これまでの演奏会へ戻る

 NEW!!
67th Concert

  

アンサンブル山手バロッコ第67回演奏会

永遠なる祈りの旅 U

ドイツ・バロックの宗教音楽

Sacred music of German Baroque

“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 第67

2016113(木・祝)15時開演(1430分開場) 横浜山手聖公会聖堂(横浜市中区山手町235番地)
15:00
 3rd Oct.. 2016 at Yokohama Christ Church on the Bluff

主催: アンサンブル山手バロッコ 協力:横浜山手聖公会/公益財団法人横浜市緑の協会 

 

 

出演

木島千夏(ソプラノ)

国立音大在学中に古楽に出会い、卒業後バロックのオペラを初め様々なコンサート活動を経験した後、ロンドンに留学。第30回ブルージュ国際古楽コンクールにて4位入賞。ヨーロッパ各地で音楽祭や演奏会に出演し経験を積む。帰国後はバロックを専門にソリストとして活躍。また「ひとときの音楽」シリーズや横浜山手の洋館でのリサイタルを毎年開催し、身近で楽しめる独自のコンサート作りを続けている。「カペラ・グレゴリアーナ ファヴォリート」メンバーとしてヴァーツ国際グレゴリオ聖歌フェスティバルに出演。聖グレゴリオの家教会音楽科講師、横浜合唱協会ヴォイストレーナー。アンサンブルDDメンバー。

中巻ェ子(メゾソプラノ)

東京藝術大学音楽学部声楽科卒業、同大学院博士後期課程修了。博士(音楽)。かねてよりバロック時代の声楽曲を専門分野とし、世界各地の図書館において調査、研究を続けながら独自の演奏活動を行って来た。また、その一方で、J. S. バッハやG. F. ヘンデル等の宗教曲のソリストとしても豊富な演奏歴を有し、その温かな声と深い知識に裏打ちされた的確な演奏解釈で、常に高い評価を受けている。近年は19世紀に発展した「イタリア古典歌曲」の研究を経て、同時期のイギリス、イタリア歌曲へと専門分野を広げており、その成果をコンサート、論文等によって発表している。現在、愛知県立芸術大学教授。

 

小野萬里(バロック・ヴァイオリン)

東京芸術大学ヴァイオリン科卒業。在学中のバロック・ヴァイオリンに出会い古楽の研究を始める。1973年ベルギーに渡り、バロック・ヴァイオリンをS. クイケンに師事。帰国後はソリスト、室内楽奏者、主要な古楽オーケストラのメンバーとして活躍、たゆみない演奏活動を展開している。現在、コントラポント、クラシカルプレイヤーズ東京、チパンゴコンソート、ムジカ・レセルヴァータのメンバー。

 

原田純子(バロック・ヴァイオリン)

洗足学園音楽大学卒業。ヴァイオリンを鈴木嵯峨子氏に師事。慶應バロックアンサンブルでヴァイオリンを演奏。卒業後古楽器での演奏に興味を持ちバロックヴァイオリン・ヴィオラを渡邊慶子氏に師事する。モダン・バロックのヴァイオリン、ヴィオラ奏者として室内楽を中心に活動している。弦楽合奏団アンサンブル「デュナミス」、アンサンブル山手バロッコメンバー。 

櫻井茂(ヴィオラ・ダ・ガンバ)

学習院大学及び東京芸術大学卒業。芸大ではコントラバスを専攻。また、芸大バッハ・カンタータ・クラブにおいて小林道夫氏の薫陶を受ける。ヴィオラ・ダ・ガンバを大橋敏成、L.ドレイフュスの両氏に師事、またC.マッキントッシュ、J.リンドベルイ、S.ハウグザンらにアンサンブルの指導を受ける。独奏者として国内外で活動。海外の著名バロックオーケストラの来日公演にも多数出演。L.ドレイフュス主宰のコンソート「PHANTASM」には94年の創設プロジェクトに参加以来、度々客演する。ヴィオローネ奏者としてはバッハ・コレギウム・ジャパン等の古楽アンサンブルに参加。東京芸大管弦楽研究部及び高知大学講師を経て、上野学園大学准教授、延世大学(ソウル)音楽研究所古楽専門課程特別招聘教授。

吉田恵(ポジティフ・オルガン)

東京藝術大学オルガン科及び同大学院修士課程修了、ハンブルグ音楽大学卒業。オルガンを島田麗子、廣野嗣雄、Z.サットマリー、W.ツェラーの各氏に師事。91年 ブルージュ国際オルガンコンクールにてバッハ・モーツァルトプライスを受賞。2004年から2010年、日本大学カザルスホールにて、全12回のJ.S.バッハオルガン作品全曲演奏会を行う。オクタヴィアレコードからJ.S.バッハオルガン作品集vol.13をリリース。レコード芸術特選盤、Stereo特選盤、毎日新聞今月の一枚等、各誌から高い評価を受けている。現在、愛知県立藝術大学、日本大学藝術学部音楽学科講師。カトリック吉祥寺教会オルガニスト。


 

アンサンブル山手バロッコ第67回演奏会

永遠なる祈りの旅 U

ドイツ・バロックの宗教音楽

Sacred music of German Baroque

“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 第67

 

横浜山手聖公会は日本の開国時期からの歴史を持ち、現在の教会も震災や火災の困難を受けましたが、60年以上山手の代表的な教会のひとつとして親しまれています。今回のコンサートでは、この由緒ある教会で、バロック時代にヨーロッパに響き渡った音楽を、バッハとバッハが尊敬してやまなかった音楽家ブクステフーデを起点にお聴きいただきます。響き豊かな山手聖公会の聖堂で味わう音楽のひととき。どうぞ豊かな空間においでください。

 

プログラムノート(木島千夏/中巻ェ子/吉田恵/櫻井茂)

 

ハインリヒ・シュッツ  Heinrich Schütz 1585-1672

悪しき者のはかりごとに歩まぬものはさいわいである  Wohl dem, der nicht wandelt im Rat der Gottlosen SWV290

『小宗教コンチェルト』第1巻 (1636) より

私は心からあなたを愛する、おお主よ  Herzlich lieb hab ich dich, o Herr SWV348

金の細工にはめ込まれたルビーの印章のように  Wie ein Rubin in feinem Golde leuchtet SWV357

『シンフォニエ・サクレ』第2巻(1647)より

ハインリヒ・シュッツ (1585-1672) は、17世紀のドイツで最も偉大な作曲家で、J. S. バッハに至るドイツ・バロック音楽の基礎を築いた人物です。彼はその生涯で二度にわたってヴェネツィアへ赴き、帰国後も同地で学んだ新たな音楽様式による作品を数多く作曲、出版して、その後のドイツ音楽の発展に多大な貢献をしました。二重唱コンチェルト《悪しき者のはかりごとに歩まぬ人はさいわいである》SWV290)は、ヴェネツィアで発展したコンチェルタート様式(通奏低音上で、声楽や器楽のグループがひとつの旋律を交互に演奏する)による作品。歌と通奏低音のみの簡素な編成が、言葉の存在と説得力を際立たせています。一方、アルト独唱と2本のヴァイオリンのためのコンチェルト《私は心からあなたを愛する、おお主よ》(SWV348) では、ヴァイオリンが歌に唱和し、人々はその無言の旋律の中に歌詞を繰り返し聞くことになります。そして、器楽のシンフォニアに導かれたレチタティーヴォ風の中間部では、歌が自由に自らの心情を吐露するなど、変化に富んだ曲想は、その時々の話者の心情を的確に描き出しています。二重唱《金細工にはめ込まれたルビーの印章のように》(SWV357) は、軽快で愛らしい小品。一見すると、宴席での音楽の楽しみを歌った世俗歌のようですが、その背後には「その賜物によって歓喜に酔わせる方を賛美せよ」(シラ書32:13)との心があることを忘れてはなりません

ザミュエル・シャイト  Samuel Scheidt 1587-1654

私は心からあなたを愛する、おお主よ  Hertzlich lieb hab ich dich O HERR SSWV130

ザミュエル・シャイト1587-1654)は、アムステルダムでスウェーリンクに学び、その作曲技法をドイツに伝えたことで知られています。特に、コラール(ルター派の賛美歌)を原曲としたオルガン作品は、18世紀まで盛んに作曲されたオルガン・コラール作品の礎となりました。《私は心からあなたを愛する、おお主よ》は、永遠の賛美というルターの教義に基づくコラールを定旋律とする二つの変奏から成っています。第1変奏では上声部の定旋律に対して16分音符による装飾、第2変奏では付点や3連符による装飾が施されています。

 

クリストフ・ベルンハルト  Christoph Bernhard 1628-1692

深い淵より、主よ、私はあなたに呼ばわる  Aus der Tiefe ruf' ich, Herr, zu dir

シュッツの高弟として知られるクリストフ・ベルンハルト1628-1692)は、ハンブルクの聖ヨハネ教会の音楽監督やドレスデンの宮廷楽長として活躍しました。 イタリアでカリッシミにも師事し、当時音楽の先進国であったイタリアの音楽様式をドイツ音楽に取入れました。作品のほとんどは宗教曲で、また音楽に関する3つの重要な論文を著したことでも有名です。《深い淵より、主よ、私はあなたに呼ばわる》は曲集「宗教的ハルモニア」に収められています。テキストに忠実に劇的な表現を用い、語るような部分と歌う部分が切れ目なく連続して現れ、イタリアのモノディー様式の影響を色濃く感じさせます。

ディートリヒ・ブクステフーデ  Dietrich Buxtehude 1637-1707

コラール変奏曲 「我が愛しき神に」  Choralpartita Auf meinen lieben Gott” (BuxWV179

全地よ、主に向かって喜びの叫びをあげよ  Jubilate Domino omnis terra BuxWV64

主よ、あなたさえあれば  Herr, wenn ich nur Dich hab BuxWV38

ディートリッヒ・ブクステフーデ1637-1707)は、ドイツ・バロック時代を代表する作曲家で、北ドイツ・オルガン芸術に頂点をもたらしたオルガニストです。

《我が愛しき神に》BuxWV179)は、信仰の試練と葛藤を歌うコラールによる変奏曲です。コラールをモティーフとしたフランス風組曲、アルマンド、ドゥブレ、サラバンド、クーラント、ジーグという舞曲による展開は、当時のコラール編曲としては珍しい様式です。一方で、ブクステフーデは宗教声楽作品も100曲以上残しており、それらはドイツ・プロテスタント教会音楽において重要な位置を占めています。《全地よ、主に向かって喜びの叫びをあげよ》(BuxWV68) は、アルト独唱とヴィオラ・ダ・ガンバのための、超絶技巧を駆使した華麗なコンチェルトです。歌詞は旧約聖書の詩編第98篇の第46節ですが、ブクステフーデはこれを三つのアリアとして作曲し、その冒頭にヴィオラ・ダ・ガンバのソロによるソナタを、さらには曲の途中にもガンバのソロ・パートを挿入して、曲全体に変化と流れを持たせながら、途切れることのないひとつの作品にまとめ上げています。《主よ、あなたさえこの世にあれば》 BuxWV38)はソプラノ独唱の声楽コンチェルト。2本のヴァイオリンとソプラノが絡み合い、バスが奏でるシャコンヌと共に、天と地の間を漂いながら、主への信頼を歌っています。

 

ヨハン・ゼバスティアン・バッハ  Johann Sebastian Bach 1685-1750

いと高きところでは神にのみ栄光あれ  Allein Gott in der Höh sei Ehr BWV675

これぞ聖なる十戒  Dies sind die heiligen zehn Gebot BWV678

『クラヴィーア練習曲集』第3巻(1739)より

 

ヨハン・ゼバスティアン・バッハ1685-1750)が他の作曲家と大きく異なっている点は、一つにはその作曲行為の根底にある徹底した百科全書的性格にあると言えるでしょう。単に独立したそれぞれの楽曲を必要に応じて提供するということにとどまらず、それらを大きな作品群としてまとめ上げようとする強い意思こそが、バッハと他の作曲家とを隔てる大きな要素なのではないでしょうか。それはいわば音楽で壮大な宇宙を表現することであり、そしてそのことが創造主である唯一の神への賛美となるのです。多くの教会音楽は言うまでもなく、「クラヴィーア練習曲集」としてまとめられ多くの鍵盤作品や無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータなど、音楽表現の可能性を極限まで追求し網羅しようとするバッハの姿勢には計り知れないものがあり、誰も彼がどのような全体像を意図していたのか、その全貌を伺い知ることはできないのではないかと思われます。

バッハがライプツィヒ時代に作曲、出版した『クラヴィーア練習曲集』第3巻は、教理問答歌とその他の賛美歌によるオルガンのためのコラール前奏曲が収められています。ペダルを用いた作品と、手鍵盤のみの作品が対となっているのは、ルターの「大教理問答」と「小教理問答」に対応しているといわれています。《いと高きところでは神にのみ栄光あれ》BWV675)は、アルトに定旋律、両外声に3連符の天使の羽ばたきのような装飾が施されています。これは、原コラールがクリスマスの天使の歌であることに由来しています。《これぞ聖なる十戒》BWV678)は、ジーグ風のリズムによるフーガで書かれています。原コラールの歌詞のそれぞれの節の最後に歌われるkyrieleisの音型が、作品のあらゆる箇所に現れます。

 

ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ 第2  Sonata für Viola da gamba BWV1028

アダージョ/アレグロ/アンダンテ/アレグロ Adagio/Allegro/Andante/Allegro

現在、私たちにはヴィオラ・ダ・ガンバの独奏曲として三曲のソナタが残されていますが、考えてみればヴィオラ・ダ・ガンバのためには「ソナタ」を作曲し、チェロのためにはフランス様式の「組曲」を作曲したということも、ジャンルやスタイルを極限まで拡大しようとするバッハの基本姿勢が、にじむものとなっています。もしかしたら他にもヴィオラ・ダ・ガンバソナタが作曲されていたか、あるいは構想されていた可能性があるかもしれません。バッハの器楽用法おいては、ヴィオラ・ダ・ガンバはどこか「死」と結びついています。もしかしたらニ長調のソナタにおいてもどこかにそうしたイメージが隠されているのかもしれない、などと考えてしまうのもバッハならではということなのでしょうか。

 

 

ヨハン・フィリップ・クリーガー  Johann Philipp Krieger 1649-1725

孤独に寄せて An die Einsamkeit 

ヨハン・フィリップ・クリーガー1649-1725)はドイツのヴァイセンフェルス宮廷の楽長として活躍しました。約2000曲に及ぶ教会カンタータを作曲したとされていますが、そのうちの74曲が現在残っています。《孤独に寄せて》はオペラ「ケバロスとプロクリス」の中のソプラノのアリア。伴奏は通奏低音だけというシンプルなアリアで、オスティナート・バスにのせて静かな苦しみを歌います。

 

フィリップ・ハインリヒ・エルレバッハ  Philipp Heinrich Erlebach 1657-1714

天に身をゆだねる者は安らぎと幸いを得る  Wer sich dem Himmel übergeben, Wird endlich Ruh' und Glück erleben

友情はこの世の絆、人の心と心を寄り添わせる  Freundschaft ist das Band der Welt, Das ein Herz ans andere halt

『調和の喜び』第2巻(1710)より

フィリップ・ハインリヒ・エルレバッハ1657-1714)は、当時の中部ドイツにおける主導的作曲家の一人で、教会音楽、特にカンタータの作曲で今に名を残しています。その作品の多くが18世紀中の火災で失われてしまっていますが、それでもなお、残存する資料を検討した現代の研究者の評価は高く、その業績は「カンタータという楽曲形式の発展において最終段階を示すもの」と評されています。本日演奏する2曲、《天に身をゆだねる者は》《友情はこの世の絆》は、いずれも彼の生前に出版されたアリア集『調和の喜び』第2 (1710) 所収のもの。残念ながら宗教曲ではありませんが、格言めいた題名が示すとおりの教訓的な内容が流麗な旋律に乗せて歌われます。エルレバッハの音楽性の一端がここから感じ取れることと思います。

 

 

アンコール

たくさんの拍手をいただきましたので、バッハのカンタータ第147番からコラール“主よ、人の望みの喜びよ”をお届けします。


ありがとうございました。

インタビュー

  

- 木島さんの横濱山手の西洋館でのコンサートも13年目を迎え,今回はドイツ・バロックの宗教音楽をテーマにということですが、コンサートにいたる背景や裏話を教えていただけますか。

 

(木島) 西洋館でのコンサートが始まったきっかけは、イギリスの知られざる天才作曲家ピントの歌曲を歌いたいけれど、それには絶対に洋館いい!と思って探していたところ、ピントにぴったりの山手の西洋館を紹介して頂いたのが始まりでした。それ以来、小規模ながら親しみやすいサロンコンサート、響きの良い教会で宗教曲を歌ったり、劇場の雰囲気がある開港記念会館でバロック・オペラを演奏したりと、様々なコンサートをさせて頂いています。

 

   今回のプログラムは、ドイツ・バロックの宗教曲を集めてみました。いつも「この曲が歌いたい!」という1曲があって、そこからプログラムを組んで行くのですが、今回の1曲はブクステフーデのカンタータ‘Herr, wenn ich nur dich hab’でした。最初に聴いた時に、何とも懐かしくジーンと来るこの曲に惹かれてしまい、いつか歌いたいなあ、とずっと温めていた曲です。この曲から始まり、シュッツ、ベルンハルト、クリーガー、エルレバッハ、J.S.バッハというドイツ・バロックの錚々たる作曲家の作品が集められました。聴きごたえあるプログラムをどうぞお楽しみ下さい。

 

-中巻さん、「永遠なる祈りの旅」というタイトルについて教えてくださいますか。

中巻)  第1回の「永遠なる祈りの旅」は2012年9月に目黒の日本聖公会聖パウロ教会で行いました。偶然ですが、この演奏会シリーズはそもそも日本聖公会と深いご縁があったわけです。聖パウロ教会のオルガンは、故辻宏氏が18世紀北ドイツの楽器を忠実に再現なさったものです。18世紀のヨーロッパから現代の日本へと、楽器や音楽とともに、時空を超えて伝えられて来た、いにしえの人々の祈りの心に想いを馳せながら、演奏会にこのタイトルを付けました。

 

-      ありがとうございました。中巻さんは今回初めて山手西洋館コンサートにご参加いただきます。木島さん,オルガンの吉田さんとたびたびコンサートをされてますが、どのような経緯で共演されることになったか教えていただけますか?  

中巻) 仕事の関係で現在は愛知県に住んでいるのですが、横浜の雰囲気が好きで今も時折訪れさせて頂いています。もちろん西洋館巡りもするのですが、そこで実際にコンサートが行われているというのは本当に素晴らしいですね。うらやましい限りです。今回はこの山手聖公会聖堂で歌わせて頂いているわけですが、この場所で教会音楽を歌わせて頂けるということはとても感慨深いです。

   私と木島さんは20年余り前にロンドンで出会いました。一方、吉田さんとの本格的なお付き合いは、彼女が大学で同僚になってからですが、それもずいぶんと長くなりました。それぞれとの演奏会もありましたが、3人揃っての演奏となると、2012年春の豊田市コンサートホールでのパイプオルガン・コンサートが初めてだったと思います。ソプラノ、アルトとオルガン、願ってもない組み合わせでしょう?

 

- それでは、吉田さんに伺います、今回は弦楽古楽器とのアンサンブルでのコンサートですが、小野さん、原田さん、櫻井さんとのリハーサルなどでのエピソードがあればお願いします。

(吉田) 小野さんと共演させて頂くのは、今回が初めてです。もちろん以前からお名前は存じ上げておりましたので、とても楽しみにしていました。練習で初めて聞いた小野さんの音色は、これぞバロックバイオリン!で、弾きながら、こっそりと感動していました。原田さんとは、もう何回もご一緒させて頂いていますが、気負うところの無い美しい音楽をされる方です。小野さんと、原田さんの響きが、練習中に溶け合っていく過程は見事でした。櫻井さんは、大学時代の先輩で、今までに何度も共演させて頂いています。今回は、ガンバソナタの伴奏が特別難しく、おいて行かれないように頑張りたいと思います!

 

- 最後に,木島さんに伺います。今回山手聖公会のご厚意で,聖堂でのコンサートが実現したわけですが,今回の宗教音楽を歌うのに聖公会はどのような場所と感じていらっしゃいますか?

(木島) この聖公会の聖堂は、私にとっては3本の指に入る、大好きな会場です。残響が程よくあり、しかも声が自由に飛んで行く抜け感もあり、無理することなく自然に音楽を楽しんで演奏することができるのです。またここで歌わせて頂けることになり、とても幸せです。この機会を与えて下さった教会の皆様に感謝申し上げます。

 

− 本日は、ありがとうございました。                        

 (聞き手:アンサンブル山手バロッコ曽禰寛純)

これまでの演奏会へ戻る

Home