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85th Concert
アンサンブル山手バロッコ第85回演奏会
ヴィオラ・ダ・ガンバとリュートで巡るヨーロッパのバロック
〜音楽の庭〜
“Il giardino
musicale” La viola da gamba
e il liuto nella Europa barrocca
“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 第91回
2019年7月29日(月)19時開演 横浜市イギリス館
19:00 29th July 2019 at British house Yokohama
主催:アンサンブル山手バロッコ、
後援: 横浜アーツフェスティバル実行委員会、
出演
ホアン・マヌエル・クィンターナ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
アルゼンチンのブエノスアイレス生まれ。リカルド・マサンに師事してヴィオラ・ダ・ガンバを始めた。1991年にジュネーブ音楽院でアリアンヌ・モレットに、翌年バーゼル・スコラ・カントルムに入学、パウロ・パンドルフォに師事。1995-97年、パリ国立音楽院にて、クリストフ・コアンに師事しヴィオラ・ダ・ガンバ奏法を完成させた。1995年以来、エスペリオンXXなど著名なバロックアンサンブルやオーケストラと共演、ヨーロッパの主要なステージで演奏。ハルモニア・ムンディからリリースされたバッハのヴィオラ・ダ・ガンバソナタ集、マレ組曲集、ブクステフーデのトリオ・ソナタのCDは国際批評家から賞賛を受け、ディアパソン金賞、 Choc du Monde de la Musiqueを受賞、クラシック賞(カンヌ)賞にノミネートされた。演奏活動に加え、ヴィオラ・ダ・ガンバの演奏についての深い知識と歴史的奏法の経験を教授するために、スペイン、イタリア、ドイツ、南米に定期的に招聘されている。また、1999年から2005年まで、マルク・ミンコフスキーの助手として“ポッペアの戴冠”、“ジュリオ・チェーザレ”を上演。その後、ルーブル音楽隊を指揮。アルゼンチンでは指揮者としての活動も活発に行う。2009年、ブエノスアイレス市から、10年間における最高の器楽奏者としてKonex賞を受賞。
野入
志津子(アーチリュート)
京都生まれ。同志社女子大学音楽学科(音楽学専攻)卒業。在学中よりリュートを岡本一郎氏に師事。京都音楽協会賞受賞。リュートとルネサンス、バロック音楽を学び深めるためにバーゼルのスコラ・カントルムでオイゲン・ドンボアとホプキンソン・スミスに師事、1991年ソリストディプロマ。アムステルダムを拠点に活動している。古楽界の巨匠ルネ・ヤーコブスの専属リュート奏者として20年以上にわたりヨーロッパ各国はじめ米国, イスラエル、アルゼンチン、オーストラリアでオペラやオラトリオの上演を続けている。アンサンブル“Les Plaisirs du Parnasse”のメンバーであり、世界各国でソリスト及び通奏低音奏者として、アンナー・ビルスマ、Concerto Vocale、イ・ムジチ合奏団、フライブルク・バロック・オーケストラ、Ensemble415、ベルリン古学アカデミー, バッハ・コレギウム・ジャパンなど先導的なアーティストやアンサンブルと活動している。
ディスコグラフィー:フィリップス(イムジチ合奏団)、ハムモニア・ムンディ・フランス(ルネ・ヤーコブス指揮)、WDR、BIS, Symphonia , Zig-Zagなどのレーベルに録音。ソロのCDはレグルスから”G.A. Casteliono,
Intabolatura de Leuto“、”Giovanni Zamboni, Sonate d’Intavolatura di Leuro“をリリース。レコード芸術誌特選版。2017年、Acoustic revive から“Aure Nuove 薫る風 ,新しい様式によるリュートのためのトッカータと舞曲”
をリリース。
曽禰 愛子(メゾソプラノ)
鹿児島国際大学短期大学部音楽科、同専攻科卒業。洗足学園音楽大学大学院音楽研究科修了。第 28 回鹿児島新人演奏会、第 85 回横浜新人演奏会出演。
第32回国際古楽コンクール〈山梨〉ファイナリスト。声楽を川上勝功、ウーヴェ・ハイルマン、ゲルト・テュルクの各氏に師事。
現在、バーゼル・スコラ・カントルム在学。ヴォーカルアンサンブル・ヴィクトリア、Affetti mvsicali、Musica Legoメンバー
アンサンブル山手バロッコ第85回演奏会
ヴィオラ・ダ・ガンバとリュートで巡るヨーロッパのバロック
〜音楽の庭〜
“Il giardino musicale” La viola da gamba e il liuto
nella Europa barrocca
“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 第91回
プログラムノート
横浜市イギリス館は、1937年に、英国総領事公邸として建設された由緒ある建物です。広々としたテラスで芝生の庭につながる素晴らしい客間で、歌、ヴィオラ・ダ・ガンバとリュートのアンサンブルの響きでバロックのサロンコンサートを味わいます。
「コンサートのタイトル〜音楽の庭〜は、最高に美しい音楽の花々の庭という意味でホアンさんが名付けました。一緒に日本庭園を散歩していて、『一生かかるかもしれないけれど、この日本のお庭のように優美で自然で奥深い演奏ができるようになりたいね』と話し合いました。このような想いで演奏会に臨みます。プログラムは、いろいろな曲がありますが、それぞれ美しい音楽の花々です。」
と野入さんよりメッセージをいただきました。
♪ ♪ ♪
ヴィオラ・ダ・ガンバとリュートは、その音色の美しさ、表現力や響きの豊かさ、そしてポリフォニックな演奏ができることなど、2世紀以上にわたり大きな名声を享受し、ヨーロッパの室内楽で大いに愛好されました。
ルイ14世(1638-1715)の宮廷では、ヴィオラ・ダ・ガンバが圧倒的な役割を果たし最高の音楽が開花しました。1680年までに、作曲家でありヴィオラ・ダ・ガンバ奏者でもあったサント・コロンブは、おそらく7本目の弦を追加した演奏家で、楽器演奏の技術も飛躍的に向上させました。弟子のマラン・マレも素晴らしい名声を得て、同時代の最も重要な演奏家となりました。リュリによって作られたフランス様式の音楽を直接受け継ぎ、最も成功したヴィオラダ・ガンバ(フランスではヴィオール)奏者として、マレは彼の楽器のために5冊の曲集を出版しました。本日演奏する組曲ト短調は、彼が69歳のときに編纂されたヴィオール曲集第5巻に含まれています。
18世紀後半に活躍したアーベルはおそらく「ヴィオラ・ダ・ガンバの最後の名人」と言えるでしょう。アーベルはドイツのケーテンで生まれました。父親のクリスチャン・フェルディナンド・アーベルは、そのケーテンの宮廷楽団のヴィオラ・ダ・ガンバとチェロの奏者を長く勤め、音楽監督であったJ.S.バッハとも同僚でした。バッハが1723年にライプツィヒに移ると後任の音楽監督となりました。おそらく、その関係で、息子カールが後にライプツィヒの聖トーマス学校に行き、そこでバッハに教えられたと考えられています。更にアーベルはバッハの末の息子、ヨハン・クリスチャン・バッハとの長い友情を築きました。後に二人はロンドンに渡り、「バッハ・アーベルコンサート」という有名な演奏会のシリーズで活躍しました。アーベルの作品は伝統あるヴィオラ・ダ・ガンバという楽器を知り尽くし、同時に新しい時代の音楽様式も使いこなしています。演奏するソナタ ニ短調の4つの楽章は、アメリカ保管されている手稿譜に含まれています。
他の3つの器楽曲は、元はヴィオラ・ダ・ガンバやリュートのために書かれた曲ではありません。ガブリエリのソナタはチェロのために書かれた曲で、チェロのために書かれた最初のソナタの1つとされています。バッハの組曲は、もともとは無伴奏チェロのための組曲です。バッハはリュートを好み、リュートの名手ヴァイスとも深い親交を結んでおり、チェロ組曲の5番にはリュート版も残されています。コレッリのソナタはヴァイオリンのための曲で、当時欧州中に有名だった作品5の曲集に含まれていますが、この曲集のソナタをヴィオラ・ダ・ガンバで弾けるように編曲されたさまざまな当時の譜面が残っています。そのことから考えると、この編曲はフランスのヴィオラ・ダ・ガンバの名手で、イタリア様式の音楽の擁護者でもあったフォルクレのレパートリーだったかもしれません。
歌を加えて演奏する2曲は、ガブリエリと同時代のイタリアの作曲家ストロッツィとフレスコバルディの曲です。この時代、歌詞と音楽が一層緊密に結びつき、語りと歌で伝えるようになりました。ヴィオラ・ダ・ガンバとリュートのオスティナート(繰り返す低音)の上で、恋の嘆きの感情が切々と歌われます。
本日のコンサートでは、マレの音楽に特徴的な「語る」スタイルとコレッリの「歌う」スタイルをお聴きいただき、偉大な作曲家であり優秀な演奏家である二人へのオマージュといたしたいと存じます。ご一緒に楽しみましょう。
(ホアン・マヌエル・クィンターナ、アンサンブル山手バロッコ 曽禰寛純)
ドメニコ ガブリエリ (1659-1690) ソナタ ハ長調
Domenico Gabrielli / Sonata in C-Dur
グラーヴェ - アレグロ - ラルゴ - プレスト
Grave – Allegro – Largo - Presto
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685-1750) 組曲 ニ長調 (リュートソロ)
Johann Sebastian Bach / Suite in D-dur BWV1007
プレリュード - アルマンド - クーラント - サラバンド - メヌエット I/II -ジーグ
Preludio –
Allemande – Courante –
Sarabande - Menuet I/II - Gigue
バルバラ・ストロッツィ(1619-1677) 恋するヘラクレイトス
Barbara Strozzi /
“L’Eraclito amoroso” aus: Cantate, ariette e duetti Op.2 (Venezia, 1651)
聞いてください、恋人たちよ、おお神よ、 私が泣いているその理由を
私の美しい、慕わしい憧れの人、
私が誠実だと信じていたその人の、貞節は死んでしまったのです
私の喜びはすべて涙の中にあります
私は涙のみによって支えられ 悲しみが私の喜び
そして嘆きが私の楽しみなのです
あらゆる苦痛が私を喜ばせ、 あらゆる悲しみが私を歓喜させ、
すすり泣きが私を癒し ため息が私を慰めるのです
しかし、もしも今この誠意が 移り気で、不実な男によって否定されるならば
せめて私に忠実であってください、 私が死ぬまでは、おお、この涙よ
ありとあらゆる悲しみが私を攻めたて、
すべての苦悩は永遠に続くのです
あらゆる苦難に私は苦しめられ、
それはいずれ私を殺し葬り去るでしょう
(訳:曽禰愛子)
ジローラモ・フレスコバルディ(1583-1643) こんなふうに僕を蔑むのか
Girolamo Frescobaldi / “Cosi mi disprezzata”
こんな風に僕を蔑むのか?こんな風にからかうのか?
僕にしているのと同じことを、
愛の神がいつか君にもする時が来るだろう
もう言うことはない、さようなら
苦しみを与えるがいい、僕のため息をからかうがいい、
僕の忠実な心を侮辱するがいい
君のしていることがどんなことがいつかわかるだろう
美しさはいつまでも君臨するわけではない、
今はそれが君に僕の忠誠を踏みにじることを教えていても
君が愛したくないとしても、僕は苦しみたくない
君の黄金の神、バラ色の頬、
それらは美しい五月よりもすばやく消え去ってしまうだろう、
その時僕が笑う番さ
(訳:木島千夏)
♪ ♪ ♪
マラン・マレ (1656-1728) 組曲 ト短調 ヴィオール曲集第5巻より
Marin Marais / Suite in g-moll aus
V Buch (1725)
プレリュード – ファンタジー – アルマンド
“La Marianne” – サラバンド – ジーグ “La Pagode”
Prèlude – Fantaisie - Allemande “La Marianne”
– Sarabande - Gigue La Pagode
カール・フィードリッヒ・アーベル(1742-1787) ソナタ ニ短調
Karl Friedrich Abel / Sonata in d-moll
(プレリュード) - (アレグロ) - アダージョ - アレグロ
(Preludio) - (Allegro) – Adagio - Allegro
アルカンジェロ・コレッリ (1653-1713) ソナタ ニ長調 作品5の11
Arcangelo Corelli / Sonata op. V Nº 11 in D-Dur
アダージョ
– アレグロ – アダージョ – ヴィヴァーチェ– ガボット
Adagio – Allegro – Adagio – Vivace -Gavotta
アンコール
たくさんの拍手をいただきましたので、マレのヴィオール曲集よりロンドをお届けします。
、
ありがとうございました。
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