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76th Concert
アンサンブル山手バロッコ第76回演奏会
開港記念会館で味わうバロック・オペラ
〜優雅なインドの国々〜
Rameau’s “Les Indes Galantes”
“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 第79回
2018年5月26日(土) 14時開演 横浜市開港記念会館講堂
14:00 26th May 2018 at Yokohama Port Opening
Memorial Hall
主催: アンサンブル山手バロッコ
特別共催: 横浜市中区役所 協力:公益財団法人 横浜市緑の協会
衣装・演出:原 雅巳 舞台装飾:Atelier Moet 森田 朋子 翻訳:黒座 ちえ
出演
朝岡
聡(お話)
横浜市生まれ。慶應義塾大学卒業後テレビ朝日にアナウンサーとして入社。1995年からフリー。TV・ラジオ・CMの他、コンサートソムリエとしてクラシック演奏会の司会や企画にもフィールドを広げている。特に古楽とオペラでは親しみやすく本質をとらえた語り口が好評を博している。リコーダーを大竹尚之氏に師事。著書に「笛の楽園」(東京書籍)「いくぞ!オペラな街」(小学館)など。1998年にフラウト・トラヴェルソの曽禰寛純と共に、アンサンブル山手バロッコを結成し、横浜山手地区西洋館でのコンサートを継続している。「横濱・西洋館de古楽」実行委員長。
原
雅巳 (ソプラノ)
東京藝術大学音楽学部声楽科卒業。同大学院独唱科修了。渡仏。オルレアン・コンセルヴァトワール、ジュネーヴ・コンセルヴァトワールを修了。声楽、室内楽、バロック・ジェスチャー、朗唱法を学ぶ。帰国後、フランス・ルネッサンス、バロック音楽を中心に演奏活動を行う。「ふらんすの恋歌」(’05)、ラ・フェート・ギャラントと「パリの悦楽」(’06)をリリースする。また、日本ヘンデル協会においてジェスチャー研究会を主催し、演技・歌唱指導を行う。協会の主催する演奏会の監修およびオペラ公演の演出を行い、これまでにヘンデルのオペラ「リナルド」「セルセ」「アグリッピーナ」「パストール・フィードー」「アレッサンドロ」「パルテノペ」「フラーヴィオ」「デイダミーア」等を演出する。
加藤
詩菜(ソプラノ)
フェリス女学院大学音楽学部演奏学科卒業。 洗足学園音楽大学大学院音楽研究科修了。 ウィーン国立音楽大学Wiener Musikseminarディ プロマ修了。第4回彩明ムジカコンコルソ第1回声楽部門「読売賞」受賞。第15回日本演奏家コンクール声楽部門「奨励賞」 「協会賞」受賞。第83回横浜新人演奏会出演。声楽を、 川上勝功、平松英子、ウーヴェ・ハイルマンの各氏に師事。 東京室内歌劇場会員、横浜市民広間演奏会会員。現在、洗足学園音楽大学ミュージカルコース助手、東京音楽院講師。
山川
一江(アルト)
桐朋女子高校音楽科を経て同大学声楽専攻卒業。浅岡弘子、木村俊光の各氏に師事。
これまでの主な出演作品はヘンデル「アグリッピーナ」ナルチーゾ、パーセル「ディドーとエネアス」魔女1、バッハ「ロ短調ミサ」「ヨハネ受難曲」のアルト・ソロなど。様々なジャンルの企画、録音への参加の他、文化庁主催「文化芸術による子供の育成事業」にて全国の学校を巡演オカリナ奏者江波太郎氏のCD「MOTHER」、同氏監修「オカリナで奏でるやすらぎのメロディ」(リットーミュージックより出版)、それぞれにアルトソロ「子守唄」が収録され多岐にわたり演奏の機会を広げている。
坂口
寿一(テノール)
大阪音楽大学声楽科、東京芸術大学大学院古楽専攻修了。声楽を藤原啓子、辻裕久、野々下由香里、ゲルト・テュルク、田口興輔の各氏に師事。
これまでにパーセル「聖セシリアの頌歌」「妖精の女王」「アーサー王」、M・A・シャルパンティエ「病は気から」「アブラハムとイサク」「真夜中のミサ」、ヘンデル「メサイア」、バッハのカンタータ、モーツァルト「レクイエム」「バスティアンとバスティエンヌ」、チマローザ「秘密の結婚」、ドニゼッティ「ランメルモールのルチア」等、バロック期から古典期の作品を中心に活動。
小酒井
貴朗(バリトン)
武蔵野音楽大学声楽科卒業。米国インディアナ大学ブルーミントン校古楽研究所講習会に参加。シャンティクリアのメンバーとしてサンフランシスコで公演。イタリア、ミラノのキアラヴァッレにてグレゴリオ聖歌の講習を受ける、 また、ウルビーノ古楽祭にてマドリガーレの演奏を行う。中世・ルネサンスの声楽アンサンブルからバッハ「ヨハネ受難曲」、ヘンデル「メサイア」等のソロやバロック時代のオペラまで幅広く活動している。現在ラボラトーリオ・ディ・カント を主宰し、男声アンサンブル「朗唱会」や「イ・マドリガリスティ」で指導や演奏を行う。イタリア文化会館 ルネサンス声楽アンサンブルとイタリア歌曲講座講師。
清野
由紀子(フラウト・トラヴェルソ)
昭和音楽大学管弦打楽器科卒。卒業後は音楽出版社勤務の傍ら研鑽を続け、現在モダンフルートを岩花秀文氏、フラウト・トラヴェルソを中村忠の各氏に師事。バロックアンサンブル『ラ・クール・ミュジカル』主宰。
曽禰
寛純(フラウト・トラヴェルソ)
フルート演奏を経て、フラウト・トラヴェルソを独学で習得、慶應バロックアンサンブルで演奏。1998年にリコーダーの朝岡聡と共に、アンサンブル山手バロッコを結成し、横浜山手の洋館でのコンサートを継続。カメラータ・ムジカーレ同人。
大山
有里子(バロック・オーボエ)
大阪教育大学音楽科卒業。同大学専攻科修了。オーボエを大嶋彌氏に師事する。近年はバロック時代だけでなく古典期のオーボエ曲のピリオド楽器による演奏にも取り組んでおり、関東を中心に活発に活動している。2016年、17年リサイタル「バロック・オーボエの音楽」を開催。「クラングレーデ」、「ダブルリーズ」メンバー。
今西香菜子(バロック・オーボエ)
13歳よりオーボエを始め、これまでにオーボエを東野正子、故 本間正史、故 柴山洋の各氏に師事。リチャード・ウッドハムス、若尾圭介、ジョナサン・ケリー等のマスタークラスを受講桐朋学園大学および同大学研究科修了。在学中よりバロック・オーボエを始め、故 本間正史氏に師事。アルバート・ロトによる室内楽のレッスンを受講。現在フリーで演奏活動中。エンゼルミュージック、フォレストミュージック講師。 「ダブルリーズ」、「アンサンブル・ミラコ」メンバー。
石野 典嗣(バロック・ファゴット)
バロック・オーボエ、バロック・ファゴットを独学で学ぶ。古楽器演奏家の追っかけと押しかけレッスン受講歴有り。現在、カメラータ・ムジカーレ同人、アンサンブル山手バロッコメンバー。
永谷 陽子(バロック・ファゴット)
桐朋学園大学卒業。同大学研究科及びオーケストラアカデミー修了。バロック・ファゴットを堂阪清高氏に師事。2012年横浜・西洋館 de古楽で、モーツァルトのファゴット協奏曲をピリオド楽器で熱演。第26回国際古楽コンクールにて 奨励賞を受賞。古楽、モダン両分野でオーケストラや室内楽、CD録音に参加。八王子音楽院、ドルミール音楽教室講師。「ダブルリーズ」他メンバー。
小野 萬里(バロック・ヴァイオリン)
東京藝術大学ヴァイオリン科卒業。1973年ベルギーに渡り、バロック・ヴァイオリンをS. クイケンに師事、以来たゆみない演奏活動を展開している。現在、「コントラポント」、「クラシカル・プレイヤーズ東京」、「チパンゴ・コンソート」、「ムジカ・レセルヴァータ」メンバー。
片桐 恵里(バロック・ヴァイオリン)
東京藝術大学卒業、同大学院修了。埼玉県新人演奏会に出演。ヴァイオリンを掛谷洋三、浦川宜也の各氏に、バロック・ヴァイオリンを小野萬里氏に、室内楽をピュイグ・ロジェ、ルイ・グレーラーの各氏に師事。東京ハルモニア室内オーケストラのメンバーとして、国内外でのコンサートに出演。室内楽、古楽アンサンブルを中心に活動している。古楽トリオ「ヴィアッジョ・ムジカーレ」メンバー。
原田 純子(バロック・ヴァイオリン)
洗足学園音楽大学卒業。ヴァイオリンを鈴木嵯峨子氏に師事。慶應バロックアンサンブルでヴァイオリンを演奏。卒業後古楽器での演奏に興味を持ちバロックヴァイオリン・ヴィオラを渡邊慶子氏に師事する。モダン・バロックのヴァイオリン、ヴィオラ奏者として室内楽を中心に活動している。弦楽合奏団アンサンブル「デュナミス」、アンサンブル山手バロッコメンバー。
角田 幹夫(バロック・ヴァイオリン)
慶應バロックアンサンブルでヴァイオリンを演奏。独学でヴィオラ・ダ・ガンバを習得。現在、カメラータ・ムジカーレ同人。アンサンブル山手バロッコ発足メンバー。
山口 隆之(バロック・ヴァイオリン、バロック・ヴィオラ)
学生時代、独学でバロック・ヴァイオリン、ヴィオラを始める。アンサンブルを千成千徳氏に師事。カメラータ・ムジカーレ同人。アンサンブル山手バロッコメンバー。都留音楽祭実行委員。歌謡曲バンド「ふじやま」リーダー。
小川 有沙(バロック・ヴィオラ)
慶應バロックアンサンブルでヴィオラを演奏。卒業後、オーケストラ、室内楽の両面で活動している。アンサンブル山手バロッコメンバー。
坪田 一子(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
国立音楽大学楽理学科卒業。ヴィオラ・ダ・ガンバを神戸愉樹美氏に師事。卒業後、コンソートおよびアンサンブルの通奏低音奏者として主にバロック音楽の演奏活動を行ってきたが、最近では中世・ルネサンス音楽にも意欲的。現在、上野学園中学・高等学校で古楽アンサンブルの授業を担当し、若い人にヴィオラ・ダ・ガンバを教えている。杉本ゆり主宰「Laudesi Tokyo」、上村かおり・福沢宏主宰「ザ・ロイヤル・コンソート」メンバー。
飯塚 正己(コントラバス)
学生時代よりコントラバスを桑田文三氏に師事。卒業後河内秀夫、飯田啓典の各氏より指導を受け演奏を続けている。アンサンブル山手バロッコメンバー。
寺村 朋子(チェンバロ)
東京藝術大学チェンバロ科卒業。同大学大学院修士課程修了。チェンバロと通奏低音
を、山田貢、鈴木雅明の両氏に師事。第7回国際古楽コンクール山梨にて、チェンバロ部門第2位入賞。イタリア、オーストリア、ベルギーなど国内外のアカデミーに参加して研鑽を積む。NHK「FMリサイタル」に出演。トリム楽譜出版より、「フルートバロックソナタ集」を編曲出版。チェンバロソロCD「Capriccioお気に召すまま」(レコード芸術準推薦)リリース。宮地楽器小金井アネックス・チェンバロ科講師。日本チェンバロ協会会員。「ダブルリーズ」メンバー国枝
俊太郎(リコーダー、フラウト・トラヴェルソ)
アンサンブル山手バロッコ第76回演奏会
開港記念会館で味わうバロック・オペラ
〜優雅なインドの国々〜
Rameau’s “Les Indes Galantes”
“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 第79回
本日はコンサート「開港記念会館で味わうバロック・オペラ〜優雅なインドの国々〜」へお越しいただき有難うございます。横浜開港150周年の記念行事として2009年にスタートした開港記念会館での「開港記念コンサート」。 今回、アンサンブル山手バロッコ結成20周年の記念のコンサートのテーマは「バロック・オペラ」。フランスバロックの最高のオペラ作曲家ラモーの名作を、由緒ある素晴らしい劇場で、声楽、器楽の古楽専門家の方々をお招きし、たっぷりとお楽しみいただきます。 いにしえのヴェルサイユの王侯貴族をとりこにしたオペラの世界に、みなさまをご案内いたしましょう。
♪ ♪ ♪
プロローグ Prologue
1. 序曲 Ouverture 〜 2. 第1メヌエット/第2メヌエット
Premier menuet/Deuxiéme menuet 〜
3. 栄光があなたを呼んでいる ラッパの音を聞け La Gloire vous appellee ; écoutez ses Trompettes 〜
4. アモールのための優雅なエール Air gratieux pour les Amours 〜 5. 広大な海原を渡れ Traversez les plus vastes Mers
第1アントレ:寛大なトルコ人
Première Entrée : Le Turc
Genereux
6. リトルネロ Ritournelle 〜 7. マーチ Marche 〜 8/9. ゼフィールよ跳べ フローラのやさしい恋人よ跳べ Volez, Zephirs, volez tendres Amants
de Flore 〜
10. 第1リゴドン/第2リゴドン Premier Rigaudon/Deuxiéme Rigaudon 〜 11. 嵐の荒れ狂う風から逃げよ Fuyez, fuyez Vents orageux 〜
12. 第1タンブーラン/第2タンブーラン Premier Tambourin/Deuxiéme Tambourin 〜 13. 立ち去れ この岸辺であなたたちは死んでしまう
Partez, on languit sur le
Rivage 〜 14. 第1タンブーラン Premier Tambourin
第2アントレ:ペルーのインカ人
Deuxième Entrée : Les Incas du Perou
15. リトルネロ Ritournelle 〜 16. 太陽に捧げるインカのエール Air des Incas pour la dévotion
du Soleil 〜 17. 世界を明るく照らす松明 Clair Flambeau du monde 〜
18. 何と!身の危険より私の愛があなたを驚かせるのか Quoy! Plus que le peril mon amour vous
étonne! 〜 19. 愛の神が私たちを永遠に結び合わせる Pour
jamais l’Amour nous engage
第3アントレ:花々、ペルシアの祝祭
Troisième Entrée : Les Fleurs
20. リトルネロ Ritournelle 〜
21. 四重唱 優しい愛 Quatuor : Tendre amour 〜 22. マーチ Marche
〜 23. テティスの胸の中へ あなたの情熱を急がせよ Dans le sein de Thetis précipitez vos feux 〜 24. もっとも美しいバラの輝きも L’eclat des roses les plus belle 〜
25. 勝ち誇れ 美しい花よ Triomphez, agreables Fleurs ! 〜 26. 第1ロンド/第2ロンド(花のロンド) Premier
rondeau/Deuxième rondeau pour les Fleurs 〜 27. 北風ボレアとバラのためのエール
Air pour Borée et la Rose 〜
28. 西風ゼフィールのための第1エール Premier air pour Zephire
〜 29. 甘い花のための快活なガヴォット Gavotte vive pour les Fleurs
第4(新しい)アントレ:未開人たち Nouvelle
Entrée : Les Sauvages
30. リトルネロ Ritournelle 〜 31.私の命令によって征服者に結び付けられた戦士たちよ
Nos Guerriers,
par mon ordre unis à nos Vainqueurs 〜 32.私の戦功のライバル、私の愛のライバル Rivaux
de mes Exploits, Rivaux de mes Amours 〜
33. 大地と空と海 La Terre,
les Cieux, &les Mers 〜
34. 悲しい不安を払いのけろ Bannissons les tristes allarmes 〜
35. 偉大な平和のための未開人の踊り Danse
du grand calumet de Paix executée
par les Sauvages 〜
36. 穏やかな森 Forêts paisibles 〜
37. シャコンヌ Chaconne
プログラムノート
J.Ph.ラモーは、1683年生まれのフランスの作曲家です。今年、生誕333年を迎えるバッハ、ヘンデル、スカルラッティとほぼ同年代ですが、40代までにオルガニスト、チェンバロ奏者そして宮廷楽長の経験を積み、二度の結婚で音楽家となる子供や弟子をたくさん持ち、最終就職先であるライプチッヒの音楽監督となったバッハと比較すると、ラモーは、40代になって結婚して、50代でオペラ作曲家としてデビューするなど、晩成型の作曲家でした。しかし、鍵盤楽器、室内楽、オペラ作曲家として活躍し、81歳まで長生きしましたので、バロックから古典派を見渡した人と言えるかもしれません。
オペラバレ 優雅なインドの国々は、ラモーのオペラの2作目で、代表作・ヒット作になりました。1735年にパリ・オペラ座〔ルイ王朝による独占上演の場で、パリ音楽アカデミーと呼ばれた〕で初演されました。オペラバレとは、ドラマと音楽と踊りを一体化したもので、フランスで大変愛好されました。優雅なインドの国々とは、ヨーロッパ圏外の異国といった意味で、このオペラはそのエキゾチックな世俗を舞台とした華やかな劇といった趣向で、1697年に大ヒットしたカンプラ作曲の優雅なヨーロッパというオペラにヒントを得たものと言われています。ラモーは1725年にフランスを訪問したアメリカインディアンの音楽と踊りにヒントを得て、チェンバロ曲 「未開人」を作曲しましたが、その音楽を中心に据えて今回演奏するオペラの最後の舞台である北アメリカのインディアンの森の和平の儀式のシーンを作りました。この曲をお聴きになったことのある方も多いのではないかと思います。
いずれにせよ、その題材、異国情緒で色彩感溢れる音楽も素晴らしく、このオペラは65公演連続して上演された成功作となり、その後も繰り返し上演されました。
♪ ♪ ♪
劇の構成は最初にフランスの森で、美と青春の神に集められた若い恋人たちが、戦いの神の乱入により異国に連れ去られるところから始まり、キューピッドが、若者の行き先の4つの異国で愛の矢を放つと言うオムニバス構成になっています。最初のプロローグから4つの舞台〔アントレ〕を順番に、あらすじと本日演奏する曲の位置付けを、恋人たちの相関図とともに紹介します。番号は演奏する曲番号です。
プロローグ
序曲(1)で幕が開くと、美と青春の女神 エベが宮殿近くの森に、ヨーロッパ各国の若者を集め、メヌエットなどの踊りを楽しんでいる(2)。そこに軍神マルスの后であるベローヌが乗り込んでくる。この平和な土地で暮らす恋人たちに、「栄光があなたを呼んでいる ラッパの音を聞け」(3)と歌い戦士として立ち上がるべきと訴える。
エベはベローヌが若者を連れ去るのを見て、ゼウスの息子である愛の神アムールに助けを求める。アムールは、ベローヌに連れ去られた恋人たちの代わりを見つけてほしいというエベの呼びかけに応じてキューピッドたちを連れてエベのもとに到着(4)し、愛の神は「広大な海原を渡れ」(5)と歌い、キューピッドたちをヨーロッパから遠く離れたインドの国々に向かわせる。
第1アントレ:寛大なトルコ人
リトルネロ(6)が響き、舞台は海を隔てたトルコの王子オスマンの宮殿に移る。愛する人との婚礼の場から誘拐され、ここに連れて来られたエミリは日ごと身の不運を嘆いている。オスマンは、いい加減に以前のことは忘れて、自分の愛を受け入れてるように諭すが、エミリは決して首を縦に振らない。
そこへ同じく囚われの身となったヴァレールがやってくる。エミリが強奪されてからというもの、あちこちをさまよい、やっとエミリを見つけたのだった。そこへオスマンがやってくる。意外なことにオスマンはヴァレールにエミリと自由を与えると言う。実はオスマンはかつてヴァレールの奴隷であったが、主人であるヴァレールが寛大にも解放してくれたことがあったのを忘れなかったのだった。オスマンはそのお礼として、ヴァレールの船団に財宝を積んで二人をフランスへ船出させることにした。
船出の日、トルコの勇ましい太鼓の踊り(7)が響き、エミリとヴァレールは、「ゼフィールよ跳べ フローラのやさしい恋人よ跳べ」(8、9)とフランスへの帰路を早める風を呼ぶデュエットを歌い、人々はリゴドンを踊って祝う(10)。エミリは「嵐の荒れ狂う風から逃げよ」と船出を促し、トルコの踊りと人々の合唱が「立ち去れ この岸辺であなたたちは死んでしまう」(12〜14)と響くなか、二人は船団に乗り込んで、祖国へ向かって出帆する。
第2アントレ:ペルーのインカ人
リトルネロ(15)が響き、舞台は険しい火山でさえぎられたペルーの砂漠に移る。スペイン人の将校カルロはペルーのインカ人の姫ファーニを愛している。ファーニはカルロと結婚したいが、折しも「太陽に捧げるインカのエール」(16)が響く太陽神の祭典。外国人との結婚へのインカの神の怒りを恐れている。
太陽の祭典の祭事長ユスカーは「世界を明るく照らす松明」(17)と歌い祭典をリードする。突然火山が火を噴き、人々は怖れをなしてちりぢりになる。ユスカーは逃げていこうとするファーニに、死を免れることができるから自分について来るようにというが、ファーニは拒否をする。
「何と!身の危険より私の愛があなたを驚かせるのか」(18)と、ユスカーがファーニに迫るが、そこにカルロがやってきて、この大火災は決して天の怒りではなくて、ユスカーの仕業だと教える。カルロとファーニは「愛の神が私たちを永遠に結び合わせる」(19)と二人の愛をユスカーの前で見せつける。一人取り残されたユスカーが再び噴火させると、火を噴き燃える岩石がユスカーを押しつぶす。
第3アントレ:花々、ペルシアの祝祭
リトルネロ(20)が響き、舞台はペルシアの宮殿に移る。王子のタクマは、愛人のファティムに飽き、自分の腹心の部下アリの女奴隷のザイールに恋してしまう。打ち明けられたアリは、ファティムを手に入れようと考えている。女装、変装などを含む4人の紆余曲折ののち、ザイールの愛を確かめた王子タクマは、アリとファティムの愛情を許し、四人は四重唱「優しい愛」(21)を歌いそれぞれの愛を確かめる。
マーチが響き(22)、民衆は「テティスの胸の中へ あなたの情熱を急がせよ」(23)と祝福し、タクマは「もっとも美しいバラの輝きも」(24)と歌い、ザイールも「勝ち誇れ 美しい花よ」(25)と喜びを民衆と一体になって表し、ペルシアの花の祭典を祝う踊りが続き幕となる。(26〜29)
第4(新しい)アントレ:未開人たち
リトルネロ(30)が響き、舞台はアメリカの未開人の森に移る。この森の周りには、フランスとスペインの植民地がある。この森でまもなく和平のための儀式が行われるが、未開人の指揮官アダリオは、酋長の娘で愛するジマをフランス人将校とスペイン人将校が狙っているのが心配でならず、「私の戦功のライバル、私の愛のライバル」 (31) 「私の命令によって征服者に結び付けられた戦士たちよ」 (32)と心の内を歌う。
フランス人将校のダモンとスペイン人将校のアルヴァールがジマを口説こうとしてやってくる。ダモンは、「大地と空と海」(33)と激しい愛情を歌う。ジマは、スペイン人は嫉妬深い、フランス人は浮気者と拒否しアダリオの自然な愛を受け入れる。
アダリオは「悲しい不安を払いのけろ」(34)と愛と和睦の喜びを歌い、ヨーロッパの人々も未開人の平和の儀式に参加し、「未開人の踊り」(35)に続き、ジマとアダリオが音頭を取って自然と平和のなかで、いたずらな欲望をもたずに愛し合おうと「穏やかな森」(36)を歌い、踊る。最後は壮大なシャコンヌ(37)でこのオペラ全体を振り返り、大団円となる。
♪ ♪ ♪
歌、合唱以外の器楽曲について補足します。この優雅なインドの国々は、ゆっくり/はやいの2つの部分からなる序曲でプロローグが始まり、その続きの各アントレ(幕)は前奏曲を意味するリトルネロで始まります。リトルネロは、その場の登場人物や展開を暗示するものです。これらの器楽曲以外に、オペラバレと呼ばれるジャンルだけあって、多数の舞曲(器楽曲)が劇の進行に合わせて挿入されており、本日演奏するだけでも、8種類の舞曲や挿入曲をお聴きいただきます。本日の会場の都合で実際の踊りはありませんが、以下にその内容を紹介しますので、背景に映し出される画面と共に踊りを想像してお楽しみいただければ幸いです。
参考文献:
1) Graham Sadler / The Rameau Compendium (Boydell Press)
2) A.R.DeiDonne and P.Polzenotti / Eighteemn Century Opera (Campridge University Press)
3) M.Little and N.Jenne / Dance and the Music of J.S. Bach (Indiana Univ Press)
4) G.Sadler et al. / The New Grove “French Baroque Masters” (W.W.Norton & Company)
その他 優雅なインドの国々のCDやDVDの解説を参考にさせていただきました。(曽禰寛純)
アンコール
たくさんの拍手をいただきましたので、最後のアントレから、「未開人の踊り」をお届けします。
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ありがとうございました。
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