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62nd Concert
アンサンブル山手バロッコ第62回演奏会
木島千夏 西洋館コンサート Vol.12
開港記念会館で味わう宗教曲とオペラ
〜情熱のイタリア・バロック〜
Passion of Italian Baroque Music
“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 第60回
2015年12月5日(土)午後2時開演(1時半開場) 横浜市開港記念会館講堂
14:00 5th December 2015 at Yokohama Kaikou-kinennkaikan
主催: アンサンブル山手バロッコ 後援: 横浜市中区役所
協力: 公益財団法人 横浜市緑の協会、郷土文化財コレクション、
森田朋子(フラワーコーディネータ)
出演
木島 千夏 (ソプラノ)
©星合隆広
国立音大在学中に古楽に出会い、卒業後バロックのオペラを初め様々なコンサート活動を経て、ロンドンに留学。第30回ブルージュ国際古楽コンクールにて4位入賞。W.Christie指揮のオペラ公演やリュートのNigel Northとデュオ・リサイタルをはじめ、ヨーロッパ各地で音楽祭や演奏会に出演。
帰国後は「ひとときの音楽」シリーズや2004年から毎年行っている横浜山手西洋館でのリサイタル、2006年には知られざる天才作曲家G.F.ピントの作品を集めたコンサートなど、バロックを中心に様々なユニークな演奏活動を展開している。2013年、横浜市開港記念館で横浜音祭り「パーセルのオペラ」に主演。カペラ・グレゴリアーナ ファヴォリートのメンバーとしてハンガリーのヴァーツ国際グレゴリオ聖歌フェスティバルに出演。現在、聖グレゴリオの家教会音楽科講師、横浜合唱協会ヴォイストレーナー、アンサンブルDDメンバー。
辻康介(テノール)
国立音楽大学楽理科卒、同大学音楽研究所修了、ミラノ音楽院とミラノ市立音楽院の古楽科で学ぶ。声楽を牧野正人、クラウディオ・カヴィーナらに、古楽理論をディエゴ・フラテッリらに師事。主宰し歌うグループとその主なコンサートはSESTETTO VOCALE「テーブル囲んでマドリガーレ」、南蛮ムジカ「南蛮ムジカのオルフェオ」「フランチェスコ・ラージ全曲演奏シリーズ」、ネーモー・コンチェルタートnemo concertato「大人のための俊太郎」。都市楽師プロジェクトやジョングルール・ボン・ミュジシャンのメンバー。また、モンテヴェルディ「オルフェオ」(宮城聡演出)「オルフェオの冥界下り」(安田登構成・演出)のオルフェオ役、「イナンナの冥界下り」(安田登構成・演出)のイナンナの声。「体感音楽史:ソルミゼーション」講座を各地で開催。
小野 萬里 (バロック・ヴァイオリン)
東京芸術大学ヴァイオリン科卒業。1973年ベルギーに渡り、バロック・ヴァイオリンをS. クイケンに師事、以来たゆみない演奏活動を展開している。現在、コントラポント、クラシカルプレイヤーズ東京、チパンゴコンソート、ムジカ・レセルヴァータのメンバー。
櫻井 茂 (ヴィオラ・ダ・ガンバ)
学習院大学及び東京芸術大学卒業。芸大ではコントラバスを専攻。また、芸大バッハ・カンタータ・クラブにおいて小林道夫氏の薫陶を受ける。ヴィオラ・ダ・ガンバを大橋敏成、L.ドレイフュスの両氏に師事、またC.マッキントッシュ、J.リンドベルイ、S.ハウグザンらにアンサンブルの指導を受ける。独奏者として国内外で活動。海外の著名バロックオーケストラの来日公演にも多数出演。L.ドレイフュス主宰のコンソート「PHANTASM」には94年の創設プロジェクトに参加以来、度々客演する。ヴィオローネ奏者としてはバッハ・コレギウム・ジャパン等の古楽アンサンブルに参加。東京芸大管弦楽研究部及び高知大学講師を経て、上野学園大学准教授、延世大学(ソウル)音楽研究所古楽専門課程特別招聘教授。
寺村朋子(チェンバロ)
©篠原栄治
東京芸術大学音楽学部チェンバロ科卒業。同大学大学院修士課程修了。チェンバロと通奏低音を、山田貢、鈴木雅明の両氏に師事。第7回古楽コンクール・チェンバロ部門第2位入賞。シエナ、ウルビーノ、インスブルック、アントワープなど国内外のアカデミーに参加し研鑽を積む。NHK「FM リサイタル」に出演。その他多くの団体と様々なコンサート活動を行う。トリム楽譜出版より1999年「フルート・バロックソナタ集」、2002年「J.S.バッハ作品集」(2009年再版)を編曲、出版。現在、宮地楽器小金井アネックス・ チェンバロ科講師。日本チェンバロ協会正会員。2010 年 チェンバロソロ CD「カプリッチョ」(レコード芸術準推薦 盤)リリース。バロックアンサンブル「ダブルリーズ」メンバー。
曽禰寛純(フラウト・トラヴェルソ)
フルート演奏を経て、フラウト・トラヴェルソを独学で学び、慶應バロックアンサンブルで演奏。1998年にリコーダーの朝岡聡と共に、アンサンブル山手バロッコを結成し、横浜山手の洋館でのコンサートを継続。カメラータ・ムジカーレ同人。
角田幹夫(バロック・ヴァイオリン)
慶應バロックアンサンブルでヴァイオリンを演奏。独学でヴィオラ・ダ・ガンバを学ぶ。現在、カメラータ・ムジカーレ同人。アンサンブル山手バロッコ発足メンバー。
原田純子(バロック・ヴィオラ)
洗足学園音楽大学卒業。ヴァイオリンを鈴木嵯峨子氏に師事。慶應バロックアンサンブルでヴァイオリンを演奏。卒業後古楽器での演奏に興味を持ちバロックヴァイオリン・ヴィオラを渡邊慶子氏に師事する。モダン・バロックのヴァイオリン、ヴィオラ奏者として室内楽を中心に活動している。弦楽合奏団アンサンブル「デュナミス」メンバー。
アンサンブル山手バロッコ第62回演奏会
木島千夏 西洋館コンサート Vol.12
開港記念会館で味わう宗教曲とオペラ
〜情熱のイタリア・バロック〜
Passion of Italian Baroque Music
“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 第60回
バロック時代、イタリアは音楽の先進国として君臨していました。オペラを生み出し、ヴァイオリンソナタなどの器楽曲を発展させ、他のヨーロッパ諸国をリードしていきました。コンサートではバロック初期の宗教曲からスタートし、バッハが筆写したコンティのラテン語のカンタータ、そして洗練された器楽曲と共に、バロック時代屈指の3人の作曲家のオペラから名場面をお聴きいただきます。
大好評をいただいたバロックオペラに続き、歴史的建造物である開港記念会館で、歌と当時の様式の器楽アンサンブルの組み合わせで味わいます。
プログラム
グランディ:今日われらにまことの平和が天よりくだる
A.Grandi: Hodie nobis
de caelo pax vera descendit
グランディ
(1586-1630)は、フェラーラで生まれ、ヴェネチアを経てベルガモのサンタマリア・マジョーレ大聖堂の楽長を務めました。ヴェネチア時代には、モンテヴェルディのサンマルコ大聖堂で聖歌隊歌手としても活躍し、その影響も受けました。今日われらにまことの平和が天よりくだる は、2人のソプラノと通奏低音のために書かれたラテン語のモテット。3拍子のアレルヤがくり返し現れるグランディらしい曲で、クリスマスの喜びを歌います。
ガリアーノ:羊飼いたちよ、さあ、起き上がりなさい
M. da Gagliano : Pastor levate sù
ガリアーノ(1582-1643)は、フィレンツェ生まれのイタリアの作曲家で初期オペラ、マドリガルの発展に貢献しました。羊飼いたちよ、さあ、起き上がりなさいは1615年に作曲されました。前の曲と同じく、キリストの生誕の奇跡を歌います。
フレスコバルディ:天使が羊飼いたちに言った
G. Frescobaldi: Angelus ad pastores ait
フレスコバルディ(1583-1643) はイタリア北方のフェラーラで生まれ、オルガンを修め、ローマの教会や宮廷のオルガニストとして活躍しました。主にチェンバロやオルガンのバロック音楽における作曲や演奏技法の基礎を作った人で、沢山の作品を残し、フランス、ドイツなど欧州に広くその技法は展開され、バッハもその影響を受けていると言われています。その影で目立ちませんが、世俗・宗教的な声楽曲にも重要な作品を提供しており、天使が羊飼いたちに言った は、天使が救い主キリストの生誕を羊飼いたちに告げるのを歌った曲です。
ヴィアダーナ:羊飼いらよ、何を見たのか?
Lodovico da Viadana : Quem vidistis
pastores?
ヴィアダーナ(c1560-1627)はフランシスコ会の修道士でもあり、マントヴァの大聖堂の楽長をはじめ、イタリア各地の聖堂で職を得て活躍しました。本日演奏の羊飼いらよ、何を見たのか?
は、1602年にヴィネツィアで出版された曲集「通奏低音つきの100の教会コンチェルト」に含まれています。
マリーニ:空の星とともに
B.Marini : Con le stele
マリーニ(1594-1663)は北イタリアのブレシア生まれのヴァイオリンの名手、作曲家。17世紀前半のイタリアにおいてマドリガルや器楽合奏、特にヴァイオリン作品の分野では、傑出した存在。マリーニは、30歳前にヴェネチアに出て、サンマルコ大聖堂のヴァイオリン奏者となり、楽長のモンテヴェルディのもとで5年間活動を行っています。最初に演奏する星とともに空に、は1623年に出版された曲集に収められている、美しい星空の凍る寒さも、愛の神の熱い情熱で暖められるだろうと歌う曲です。
ヴィヴァルディ:「主のしもべたちよ、ほめたたえよ」より「栄光は父と子と聖霊に」
Vivaldi: LAUDATE
PUERI RV601 “Gloria patri et filio et spiritui sancto”
ヴィヴァルディ(1678-1741)は、ヴェネチアで生まれました。25歳の時に司祭に叙され、赤毛の司祭としてピエタ慈善院の付属音楽院の指導を始めました。生涯を通じて多くの協奏曲や合奏曲などの器楽曲や宗教曲を作曲しましたが、このピエタの少女たちのオーケストラによるコンサートで演奏され、ピエタの名声を高めることに貢献しました。宗教曲は礼拝用のもの礼拝用でないもの合わせて50曲以上が残されています。本日演奏する3曲残されている主のしもべたちよ、ほめたたえよのうち最後に作曲されたもの。この曲はイタリアの他にドレスデンにも手稿譜が残されており、1730年前半に作曲されドレスデンの宮廷への就職活動の一環で送られた曲の一つと考えられています。ドレスデンの有名歌手の広い音域や宮廷のフルートの名手(ビュッファルダン)を念頭において作曲したと考えられます。曲は9節からなる詩篇112に対してつけられていますが、本日演奏する栄光は父と子と聖霊にはその最後の節の最初の行に対応します。(歌詞対訳はコンティのカンタータの下に掲載)
マリーニ:4声のためのパッサカリア ト短調
B. Marini: Per ogni
sorte d'istrumento musicale diversi generi di sonate, Op. 22: Passacaglio
パッサカリアは、1655年にヴェネチアで出版された最後の作品集「すべての種類の楽器のための種々のソナタ集」の掉尾に置かれた曲で繊細で深遠さを感じさせる和声の変化は、時代、様式を超えた美しさを感じさせます。
コンティ:カンタータ「わが魂は病み」
F.B. Conti: Languet anima mea
コンティ(1681-1732)はイタリアのフィレンツェで生まれ、テオルボ(大型のリュート)奏者として頭角を現し、ウィーンのハプスブルク家の宮廷奏者・作曲家として活躍しました。オペラ、オラトリオ、カンタータを残していますが、本日演奏するカンタータわが魂は病みは、バッハがワイマール時代に筆写しケーテンで演奏したということでも知られています。曲は、信者の十字架にかけられた救い主、イエスへの情熱的な愛、死へのあこがれを2組のレチタティーヴォとアリアで進め、最後は全合奏とともに技巧的なアレルヤを高らかに歌います。特に印象的なのは2つ目のアリアで、イエスへの直接の語りかけを続ける信者の歌声を、ヴァイオリンの独奏が、時に一緒に問いかけ、時にイエスの答えを暗示するように寄り添う、しみじみとした佳曲です。
モンテヴェルディ:「オルフェーオ」より 「力強き霊よ」
C. Monteverdi: “Possente spirito” from L'ORFEO
モンテヴェルディ(1567-1643)は、北イタリアのクレモナに生まれ、マントヴァのゴンザーガ家の宮廷楽長を務め、沢山のマドリガーレやオペラを作曲しました。後にヴェネチアへ移り、サンマルコ大聖堂の楽長となって教会音楽を作曲しました。ルネサンスからバロック時代への転換期に活躍し、新しい作曲技法を大胆に取入れて声楽曲において独自の作風を展開した、イタリア・バロックの重要な音楽家です。オペラは16世紀の終わり、ルネサンスからバロック音楽に切り替わろうとする頃、イタリアのフィレンツェで古代ギリシャの演劇を復興しようという動きとともに誕生しました。現存する最古のオペラは1607年にマントヴァで初演されたモンテヴェルディ作曲のオルフェーオです。モンテヴェルディは、バロックの名前の由来ともなった、劇的で大胆な様式を開発し、多くの音楽家に影響を与える風を送ることになりました。本日はこの神話の時代を舞台としたオペラの中から、愛する妻エウリディーチェを失った竪琴弾きのオルフェーオが、神のお告げにより、妻を取り戻しに冥界へ向かい、冥界へと渡る川の渡し守カロンテの妨害を諦めず力強く歌うオルフェーオの美声で乗り越える場面
力強き霊よ をお届けします。
チェスティ:「オロンテーア」より「愛しい人の周りに」
A. Cesti: ORONTEA “Intorno all'idol mio”
チェスティ(1623-1669)はアレッツォに生まれ、ローマでジャコモ・カリッシミに師事した後、フィレンツェで活動したバロック中期のヴェネチア楽派を代表するイタリアのオペラ作曲家です。1649年にヴェネチアで初演された「オロンテーア」からアリア愛しい人の周りにをお聴きいただきます。この場面は、エジプト女王の立場と平民との恋との板挟みに苦しむオロンティアが、眠る恋人アリドーロの枕辺で思いの丈を歌うモノローグ。当時のカンタータで用いられたレチタティーヴォ、アリオーソとアリアが歌詞の内容に合わせ自由に組合せた「多部分からなるアリア」形式で作られています。(最後にはアリドーロは長い間行方不明だったフェニキアの王子であることが判明し、晴れてオロンテーアと結婚しめでたしめでたしとなります)なお、このアリアの最初の部分は、19世紀のピアノ編曲によるイタリア古典歌曲に含まれており、歌を勉強する人には良く知られていますが、本日はオリジナルの姿でお聞きいただきます。
フレスコバルディ:フランドルの旋律に基づくカプリッチョ
G.Frescobaldi: Capriccio
V sopra la bassa Fiamenga
チェンバロ独奏のフランドルの旋律に基づくカプリッチョは、1642年にローマで出版された12のカプリッチョ集に収められています。カプリッチョは即興的な要素や意表をつく仕掛けなどを盛り込んだ楽曲で、当時知られていたフランドルの旋律をもとに対位法形式で進みますが型通りのものではなく模倣の技法がこれでもかと休みなく続きます。
ポルポラ:「アグリッピーナ」より「愛なのじゃ」
N. Porpora: AGRIPPINA “Insomma
il far l'amore par che sia necessario”
ポルポラ(1686-1768)はナポリ生まれのイタリア後期バロック音楽のオペラ作曲家で声楽教師。有名なカストラートのファリネッリや、作曲家ハイドンの恩師として知られる。演奏する愛なのじゃは1708年にナポリで上演された最初のオペラアグリッピーナAgrippinaに含まれる幕間劇。若い娘アルミーラと彼女にあれこれと言い寄る好色な親父プランコのやりとりがユーモラスに描かれています。ポルポラのオペラのCDや演奏も珍しく、この曲は日本で初めて演奏されることになるようですので、お聴きになるみなさまも当時のお客様と同じように、予備知識なしにこの寸劇をお楽しみください。
(プログラムノート: アンサンブル山手バロッコ 曽禰寛純)
インタビュー
リハーサルの合間に、今回のコンサートのコンセプトなどをお聴きしました。
−前回のパーセルオペラに続き、今回は「情熱のイタリア・バロック」というテーマで、バロックの初期から盛期までの宗教曲とオペラを取り上げられていますが、どのような想いで企画されたのでしょうか?
木島: 前半で演奏するContiのカンタータをある方がレッスンに持っていらした時に、これは素敵な曲!と一目(耳?)惚れしてしまい、いつか私も歌ってみたいと思っていました。今回のプログラムを考える時に、まずこの曲を入れようと思いました。今回共演をお願いした辻さんはイタリアに留学され、またお行儀の良い「古楽」というジャンルにおさまらず、自由自在な演奏活動を繰り広げておられるので、彼の魅力をいかすにはお芝居の要素は欠かせません。十八番であるモンテヴェルディのオルフェーオのアリアを歌って下さることになり、宗教曲とオペラという2つの柱でプログラムを組むことにしました。お客様にもイタリア・バロックの魅力をたっぷり楽しんで頂けることと思います。
− 辻さんは、イタリアルネサンスからバロックを起点に様々な分野でご活躍ですが、今回の企画や木島さん、山手の器楽アンサンブルとの共演について一言いただければ幸いです。
辻: 学生の頃、国立音楽大学の音楽研究所でペーリやカッチーニといったイタリア初期バロックのオペラが研究され上演されていました。1980年代末のことです。私はオルガンのフイゴを手伝うために舞台に上がったりしていたのですが、間近でこういう音楽を若い頃に触れられたのは大きな体験でした。木島さんはそこで歌っていた先輩ですので、今回このイタリア初期バロックの曲目で共演出来るのは嬉しい限りです。ただ、木島さんとは、聖グレゴリオの家の声楽アンサンブルなどで宗教音楽を歌うコンサートではよくご一緒しているのです。が、今回はポルポラのお笑い寸劇オペラがあります!この曲を思いついた時から、日頃見ることのない木島さんが出てくるのを楽しみにしていました!
今回選んだオルフェーオの歌は、歌とともに各楽器が即興的で技巧を見せつける独特な曲です。この歌と楽器の関係は、オルフェーオが竪琴を奏でながら渡し守を説得している、その竪琴の音楽のイメージが様々な楽器に展開したものです。また、私のイメージでは竪琴=各楽器が奏でられている間、カロンテはオルフェーオの訴えを聞くだけは聞いてやろうと、一応しぶしぶ聞き入れて自分なりの答えを考えています。ですので、竪琴=楽器の演奏はオルフェーオの歌とともに雄弁で饒舌で説得力のある語りの延長としての調べです。初めて共演する山手バロッコの皆さんとは、最初のリハーサルですでにこの「語り口」をイメージしながら一緒に器楽部分を作り上げることが出来ているのがとても楽しいです。想像力を駆使して音楽を作り上げていけるのは何よりです!ちなみに、この曲は重々しい深刻な曲といったイメージをもたれがちですが、そういう要素ばかりではなく、渡し守をなんとか言いくるめてやろうというオルフェーオの狡猾さも含んだ、バラエティー豊かな音楽だと思っています。
− お二人で(コンサートホールや教会でなく)この歴史的劇場(講堂)で演じる楽しみは何でしょうか?
木島: この開港記念館では何度も演奏させて頂いていますが、一番の魅力は洋館の雰囲気がバロック音楽にぴったり、似合っていることですね。外を歩く人が見えたり風に揺れる木が見えたりしながら音楽を聴くのは、音楽が特別なものではなく生活の中の一部であり自然なものとして気楽に楽しむことができると思います。
− 本日は、ありがとうございました。(聞き手:アンサンブル山手バロッコ 曽禰寛純)
アンコール
どうもありがとうございました。
沢山の拍手をいただきましたので、
チェスティ:「オロンテーア」より愛の二重唱をお聴きいただきました。
ありがとうございました。
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