これまでの演奏会へ戻る

 NEW!!
70th Concert

  

アンサンブル山手バロッコ第70回演奏会

古楽器の響きで味わう

ハイドン&モーツァルトの室内楽

Ensemble music of F.J.Haydn and W.A.Mozart

“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 第69

2017325() 18時開演  外交官の家 

18:00
 4th Feb. 2017 at Yokohama Gaikoukan no ie

主催:公益財団法人 横浜市緑の協会/外交官の家  

 

出演

 

大山有里子(クラシカル・オーボエ)

 

大阪教育大学音楽科卒業。同大学専攻科修了。オーボエを大嶋彌氏に師事。卒業後、関西を中心に活動し、「大阪コレギウム・ムジクム」のソロオーボエ奏者として、バロック時代の作品を中心に数多くの月例演奏会、定期演奏会等に出演する。その後ピリオド楽器(バロック・オーボエ)による演奏に専念し、バロック・アンサンブル「アルモニー・アンティーク」等に参加。近年はバロック時代だけでなく古典期のオーボエ曲のピリオド楽器による演奏にも取り組んでおり、活発に活動している。2016年リサイタル「バロック・オーボエの音楽」を開催し好評を博す。「クラングレーデ」、「ダブルリーズ」メンバー。

 

永谷陽子(クラシカル・ファゴット)

桐朋学園大学卒業。同大学研究科修了。桐朋オーケストラアカデミー修了。ファゴットを浅野高瑛、武井俊樹、馬場自由郎各氏に、バロック・ファゴットを堂阪清高氏に師事。09年、第12回古楽の森コンサートに、バロック・ファゴットソロで出演。第26回古楽コンクール奨励賞を受賞。モダン、クラシカル、バロック、ファゴット奏者としてオーケストラ、室内楽等で活躍。バロックアンサンブル「ダブルリーズ」メンバー。

 

 富田牧子(クラシカル・チェロ)

 東京芸術大学在学中にリサイタルを行い、演奏活動を始める。ヨーロッパ各地の音楽祭や講習会、ニューヨークでH.シャピロ氏の指導を仰ぐなど、ソロと室内楽の研鑽を積む。大学院修士課程修了後ハンガリーに留学、バルトーク弦楽四重奏団のL.メズー氏に師事。NHK-FM「名曲リサイタル」、ORF(オーストリア放送)の公開録音に出演。ソロリサイタルの他「クァルテット・アルモニコ」メンバーとしての活動を経て、バロックと現代の楽器にガット弦を張り、「充実した内容の音楽を間近で味わうコンサート」の企画・演奏を続けている。2016年パーカッションとのデュオ《羊とヤギ》でCDを発売。

 

 

曽禰 寛純(クラシカル・フルート)

フルート演奏を経て、フラウト・トラヴェルソを独学で学び、慶應バロックアンサンブルで演奏。1998年にリコーダーの朝岡聡と共に、アンサンブル山手バロッコを結成し、横浜山手の洋館でのコンサートを継続。カメラータ・ムジカーレ同人。

 

角田 幹夫(クラシカル・ヴァイオリン)

慶應バロックアンサンブルでヴァイオリンを演奏。独学でヴィオラ・ダ・ガンバを学ぶ。現在、カメラータ・ムジカーレ同人。アンサンブル山手バロッコ発足メンバー。

 

原田純子(クラシカル・ヴァイオリン,ヴィオラ)

洗足学園音楽大学卒業。ヴァイオリンを鈴木嵯峨子氏に師事。慶應バロックアンサンブルでヴァイオリンを演奏。
卒業後古楽器での演奏に興味を持ちバロックヴァイオリン・ヴィオラを渡邊慶子氏に師事する。
モダン・バロックのヴァイオリン、ヴィオラ奏者として室内楽を中心に活動している。弦楽合奏団アンサンブル「デュナミス」、アンサンブル山手バロッコメンバー。

 


 アンサンブル山手バロッコ第70回演奏会

古楽器の響きで味わう

ハイドン&モーツァルトの室内楽

Ensemble music of F.J.Haydn and W.A.Mozart

“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 第69

 

外交官の家は、ニューヨーク総領事などをつとめた明治政府の外交官内田定槌氏の邸宅を、寄贈を受けた横浜市が山手イタリア山に移築復原したものです。コンサートは、このイタリア式庭園を臨む洋館の雰囲気を生かし、ハイドンとモーツァルトの室内楽を当時の様式の管楽器と弦楽器の組み合わせで楽しみます。三人の古楽演奏家を迎え、地元の古楽アンサンブルと共に、3つの管楽器(フルート、オーボエ、ファゴット)と3つの弦楽器(ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ)で、外交官の家の親密な空間で、いにしえの木の響きと音楽を様々な組み合わせで味わいます。

 

プログラムノート

(アンサンブル山手バロッコ 曽禰寛純)

F.J.ハイドン(1732-1809は長らくエステルハージ候の宮廷楽長として、オペラ、宗教曲、交響曲、協奏曲や室内アンサンブルの作曲と演奏を行いました。田舎の宮廷にとどまってはいましたが、前衛的で完成度の高い彼の作品は、広く筆写譜や出版譜として取引され、その名声はヨーロッパ中に鳴り響いていました。本日演奏する曲は、ニコラウス・エステルハージ侯爵の宮廷につかえていた時代の作品です。宮廷楽団には管楽器や弦楽器の名手がいたようで、交響曲の技巧的なソロ部分や様々な協奏曲を彼らのために作曲しています。

W.A.モーツァルト(1756-1791は、多種多様な楽器のための室内楽を書いています。新たに台頭した鍵盤楽器ピアノフォルテを中心とした曲、ハイドンによって生み出された弦楽四重奏曲や、各種の管楽器のための室内楽を残しています。中でも、管楽器と弦楽器を組み合わせた二重奏曲、トリオ、四重奏曲や五重奏曲は、当時の管楽器の名手とモーツアルトの親交から生まれたものも多く、現在まで管楽器奏者にとって重要なレパートリーになっています。

 

F.J.ハイドン 
F.J.Haydn
1732-1809

フルート、オーボエ、2つのヴァイオリン、ファゴットとチェロのためのカッサシオン ハ長調 《誕生日》 Hob II:11
Cassation for Flute, Oboe, 2 Violins, Fagot and Cello in C-Major Hob II:11

プレスト − メヌエット 
 Presto Menuett

カッサシオン18世紀の後半に流行したジャンルで、セレナーデやディヴェルティメントと同じく、小曲を連ねた多楽章の形式をとり、晩餐会などのパーティで演奏された祝典音楽の1つです。本日の曲も、筆写譜によってはディヴェルティメントと記されるなど、明確なジャンルの境目はなく、いろいろな名前で呼ばれていたようです。一方でこの自由さが、作曲家がいろいろな音楽の実験を試みられるという面もありました。本日演奏する2つのカッサシオンは、フルート、オーボエ、2つのヴァイオリン、チェロとコントラバスの為に作曲されています。チェロの独奏パートは、ファゴットまたはチェロで演奏します。最初に演奏するハ長調のカッサシオンは、1765年の作曲。誕生日という副題で知られていますが、その由来はよく分かっていません。本日は軽快な第1楽章と颯爽としたメヌエットをお聴きいただきます。メヌエットのトリオではチェロが大活躍します。

F.J.ハイドン 
F.J.Haydn
1732-1809

ヴァイオリン、ヴィオラとチェロのためのトリオ ニ長調 Hob.XI:74
Trio for Violin, Viola and Cello in D-Major Hob.XI:74

アダージョ − アレグロ − メヌエット/トリオ/メヌエット(アレグレット) 
 Adagio - Allegro Menuet/Trio/Menuet(Allegretto)

エステルハージ侯爵は、1765年に購入した弦楽器バリトンのための曲をハイドンに多数作らせ、自ら演奏しました。バリトンというのはヴィオラ・ダ・ガンバと同じ構造の楽器ですが、背面に多数の共鳴弦があり、前面の(通常の)弦で出した音の響きを豊かにし、また指で直接つま弾いて独特の効果を出すことができる、といった特徴を持っていました。ハイドンは、侯爵の為に、バリトン、ヴィオラとチェロのためのトリオを何と120曲以上も作曲しました。

トリオ ニ長調も、この編成で書かれた曲ですが、本日はバリトンのパートをヴァイオリンで演奏します。曲は、ヴァイオリン(バリトン)の伸びやかな旋律で始まり、ヴィオラやチェロもそれに呼応して対応する緩やかな第1楽章、ヴァイオリン、ヴィオラのユニゾンのきっぱりしたテーマで始まり、楽しい雰囲気で駆け抜ける第2楽章、最後は、中間部をもつメヌエット。3つの楽器で弦楽合奏的な拡がりを見せる主部と、文字通り三重奏を表すかわいらしい中間部(トリオ)からなります。

 

W.Aモーツァルト 
W.A.Mozart
1756-1791

オーボエ四重奏曲 ヘ長調 K.370(386b)
Oboe Quartet F-Major K.370(386b)

アレグロ – アダージョ - ロンド(アレグロ)
Allegro - Adagio
Rondo(Allegro) 

オーボエ四重奏曲ヘ長調は、1781年に訪問したミュンヘンで、オーボエ名手のフリードリヒ・ラムのために作曲されました。第1楽章は、オーボエがきっぱりとした第一主題で曲を開始します。オーボエのソロパッセージや自由な展開をしながらも、第1主題に関連付けて第2主題を展開するなど熟練の構成が感じられます。第2楽章は短いですが、オーボエが美しく歌う印象的な楽章。第3楽章は舞曲風のテーマで始まるロンド形式で作られています。ロンドとエピソードは、オーボエ協奏曲の全奏とソロのように構成されていますが、2番目のエピソード部分は、演奏し続ける弦楽器の上に、突然、2拍子で書かれた、駆け回るようなオーボエのパッセージが舞い降ります。この趣向は、聴衆を喜ばせるだけでなく、楽譜を渡されてびっくりしているラムを、にこにこして眺めているモーツァルトがいるような気がしてなりません。

 

 W.Aモーツァルト 
W.A.Mozart
1756-1791

フルート四重奏曲 イ長調 K. 298
Flute Quartet in A-Major K.298

アンダンテ − メヌエット/トリオ/メヌエット − ロンド
Andante
Menuet/Trio/Menuet - Rondo

フルート四重奏曲イ長調は、1786年終わりにウィーンで作曲されました。モーツァルトはウィーンで親密な関係をもった、ジャカン男爵家の音楽会のためにこの曲を作ったと考えられています。当時流行したよく知られた旋律を主題にした四重奏曲のスタイルで、3つの楽章からなるこの曲を作っています。第一楽章はホフマイスターの歌曲「自然に寄す」をテーマとした変奏曲で各楽器が活躍します。第2楽章はフランスの民謡「バスティアンは長靴を履いている」に基づいているかわいらしいメヌエット、第3楽章は、この年に初演されたパイジェッロのオペラからのアリア「優しい恋人はどこにいるの」をテーマにしたロンド。ふざけたロンドの綴り(Rondieaux)に加え、知り合いと思われるフルート奏者へのユーモアあふれる指示「あまり速すぎず、といってもあまり緩やかでもなく、そうそう、とても優美に、そして表情たっぷりに・・・」を書き込んでいます。  

 

 W.Aモーツァルト 
W.A.Mozart
1756-1791

ファゴットとチェロのためのソナタ 変ロ長調 K.292
Sonata in in Bflat-Major for Fagot and Cello
 K.292

アレグロ - アンダンテ – ロンド アレグロ
Allegro - Andante
Rondo allegro

ファゴットとチェロのためのソナタは、1775年(19歳)ころ、滞在していたミュンヘンで、ファゴットを巧みに演奏することでも知られていたデュルニッツ男爵のために作曲したと考えられています。ファゴットとチェロという珍しい編成で、当時流行していたフランス趣味のギャラント様式に基づいています。様式的には、ソナタ形式があり、カデンツァなど協奏曲的な要素も盛り込み、一方でチェロにはバロックの通奏低音の名残も見られるという、若きモーツァルトの佳作と思います。第1楽章は、ソナタ形式でファゴットソロをチェロが伴奏し、協奏曲的な動きも交えます。第2楽章は2つの楽器が寄り添って重奏するという構成、第3楽章はファゴットらしい楽し気なテーマで始まる軽快なロンドです。  

 

F.J.ハイドン 
F.J.Haydn
1732-1809

フルート、オーボエ、2つのヴァイオリン、ファゴットとチェロのためのカッサシオン ト長調 Hob II:1
Cassation for Flute, Oboe, 2 Violins, Fagot and Cello in G-Major Hob II:1

アレグロ - メヌエット/トリオ/メヌエット − テーマと変奏 
 Allegro Menuet - Thema la Fantasia

ト長調のカッサシオンは、1766年に作曲されたもので、ハ長調と同じ構成をとります。 本日は第134楽章を演奏しますが、第3楽章のメヌエットではファゴットが活躍します。最後の第4楽章はテーマと6つの変奏の構成になっており、第1ヴァイオリン→オーボエ→チェロ→フルート→第2ヴァイオリンとその腕前を披露し、最後に第1ヴァイオリン再び登場し、「一番は私だ」とでも言いだしそうな超技巧曲を演奏し、まるで全員で納得したかのように、最後は揃ってテーマを合奏して楽しい曲が閉じられます。

アンコール

たくさんの拍手をいただきましたので演奏者全員で、カール・ヨーゼフ・トエスキ(Karl Joseph Toeschi)の
「フルート、オーボエ、ヴァイオリン、ヴィオラ、ファゴットとチェロのための6重奏曲 ヘ長調」より、アレグロ・マ・ノン・プレスト
をお届けします。



ありがとうございました。

これまでの演奏会へ戻る

Home