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86th Concert
アンサンブル山手バロッコ第86回演奏会
西洋館で味わう
クラシカル・フルートの魅力-III
Ensemble music of Classical Flute and Cello – Part3
“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 第92回
山手西洋館サマーフェスティバル コンサート
2019年8月16日(金) 15時 山手234番館
15:00 16th July 2019 at Yamate Bluff 234
主催:公益財団法人 横浜市緑の協会/山手234番館
出演
清野 由紀子(クラシカル・フルート)
昭和音楽大学管弦打楽器科卒。卒業後は音楽出版社勤務の傍ら研鑽を続け、現在モダンフルートを岩花秀文氏、フラウト・トラヴェルソを中村忠の各氏に師事。バロックアンサンブル『ラ・クール・ミュジカル』主宰。
曽禰 寛純(クラシカル・フルート)
フルート演奏を経て、フラウト・トラヴェルソを独学で学び、慶應バロックアンサンブルで演奏。1998年にリコーダーの朝岡聡と共に、アンサンブル山手バロッコを結成し、横浜山手の洋館でのコンサートを継続。カメラータ・ムジカーレ同人。
小川有沙(クラシカル・ヴィオラ)
慶應バロックアンサンブルでヴィオラを演奏。卒業後、オーケストラ、室内楽の両面で活動している。アンサンブル山手バロッコメンバー。
中尾晶子(クラシカル・チェロ)
チェロを佐々木昭、アンサンブルを岡田龍之介、花岡和生の各氏に師事。カメラータ・ムジカーレ同人。アンサンブル山手バロッコメンバー。
アンサンブル山手バロッコ第86回演奏会
西洋館で味わう
クラシカル・フルートの魅力-III
Ensemble music of Classical Flute and Cello – Part3
“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 第92回
山手西洋館サマーフェスティバル コンサート
山手234番館の夏に恒例の古楽コンサートへようこそ。本日は、「西洋館で味わうクラシカル・フルートの魅力-III」と題して、山手234番館の親密な空間で、古典派の時代に使われた多鍵フルート(クラシカル・フルート)とクラシカル・ヴィオラ、クラシカル・チェロによるアンサンブルを楽しみます。
プログラムノート
(アンサンブル山手バロッコ 曽禰寛純)
J.C.バッハ (1735 - 1782)
Johann Christian Bach
2本のフルート、ヴィオラとチェロのための四重奏曲 ト長調 作品19-3
Quartet in G-Major for two Flutes, Viola and Violoncello Op.19-3
アレグロ - アンダンティノ − ロンド(アレグレット)
Allegro - Andantino - Rondo. Allegretto
J.C.バッハは大バッハの末息子で、ライプチッヒで生まれ、ロンドンで亡くなりました。活躍の中心はロンドンで、音楽監督としてオペラ、交響曲やカンタータを作曲上演し、また鍵盤楽器の名手として協奏曲や室内楽曲を多く残しました。「バッハ・アーベル演奏会」シリーズなどを通じてバロックから古典派への扉を開き、モーツァルトとも親交がありました。この曲は、バッハ・アーベル演奏会のパトロンのアビントン伯爵のために1770年代以降に作曲されました。曲はハイドンのロンドントリオにヴィオラを加えた四重奏の形式で、いっそう豊かな響きが楽しめます。ト長調の四重奏曲は全体に軽やかな曲想で、最後はメヌエット風のロンドで曲が閉じます。
J.ハイドン (1732-1809)
Franz Joseph Haydn
2本のフルートとチェロのための「ロンドントリオ」第4番 ト長調 Hob. IV-4
The London trio No.4 in G-Major for two Flutes and Violoncello Hob.
IV-4
アレグロ
Allegro
ハイドンはエステルハージ侯の宮廷楽長として、長らくその館に留まり、交響曲、協奏曲や室内アンサンブルの作曲と演奏を行いました。都会から離れた地方都市に留まってはいましたが、新しい古典派の扉を大きく開いた楽曲や演奏の名声はヨーロッパ中に知れ渡っていました。エステルハージ侯が亡くなり、自由な身になった晩年には、英国の興行師ザロモンの招聘を受け二度ロンドンに渡航・滞在し、現在も多く演奏されるロンドンセットなどの交響曲や弦楽四重奏曲の名曲を作曲・演奏し熱烈な歓迎を受けました。
ロンドントリオは、このロンドンに滞在中の時期に作曲されたもので、フルート2本とチェロの編成で4曲残されています。第4番ト長調のトリオは、ただ1つの楽章で残されていますが、流れるような主題から始まるこの曲も、ロンドントリオの他の曲に劣らず充実した構成になっています。
C.シュターミッツ (1745 - 1801)
Carl Stamitz
2本のフルートとチェロのためのトリオ ト長調 Op.14 No. 1
Trio in G-Major for two Flutes and Violoncello Op.14-1
アレグロ モデラート − アンダンテ - ロンド(アレグレット)
Allegro moderato - Andante - Rondo. Allegretto
カール・シュターミッツはドイツの作曲家、演奏家で、マンハイム楽派の第一世代のリーダーと言われるヨハン・シュターミッツを父として生まれました。マンハイムは、バロックから古典派への転換を牽引したダイナミックで高度な演奏で知られたオーケストラで有名でした。ここでカール・シュターミッツも弦楽器のヴィルトゥオーゾとして頭角を現し、ヨーロッパ中で活躍、晩年は宮廷楽長としても活動しました。作曲も交響曲や協奏曲、室内楽を多数残しています。2本のフルートとチェロのためのトリオ ト長調は、シュターミッツらしい、歌うような旋律と技巧的なパッセージが交錯する第1楽章に続いて、オペラアリアのような第2楽章が続き、最後の第3楽章はロンドで、長調-短調-長調の3つの部分からなり、最後は技巧的な部分からロンド主題に回帰して曲を閉じます。
J.ハイドン (1732-1809)
Franz Joseph Haydn
2本のフルートのための
エコー
Echo for two Flutes
アダージョ – メヌエット - アレグレット
Adagio - Menuetto - Allegretto
(フルートは1人しか写っていませんが、第2フルートは離れてエコーを演奏・・・)
ハイドンは器楽曲にも様々なアイデアを持ち込んだ作曲家です。このフルートデュエットの原曲は2つの弦楽合奏がエコーの効果を楽しむディヴェルティメント 変ホ長調 Hob.II/39で、文字通り2本のフルートがこだまのように応答する部分が随所に現れる楽しい曲です。最近の研究ではハイドンの真作か疑わしい作品とされていますが、楽しさとエコー効果は変わるものではありません。
W.A.モーツァルト (1756-1791)
Wolfgang Amadeus Mozart
ディヴェルティメント第3番 ハ長調 KV.439b-3
Divertimento in C-Major for two flutes and Violoncello KV.439b-3
アレグロ – メヌエットI/II – ロンド(アレグロ アッサイ)
Allegro – Menuetto I/II – Rondo.
Allegro assai
モーツァルトは、バセットホルン3本のためにディヴェルティメントを残しています。クラリネットやバセットホルンの名手シュタトラーとモーツァルトは深い親交を持ち、有名なクラリネット協奏曲を彼の為に作曲しています。一方でバセットホルンはバスからメロディーまで広い音域がカバーできたので、この楽器だけでのアンサンブルも楽しまれました。モーツァルトは5曲のディヴェルティメントを残していますが、本日演奏するディヴェルティメントは、その3番目の曲です。本日は、3つの楽章をフルート2本、チェロの編成で演奏します。
J.C.バッハ (1735 - 1782)
Johann Christian Bach
2本のフルート、ヴィオラとチェロのための四重奏曲 ト長調 ハ長調 作品19-1
Quartet in C-Major for two Flutes, Viola and Violoncello Op.19-1
アレグロ - アンダンテ − ロンド(アレグレット)
Allegro - Andante - Rondo. Allegretto
.J.C.バッハのハ長調の四重奏曲は、最初にお聴きいただいたト長調の四重奏曲が含まれる作品19の四重奏曲集の巻頭を飾る曲です。全体にこの編成の特徴を生かした念入りな作曲がされており、最後は当時流行の二拍子のロンドで曲が閉じます。 。
本日の使用フルートを紹介します。
(左) R.Tutz: Heinrich Grenser 8鍵フルート(c.1810)のコピー、(右)
C.Soubeyran: Friedrich Gabriel August Kirst 6鍵フルート(c.1790)のコピー
アンコール
たくさんの拍手をいただきましたので
最初に演奏した J.C.バッハの四重奏曲から第3楽章ロンドをお聴きいただきます。
ありがとうございました。
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