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42nd Concert
アンサンブル山手バロッコ第42回演奏会
バッハ・ささげる音楽
"Bach & Musical Offering”
“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 第27回
2012年4月22日(日) 午後2時開演 山手111番館(横浜市中区山手町111)
14:00am 22nd April. 2012 at Yamate Bluff 111
主催:公益財団法人 横浜市緑の協会/山手111番館
出演 アンサンブル山手バロッコ
わたしたち「アンサンブル山手バロッコ」は、98年、横浜山手の洋館 山手234番館のリニューアルに行なわれた記念のコンサートをきっかけに、山手在住のリコーダー愛好家 朝岡聡を中心に結成された、バロック時代の楽器(古楽器)を使った演奏団体で、継続的に山手の洋館での演奏活動を続けています。本日の演奏メンバーを紹介します。
曽禰寛純 (フラウト・トラヴェルソ)
Hirozumi Sone (Flauto Traverso)
フルート演奏を経て、フラウト・トラヴェルソを独学で学び、慶應バロックアンサンブルで演奏。1998年にリコーダーの朝岡聡と共に、アンサンブル山手バロックを結成し、横浜山手洋館でのコンサートを継続。カメラータ・ムジカーレ同人。
国枝俊太郎(フラウト・トラヴェルソ) (賛助出演)
Shuntaro Kunieda (Flauto Traverso) Guest
東京都出身。リコーダーを安井敬、フラウト・トラヴェルソを中村忠の各氏に師事。1995年開催の第16回全日本リコーダー・コンテスト「一般の部・アンサンブル部門」にて金賞を受賞。これまで東京リコーダー・オーケストラのメンバーとしてNHK教育テレビ「ふえはうたう」などに出演、CD録音にも参加する。現在はバロック室内楽を中心に、リコーダー・アンサンブルによるルネサンス〜現代までの作品や、ギターとのアンサンブルによる19世紀のサロンピースの演奏、さらには古楽器オーケストラによる数々の演奏会に出演するなど、幅広く活動している。ルネサンスフルートコンソート「ソフィオアルモニコ」、バロックアンサンブル「クラングレーデ」メンバー。
角田幹夫(バロック・ヴァイオリン)
Mikio Tsunoda
(Baroque Violin)
慶應バロックアンサンブルでヴァイオリンを演奏。独学でヴィオラ・ダ・ガンバを学ぶ。現在、カメラータ・ムジカーレ同人。アンサンブル山手バロッコ発足メンバー。
渡辺比登志(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
Hitoshi Watanabe (Viola da gamba)
慶応バロックアンサンブルでチェロを演奏。ヴィオラ・ダ・ガンバを神戸愉樹美氏に師事。カメラータ・ムジカーレ同人。
和田章 (チェンバロ)
Akira Wada(Cembalo)
小林道夫にチェンバロを師事。慶応バロックアンサンブルで演奏。カメラータ・ムジカーレ同人。当アンサンブル発足メンバー。
曽禰愛子(メゾソプラノ)
Aiko Sone
(Mezzo Soprano)
声楽を川上勝功氏、U.ハイルマン氏に師事。鹿児島国際大学短期大学部音楽科及び同専攻科修了。鹿児島県新人演奏会に出演。現在、洗足学園音楽大学大学院在学中。
アンサンブル山手バロッコ第42回演奏会
バッハ・ささげる音楽
"Bach & Musical Offering”
山手111番館は、広い芝生を前庭とし、ローズガーデンを見下ろす住宅として1926年に建てられました。設計者は、ベーリック・ホールを設計したJ.H.モーガン。本日は、フラウト・トラヴェルソ奏者 国枝俊太郎さんをお迎えし、宮廷や国王、そして神様に捧げたバッハと長男フリーデマンの名曲をお届けします。J.H.モーガンの代表作である素晴らしい西洋館の親密な空間で、ご一緒に「ささげる音楽」を味わいたいと思います。
W.F.バッハ(1710〜1784) /
W.F..Bach
2本のフルートと通奏低音のためソナタ イ短調 Falck-49
Sonata for
two flutes and basso continuo a-minor Falck-49
アレグロ
Allegro
バッハの長男、ヴィルヘルム・フリーデマンは、特に父親が手塩にかけて音楽教育をしたことで有名です。10歳の時に父親より、「フリーデマン・バッハの音楽帳」が与えられ、鍵盤楽器の演奏と作曲技法の訓練がされました。フリーデマンは父親の英才教育を受け、ドレスデンの宮廷やハレのオルガニストとして音楽家として好スタートを切りましたが、性格的にも不安定な部分が多かったようで、晩年にはベルリンで音楽教師を務め不遇のなかで人生を終えました。この2本のフルートと通奏低音のためのソナタはドレスデンの宮廷のフルートの名手に捧げられたのではないかと考えられています。この曲は特異な形で現代に伝わっています。通常3楽章からなる曲が、第2楽章の8小節を書いたところで中断した形でのみ残されていることです。第1楽章は、父親譲りの堂々たるフーガの要素を組み込んだ、異例ともいえる重厚で長大な構成になっていますので、(後で完成させるつもりだったかは不明ですが)この楽章に釣り合う曲を書き続けるのが難しくなったのでは、と想像したくなります。
J.S.バッハ(1685〜1750)
J.S.Bach
アリア「選ばれた魂よ、喜びなさい」 カンタータ第34番 BWV34より
アリア「主よ 憐れみたまえ」 マタイ受難曲 BWV244より
Aria “Wohl euch, ihr auserw hlten Seelen”
from Cantata “O ewiges Feuer, o Ursprung der Liebe” BWV34
Aria “Erbarme dich,mein Gott” from St. Mathew
Passion BWV244
J.S.バッハはその生涯を、宮廷または教会での音楽に捧げました。特に1722年から1750年に亡くなるまで、ライプチッヒの音楽監督として、神様に捧げる音楽、カンタータやオラトリオ、ミサ、受難曲など珠玉の名作を多数生み出しました。アリア「選ばれた魂よ、喜びなさい」は、バッハ最晩年のカンタータ「おお永遠の火よ、愛の源よ」に含まれています。カンタータとは教会で礼拝とともに演奏される音楽です。このアリアは、神様と信者の魂の結びつきを喜ぶ歌詞になっていますが、自作の結婚式のお祝いの曲を転用したもので、新郎新婦を羊と羊飼いの結びつき譬えて祝福する大人の子守歌の曲想になっています。
(歌詞大意)
お前たちは幸せです、選び出された魂よ/神が住まいへと定められたのですから/
誰がこれ以上大きな救いを選べるでしょうか/誰がこれほどの祝福を数えることができるでしょうか
このことは主によってなされたのです
(訳:礒山雅)
続いて演奏するアリア「主よ
憐れみたまえ」は、おそらくバッハの声楽曲の中でももっとも有名でかつ感動的な曲だと思います。マタイ受難曲の中で、イエスを否認したペトロの深い後悔をバッハはシチリアーノ舞曲のリズムで嘆きの音型を演奏する独奏ヴァイオリンと階段状に下降する低音で表現しています。本日は、ヴァイオリン独奏、フルートと通奏低音の伴奏の形で演奏します。
(歌詞大意)
憐れんでください、神よ/私の涙ゆえに/ご覧ください/心も目も御前に激しく泣いています/
憐れんでください、神よ/私の涙ゆえに
(訳:礒山雅)
J.S.バッハ(1685〜1750)
J.S.Bach
フルートと通奏低音のためソナタ ホ短調 BWV-1034
Sonata for Flute and Basso continuo e-minor BWV-1034
アダージョ・マ・ノン・タント - アレグロ – アンダンテ – アレグロ
Adagio ma non tanto – Allegro - Andante - Allegro
バッハはライプツィヒで朋友テレマンの設立した市民向け演奏団体「コレギウム・ムジクム」を引き継ぎ、市の名物に仕立て上げました。
フルートと通奏低音のためのソナタ ホ短調の作曲年代は不明で、ライプツィヒに就職する前にいたケーテンの宮廷楽長時代に殿様のために作曲したという説や、このコレギウム・ムジクムで市民のために演奏されたのではないかという説があります。いずれにせよ、当時のフルートの能力をいっぱいに引き出し、曲の深みだけでなく演奏効果も高いことからか、いくつもの写譜が残されています。バッハには、フルートの名手であった息子ベルンハルトがいましたので、市民に腕前を披露させる機会があったのかもしれません。 曲は当時の様式どおり緩・急・緩・急の4楽章から構成されています。
.J.S.バッハ
J.S.Bach
J.S.バッハ / 「音楽の捧げもの」 BWV1079より
3声のリチェルカーレ
“Ricercar a 3” from “Musical
Offering” BWV-1079
トリオソナタ ハ短調
Sonata for Flute, Violon and
Basso continuo c-minor from
“Musical Offering” BWV-1079
ラルゴ - アレグロ - アンダンテ - アレグロ
Largo – Allegro - Andante - Allegro
バッハは晩年、次男エマニュエル・バッハが宮廷鍵盤楽器奏者として仕えていたベルリンのフリードリッヒ大王の宮廷を訪問しています。この機会に大王の与えた主題を元に作曲し自費出版し献呈した「音楽の捧げもの」は晩年の名作として良く知られています。本日は大王の前でバッハが即興演奏したものを楽譜にとどめたと考えられる3声のリチェルカーレ(探究するといった意味です)と、大王の愛する楽器フルートを参加させたトリオソナタを演奏します。どちらも宮廷のギャラントな趣味を取り入れながらも、声部や楽器の掛け合いなどが駆使されており、対位法の名人として招かれたバッハの面目躍如な曲と言えましょう。
アンコール
どうもありがとうございました。
沢山の拍手をいただきましたので、
音楽の捧げもの(BWV1079)より 無限カノン
マニフィカート(BWV243)よりアリア「飢える者を良いもので満たし」
をお送りします。
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