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84th Concert
アンサンブル山手バロッコ第84回演奏会
山手111番館 アットホーム・コンサート
洋館サロンで味わう
バロックの家庭音楽
House music in Baroque era
“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 第90回
2019年7月27日(土)15時開演 山手111番館
15:00 27th July 2019 at Yamate Bluff 111
主催: 公益財団法人横浜市緑の協会/山手111番館、
後援: 横浜アーツフェスティバル実行委員会
出演
曽禰
寛純(フラウト・トラヴェルソ)
フルート演奏を経て、フラウト・トラヴェルソを独学で習得、慶應バロックアンサンブルで演奏。1998年にリコーダーの朝岡聡と共に、アンサンブル山手バロッコを結成し、横浜山手の洋館でのコンサートを継続。カメラータ・ムジカーレ同人。
大山
有里子(バロック・オーボエ)
大阪教育大学音楽科卒業。同大学専攻科修了。オーボエを大嶋彌氏に師事する。卒業後、関西を中心に活動し、「大阪コレギウム・ムジクム」のソロオーボエ奏者として、バロック時代の作品を中心に数多くの月例演奏会、定期演奏会等に出演する。その後ピリオド楽器(バロック・オーボエ)による演奏に専念し、バロック・アンサンブル「アルモニー・アンティーク」等に参加。
近年はバロック時代だけでなく古典期のオーボエ曲のピリオド楽器による演奏にも取り組んでおり、関東を中心に活発に活動している。2016〜2019年リサイタル「バロック・オーボエの音楽1〜3」を開催。「クラングレーデ」、「ダブルリーズ」メンバー。
亀井 仁 (ヴィオラ・ダ・ガンバ)
広島県出身。学生時代にクラシック、ジャズ、古楽に興味を持ちクラシックギターを習う。ベルギーに渡り、ブルージュ市立音楽院にてヴァイオリン、オルガンを学び、その後ゲント王立音楽院、リル州立音楽院(フランス)にて、バロックヴァイオリン、チェンバロ、作曲、室内楽をPhilippe Couvert, Florian Deuter, John Whitelaw, Emma Buckley, Dominique Vasseurの各氏に師事。その後ヴィオラ・ダ・ガンバをWieland Kuijken、Philippe Pierlotの各氏に師事し、現在ブルージュ市立音楽院にて、リュート、声楽(カウンターテナー)を Wim Maeseele, Isabelle Dekeyserの各氏に師事、欧州での演奏活動を続けている。
独学にてヴァイオリン・古楽器の製作を開始。古楽の知識を元にオリジナル楽器の音創りに専念し、2018年にはイタリアの古楽コンクール(Maurizio Pratola)にて彼の楽器を使った演奏者が一位を受賞。現在ベルギー王国 ブルージュ在住。
酒井 絵美子(チェンバロ)
洗足学園音楽大学ピアノ科卒業。在学中チェンバロに出会い、岡田龍之介、家喜美子の両氏に師事。横浜イギリス館、山手234番館にてソロ・リサイタルを開催、バロック・アン サンブル「クラングレーデ」の発足メンバーとして数々のコンサート活動、また師の岡田龍之介氏との2台チェンバロのためのコンサートをするなどチェンバロ及び通奏低音奏者として日本各地で演奏、講習会のアシスタントを務めた。ベルギーに渡り、LUCAレーメンス音楽院 チェンバロ専攻修士課程を修了。チェンバロをK.ヴェルヘルスト、オルガンをR.スミス、室内楽を赤津眞言、E.ファン・ネーヴ ェル、B.クーンの各氏に師事。在学中、C.Ph.E.バッハ作曲チェンバロとフォルテピアノのための協奏曲のソリストに抜擢、E. ファン・ネーヴェル氏主宰のアンサンブルにて通奏低音やソリストを務め、ベルギー各地で演奏。
現在、ベルギーや日本を中心にチェンバロおよびオルガン奏者として演奏活動を行う傍ら、P. ブリューヘルマンス氏の元でオルガンの研鑽を重ねる。近年はベルギー、ルーヴァン市内の劇場にてモーツァルト作曲のオペラ「フィガロの結婚」 のレチタティーフの通奏低音奏者を務めるなど、活動の場を古典派にも広げている。現在ベルギー王国 ブルージュ在住。
アンサンブル山手バロッコ第84回演奏会
山手111番館 アットホーム・コンサート
洋館サロンで味わう
バロックの家庭音楽
House music
in Baroque era
“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 第90回
バロック時代の音楽は王侯貴族の宮廷の音楽や教会音楽として花開きました。バロック時代の後期になると、商人などを中心に富裕な市民階級が台頭し、自ら音楽をたのしむ家庭での音楽会や市民を対象とした公開演奏会などが始まり、そのための作曲や楽譜出版の活動が盛んになりました。(あらゆる楽器に精通し、作曲だけでなく銅版の作成までこなしたテレマンが楽譜出版の成功者として知られています。)また、ライプチッヒの音楽監督だったバッハは、「名のある音楽家は、みな我が家を訪れ、音楽会となった」、 「妻は秀でたソプラノ歌手であり、我が子供達は皆優れた音楽家なので家族だけで素晴らしい音楽会ができる」と言ったという逸話がように、素晴らしい音に満ち満ちた家庭だったのだと思います。本日は欧州から帰国(帰省)のお二人の演奏家をお迎えして、西洋館でバロックの家庭音楽をお届けします。ご一緒に味わいましょう。
♪ ♪ ♪
G.Ph.テレマン: フルート、オーボエと通奏低音のためのソナタ ト長調 TWV 42: G13
G.Ph.Telemann / Sonata for flute, oboe and basso continuo in G-Major
TWV42:G13
アダージョ - アレグロ – ラルゴ - アレグロ
Adagio - Allegro - Largo – Allegro
テレマンはありとあらゆる楽器に精通し(若い頃から演奏も達者だったようです)、演奏しても聴いても楽しい器楽曲を何千曲も作曲し、自費出版し欧州中の人気をさらいました。フルートとオーボエを旋律楽器としたトリオソナタも数多く作曲していますが、本日演奏する二曲はあまり演奏される機会がない曲です。しかしそこは名手であり職人でもあるテレマン、二曲とも、さすがと言わざるを得ない佳曲です。最初に演奏するト長調のトリオは、4つの楽章からなります。二拍子のフランスの香りのする主題で始まるアダージョではじまり、ドイツ人好みのしっかりしたフーガ形式の第2楽章アレグロに続きます。僅か10小節ほどのラルゴを経て、最後の快活な舞曲風の第4楽章アレグロで締めくくります。
J.S.バッハ: 平均律クラヴィーア曲集 第2集より 前奏曲とフーガ 変ホ長調 BWV876
J.S.Bach /
Prelude and Fuga in Eflat-Major
from Well-tempered Klavier - II BWV876
前奏曲 - フーガ
Prelude – Fuga
バッハは宮廷楽長や教会音楽家としての仕事とともに、子弟の教育にも心血を注ぎました。長男フリーデマン、次男エマヌエルは、直接の影響を強く受けている息子で共に、音楽家に成長しました。特に長男のためには、作曲と演奏の訓練のための音楽帳を作成し、平均律クラヴィーア曲集
第1巻にまとめられる曲などを記入して、教材としました。また、一部の曲は、ソプラノ歌手だった奥さんアンナ・マグダレーナに送った音楽帳にも書き込まれています。この音楽帳はいわばバッハの家庭音楽記録とも言えるものです。演奏する第2巻は20年ほど後の1739〜42年頃の作曲のもので、変ホ長調の前奏曲とフーガは、つま弾くリュートを連想させる三連符をテーマにした前奏曲と当世風の和声音楽に適したテーマを使い、伝統的なポリフォニーと組み合わせるバッハならではの4声のフーガで構成されています。
C.Ph.E.バッハ: フルートとオブリガートチェンバロのためのソナタ ト長調 Wq.85
C.Ph.E Bach / Sonata for flute and obligato Cembalo
in G-Major Wq.85
アレグレット – アンダンティーノ - アレグロ
Allegretto - Andantino - Allegro
大バッハの次男エマヌエル・バッハは、父の音楽教育を受け、ベルリンのフリードリッヒ大王の宮廷楽団の鍵盤楽器奏者として活動したのちに、名付け親でもあるテレマンの後任としてハンブルク市の音楽監督を務めました。ト長調のソナタは、大バッハの開拓した独奏楽器とチェンバロの右手、左手でトリオを成す形式の曲で、1755年頃に作曲されました。伸びやかなテーマで始まる第1楽章アレグレット、嘆きの感情のテーマが静かに発展する第2楽章アンダンティーノ、軽やかな3拍子の舞曲風のロンドの第3楽章アレグロからなります。
G.F.ヘンデル: オーボエと通奏低音のためのソナタ 変ロ長調 HWV 357
G.F.Handel / Sonata for oboe and
basso continuo in Bflat-Major HWV357
[アレグロ] – グラーヴェ - アレグロ
[Allegro] - Grave - Allegro
ヘンデルのソナタ 変ロ長調は、ヘンデルの自筆譜で残されており、1707〜1710年の間、ヘンデル20代の前半にイタリアで作曲されたものです。この頃のヘンデルはイタリアの貴族の館に客人として滞在し、文人や音楽家との交流を重ね、独自の音楽の原点を作ったと考えられています。このソナタも生き生きした若きヘンデルの勢いのある音楽です。ロンドンに渡ったヘンデルは、チェンバロの独奏曲や管楽器やヴァイオリンのためのソナタ集を出版し、音楽愛好家の要求にも応えました。
W.F.バッハ: ポロネーズ ホ長調 Falck12-7、ポロネーズ ホ短調 Falck12-8
W.F.Bach / Polonaise in E-Major and in
e-minor Falck 12-7/12-8
[アレグロ] – グラーヴェ - アレグロ
[Allegro] - Grave - Allegro
父バッハの寵愛を受けた長男フリーデマン・バッハは、音楽的に最も素晴らしい息子だと思いますが、父親の音楽の時代から新しい音楽に変化するなかで、揺れ動き、生活も安定しませんでした。2曲のポロネーズは1765年に作曲された12曲のポロネーズ集に含まれている2曲で、バロックとその先の時代の音楽の趣味を巧みに取り入れた名作です。
G.Ph.テレマン: フルート、オーボエと通奏低音のためのソナタ ホ短調 TWV 42: e9
G.Ph.Telemann / Sonata for flute, oboe and basso
continuo in e-minor TWV42:e9
ラルゴ - アレグロ – アフェトゥオーソ – ヴィヴァーチェ
Largo – Allegro – Affettuoso - Vivace
最後に演奏するテレマンのホ短調のトリオは先ほどのト長調に比較して、より緻密で真面目な雰囲気の曲です。模倣の展開の鮮やかなラルゴで始まり、次の第2楽章アレグロもその展開と雰囲気は継続します。付点のリズムの際立つアフェトゥオーソを経て、二つの独奏楽器の精密な掛け合い、絡み合いに加え、低音楽器の活躍も際だつヴィヴァーチェを駆け抜けてこの曲を閉じます。
(アンサンブル山手バロッコ 曽禰寛純)
アンコール
たくさんの拍手をいただきましたので、テレマンの有名な「食卓の音楽」第2集より フルート、オーボエと通奏低音のためのソナタ ホ短調より 第4楽章ヴィヴァーチェ、お届けします。
、
ありがとうございました。
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