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74th Concert

  

アンサンブル山手バロッコ第74回演奏会

西洋館で味わう

〜チェンバロとバッハ親子の家庭音楽〜

Cembalo and House music of Bach Family

“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 第75回 
山手234番館バロックコンサート

2017114() 18時 山手234番館 
18:00
 4th Nov. 2017 at Yamate Bluff 234

主催:公益財団法人 横浜市緑の協会/山手234番館  

 

出演

 

大村 千秋 (チェンバロ)

 

東京藝術大学大学院古楽科チェンバロ専攻を大学院アカンサス音楽賞を得て修了。2009年度文化庁新進芸術家海外研修員としてオランダに留学、アムステルダム音楽院チェンバロ科およびフォルテピアノ科にて学ぶ。これまでに崎川晶子、大塚直哉、ボブ・ファン・アスペレン、リチャード・エガーの諸氏に師事。    

 第21回古楽コンクール山梨において最高位受賞。2011年に帰国後は、チェンバロ、フォルテピアノのソリストとして、また通奏低音奏者として国内外で演奏を行うほか、CD録音や音楽祭、レクチャーコンサートなど多方面で活躍している。現在、桐朋学園芸術短期大学非常勤講師。 http://www.chiakiomura.wordpress.com

 

アンサンブル山手バロッコ (古楽アンサンブル)

 1998年、横浜山手の洋館「山手234番館」のリニューアルに行われた記念のコンサートをきっかけに、山手在住のリコーダー愛好家・朝岡聡を中心に結成された古楽器アンサンブル。山手の洋館での演奏活動を続ける。西洋館でのコンサート「洋館で親しむバロック音楽」などの企画・プロデュース、古楽祭「横濱・西洋館de古楽」にも演奏・運営を通じて参加し、バロック音楽を分かりやすく伝える活動も行っている。

 

曽禰 寛純(フラウト・トラヴェルソ)

フルート演奏を経て、フラウト・トラヴェルソを独学で習得、慶應バロックアンサンブルで演奏。1998年に朝岡聡と共に、アンサンブル山手バロッコを結成し、洋館でのコンサートを継続。カメラータ・ムジカーレ同人。

角田 幹夫(バロック・ヴァイオリン、バロック・ヴィオラ)

慶應バロックアンサンブルでヴァイオリンを演奏。独学でヴィオラ・ダ・ガンバを習得。現在、カメラータ・ムジカーレ同人。アンサンブル山手バロッコ発足メンバー。

 

中尾 晶子(バロック・チェロ)

チェロを佐々木昭、アンサンブルを岡田龍之介、花岡和生の各氏に師事。カメラータ・ムジカーレ同人。アンサンブル山手バロッコメンバー。


アンサンブル山手バロッコ第74回演奏会

西洋館で味わう

〜チェンバロとバッハ親子の家庭音楽〜

Cembalo and House music of Bach Family

“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 第75回 

ここ山手234番館は、震災後の昭和2年に外国人住宅として朝香吉蔵により建設されました。この歴史的な洋館で18世紀風サロンコンサートをお届けします。横浜出身の女流チェンバロ奏者、大村千秋さんを迎え、器楽メンバーと共に、バッハとその息子たちのチェンバロを中心とした室内楽を楽しんでいただく企画です。チェンバロと4つの古楽器(フラウト・トラヴェルソ、バロック・ヴァイオリン、バロック・ヴィオラ、バロック・チェロ)と共に当時のバッハ親子の家庭音楽会の雰囲気をご一緒に味わいます。

プログラムノート

本日は、大バッハ(ヨハン・ゼバスティアン)(以下JSB)と次男のカール・フィリップ・エマニュエル(以下CPEB)、末息子のヨハン・クリスティアン(JCB)の曲をお届けしますが、バッハ家の出来事、演奏曲目および関連した音楽環境を年代順に記述してみます。

 


1685


アイゼナハでヨハン・ゼバスティアン・バッハJSB)生まれる。自身が音楽家として大成するだけでなく、2度の結婚で20人の子供を授かり、そのうち4人の息子が歴史に残る音楽家となった。


1714


ワイマールでJSBの次男としてカール・フィリップ・エマニュエルCPEB)生まれる。5歳年上の長男はやはり有名な音楽家となるウィルヘルム・フリーデマン(以下WFB)。


1720


JSB
の妻マリア・バルバラが、ケーテンで亡くなる。


1721


JSB
、ソプラノ宮廷歌手のアンナ・マグダレーナ(以下AMB)と再婚。


1722


JSB
フランス組曲を作曲し、妻に捧げた「アンナ・マグダレーナ・バッハのための音楽帳」に記入した。家庭音楽の記録であり、同時に弟子や息子たちの教材。因みにこの音楽帳には、1725年には11歳のCPEBがマーチなど小曲を作曲記入している。フランス組曲というのは他人の付けた名前であるが、最初のアルマンドから最後のジーグまでフランスの組曲の定番の舞曲を組み合わせている。5番ト長調の組曲は、伸びやかで、技巧的な曲として現代でもよく演奏される名曲。


1731


CPEB
ライプチヒで大学法学部へ入学。程なく、音楽活動も盛んに行う。


1732


JSB
 ヴァイオリンソナタBWV1021を作曲。
1732
年から1735年までの間に、フルートとヴァイオリンと通奏低音のためのソナタBWV1038を作曲。

この2曲は、同じ通奏低音に基づいて作曲された珍しい双子作品。構成はバロックのソナタの標準の緩---急の4楽章構成。BWV1021JSBの自筆楽譜が残っており真作と考えられている。BWV1038AMBの筆跡の楽譜にJSBが修正や低音の数字を記入したものだけが残っており、CPEBの習作であるとか、親子共同の作というのがこれまでの通説であった。最近の研究により、JSBの真作で、音楽愛好家の貴族からの依頼に既存の低音を活用し作曲したものと考えられるようになった。

1732
年はハイドンの生まれた年。


1735


ヨハン・クリスティアン
JCB)ライプチヒで生まれる。

CPEB
 フルートソナタ Wq.123を作曲。ベルリンのフリードリッヒ大王に仕える前の父親の影響下の曲だが、新しい時代、個性を感じさせる。父親のソナタとは異なる緩-急の2楽章に、変奏付きのメヌエットが続く構成。


1750


JSB
 ライプチッヒで没。JCB15歳。ベルリンの宮廷に仕えていた兄CPEBの元に引き取られ、面倒を見てもらう。


1762


JCB
 イタリア滞在を経て、ロンドンに移住。1756年生まれのモーツァルトは、89歳(1764-65年)のロンドン演奏旅行でJCBと知己となる。1770年、14歳のモーツァルトはJCBのチェンバロ・ソナタ(作品5)をチェンバロ協奏曲に編曲。


1780


JCB
 クラヴィーア・ソナタ集 作品17を出版。作品17-2ハ短調のソナタは、3楽章の構成で、音楽的にも技巧的にも力強い作品。


1782


JCB
 ロンドンで没。モーツァルトは「音楽界の大きな損失」と嘆き、JCBのオペラの旋律を主題にした曲を捧げた。


1788


CPEB
 四重奏曲 Wq.95を含む三曲のチェンバロ、フルート、ヴィオラとチェロのための四重奏曲を作曲。ベルリンの裕福な音楽愛好家でチェンバロの名手のザラ・レヴィ(WFBの弟子)の依頼により作曲と推定される。チェンバロの独奏に、フルートとヴィオラが組み合う古典派のソナタ形式に近い曲、しかしバロックの名残の通奏低音という趣も残る。

前の年にはモーツァルトはオペラ「ドンジョヴァンニ」を作曲するという頃であり、時代はさらに新しい方向へ動いていく。

同年末に CPEBハンブルクで没。翌年にはフランス革命が起こり、時代の節目となる。

          

                             

J.S.バッハ 
J.S.Bach (1685-1750)

フルート、ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ト長調 BWV1038
Sonata for Flute, Violin and Basso continuo in G-Major BWV1038

ラルゴ − ヴィヴァーチェ − アダージョ − プレスト    
 Largo - Vivace - Adagio Presto

 

J.S.バッハ 
J.S.Bach (1685-1750)

フランス組曲第5番 ト長調 BWV816
French Suite No.5 in G major BWV816

アルマンド − クーラント − サラバンド − ガヴォット − ブーレ − ルール − ジーグ   
Allemande - Courante - Sarabande - Gavotte - Bourrée - Loure
Gigue

 

J.S.バッハ 
J.S.Bach (1685-1750)

ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ト長調 BWV1021
Sonata for Violin and Basso continuo in G-Major BWV1021

アダージョ − ヴィヴァーチェ − アダージョ − プレスト
 Adagio - Vivace - Adagio Presto

 

C.P.E.バッハ 
C.Ph.E.Bach
1714-1788

フルートと通奏低音のためのソナタ ト長調 Wq.123
Sonata for Flute and Basso continuo in G-Major Wq.123

アンダンテ − アレグロ − テンポ・ディ・メヌエット
Andante
Allegro Tempo di Menuett 

 

 J.C.バッハ 
J.CBach
1735-1782

クラヴィーア・ソナタ ハ短調 作品17-2 W.A8
Clavier Sonata Op. 17 No. 2 in C minor
 W.A8

アレグロ - アンダンテ – プレスティシモ
Allegro
 – Andante – Prestissimo

 

C.P.E.バッハ 
C.Ph.E.Bach
1714-1788

チェンバロ、フルート、ヴィオラとチェロのための四重奏曲 ト長調 Wq.95
Quartet for Flute, Viola, Violoncello and Cembalo in G major Wq.95

アレグレット – アダージョ − プレスト
Allegretto - Adagio – Presto

 

 

アンコール

たくさんの拍手をいただきましたので、プログラムでも紹介しました J.C..バッハのクラヴィーア・ソナタを若きモーツァルが協奏曲に編曲したチェンバロ協奏曲 ニ長調 KV.107-1より第3楽章をお届けします。 



ありがとうございました。

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