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40th
Concert
木島千夏 西洋館コンサート Vol.8
アンサンブル山手バロッコ第40回演奏会
山手聖公会に響く
バッハ・ヘンデルの宗教曲
"The Sacred Music of Bach & Handel”
“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 第22回特別コンサート
2011年10月8日(土)午後2時開演(1時半開場) 横浜山手聖公会
14:00 8th October. 2011 at Yamate
Christ Church
主催: アンサンブル山手バロッコ 協力:横浜山手聖公会/財団法人横浜市緑の協会 楽器提供・協力: 木村秀樹(オルガン製作家)
木島千夏(ソプラノ)
Chinatsu Kijima (Soprano)
桐朋学園大学声楽科を経て、同音楽大学研究科2年修了。
国立音楽大学卒業後、同大学音楽研究所の研究員として、バロック歌唱の研究と演奏活動に従事。
川口絹代、橋本周子に師事。92年英国へ留学し、J.キャッシュに声楽を師事、ギルドホール音楽院にて E.カークビー、D.ロブロウ、 N.ノースのレッスンを受ける。
第30回ブルージュ国際古楽コンクールにて4位入賞。翌年同音楽祭に招待され、モーツァルトの「聖墓の音楽」のソロ等を歌う。W.Christie指揮によるシャルパンティエのオペラ公演「ダヴィデとヨナタン」に参加。
帰国後は、バロックを専門にグレゴリオ聖歌から現代曲まで幅広いレパートリーに取り組みソリストまたはアンサンブルで活躍している。
2002年より横浜山手の洋館でのリサイタルを継続している。現在、聖グレゴリオの家教会音楽科講師。
大山有里子(バロック・オーボエ、オーボエ・ダモーレ)
Ariko Ohyama(Baroque Oboe, Oboe damore)
大阪教育大学音楽科卒業。同大学専攻科修了。オーボエを大嶋彌氏に師事する。卒業後、関西を中心に活動し、大阪コレギウム・ムジクムのソロオーボエ奏者として、バロック時代の作品を中心に数多くの月例演奏会、定期演奏会等に出演する。
そのかたわらピリオド楽器によるバロック音楽の演奏に興味を持ち、バロック・オーボエを始める。これまでに各地でピリオド楽器によるオーケストラやアンサンブルに参加し、現在は関東を中心に活動している。
バロックアンサンブル「アルモニー・アンティーク」、「クラングレーデ」メンバー。
吉田恵(ポジティフ・オルガン)
Megumi Yoshida (Organ)
東京藝術大学オルガン科及び同大学院修士課程修了、ハンブルグ音楽大学卒業。オルガンを島田麗子、廣野嗣雄、Z.サットマリー、W.ツェラー、チェンバロを山田貢、通奏低音及び即興実技を鈴木雅明、室内楽をダルムシュタットの各氏に師事。
91年 ブルージュ国際オルガンコンクールにてバッハ・モーツァルトプライスを受賞。94年ハンブルグ聖ヨハネ教会コンサートシリーズに出演、第一回ABCオルガンオーディションに合格。
94年より、札幌、盛岡、新潟、静岡、愛知、宮崎各地のコンサートホールでの公演のほか、サントリーホール、カザルスホール、東京芸術劇場、府中の森芸術劇場、武蔵野市民文化会館等でも公演。
1998年より2002年まで新潟市民芸術文化会館の専属オルガニストを、2006年より2009年までミューザ川崎シンフォニーホール・ホールオルガニストを務めた。
2004年から2010年まで日本大学カザルスホールにて、全12回のJ.S.バッハオルガン作品全曲演奏会を行った。現在、日本大学藝術学部音楽学科講師。
寺村朋子(チェンバロ)
Tomoko Teramura (Cembalo)
東京芸術大学音楽学部チェンバロ科卒業。同大学大学院修士課程修了。
チェンバロと通奏低音を、山田貢、鈴木雅明の両氏に師事。第7回古楽コンクール・チェンバロ部門第2位入賞。
シエナ、ウルビーノ、インスブルック、アントワープなど国内外のアカデミーに参加し研鑽を積む。NHK「FMリサイタル」に出演。その他多くの団体と様々なコンサート活動を行う。
トリム楽譜出版より1999年「フルート・バロックソナタ集」、2002年「JS.バッハ作品集」(2009年再版)を編曲、出版。
宮地楽器小金井アネックス・チェンバロ科講師。2010年 チェンバロソロCD「カプリッチョ」(レコード芸術準推薦盤)レリース。
出演 アンサンブル山手バロッコ
わたしたち「アンサンブル山手バロッコ」は、98年、横浜山手の洋館 山手234番館のリニューアルに行なわれた記念のコンサートをきっかけに、山手在住のリコーダー愛好家 朝岡聡を中心に結成された、バロック時代の楽器(古楽器)を使った演奏団体で、継続的に山手の洋館での演奏活動を続けています。本日の演奏メンバーを紹介します。
曽禰寛純(フラウト・トラヴェルソ)
Hirozumi Sone (Flauto Traverso)
フルート演奏を経て、フラウト・トラヴェルソを独学で学び、慶應バロックアンサンブルで演奏。1998年にリコーダーの朝岡聡と共に、アンサンブル山手バロックを結成し、横浜山手の洋館でのコンサートを継続。カメラータ・ムジカーレ同人。「横濱・西洋館de古楽2011」実行委員会事務局長。
角田幹夫(バロック・ヴァイオリン)
Mikio Tsunoda
(Baroque Violin)
慶應バロックアンサンブルでヴァイオリンを演奏。独学でヴィオラ・ダ・ガンバを学ぶ。現在、カメラータ・ムジカーレ同人。アンサンブル山手バロッコ発足メンバー。
原田純子(バロック・ヴァイオリン)
Junko Harada (Baroque Violin)
慶應バロックアンサンブルでヴァイオリンを演奏。バロック・ヴァイオリンを渡邊慶子氏に師事。モダンとバロックの両楽器で活躍。カメラータ・ムジカーレ同人
山口隆之(バロック・ヴァイオリン, バロック・ヴィオラ)
Takayuki Yamaguchi (Baroque Violin, Baroque Viola)
学生時代、独学でバロック・ヴァイオリン、ヴィオラを始める。アンサ
ンブルを千成千徳氏に師事。カメラータ・ムジカーレ同人。都留音楽祭実行委員。歌謡曲バンド「ふじやま」リーダー。
小川有沙(バロック・ヴィオラ)
Arisa Ogawa (Baroque Viola)
慶應バロックアンサンブルでヴィオラを演奏。卒業後、オーケストラ、室内楽の両面で活動している。
中尾晶子(バロック・チェロ)
Akiko Nakao (Baroque Violoncello)
チェロを佐々木昭、アンサンブルを岡田龍之介、花岡和生の各氏に師事。カメラータ・ムジカーレ同人。
飯塚正己(コントラバス)
Masami Iizuka (Contrabass)
学生時代よりコントラバスを桑田文三氏に師事。卒業後河内秀夫、飯田啓典の各氏より指導を受け演奏を続けている。
アンサンブル山手バロッコ第40回演奏会
山手聖公会に響く
バッハ・ヘンデルの宗教曲
"The Sacred Music of Bach & Handel”
“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 第22回特別コンサート
横浜山手聖公会は、日本の開国時期からの歴史を持ち、現在の教会も、震災や火災の困難を受けましたが、60年以上山手の代表的な教会のひとつとして親しまれています。本日は、歴史ある教会の素晴らしい空間で「山手聖公会に響く バッハ・ヘンデルの宗教曲」と題して、心に直に語りかけるような宗教曲を中心に味わいます。
バッハの生涯と教会音楽
バッハはドイツのチューリンゲン地方の敬虔なプロテスタントの音楽一族に生まれ、その生涯の殆どを教会音楽と関わりを持って過ごしました。若い時期のアルンシュタットの教会オルガニストを経て、ミュールハウゼンの教会では「神の栄光のための教会音楽」の作曲が始まり、後半生の30年弱をライプチッヒのトーマス教会音楽監督として教会カンタータや受難曲などの多くの宗教曲を生み出しました。
J.S.バッハ(1685〜1750)
Johan Sebastian Bach(1685〜1750)
オルガン・プレリュード(即興演奏)
アリア「神はすべての生き物を心にとめ給う」 BWV187より
Organ Prelude and Aria “Gott vesorget alles
Leben“ BWV187-5
アリア「神はすべての生き物を心にとめ給う」は、1726年の三位一体節後第7日曜日に作曲されたカンタータ「彼らみな汝を待ち望む」の第5曲のアリアで、オーボエの抒情的なオブリガードを伴って、全ての命にそそがれる神の恵みを歌います。本日は、オルガンによる前奏曲の演奏に続きお聴きいただきます。
神はこの世の息のあるすべての生き物を心にとめ給う。
すべてのものに約されたことを、わたしのみに賜らないことがあろうか?
退け、不安よ、神のまことは私を忘れず、
日々新たに神の愛の賜物を恵み給う。
シンフォニア ヘ長調 BWV156より
と オルガン即興演奏
Sinfonia F-Major BWV156-1 and Organ improvisation
シンフォニア ヘ長調は、1729年頃に作曲されたカンタータ「わが片足すでに墓穴に入りぬ」の冒頭を飾る曲で、弦楽のピチカートにのったオーボエのおおらかな旋律がイエスの癒しの奇跡を予感するように流れます。後年バッハはこの曲をチェンバロ協奏曲ヘ短調(BWV1056)の中間楽章に利用しています。
アリア 「わが牧者にわたしは従う」 BWV92より
Aria “Meinem Hirten bleib ‚ich treu“ BWV 92-8
アリア「わが牧者にわたしは従う」は、1725年復活前第8日曜日に作曲されたカンタータ「われは神の御胸の思いに」の第8曲のアリアで、私たちの従うイエスを「牧者」として歌います。田園の音楽であるパストラーレ風のリズムを刻む弦楽を背景に、ソプラノと愛のオーボエといわれるオーボエ・ダモーレが明るく歌い交わします。
わが牧者にわたしは従う
たとえ十字架の杯を満たそうとも
彼のみむねの中でわたしは安らぐ
苦しみのうちにあっても彼はわたしと共にいてくださる
涙の後には、イエスという太陽が輝くだろう
わたしは統べ治め給うイエスに生きる
喜び、果てよ、わが心よ、
イエスは全きあがないをなし給う
アーメン、父よ、私を受け入れ給え
シンフォニア BWV146より
Sinfonia F-Major d-minor BWV146-1
シンフォニア ニ短調は、1726年に作曲されたカンタータ「われら多くの患難を経て」の冒頭に置かれた器楽合奏曲です。有名なチェンバロ協奏曲第1番ニ短調の第1楽章と同一の音楽ですが、オルガン独奏に、伴奏には弦楽器群に加え、管楽器群を配し、色合いとスケールの大きな音楽で、現世での苦しみを荒々しいまでに予感させます。
アリア「神の天使は退かず」 BWV149より
Aria “Gottes Engel
weichen nie“ BWV 149-4
前半最後の曲になるアリア「神の天使は退かず」は、1729年9月のミカエルの祝日に作曲されたカンタータ「勝利の歌声は」の第4曲に収められています。このカンタータは大天使ミカエルが悪魔と戦い勝利をおさめることを題材に3本のトランペットとティンパニを伴った華やかな編成になっています。このアリアは弦楽の伴奏で穏やかな舞曲のリズムにのったソプラノが、天使の護りの確かであることを歌います。
神の天使は退かず
いずこの果てにもわたしと共にある
わたしが眠るとき、天使らは目覚め、
わたしが行くとき、とどまるとき、
その手の上でわたしを支え給う
ヘンデルの生涯と宗教音楽
後半お届けするヘンデルは、バッハと同じ年にドイツで生まれましたが、バッハと対照的に、ドイツ、イタリアと活躍し、最後はイギリスで帰化しその生涯を終えるというダイナミックな人生を送りました。作曲家・演奏家としても、オペラ作曲家として大きな足跡を作るだけでなく、メサイアなど宗教的なオラトリオ、その幕間で演奏したオルガン独奏の協奏曲や合奏協奏曲、王女の家庭教師として作曲したチェンバロ独奏曲や室内楽曲まで幅広いジャンルで活躍しました。
G.F.ヘンデル(1685〜1759)
Georg Fredelich
Handel(1685〜1759)
ドイツアリアより「私の魂は見ながらにして聴く」HWV 207
Aria “Meine Seele
Hört im Sehen” (German Aria No.6)
HWV207
アリア「私の魂は見ながらにして聴く」は、1720年代後半にドイツの詩人ブロッケスの詩に、オブリガード楽器と通奏低音を伴奏とし作曲された9つのドイツアリアの中の1曲です。オペラや世俗カンタータと違い、このアリアの詩は、内容は聖書や聖句に関連しているので、劇的な要素が少なく、大向こうをうならせるしかけもありません。むしろ中庸を尊び、ドイツ語の詩の構造や韻や宗教的な意味を深く味わう趣で作曲されたもので、その宗教的な内容は、後年のオラトリオの創作を暗示するようにも思えます。
私の魂は見ることによって聴く
いかにすべてのものが創造主をあがめて歓呼し、微笑むかを。
聴いてごらん、
花盛りの春の華やぎは自然の言葉、
自然は視覚を通して、はっきりと、いたるところで私たちに語りかけている。
オルガン協奏曲 変ロ長調 作品4-2
HWV290
Organ Concerto B♭-Major
Op.4-2 HWV290
シンフォニア−アレグロ− アダージョ・エ・スタッカート− アレグロ・マ・ノン・プレスト
Sinfonia-Allegro-Adagio e staccato-Allegro ma non
presto
オルガン協奏曲 変ロ長調は、オラトリオの幕間でヘンデル自身が独奏をつとめて聴衆を楽しませたもので、2つの曲集として12曲が残されています。この変ロ長調の協奏曲は、オルガン独奏と2本のオーボエと弦楽合奏のために書かれたもので、4つの楽章からなります。序曲風の第1楽章に続き、オルガン独奏の大活躍する第2楽章、控えめな弦楽の伴奏に乗って即興的なレシタティーヴォのようにオルガンが歌う第3楽章を経て、舞曲風の第4楽章で曲を閉じます。
シャコンヌ ト短調 HWV486
Chaconne g-minor HWV486
シャコンヌ ト短調は、チェンバロ独奏のために書かれたもので、若い時代の作品ではないかと考えられています。シャコンヌは繰り返しの低音の上で展開される舞曲ですが、ヘンデルのシャコンヌは、右手・左手が交互に徐々に複雑に変奏していくものが多く、この曲もこの形式になっています。
オーボエ協奏曲 第3番 ト短調 HWV287
Oboe Concerto No.3 g-minor HWV287
グラーヴェ−アレグロ−サラバンド(ラルゴ)−アレグロ
Grave-Allegro-Sarabande Largo-Allegro
オーボエ協奏曲 ト短調は、ヘンデルの若い時代、ハンブルグで活躍しているころの作品と考えられています。緩・急・緩・急の4つの楽章から構成されていますが、序曲風な伴奏の上でオーボエが歌いだす第1楽章に続いて、弦楽とオーボエの競い合う第2,3楽章が続き、最後はヘンデルらしい主題から始まる快活な第4楽章で曲を閉じます。。
サルヴェ・レジーナ HWV 241
Salve Regina HWV241
ラルゴ/アレグロ−ラルゴ−アダージシモ
Largo/Adagio-Largo-Adagissimo
本日最後に演奏するサルヴェ・レジーナは、ヘンデルのローマ滞在中に、パトロンの一人ルスポーリ公のために1707年に書かれ、おそらく7月19日の三位一体の主日の晩課で演奏されたものと思われます。ソプラノはマルゲリータ・ドゥラスタンティ。(このドゥラスタンティは、後年ロンドンでのヘンデルのオペラでも大活躍する関係になります)曲は、緩・急・緩の3つの部分からなり、厳かな中にもオペラ作曲家ヘンデルのドラマティックな音楽表現が聞こえてきます。
サルヴェ、女王、哀れみ深い母、われらの命、喜び、希望よ。
われらエヴァの子孫は追放の果てにあなたに向かって叫ぶ、
嘆きながら、泣きながら、涙の谷底からあなたを慕う。
われらのためにとりなす方、哀れみのまなざしをわれらに向け、
祝福されたあなたの子イエズスを、旅路の後われらに示して下さい。
おお、いつくしみ深く、恵みあふれる、やさしきおとめマリアよ。
アンコール
どうもありがとうございました。
沢山の拍手をいただきましたので、もう1曲歌っていただきます。
バッハ カンタータ 140番より コラール「シオンは物見らの歌うの聞けり」
をお聴きいただきましょう
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