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71st Concert
アンサンブル山手バロッコ第71回演奏会
西洋館で味わう
クラシカル・フルートの魅力
Ensemble music of Classical Flute and Cello
“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 第71回
山手234番館サマーコンサート
2017年7月9日(日) 16時 山手234番館
16:00 9th July 2017 at Yamate Bluff 234
主催:公益財団法人 横浜市緑の協会/山手234番館
出演
清野 由紀子(クラシカル・フルート)
昭和音楽大学管弦打楽器科卒。卒業後は音楽出版社勤務の傍ら研鑽を続け、現在モダンフルートを岩花秀文氏、フラウト・トラヴェルソを中村忠の各氏に師事。バロックアンサンブル『ラ・クール・ミュジカル』主宰。
曽禰 寛純(クラシカル・フルート)
フルート演奏を経て、フラウト・トラヴェルソを独学で学び、慶應バロックアンサンブルで演奏。1998年にリコーダーの朝岡聡と共に、アンサンブル山手バロッコを結成し、横浜山手の洋館でのコンサートを継続。カメラータ・ムジカーレ同人。
中尾晶子(クラシカル・チェロ)
チェロを佐々木昭、アンサンブルを岡田龍之介、花岡和生の各氏に師事。カメラータ・ムジカーレ同人。
アンサンブル山手バロッコメンバー。
アンサンブル山手バロッコ第71回演奏会
西洋館で味わう
クラシカル・フルートの魅力
Ensemble music of Classical Flute and Cello
“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 第71回
山手234番館の夏に恒例の古楽コンサートへようこそ。本日は、「西洋館で味わうクラシカル・フルートの魅力」と題して、山手234番館の親密な空間で、古典派の時代に使われた多鍵フルート(クラシカル・フルート)とクラシカル・チェロによるアンサンブルを楽しみます。
プログラムノート
(アンサンブル山手バロッコ 曽禰寛純)
フルートは、1700年ころに、それまでの合奏用のフルート(ルネサンス・フルート)から鍵(キー)が一つ付いた、逆円錐形の内径を持った形の楽器(フラウト・トラヴェルソ)がフランスで作られてから独奏楽器として活躍することになります。18世紀の半ば以降、バロック音楽が古典派の音楽に変化するのに応じて、フルートも音域が拡大し、より輝かしい音色で、半音階が均一に演奏できる楽器(クラシカル・フルート)に変化しました。
C.シュターミッツ
C.Stamitz(1745-1801)
2本のフルートのための二重奏曲 作品27-3
Duet for two Flutes in G-Major Op.27-3
アンダンテ ノン モデラート - ロマンス − フガート(アレグロ)
Andante non moderato – Romance –
Fugato(Allegro)
カール・シュターミッツはドイツの作曲家、演奏家で、マンハイム楽派の第一世代のリーダーと言われるヨハン・シュターミッツを父として生まれました。マンハイムはバロックから古典派への転換を牽引した、ダイナミックで高度な演奏で知られたオーケストラで有名でした。ここでカールも頭角を現し弦楽器のヴィルトゥオーゾとして、ヨーロッパ中で活躍し、晩年は宮廷楽長としても活動しました。作曲も交響曲や協奏曲、室内楽を多数残しています。作品27のフルート二重奏曲は、かわいらしい曲でありながら、マンハイムのダイナミックな特徴も持った佳曲です。演奏するト長調のデュエットは6曲セットの3番目で、親しみやすいメロディーの第1楽章に、歌曲のようなロマンスが続き、最後はフーガの香りを盛り込んだ軽快なフィナーレです。
F.J.ハイドン
F.J.Haydn(1732-1809)
2本のフルートとチェロのための「ロンドントリオ」第1番 ハ長調Hob. IV-1
The London trio No.1 in C-Major for two Flutes and Violoncello Hob.
IV-1
アレグロ モデラート − アンダンテ − ヴィヴァーチェ
Allegro moderato – Andante - Vivace
ハイドンは長らくエステルハージ候の宮廷楽長として、候の館に留まり、そこで交響曲、協奏曲や室内アンサンブルの作曲と演奏を行いました。都会から離れた地方都市に留まっていましたが、新しい古典派の扉を大きく開いた楽曲や演奏の名声はヨーロッパ中に知れ渡っていました。エステルハージ侯が亡くなり、自由な身になった晩年には、英国の興行師ザロモンの招聘を受け二度に渡ってロンドンに滞在し、現在多く演奏されるロンドンセットなどの交響曲や弦楽四重奏曲の名曲を作曲・演奏し熱烈な歓迎を受けました。ロンドントリオは、ハイドンが、このロンドンに滞在中の時期に作曲されたもので、フルート2本とチェロの編成で4曲残されています。第1番ハ長調のトリオは、3楽章からなり最も充実した構成になっていますが、重苦しいことは1つもなく、生気に溢れる喜遊曲といった趣の曲に仕上がっています。第1楽章はアレグロ・モデラート。第一フルート、第二フルートが平行したり、交互に掛け合ったりしながら進み、チェロの低音の上で活躍します。チェロも要所要所で、技巧的な旋律でフルートに対抗し、楽しいやり取りがちりばめられています。第2楽章はシシリアーノの雰囲気の佳曲、最後の楽章は軽快に3つの楽器が駆け抜けます。
F.J.ハイドン
F.J.Haydn(1732-1809)
2本のフルートとチェロのための「ロンドントリオ」第2番 ト長調 Hob. IV-2
The London trio No.2 in G-Major for two Flutes and Violoncello Hob.
IV-2
アンダンテ/アレグロ
Andante/Allegro
同じくロンドン時代のトリオ集より、第2番ト長調のトリオは変奏曲の形をとっています。最初に提示される主題と6つの変奏からなり、第一、第二フルートとチェロの、それぞれが活躍するやり取り続き、最後には快活なアレグロで締めくくられます。
W.Aモーツァルト
W.A.Mozart(1756-1791)
オペラ「魔笛」K. 620より3つのデュオ
Three Duets for two flutes from Die Zauberflöte KV.620
「魔法のひびき、なんたる強さ」〜「妙なる響き!きれいな響き」〜「この神聖な広間には」
“Wie stark ist nicht dein Zauberton(Andante)”,”Das Klinget So herrlich(Andadante)“ and “In diesen heil'gen Hallen(Largetto)”
モーツァルトはフルート嫌いと自ら父親に手紙を書いていますが、それは恋人との時間で約束のフルート曲が書けなかった言い訳だとされています。フルートのために協奏曲、四重奏曲の名曲を残し、交響曲やオペラでのフルートの効果的な使い方からも、やはり重要な楽器だったと思います。オペラ(音楽劇)魔笛は文字通り魔法のフルートが活躍する曲で、その親しみやすい内容と音楽で大変人気のある作品です。18世紀後半には人気のオペラのアリアを編曲して自宅やサロンで楽しむのが流行りました。今日演奏する曲は18世紀の終わりに出版された魔笛のアリアを集めたフルートのためのデュエット集に収められています。「魔法のひびき、なんたる強さ」は、魔笛を手に入れた王子パミーノがその不思議な響きに魅せられて歌うアリアです。「妙なる響き!きれいな響き」はパパゲーノが持つ魔法の鈴の力で悪者や猛獣が穏やかになり踊りだす場面で歌われます。「この神聖な広間には」は悪人ザラストロに捕らえられた王女パミーナが、捕らえられたのではなく、復讐の呪縛から解放するために保護されたのであって、ザラストロは悪人ではなく偉大な祭司であることが分かる転換点で歌われるアリアです。
W.Aモーツァルト
W.A.Mozart(1756-1791)
ディヴェルティメント第4番 ハ長調 KV.439b-4
Divertiment in C-Major for two flutes and Violoncello KV.439b-4
アレグロ − アダージョ − アレグレット
Allegro – Adagio – Allegretto
モーツァルトは、魔笛作曲と同じころ、円熟した名曲として有名なクラリネット協奏曲を作曲しましたが、独奏者でクラリネットや低音域のクラリネットであるバセットホルンの名手で友人だったアントン・シュタトラーのために書かれました。バセットホルンは角笛のように曲がった外形を持つクラリネットで、バスからメロディーまで広い音域がカバーできたので、この楽器だけでのアンサンブルも楽しまれました。モーツァルトは、バセットホルン3本のためにディヴェルティメントを残しています。6曲のセットが残されていますが、この曲はその後半の最初を飾る軽やかな曲です。曲は5つの楽章からなりますが、本日は、3つの楽章 をフルート2本、チェロの編成で演奏します。
アンコール
たくさんの拍手をいただきましたので
、メゾソプラノの曽禰愛子さんも加わり、モーツァルトのオペラ「フィガロの結婚」から有名なケルビーノのアリア「恋とはどんなものかしら」をお聴きいただきます。
ありがとうございました。
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