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51st Concert
アンサンブル山手バロッコ第51回演奏会
山手234番館 バロック・コンサート
山手234番館で味わう「バッハの家庭音楽」
"Bach’s House music in Yamate Bluff234”
“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 第43回
2013年11月16日(土)18時開演 山手234番館 レクチャールーム(元町公園前)
18:00 9th November. 2013 at Yamate Bluff 234
主催:公益財団法人 横浜市緑の協会/山手234番館
後援 横浜アーツフェスティバル実行委員会
出演
崎川 晶子:チェンバロ
Akiko Sakikawa (Cembalo)
桐朋学園大学ピアノ科卒業。ピアノを故井口基成、兼松雅子、ジャン=クロード・ヴァンデンエイデン、指揮伴奏を故斎藤秀雄に師事。
ベルギーにてチェンバロに開眼し、シャルル・ケーニッヒ、渡邊順生、パリの古楽コンセルヴァトワールでノエル・スピース、フォルテピアノをパトリック・コーエンに師事。
ドレスデンカンマーゾリステン、デイヴィッド・トーマスなど外国アーティストとも共演多数。
現在ソロ、コンチェルト、室内楽など多方面で活躍中。ソロCD「ア川晶子/クラヴサンの魅力」「モーツァルトの光と影」「夢見る翼」(ア川晶子のために書き下ろされた上畑正和作品集)等をレリース、好評を博している。
「モーツァルト・フォルテピアノ・デュオ」(渡邊順生氏と共演)は、2006年度レコードアカデミー賞(器楽部門)受賞。「音楽の泉シリーズ」主催。
2011年にはCD[バッハ/アンナ・マグダレーナ・バッハのための音楽帳」をレリース、各誌で絶賛を受ける。
曽禰愛子(メゾソプラノ)
Aiko Sone
(Mezzo Soprano)
声楽を川上勝功氏、U.ハイルマン氏に師事。鹿児島国際大学短期大学部音楽科及び同専攻科修了。鹿児島県新人演奏会に出演。
現在、洗足学園音楽大学大学院在学中。
アンサンブル山手バロッコ第51回演奏会
山手234番館 バロック・コンサート
山手234番館で味わう「バッハの家庭音楽」
"Bach’s House music in Yamate Bluff234”
本日の山手234番館のバロック・コンサートは、横浜音祭り2013連携イベントとして、親密な西洋館の空間でバッハの家庭音楽を楽しみます。バッハは、大作曲家・演奏家であると同時に、優れた教育家であり、愛妻家でもありました。日本を代表するチェンバロ/フォルテピアノ奏者である崎川晶子さんの案内で、バッハが妻や息子たちに贈った音楽帳の音楽を紹介します。バッハ家の家庭音楽の雰囲気をご一緒に味わいましょう。
J.S.バッハ(1685〜1750) /
J.S.Bach:
メヌエット ト長調/ト短調
Menuett in G-Major/g-minor
フランス組曲 第4番 変ホ長調 BWV 815から
French Suites in Eb Major BWV 815
アレグロ - ラルゴ
- アレグロ
Allegro – Largo – Allegro
ジョバンニーニのアリア「あなたの心を下さるのなら」 BWV518
Aria di Giovannini ''Willst du dein Herz mir
schenken'' BWV518
(歌詞大意)
あなたの心をくれるのなら、ひそかに始めてください。
わたしたちの恋を、悟られない用心を。愛し合う二人の想いは、いつも秘めておかなければ。
だから極上の喜びを、心にしまっておきましょう。
用心深く沈黙を守って、壁を信じないこと。
恋を秘密にして、なにくわぬ顔をしていなければ。仮面をかぶり、疑いを引き起こさないように。
大切なあなたが、心がわりしなければそれでよい。
優しく見つめなくても、悲しんではいけない。
嫉妬が悪意で、わたしたちの絆を取り囲んでいるから。恋の胸のうちを明かさないようにしなければ。
わたしたちの喜びは、秘めておかなければ。
情熱に身をまかせ、あぶない目にあったことは数知れない。
不実な目に見はられているのだから、よく自分を見つめることだ。この教訓を心にとめておくように。
あなたの心をくれるのなら、ひそかに始めてください。
C.Ph.エマニュエル・バッハ(1714〜1788) /
C.Ph.E.Bach:
マーチ ニ長調 BWV
Anh.122
Marche
D-dur BWV Anh.122
ヴュルテンベルク・ソナタ 第3番 ホ短調 Wq49-3
Württemberg
Sonata No. 3 in e-minor Wq49-3
伝J.S.バッハ(1685〜1750) (G.H.シュテルツェル)/
Attributed to J.S.Bach (Gottfried Heinrich Stoelzel):
アリア 「御身が傍にいれば」 BWV508
Aria “Bist du bei mir”
BWV508
(歌詞大意)
あなたがそばにいてくれるなら、私は喜んで向かえます、永遠の安らぎへ。
ああ、どんな幸せでしょう、私の最期は。
あなたの美しい手で、この大切な瞳を閉じてくれるなら。
J.S.バッハ(1685〜1750) / J.S.Bach:
レシタティーヴォとアリア 「私は満ち足りている」 BWV82
Recitativo and Aria “Ich habe genug” BWV82
(歌詞大意)
私は満ち足りている。私の慰めはただひとつ、イエスが私のものとなり、私がイエスのものとなること。
私はイエスを信じて離さない、私もシメオンのように、来世に生きる喜びを知っているから。
この人とともに進もう。ああ、主よ、私をこの肉体の鎖から救ってください。
ああ、私の別れの時が近いのなら、私は喜んでこの世に言おう、私は満ち足りていると。
アリア
眠れ、疲れた眼(まなこ)よ。清らかな安らぎのうちに、そっと閉じよ。
この世よ、私はもはやここに留まることはない、
魂のためになるものをお前はもう私に与えてはくれないのだから。
この世では苦しみや悲しみが増すばかり、しかしあの世、あの世では、
甘美な安らぎと静かな休息に出会うだろう。
パルティータ 第6番 ホ短調 BWV830より
Partita No.6 in E minor, BWV 830
♪♪♪
プログラム・ノート
バッハは、1685年生まれのドイツの作曲家です。バッハは、代々音楽家の家系に生まれ、幼い時から、パイプオルガン、チェンバロの鍵盤楽器に優れた腕前を発揮しました。近隣の教会のオルガニスト、宮廷の音楽家などにはバッハの一族が名前を連ねていましたし、親戚で集まると宴会と音楽会をあわせたような楽しみも多く開かれていましたので、生まれながらにして音楽に親しみ、その手ほどきを受け成長したのだと思います。
バッハは、2度の結婚で20人の子供に恵まれましたが、成人した息子は5人全員が音楽家になり、次男C.Ph.エマニュエルのように次の世代の重要な作曲家になった人もいます。バッハは、友人に宛てた手紙で「我が家の子供は生まれながらの音楽家なのです」と誇らしげに書いています。ヨーロッパ各地から名演奏家が高名なバッハに会うためにバッハ家を訪れていたようで、バッハの家族とその名手たちとの共演する家庭音楽会は本当に贅沢な時間だったのでしょう。音楽室に飾られたいかめしい肖像画やミサ曲や受難曲などの大曲から想像される教会音楽家の世界以外に、家庭音楽などのくつろいだ音の世界もバッハを代表するもうひとつの顔なのだと思います。
このバッハの家庭的な一面が現代までに残されているのが、1725年に、奥さんで歌手でもあったアンナ・マグダレーナに贈った音楽帳です。ここには、バッハが書き込んだバッハ自身の曲はもちろん、ドイツ、フランスなどの作曲家の曲や、幼い筆跡で書き込まれた子供たちの曲も含まれていて一家団欒の世界がみえるようです。
メヌエット ト長調/ト短調は、この音楽帳に記されたかわいい小曲。今ではバッハの作ではないことが確実視されていますが、長くバッハのメヌエットとして親しまれて来ました。また、この音楽帳には、本格的なチェンバロ曲も多数記載されています。現在フランス組曲 第4番、パルティータ 第6番としてバッハの代表作として知られる曲も、アンナ・マグダレーナに贈られ、家庭で何度も聴かれた曲なのでしょう。
宮廷で優れたソプラノ歌手として活躍していたアンナ・マグダレーナは、忙しい子育てや家事のかたわら結婚後もお祝いの席や一家の団欒でその歌声を披露したようです。バッハは、この音楽帳にいくつも歌曲を書き込んでいます。アリア「御身が傍にいれば」、アリア「あなたの心を下さるのなら」は、家庭音楽会を想像させる歌曲、レシタティーヴォとアリア「私は満ち足りている」は、バッハが何度も演奏した同名の教会カンタータの中核をなす曲で、バッハと奥様のお気に入りの曲だったに違いありません。
音楽帳に幼い筆跡で、マーチやミュゼットという小曲を書き込んでいた次男エマニュエルは、立派な音楽家に成長し、ベルリンの宮廷音楽家を経て、ハンブルクの音楽監督として大活躍をし、ハイドンやモーツァルトにも多大な影響を及ぼしました。ヴュルテンベルク・ソナタは、ベルリン時代の1742年にヴュルテンベルク大公に捧げられた6曲のソナタで、音楽家としての名声を確立した曲集です。父親譲りバロックの伝統を土台にし、エマニュエルの個性を開花させ新たな時代の扉を開きました。
(アンサンブル山手バロッコ 曽禰寛純)
アンコール
どうもありがとうございました。
沢山の拍手をいただきましたので、
バッハのコラール「幸いなるかな、おお魂の友よ」 BWV 517 - Wie wohl ist
mir, o Freund der Seelen,
BWV 517
をお送りします。
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