これまでの演奏会へ戻る
NEW!!
58th Concert
アンサンブル山手バロッコ第58回演奏会
山手111番館コンサート
歌と古楽器による
〜イタリアからの風に〜
Aria, Duet and Sonata in Italian Style
“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 第55回
2015年2月15日(日) 14時開演 山手111番館
14:00 15th
Feb. 2015 at Yamate Bluff 111
主催:公益財団法人 横浜市緑の協会/山手111番館
出演
加藤詩菜(ソプラノ)
フェリス女学院大学音楽学部演奏学科卒業。洗足学園音楽大学大学院音楽研究科修了。ウィーン国立音楽大学WienerMusikseminarディプロマ修了。第4回彩明ムジカコンコルソ第1回声楽部門「読売賞」受賞。第15回日本演奏家コンクール声楽部門「奨励賞」「協会賞」受賞。第83回横浜新人演奏会出演。声楽を、川上勝功、平松英子、ウーヴェ・ハイルマンの各氏に師事。東京室内歌劇場会員。横浜市民広間演奏会会員。現在、洗足学園音楽大学ミュージカルコース助手。東京音楽院、一音会ミュージックスクール講師。
曽禰愛子(メゾソプラノ)
鹿児島国際大学短期大学部音楽科卒業、同専攻科修了。洗足学園音楽大学大学院音楽研究科修了。ザルツブルグ・モーツァルテウム音楽大学夏季国際音楽アカデミーディプロマ修了。第28回鹿児島新人演奏会、第85回横浜新人演奏会出演。これまでに声楽を川上勝功、ウーヴェ・ハイルマンの各氏に師事。ヴォーカルアンサンブル・ヴィクトリア、Affetti mvsicaliメンバー。
曽禰寛純(フラウト・トラヴェルソ)
フルート演奏を経て、フラウト・トラヴェルソを独学で学び、慶應バロックアンサンブルで演奏。
1998年にリコーダーの朝岡聡と共に、アンサンブル山手バロックを結成し、横浜山手の洋館でのコンサートを継続。カメラータ・ムジカーレ同人。
加藤久志(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
コントラバス、エレクトリックベースギター、ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者。洗足学園音楽大学卒業。コントラバスを藤原清登、ヴィオラ・ダ・ガンバを藍原ゆきの各氏に師事。現在はDODO, Affetti mvsicaliなどで活動している。神奈川県川崎市在住。
野口詩歩梨(チェンバロ)(賛助出演)
桐朋学園大学音楽学部古楽器科卒業。同大学研究科修了。チェンバロを故・鍋島元子、アンサンブルを有田正広、本間正史、中野哲也の各氏に師事。さらにクイケン兄弟、モルテンセン氏などのレッスンを受ける。これまでに国内外の数々の音楽家や室内オーケストラと共演。“音の輝きをもとめて”と題したリサイタルシリーズ(2000〜2004年)やアンサンブル“ブラヴォー!バロック”のコンサートでは、チェンバロのソロ楽器としての可能性やアンサンブルにおける新たな存在感を示し、各方面より高い評価を得る。2011年ワオンレコードよりソロCD「バロックの華」をリリース(「レコード芸術」誌・準特選盤)。古楽情報誌「アントレ」製作ビデオ、吉岡次郎フルートリサイタルCD「疾風怒濤」等に出演。http://shihocem.petit.cc/
アンサンブル山手バロッコ第58回演奏会
山手111番館コンサート
歌と古楽器による
〜イタリアからの風に〜
Aria, Duet and Sonata in Italian Style
“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 第55回
プログラムノート
1998年より横浜西洋館でのコンサートを継続しているアンサンブル山手バロッコのコンサートへようこそ。ソプラノ、メゾソプラノの2人の歌手とフラウト・トラヴェルソ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、チェンバロという古楽器の組合せで、イタリアで生まれたバロックのオペラや器楽が、ヨーロッパを駆け抜けていく姿を、「イタリアからの風に」と題して、アリアやソナタを歌と器楽でお届けします。響きの良い山手111番館の吹き抜けの親密な空間で素敵な音楽をご一緒に味わいましょう。
♪♪♪
C.モンテヴェルディ
歌劇「ポッペアの戴冠」から“さらばローマよ”
C.Monteverdi/ Aria “Addio Roma” from Opera L'
incoronazione di Poppea
オペラは16世紀の終わり、ルネサンスからバロック音楽に切り替わろうとする頃、イタリアのフィレンツェで古代ギリシャの演劇を復興しようという動きとともに誕生しました。現存する最古のオペラは1607年にマントヴァで初演されたモンテヴェルディ作曲のオルフェオです。モンテヴェルディは、バロックの名前の由来ともなった、劇的で大胆な様式を開発し、多くの音楽家に影響を与える風を送ることになりました。「さらばローマよ」は最晩年の1642年に上演されたオペラ「ポッペアの戴冠」の中で歌われるアリアです。皇帝ネロの愛するポッペアの暗殺の企みが失敗に終わりすべてが明るみに出て、祖国ローマを追放される皇后オッターヴィアが歌うアリアです。
G.F.ヘンデル
9つのドイツアリアより“甘く香る竜涎香の花びらよ” HWV 204
G.F.Handel/ Aria “Süßer Blumen Ambra flokken” from 9 German
Arias
ヘンデルはドイツ生まれのバロックの大作曲家ですが、若き日にイタリアに渡り、そこで貴族の客人として遇され、ソナタ、カンタータ、オペラなどイタリア由来の音楽に没頭しました。その経験は、のちにロンドンに渡り、オペラ作曲家として開花することになります。さて、「甘く香る竜涎香の花びらよ」は、1720年代後半にドイツの詩人ブロッケスの詩に、オブリガード楽器と通奏低音を伴奏とし作曲された9つのアリアの中に含まれています。オペラやイタリアンカンタータと違い、このアリアの詩の内容は聖書や聖句に関連しているので、劇的な要素は少なく、大向こうをうならせるしかけもありませんが、オペラやカンタータの影響を色濃く受けています。
H.パーセル
「メアリー女王の誕生日のためのオード」より“トランペットを吹き鳴らせ” Z. 335
H.Purcell/"Sound the trumpet" from Ode
for Queen Mary's birthday
パーセルは若くして亡くなったイギリス最大の作曲家です。弱冠18歳で王室宮廷楽団の作曲家となり、1679年にはウエストミンスター寺院のオルガン奏者に、1682年には王室礼拝堂のオルガン奏者も歴任し、王室向けの追悼音楽や祝典音楽も作曲し、まさにイギリス音楽界のあらゆる重要な地位を獲得しましたが、働き盛りの30代半ばで夭折しました。パーセルはイタリアのオペラやアリアとイギリス由来の音楽を融合させ、個性的な曲を短い人生の中で数多く残しました。「トランペットを吹き鳴らせ」は、女王の誕生日に演奏されたおめでたい曲(オード)の中に含まれています。イギリス伝統の2小節単位で繰り返される低音(グラウンド)の上に、実際のラッパの代わりに、2人の歌手が勇ましいトランペットの音を模写し華やかな気分を作り出します。
J.M.ルクレール
フルート、ヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音のためのソナタ ニ長調
J.M.Leclair / Sonata for Flute, Viola da gamba
and Basso continuo in D-Major
アダージョ – アレグロ – サラバンド – アレグロ アッサイ
フランスバロック時代の作曲家ルクレールは、ルイ15世の頃ヨーロッパ中に名前をとどろかせたヴァイオリン奏者で、自分の楽器ヴァイオリンのためのソナタや組曲、合奏曲を作り、オペラも作曲した人気作曲家でもありました。ソナタ 二長調は、若いころに留学したイタリアで学んだソナタの形式を採りながらも、フランスの趣味であるサラバンドやタンブーランなどの舞曲の要素を上手に取り入れ個性的な世界を作り出しています。
J.S.バッハ
ゴルドベルク変奏曲より「アリア」
J.S.Bach/Aria from “Goldberg variations” BWV988
バッハは鍵盤の大家、対位法作曲の大家としても知られています。中でも1つのテーマに対位法や当時のさまざまなスタイルをくみあわせた30の変奏を付けたゴルドベルク変奏曲は特に有名な曲です。この曲のアリアは、バッハが奥様アンナ・マグダレーナに贈った音楽帳に書き込まれており、一家のお気に入りの曲だったのでしょう。
J.S.バッハ
コーヒー・カンタータ BWV 211より アリア“ああ、なんて美味しいの、コーヒーは!”
J.S.Bach/ Aria “Ei! wie schmeckt der Coffee süße” from
BWV211
コーヒー・カンタータ「そっと黙って、おしゃべりなさるな」は、バッハが音楽監督を務めたライプチッヒの社交場であったコーヒーハウスで、1734年頃に演奏された音楽劇です。バッハは生涯オペラを書く機会に恵まれませんでしたが、この曲は一種の室内オペラと呼んでもよいような仕立てになっています。当時大流行のコーヒーのとりこになった娘リースヒェンと、コーヒーという当時女らしくないと考えられていた習慣をやめさせたい父親とのやり取りがユーモラスに描かれています。音楽的にも新しいギャラントな様式が積極的に取り入れられています。アリア「ああ、なんて美味しいの、コーヒーは!」は、娘リースヒェンが、コービーへの憧れを、甘いフルートの音色に導かれ歌うものです。
J.S.バッハ
カンタータ「イエスよ、あなたはわが魂を」 BWV78よりデュエット“私たちは急ぐ”
J.S.Bach/Duet “Wir eilen mit schwachen” from Cantata “Jesu, der du meine Seele”
ライプチッヒの音楽監督の第一の仕事としてバッハは毎週日曜には礼拝のための曲(カンタータ)を演奏しました。カンタータはもともとイタリアで生まれた独唱と通奏低音からなる世俗的なジャンルです。ドイツに渡り、教会音楽に影響を与えました。デュエット「私たちは急ぐ」は、こうした教会音楽に含まれる2重唱ですが、神様への愛により、おぼつかない、けれどもたゆまぬ、喜ばしい歩みを表す曲です。
(曽禰寛純)
アンコール
たくさんの拍手をいただきましたので、ヘンデルのオペラ「ジュリアスシーザー」からデュエット「慕わしい人!美しい人!」をお届けします。
ありがとうございました。
これまでの演奏会へ戻る