これまでの演奏会へ戻る
64th Concert
アンサンブル山手バロッコ第64回演奏会
Tre Flauti
三本のフルートで味わうバロック音楽
Three Flutes and Baroque Music
“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 第62回
2016年3月26日(土) 18:00 山手111番館
18:00 26th March 2016 at Yamate Bluff 111 Hall
主催:公益財団法人 横浜市緑の協会/山手111番館
出演
国枝 俊太郎:リコーダー、フラウト・トラヴェルソ(賛助出演)
東京都出身。リコーダーを安井敬、フラウト・トラヴェルソを中村忠の各氏に師事。1995年開催の第16回全日本リコーダー・コンテスト「一般の部・アンサンブル部門」にて金賞を受賞。
これまで東京リコーダー・オーケストラのメンバーとしてNHK教育テレビ「ふえはうたう」などに出演、CD録音にも参加する。
現在はバロック室内楽を中心に、リコーダー・アンサンブルによるルネサンス〜現代までの作品や、ギターとのアンサンブルによる19世紀のサロンピースの演奏、さらには古楽器オーケストラによる数々の演奏会に出演するなど、幅広く活動している。
ルネサンス・フルート・コンソート「ソフィオ・アルモニコ」メンバー。バロックアンサンブル「クラングレーデ」、「ムジカ・レセルヴァータ」メンバー。
菊池かなえ:フラウト・トラヴェルソ(賛助出演)
桐朋学園大学卒業。同大学研究科修了。桐朋オーケストラアカデミー修了。
ファゴットを浅野高瑛、武井俊樹、馬場自由郎各氏に、バロック・ファゴットを堂阪清高氏に師事。
09年、第12回古楽の森コンサートに、バロック・ファゴットソロで出演。第26回古楽コンクール奨励賞を受賞。
モダン、クラシカル、バロック、ファゴット奏者としてオーケストラ、室内楽等で活躍。バロックアンサンブル「ダブルリーズ」メンバー。
アンサンブル山手バロッコ
1998年、横浜山手の洋館「山手234番館」のリニューアルに行なわれた記念のコンサートをきっかけに、山手在住のリコーダー愛好家・朝岡聡を中心に結成された古楽器を使った演奏団体。継続的に横浜山手の洋館での演奏活動を続けています。
また、西洋館でのコンサート「洋館で親しむバロック音楽」などの企画・プロデュース、古楽祭「横浜・西洋館de古楽」にも演奏・運営を通じて参加し、バロック音楽を分かりやすく伝える活動も行っています。本日の演奏メンバーを紹介します。
曽禰寛純(フラウト・トラヴェルソ)
フルート演奏を経て、フラウト・トラヴェルソを独学で学び、慶應バロックアンサンブルで演奏。1998年にリコーダーの朝岡聡と共に、アンサンブル山手バロッコを結成し、横浜山手の洋館でのコンサートを継続。カメラータ・ムジカーレ同人。
角田幹夫(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
慶應バロックアンサンブルでヴァイオリンを演奏。独学でヴィオラ・ダ・ガンバを学ぶ。現在、カメラータ・ムジカーレ同人。アンサンブル山手バロッコ発足メンバー。
和田章(チェンバロ)
小林道夫にチェンバロを師事。慶応バロックアンサンブルで演奏。カメラータ・ムジカーレ同人。当アンサンブル発足メンバー。
アンサンブル山手バロッコ第64回演奏会
Tre Flauti
三本のフルートで味わうバロック音楽
Three Flutes and Baroque Music
“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 第62回
本日は、ヨーロッパの宮廷や貴族の館で演奏されたバロック時代のさまざまなフルートの曲を、1926年に建てられた歴史的雰囲気漂う、西洋館でお聴きいただきます。当時「フルート」といえばリコーダーのことを意味し、独奏や合奏で活躍する楽器としての頂点を迎えていました。フルートは18世紀のはじめに登場し、「横のフルート(フラウト・トラヴェルソ)」呼んで区別の必要のあった新参楽器でした。バロック時代100年の音楽と楽器の変化をご一緒に味わいましょう。
プログラム
J.オトテール(1680〜1761):3本のフルートのためのファンファーレ
J.Hotteterre/Fanfare for Three Flutes
オトテールはフランスのヴェルサイユ宮廷で王室付フルート奏者として活躍しました。オトテール一族は、代々木管楽器の製作家としても有名で、フラウト・トラヴェルソを創ったといわれています。この新興の楽器は、一本の円筒だったルネサンスフルートを、3つの部分に分かれた逆円錐形の楽器とし、1つ鍵を追加し、音域を拡大し、すべての半音を演奏可能にすることで、独奏楽器としてバロック音楽の中心で活躍するきっかけを作りました。この新しい楽器のために作曲をし、また演奏の手引き書(教則本)も出版しました。(なお、オトテール一族は、リコーダーについても、ルネサンス期の楽器から、バロック期のリコーダーも創り出したといわれており、重要な一族です。)
A.ドルネル(1680-1756):3本のフルートのためのソナタ ロ短調 作品3-7
A.Dornel/ Sonata for Three Flutes in b-minor Op.3-7
ヴィヴマン(軽快に) − ラントマン(ゆっくり) − シャコンヌ − ジーグ風アリア
Vivement – Lentment - Chaconne –
Air en gigue
ドルネルは、パリのいくつかの教会のオルガニストを務め、またチェンバロ奏者としても活躍しましたが、その生涯についてはあまり詳しく知られていません。演奏するソナタは1713年に作品3として出版されたもので、この時期では珍しいフルート3本を独奏に指定した本格的なフランス風趣味の曲となっています。
B.マルチェッロ(1686-1739):リコーダーと通奏低音のためのソナタ ニ短調 作品2-2
B.Marcello/ Sonata for Recorder and Basso Continuo in d-minor
Op.2-2
アダージョ - アレグロ - ラルゴ - アレグロ
Adagio– Allegro - Largo –
Allegro
マルチェッロは、イタリア・バロック音楽の作曲家・音楽評論家。イタリア人貴族で、議会の議員や施政官という職を持ちながら、アマチュア作曲家として500曲以上の曲を残しました。演奏する曲が含まれるリコーダーソナタ集は1712年にヴェネツィアで出版され、版を重ね、他の楽器にも編曲された人気曲集でした。
J.B.ボワモルティエ(1682-1765):3本のフルートと通奏低音のためのソナタ ホ短調 作品34-3
J.B.Boismortier/ Sonata for Three Flutes and Basso Continuo in
e-minor Op.34-3
アンダンテ − プレスト − アダージョ − アレグロ
Andante– Presto - Adagio –
Allegro
ボワモルティエは、音楽家は宮廷や教会に仕えて生活するのが当たり前の時代に、歴史上初めてのフリーランスの音楽家として、出版楽譜の販売などで独立した生計を立てた非常に珍しい音楽家でした。彼は1724年に最初の作品を発表して以来、1731年にパリで出版された、この作品34を含む実に多くの曲を作曲し出版し続けました。
J.J.クヴァンツ(1697-1773):リコーダー、フルートと通奏低音のためのソナタ ハ長調
J.J.Quantz/ Sonata for Recorder, Flute and Basso Continuo in
C-Major
アフェトゥオーソ − アラブレーヴェ − ラルゲット − ヴィヴァーチェ
Affettuoso – Alla Breve - Largetto –
Vivace
クヴァンツはドイツのフルートの名人で、ベルリンのフリードリヒ大王につかえ 、大王が自らも演奏をしたフルートのために何百曲も作曲しました。また、フルートに2つ目の鍵を付けるなど楽器を改良し、教則本も出版しました。本日の曲はリコーダーとフラウト・トラヴェルソを組み合わせた大変珍しい編成の曲です。自分の楽器に「えこひいき」をせずに縦・横を対等に組みあわせて作曲しています。
J.F.クラインクネヒト(1722-1794):フルートとチェンバロのためのソナタ ニ長調 作品 3-2
J.J.Kleinknecht/ Sonata for Flute and Cembalo in D-Major Op.3-2
アレグロ マ ノン トロッポ − アモローソ/ポコ アンダンテ − スケルツァンド/アレグロ アッサイ
Allegro ma non troppo – Amoroso
poco Andante - Scherzando Allegro assai
クラインクネヒトは、バッハより一世代後のドイツの音楽家で、バイロイト宮廷楽団の奏者、宮廷作曲家として活躍しました。この曲はバッハなどにより開発されたオブリガートチェンバロ(右手でソロ声部を、左手で低音を演奏)として二重奏の形で演奏する新しい時代の構成になっています。
G.Ph.テレマン(1681-1767):2本のフルートのための二重奏曲 ホ長調
G.Ph.Telemann / Duet for Two Flutes in E-Major
アンダンテ コン アフェット − ヴィヴァーチェ − アモローソ − プレスト
Andante con affetto – Vivace -
Amoroso- Presto
テレマン(1681-1767)は、バッハと同時代のドイツの音楽家で、当時はバッハを遥かにしのぐ名声を獲得していました。最初の二重奏曲は、比較的後期の1752年に出版された作品で、当時のフルートには難しい調性を選んでいるだけでなく、バロックからロココに移り変わる新しい時代の香りも漂わせています。
G.Ph.テレマン(1681-1767):リコーダー、2本のフルートと通奏低音のための四重奏曲 ニ短調 《食卓の音楽》第2集より
G.Ph.Telemann / Quartet for Recorder, two Flutes and Basso Continuo
in d-minor from “Musique de Table” Prod.II
アンダンテ – ヴィヴァーチェ - ラルゴ
- アレグロ
Andante – Vivace - Largo- Allegro
最後に演奏する、四重奏曲の含まれている「食卓の音楽」は1733年にハンブルグで出版された有名な曲集です。食卓の音楽とは当時流行した名称で、宴で演奏される音楽といった意味です。この四重奏曲は、第2集に収められた曲で、縦と横の3本の笛という珍しい編成ですが、3本の笛が織りなす響きにテレマンならではの魅力をたたえた名曲です。
アンコール
どうもありがとうございました。
沢山の拍手をいただきましたので、
J.B.ボワモルティエ:3本のフルートと通奏低音のためのソナタ ニ長調 作品34-5より 「プレスト」をお聴きいただきました。
ありがとうございました。
これまでの演奏会へ戻る