これまでの演奏会へ戻る

 NEW!!
47th Concert

  

アンサンブル山手バロッコ第47回演奏会

山手111番館  バロックコンサート
フルートとファゴットの妙技

A feat of Flutes and Fagot

“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 第38

2013324日(日)18時開演(1730分開場) 山手111番館(横浜市中区山手町111
18
00 24th March 2013 at Yamate Bluff 111

 

主催:公益財団法人 横浜市緑の協会/山手111番館

 

出演

国枝 俊太郎:リコーダー、フラウト・トラヴェルソ(賛助出演)

東京都出身。リコーダーを安井敬、フラウト・トラヴェルソを中村忠の各氏に師事。1995年開催の第16回全日本リコーダー・コンテスト「一般の部・アンサンブル部門」にて金賞を受賞。これまで東京リコーダー・オーケストラのメンバーとしてNHK教育テレビ「ふえはうたう」などに出演、CD録音にも参加する。現在はバロック室内楽を中心に、リコーダー・アンサンブルによるルネサンス〜現代までの作品や、ギターとのアンサンブルによる19世紀のサロンピースの演奏、さらには古楽器オーケストラによる数々の演奏会に出演するなど、幅広く活動している。ルネサンス・フルート・コンソート「ソフィオ・アルモニコ」メンバー。バロックアンサンブル「クラングレーデ」メンバー。

 

永谷 陽子:バロック・ファゴット(賛助出演)

桐朋学園大学卒業。同大学研究科修了。桐朋オーケストラアカデミー修 了。ファゴットを浅野高瑛、武井俊樹、馬場自由郎各氏に、バロック・ファゴットを堂阪清高氏に師事。09年、第12回古楽の森コンサートに、バロック・ファゴットソロで出演。モダン、クラシカル、バロック、ファゴット奏者としてオーケストラ、室内楽等で活躍。八王子音楽院講師、日本大学芸術学部演奏補助員を勤める。09CD「ヴィヴァルディ:協奏曲『恋人』江崎浩司」にバロック・ファゴットで参加。マイスターミュージックより発売中。バロックアンサンブル「ダブルリーズ」メンバー

 

アンサンブル山手バロッコ

1998年、横浜山手の洋館「山手234番館」のリニューアルに行なわれた記念のコンサートをきっかけに、山手在住のリコーダー愛好家・朝岡聡を中心に結成された古楽器を使った演奏団体。継続的に横浜山手の洋館での演奏活動を続けています。
また、西洋館でのコンサート「洋館で親しむバロック音楽」などの企画・プロデュース、古楽祭「横浜・西洋館de古楽」にも演奏・運営を通じて参加し、バロック音楽を分かりやすく伝える活動も行っています。本日の演奏メンバーを紹介します。

 

曽禰寛純(フラウト・トラヴェルソ)

フルート演奏を経て、フラウト・トラヴェルソを独学で学び、慶應バロックアンサンブルで演奏。1998年にリコーダーの朝岡聡と共に、アンサンブル山手バロックを結成し、横浜山手の洋館でのコンサートを継続。カメラータ・ムジカーレ同人。

 

角田幹夫(ヴィオラ・ダ・ガンバ)

慶應バロックアンサンブルでヴァイオリンを演奏。独学でヴィオラ・ダ・ガンバを学ぶ。現在、カメラータ・ムジカーレ同人。アンサンブル山手バロッコ発足メンバー。

和田章(チェンバロ)

小林道夫にチェンバロを師事。慶応バロックアンサンブルで演奏。カメラータ・ムジカーレ同人。当アンサンブル発足メンバー。

 


 

アンサンブル山手バロッコ第47回演奏会

山手111番館  バロックコンサート
フルートとファゴットの妙技

A feat of Flutes and Fagot

“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 第38

 

 山手111番館は、広い芝生を前庭とし、ローズガーデンを見下ろす住宅として1926年に建てられました。設計者は、J.H.モーガン。本日は、国枝俊太郎さんと永谷陽子さんをゲストにお迎えし、当時のヨーロッパの宮廷や貴族の館で演奏された室内楽曲を歴史的雰囲気漂う西洋館でお届けします。バロック時代にはフルートといえばリコーダーを意味し、ルネサンス時代からの活躍の頂点を迎えていました。一方でフルートは18世紀のはじめに登場し、「横吹きのフルート(フラウト・トラヴェルソ)」と呼ばれる新鋭の楽器でした。また、ファゴットは長らく低音を補強する役割が大きかったものが、バロック時代には室内楽や協奏曲のソロで活躍する楽器として変化しました。 

 

ボワモルティエ(1682-1765 
J.B.Boismortier
 

トリオソナタ ト長調 op.37-1

J.B.Boismortier / Trio Sonata G-Major op.37-1

アレグロ − アダージョ − アレグロ
Allegro Adagio Allegro

 ボワモルティエ(1682-1765)は歴史上初めてのフリーランスの音楽家として名が知れていますが、パトロンの援助で生活が成り立つという芸術家がほとんどだった時代を考えれば、これは非常に珍しい事でした。彼は1724年に最初の作品を発表して以来、1747年までの間にパリで実にたくさんの曲を作曲し続けました(彼自身の手によってop.102までの作品番号が付されています)。今日取り上げるトリオソナタが含まれているop.371732年にパリで出版されたもので、表紙には各種の楽器の組み合わせが挙げられていますが、今回はフルート、ファゴットと通奏低音で演奏いたします。

 

バッハ(1685-1750
J.S.Bach(?)

フルートとチェンバロのためのソナタ 変ホ長調 (BWV1031)

Sonata for Flauto traverso and Cembalo E flat-Major (BWV1031)

アレグロ・モデラート − シチリアーノ − アレグロ
Allegro moderato - Siciliano
 – Allegro

バッハ(1685-1750)はバロック最大の音楽家ですが、当時は鍵盤楽器演奏の大家として知られていました。フルートとチェンバロのためのソナタ 変ホ長調はバロックからクラシックへ橋渡しされる気分を持ったバッハには珍しい分かりやすい曲想を持った作品です。(バッハの真作として出版されましたが、その後の研究で、自筆譜や様式の点で、バッハの息子(エマヌエル・バッハ)の作ではないかと考えられています。作曲家は誰であれ良い曲であることに変わりはありません。) 構成は、トリオソナタを2人で演奏する形になっており、チェンバロ(右手、左手)とフルートでの三重奏の形で作られています。チェンバロの独奏から始まりフルートと掛け合いの楽しい曲想の第1楽章、フルートの悲しげなメロディーにチェンバロが寄り添う有名なシチリアーノの第2楽章が続き、軽快な2部分形式の第3楽章で締めくくります。

 

ファッシュ(1688-1758
J.F.Fasch

ファゴットと通奏低音のためのソナタ ハ長調

Sonata for Fagot and Basso continuo C-Major

ラルゴ − アレグロ − アンダンテ − アレグロ・アッサイ
Largo - Allegro- Andante
Allegro assai

 

ファッシュ(1688-1758)はバッハと同時代のドイツの作曲家です。ライプツィヒ大学在籍中に設立した「コレギウム・ムジクム」は同市ではトーマス学校と同じくらい有名なものとなりました。後にこの団体の責任者になったバッハも、ファッシュの作品を編曲して演奏しています。死後、その作品は忘れられてしまいましたが、20世紀になってファッシュはバロック後期から古典様式への過渡期の重要な作曲家であると見直されています。ファゴットソナタ ハ長調は、伸びやかな楽想の魅力的な曲で、技巧的な部分も和声的には分かり易い進行で作られているなど、古典派風のソナタです。

 

ヴィヴァルディ(1678-1741

A.Vivaldi

トリオソナタ イ短調 RV.86

Sonata for Recorder, Fagot and Basso continuo a-minor  RV.86

ラルゴ − アレグロ − ラルゴ − アレグロ モルト 

ヴィヴァルディ(1678-1741)は協奏曲集「四季」で有名な作曲家ですが、同時に急--急の3楽章からなる協奏曲の形を完成させた人としても重要です。一方で緩---急の4楽章からなるソナタの分野でも多くの作品を残しました。トリオ・ソナタ イ短調は高音域のリコーダーと低音域のファゴットを独奏楽器として組み合わせてちょっと変わった、しかしとても魅力的な味付けがされたトリオソナタです。ヴィヴァルディが教えていたヴェネツィアの女子孤児院の生徒達が自慢の腕を披露するために作曲されたと考えられていますが、活発に動き回るリコーダーと、それに負けじと同じように技巧的なパッセージを演奏するファゴットの姿が微笑ましく、多くの人から喝采とともに愛されたことでしょう。

 

テレマン(1681-1767
G.Ph.Telemann

ファゴットと通奏低音のためのソナタ ヘ短調 《忠実な音楽の師》より

Sonata for Fagot and Basso Continuo f-minor from Der getreue Musikmeister

トリステ − アレグロ − アンダンテ − ヴィヴァーチェ 
Triste
 – Allegro – Andante – Vivace

 テレマン(1681-1767)は、バッハと同時代のドイツの音楽家で、当時はバッハを遥かにしのぐ名声を獲得していました。この時代のドイツの音楽家たちは、イタリア様式とフランス趣味を競って融合しましたが、テレマンほど巧みに行った作曲家はなく、また、楽器の特性を知り尽くし聴いても演奏しても楽しい音楽を作曲しました。テレマンは商売の点でも才能を発揮し自ら楽譜出版を企画し、高い評価を得ていました。

「忠実な音楽の師」は、1728年に出版された曲集です。ファゴットと通奏低音のためのソナタは、ヘ短調という悲しみを表す調性を選び、第1楽章の悲しみのモチーフから、その感情(アフェクト)に引き込みます。その後に続く、急--急の3つの楽章も、深い思いを継続しながら展開します。

 

テレマン(1681-1767
G.Ph.Telemann

ファゴット、2つのフルートと通奏低音のための四重奏曲ニ短調  《食卓の音楽》第2集より

Quartet for Fagot, two Flutes and Basso Continuo d-minor from Musique de Table” Prod.II

ラルゴ - アレグロ - アンダンテ - アレグロ
Largo
 – Allegro – Andante – Allegro

「食卓の音楽」は1733年に3つの曲集として出版されました。出版予約名簿の中には、ヘンデルやクヴァンツなど当時の有名作曲家の名もあり人気のほどがうかがわれます。ファゴット、2本のフルートと通奏低音のための四重奏曲は、第2集に収められた四重奏曲で、一般にはリコーダーと2本のフルートで演奏されますが、テレマン自身の指示で、ファゴットと2本のフルートという構成も可能です。ファゴットのソロと2本のフルートが織りなす響きにテレマンならではの魅力をたたえた名曲です。ファゴットによる協奏的名人芸が展開される第2楽章、ポーランド風の野趣に富んだ主題の第4楽章などが特徴的です。

             

アンコール

どうもありがとうございました。

沢山の拍手をいただきましたので、

テレマン:2本のフルート、ファゴットと通奏低音のための四重奏曲 TWV43:G3より 第2楽章 Giocando(楽しそうに)

をお送りします。

 

ありがとうございました。

これまでの演奏会へ戻る

Home