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66th Concert
アンサンブル山手バロッコ第66回演奏会
山手234番館サマーコンサート
歌と古楽器による
〜イタリアからの風に(Part-II)〜
Aria,Trio and Quartet in Italian Style
“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 第64回
2016年8月6日(土) 16時開演(15時30分開場) 山手234番館レクチャールーム
16:00 6th
Aug. 2016 at Yamate Bluff234
主催:公益財団法人 横浜市緑の協会/山手234番館
出演
曽禰愛子(メゾソプラノ)
鹿児島国際大学短期大学部音楽科卒業、同専攻科修了。洗足学園音楽大学大学院音楽研究科修了。ザルツブルグ・モーツァルテウム音楽大学夏季国際音楽アカデミーディプロマ修了。第28回鹿児島新人演奏会、第85回横浜新人演奏会出演。これまでに声楽を川上勝功、ウーヴェ・ハイルマン、ゲルト・テュルクの各氏に師事。現在、スイス バーゼル・スコラ・カントルムに留学中。ヴォーカルアンサンブル・ヴィクトリア、Affetti mvsicali、フランスCapella Sacraメンバー
曽禰寛純(フラウト・トラヴェルソ)
フルート演奏を経て、フラウト・トラヴェルソを独学で学び、慶應バロックアンサンブルで演奏。
1998年にリコーダーの朝岡聡と共に、アンサンブル山手バロックを結成し、横浜山手の洋館でのコンサートを継続。カメラータ・ムジカーレ同人。
原田純子(バロック・ヴァイオリン)
洗足学園音楽大学卒業。ヴァイオリンを鈴木嵯峨子氏・海野義雄氏に、ヴィオラ・室内楽を岡田伸夫氏に師事。バロックヴァイオリン・ヴィオラを渡邊慶子氏に師事。また都留・札幌・福岡での古楽祭、フランスでのマスタークラスに参加し研鑽を積む。室内楽を中心に活動している。アンサンブル山手バロッコメンバー。
加藤久志(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
洗足学園音楽大学ジャズコース、洗足学園音楽大学大学院弦楽器コース卒業。ヴィオラ・ダ・ガンバを藍原ゆき、福沢宏の各氏に、コントラバスを藤原清登に師事。中野哲也、マリアンヌミュラーの各氏のレッスンを受ける。ニース夏期国際音楽アカデミーにてディプロマを取得。
野口詩歩梨(チェンバロ)(賛助出演)
桐朋学園大学音楽学部古楽器科卒業。同大学研究科修了。チェンバロを故・鍋島元子、アンサンブルを有田正広、本間正史、中野哲也の各氏に師事。さらにクイケン兄弟、モルテンセン氏などのレッスンを受ける。これまでに国内外の数々の音楽家や室内オーケストラと共演。“音の輝きをもとめて”と題したリサイタルシリーズ(2000〜2004年)やアンサンブル“ブラヴォー!バロック”のコンサートでは、チェンバロのソロ楽器としての可能性やアンサンブルにおける新たな存在感を示し、各方面より高い評価を得る。2011年ワオンレコードよりソロCD「バロックの華」をリリース(「レコード芸術」誌・準特選盤)。古楽情報誌「アントレ」製作ビデオ、吉岡次郎フルートリサイタルCD「疾風怒濤」等に出演。http://shihocem.petit.cc/
アンサンブル山手バロッコ第66回演奏会
山手234番館サマーコンサート
歌と古楽器による
〜イタリアからの風に(Part-II)〜
Aria,Trio and Quartet in Italian Style
“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 第64回
プログラムノート
1998年より横浜西洋館でのコンサートを継続しているアンサンブル山手バロッコのコンサートへようこそ。メゾソプラノの歌手とフラウト・トラヴェルソ、ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバ、チェンバロという古楽器の組合せで、イタリアで生まれたバロックのオペラや器楽が、ヨーロッパを駆け抜けていく姿を、「イタリアからの風に」と題してお届けします。
♪♪♪
C.モンテヴェルディ(1567-1643):歌劇「オルフェオ」から“ここが闇の国の入り口”
C.Monteverdi/ Aria “Ecco l'atra palude” from Opera “Orfeo”
オペラは16世紀の終わり、ルネサンスからバロック音楽に切り替わろうとする頃、イタリアのフィレンツェで古代ギリシャの演劇を復興しようという動きとともに誕生しました。現存する最古のオペラは1607年にマントヴァで初演されたモンテヴェルディ作曲のオルフェオです。太陽神アポロの息子オルフェオは ニンフのエウリディーチェと結婚することになりましたが、その幸せの絶頂である結婚の祝いの日に エウリディーチェは毒蛇に噛まれて亡くなってしまいます。オルフェオは愛するエウリディーチェを取り戻すために黄泉の国へ向かうことを決意します。黄泉の国の入り口まで オルフェオは「希望(スペランツァ)」の精に導かれてたどり着きます。生きているものは決して入れないという冥界の入り口でオルフェオと別れる時に「希望」が歌うのが、お聴きいただく 「ここが闇の国の入り口」です。
G.フレスコバルディ(1583-1643): トッカータ V ト調
Girolamo Frescobaldi / Toccata III in g for
Cembalo
G.フレスコバルディ: “お別れだ、わが魂よ”
Girolamo Frescobaldi / “Ti lascio, anima mia”
フレスコバルディは、北イタリア、フェラーラの出身で、イタリア初期バロックの鍵盤音楽を代表する作曲家、オルガニストです。彼は、25才の若さでサン・ピエトロ大聖堂のオルガニストに就任し、以後、生涯にわたって楽譜を出版、数多くの鍵盤曲集を残しました。声楽曲も残していますが、特に鍵盤楽曲についてはフローベルガーや大バッハなど、多くの後輩達が師と仰いだ大家です。トッカータは、鍵盤に触れるということに由来しており、鍵盤上を素早く走り回るような技巧的な部分と対位法で書かれた模倣的な部分が交互に表れるスタイルの曲です。これから始まる演奏に聴き手を導くための曲でもあり、即興的に展開されていく中で、情熱と拡がりも感じられる作品となっています。「お別れだ、わが魂よ」は、愛しい人との辛い別れを歌ったものです。
G.Ph.テレマン(1681-1767):パリ四重奏曲 第二番 イ短調より 「軽快に」、「流れるように」
G.Ph.Telemann/“Légèrement” and “Coulant” from Paris Quartet No.2 in a-minor
パリ四重奏曲イ短調は、テレマンがパリに招聘された折に作曲されました。パリでフルート、ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバ、チェロの名手とテレマン自身のチェンバロで演奏されたこの四重奏曲は、「パリ四重奏曲」として有名です。自伝の中でこの曲の演奏が宮廷と町の人たち評判となり、大きな栄誉となり丁重に扱われたことを誇らしげに記しています。演奏する曲は、第二番イ短調より、軽快に、流れるように、の二曲です。二曲目は、フランス趣味のガヴォットのテーマに基づく変奏曲で、ヴィオラ・ダ・ガンバ、フルート、ヴァイオリンの順で名人芸を披露したあと、テーマに戻って曲を閉じます。
M.マレ(1656-1728):聖ジュヌヴィエーヴ・デュ・モン教会の鐘の音
M.Marais / Sonerie de Sainte Genevieve du Mont de
Paris
M.マレはフランスのヴィオラ・ダ・ガンバの名手にして宮廷作曲家だった人です。天使のようにヴィオラ・ダ・ガンバを演奏すると称えられました。「聖ジュヌヴィエーヴ・デュ・モン教会の鐘」、はパリの修道院の鐘が鳴る様子が描写されています。ここはパリでマレが幼少期を過ごした地区にも近く、妻の実家の場所でもあったので、鐘の音には親しんでいたのでしょう。教会の鐘の響きを想わせる3つの音からなる低音が繰り返される上に、ヴァイオリンとヴィオラ・ダ・ガンバがその低音に基づいたメロディーを重ねる変奏曲の構成となっています。
C.P.E.バッハ(1714-1788): マニフィカートより アリア“主はその僕イスラエルを”
. C.Ph.E.Bach/ Aria “Suscepit
Israel” from Magnificat
バッハの次男、カール・フィリップ・エマニュエルは、父親以上に有名になり、またハイドンやベートーベンへも大きな影響を残した作曲家です。マニフィカートは、マリアを讃える讃歌で父親ヨハン・ゼバスチャンの名曲が知られていますが、エマニュエルも、父親の曲と同じ調性(ニ長調)で名曲を残しています。「主はその憐れみを忘れず」は、フルートと弦の伴奏で、アルトが、神さまの深い愛を繰り返し歌い表す佳曲です。
J.S.バッハ
(1685-1750):カンタータ「よろこべ 救われし民」 BWV30より
アリア“来なさい、悩む罪人たち”
J.S.Bach/Aria “Kommt, ihr angefochtnen Sünder” from Cantata
“Freue dich, erlöste Schar”
BWV30
エマニュエル・バッハの父親のヨハン・ゼバスチャン・.バッハはライプチッヒの音楽監督の第一の仕事として毎週礼拝のための曲(カンタータ)を演奏しました。カンタータはもともとイタリアで生まれた独唱と通奏低音からなる世俗的なジャンルですが、その後ドイツにも渡り変化する中で、教会音楽に影響を与えました。カンタータ第30番「よろこべ 救われし民」は、バッハの比較的晩年の作品で、ライプチッヒ近郊の新しい領主の就任祝いの表敬音楽から転用されています。アリア「来たれ アダムの 末なる民」は、罪人達を救い主の元へ呼び集めようと歌います。フルートと弦楽のシンコペーションの前奏部分も軽やかな、新しいギャラント様式を取り入れたものとなっています。
(曽禰寛純)
アンコール
たくさんの拍手をいただきましたので、ヘンデルのオペラ「ジュリアスシーザー」からアリア“心の支えをすべてなくし”をお届けします。
ありがとうございました。
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