ブログ https://ameblo.jp/organic-cosme-memeko/
三溪園「観月会」コンサート
古楽器の響きで味わう
クラシカル・フルートの魅力
Ensemble music of Classical Flutes、Viola and Viola da gamba
“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 第96回
J.Ch.バッハ(1735-1782)
J.Ch.Bach
2本のフルート、ヴィオラとヴィヴィオラ・ダ・ガンバのための四重奏曲 ト長調 作品19-3
Quartet in G-Major for two Flutes, Viola and Viola da gamba Op.19-3
アレグロ - アンダンティノ - ロンド(アレグレット)
Allegro - Andantino
- Rondo. Allegretto
ヨハン・クリスチャン・バッハは大バッハの末息子で、ライプツィヒで生まれ、ロンドンで亡くなりました。活躍の中心はロンドンで、音楽監督としてオペラ、交響曲やカンタータを作曲上演し、また鍵盤楽器の名手として協奏曲や室内楽曲を多く残しました。「バッハ・アーベル演奏会」シリーズなどを通じてバロックから古典派への扉を開き、モーツァルトとも親交がありました。2本のフルート、ヴィオラとヴィオラ・ダ・ガンバのための四重奏曲は、バッハ・アーベル演奏会のパトロンのアビントン伯爵のために1770年代以降に作曲されました。曲は一般的なトリオにヴィオラを加えた四重奏の形式で、豊かな響きが楽しめます。最初に演奏するト長調の四重奏曲は全体に軽やかな曲想で、最後の楽章はメヌエット風のロンドです。
C.シュターミッツ(1745-1801)
Carl Stamitz
2本のフルートのためのデュエット ニ長調 作品27-1
Duet in D-major for two Flutes OP.27-1
アレグロ - ロマンス − ウン・ポコ・プレスト
Allegro - Romance -
Un poco presto
カール・シュターミッツはドイツの作曲家、演奏家で、マンハイム楽派の第一世代のリーダーと言われるヨハン・シュターミッツを父として生まれました。マンハイムはバロックから古典派への転換を牽引した、ダイナミックで高度な演奏で知られたオーケストラで有名でした。ここでカールも頭角を現し弦楽器のヴィルトゥオーゾとして、ヨーロッパ中で活躍し、晩年は宮廷楽長としても活動しました。作曲家としても交響曲や協奏曲、室内楽を多数残しています。1788年ころ出版された作品27のフルート二重奏曲は、かわいらしい曲でありながら、マンハイムのダイナミックな特徴も持った佳曲です。演奏する二長調のデュエットは6曲セットの最初の曲で、第1フルートが親しみやすいメロディーで先行する第1楽章に、歌曲のようなロマンスが続き、舞曲の要素を取り込んだ三拍子の軽快な第3楽章がフィナーレです。
C.F.アーベル(1723 -1787)
G.F.Abel
無伴奏ヴィオラ・ダ・ガンバのためのソナタ ニ短調
Sonata in d-moll for
unaccompanied Viola da gamba
アレグレット - アレグロ - テンポ・ディ・メヌエット
Allegretto-Allegro-Tempo
di Menuet
ドイツのケーテンで生まれ18世紀後半に活躍したカール・フリードリヒ・アーベルはおそらく「ヴィオラ・ダ・ガンバの最後の名人」と言えるでしょう。父親のクリスチャン・フェルディナンド・アーベルは、ケーテンの宮廷楽団のヴィオラ・ダ・ガンバとチェロの奏者を長く勤め、音楽監督であったJ.S.バッハとも同僚、バッハが1723年にライプツィヒに移ると後任の音楽監督となりました。息子カールが後にライプツィヒの聖トーマス学校に行き、そこでバッハに教えを受けたのは、その関係があったからだと考えられています。更にアーベルはバッハの末の息子、ヨハン・クリスチャン・バッハとの長い友情を築きました。アーベルの作品は伝統あるヴィオラ・ダ・ガンバという楽器を知り尽くし、同時に新しい時代の音楽様式も使いこなしています。演奏するソナタ ニ短調は、アメリカに保管されている手稿譜に含まれています。
F.ドヴィエンヌ(1759-1803)
F.Devienne
2本のフルートとヴィオラ・ダ・ガンバのためのトリオ ト長調 作品19-2
Trio in G-Major for two Flutes and Viola da
gamba Op.19-2
アレグロ - ロンド(アレグレット)
Allegro – Rondo Allegretto
ドヴィエンヌは、モーツァルトより3歳年下のフランスの音楽家、フルートとファゴットの名手で、たくさんの合奏曲や協奏曲を残しました。その伸びやかな曲想と40余歳で夭折したことも相まって、フランスのモーツァルトとも呼ばれました。トリオ ト長調は、1790年ころに出版された作品19の第2曲に納められている曲で、第1フルートを中心に軽快な曲想で作られていますが、時に2本のフルートが寄り添い、また競い合う面白さも盛り込まれた第1楽章アレグロとロンド形式の第2楽章の2つの楽章から構成されています。全曲で低音も一部でメロディーを受け持ち活躍します。
A.シュターミッツ(1750-c.1789)
Anton Stamitz
2本のフルートのためのデュエット ニ長調 作品1-6
Duet in D-major for two Flutes OP1-6
アレグロ・モデラート - メヌエット/トリオ/メヌエット
Allegro moderato -
Menuetto/Trio/Menuetto
アントン・シュターミッツは、先ほどお聴きいただいたカール・シュターミッツの5歳年下の弟で、マンハイム楽派のヴァイオリンの名手、作曲家として活躍しました。20歳の時に兄と一緒に演奏活動で訪問したパリで宮廷楽団に就職し、その後の半生をパリ(ヴェルサイユ)で過ごしました。フルートのためのカプリッチョの作曲で知られていますが、このフルート二重奏曲は1785年ころにパリで作曲出版された作品1の曲集の最後を飾る曲です。2つの楽章とも技巧的なパッセージが散りばめられており、フルートの名手ドヴィエンヌの活躍したパリの音楽界を彷彿とさせます。
W.A.モーツァルト(1756-1791)
W.A.Mozart
ヴィオラとヴィオラ・ダ・ガンバのためのソナタ より 第1楽章・第3楽章 K.292/196c
Sonata in C-Major for Viola and Viola da gamba KV292/196c
アレグロ - アレグロ
Allegro – Allegro
モーツァルトは、1775年(19歳)ころ、滞在していたミュンヘンで、ファゴットを巧みに演奏することでも知られていたデュルニッツ男爵のためにファゴットとチェロのためのソナタ 変ロ長調を作曲しました。本日はヴィオラとチェロのために編曲した版によるハ長調で演奏します。原曲は、ファゴットとチェロという珍しい編成で、当時流行していたフランス趣味のギャラント様式に基づいています。様式的には、ソナタ形式があり、カデンツァなど協奏曲的な要素も盛り込み、一方でチェロにはバロックの通奏低音の名残も見られるという、若きモーツァルトの佳作と思います。第1楽章は、ソナタ形式でファゴットソロをチェロが伴奏し、協奏曲的な動きも交えます。第3楽章はファゴットらしい楽し気なテーマで始まる軽快なロンドです。
J.ハイドン (1732-1809)
Franz Joseph Haydn
2本のフルートとチェロのための「ロンドントリオ」第3番 ト長調 Hob. IV-3
The London trio No.3 in G-Major for two Flutes and Violoncello Hob.
IV-3
スピリトーソ - アンダンテ - アレグロ
Spiritoso - Andante – Allegro
ハイドンはエステルハージ侯の宮廷楽長として、長らくその館に留まり、交響曲、協奏曲や室内アンサンブルの作曲と演奏を行いました。都会から離れた地方都市に留まってはいましたが、新しい古典派の扉を大きく開いた楽曲や演奏の名声はヨーロッパ中に知れ渡っていました。エステルハージ侯が亡くなり、自由な身になった晩年には、英国の興行師ザロモンの招聘を受け二度ロンドンに渡航・滞在し、現在も多く演奏されるロンドンセットなどの交響曲や弦楽四重奏曲の名曲を作曲・演奏し熱烈な歓迎を受けました。ロンドントリオは、このロンドンに滞在中の時期に作曲されたもので、フルート2本とチェロの編成で4曲残されています。第3番ト長調のトリオは、3楽章からなり充実した構成になっていますが、重苦しいことは1つもなく、生気にあふれる喜遊曲といった趣の曲に仕上がっています。第1フルート、第2フルートが交互に重要な役割を果たし、低音の上で活躍します。低音も要所要所で、技巧的な旋律でフルートに対抗し、楽しいやり取りが散りばめられています。
J.Ch.バッハ(1735-1782)
J.Ch.Bach
2本のフルート、ヴィオラとチェロのための四重奏曲 ニ長調 作品19-2
Quartet in D-Major for two Flutes, Viola and Violoncello Op.19-2
アレグロ - アンダンテ - アレグロ・アッサイ
Allegro - Andante - allegro assai
J.C.バッハの二長調の四重奏曲は、最初にお聴きいただいたト長調の四重奏曲が含まれる作品19の四重奏曲集に含まれています。ニ長調というフルートの響きが良く輝かしい調性にふさわしく明るく活気にあふれた曲になっています。歌うようなアレグロで始まる第1楽章、メヌエットのリズムを借りたロンド形式の第2楽章を経て、活気にあふれる軽快なジーグのリズムの第3楽章で曲が閉じます。
F.A.ホフマイスター(1754-1812)
F.A.Hoffmeister
2本のフルートとヴィオラのための三重奏曲 (めんどり、かっこう、ロバ)
Terzetto in D-Major
アレグロ - メヌエット - ロンド(モデラート)
Allegro - Menuetto - Rondo.Moderato
ホフマイスターは、モーツァルトとほぼ同世代の作曲家・フルーティストです。本日演奏する三重奏「めんどり・かっこう・ロバ」は、各パートにそれぞれの鳴き声が割り振られた大変愉快な曲です。本来はフルート3本のために書かれましたが、本日は3パートのうち1つをヴィオラとヴィオラ・ダ・ガンバの二人で担当し、4人で演奏いたします。誰がどの動物を担当しているか、聞き耳を立ててお楽しみ下さい。
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