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36th Concert
アンサンブル山手バロッコ第36回演奏会
三溪園新春コンサート
バロック・フルートで楽しむバッハ親子
"Flute Music of Bach Family”
“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 第17回
2011年1月3日(日) 午前11時(第1部)、午後2時(第2部) 三溪園 鶴翔閣
11:00am and 2:00 3rd January. 2011 at Sankei-en Kakushou-kaku
主催:財団法人 三溪園保勝会
出演 アンサンブル山手バロッコ
わたしたち「アンサンブル山手バロッコ」は、98年、横浜山手の洋館 山手234番館のリニューアルに行なわれた記念のコンサートをきっかけに、山手在住のリコーダー愛好家 朝岡聡を中心に結成された、バロック時代の楽器(古楽器)を使った演奏団体で、継続的に山手の洋館での演奏活動を続けています。本日の演奏メンバーを紹介します。
曽禰寛純 (フラウト・トラヴェルソ)
Hirozumi Sone (Flauto Traverso)
フルート演奏を経て、フラウト・トラヴェルソを独学で学び、慶應バロックアンサンブルで演奏。1998年にリコーダーの朝岡聡と共に、アンサンブル山手バロックを結成し、横浜山手洋館でのコンサートを継続。カメラータ・ムジカーレ同人。
国枝俊太郎(フラウト・トラヴェルソ) (賛助出演)
Shuntaro Kunieda (Flauto Traverso) Guest
東京都出身。リコーダーを安井敬、フラウト・トラヴェルソを中村忠の各氏に師事。1995年開催の第16回全日本リコーダー・コンテスト「一般の部・アンサンブル部門」にて金賞を受賞。これまで東京リコーダー・オーケストラのメンバーとしてNHK教育テレビ「ふえはうたう」などに出演、CD録音にも参加する。現在はバロック室内楽を中心に、リコーダー・アンサンブルによるルネサンス〜現代までの作品や、ギターとのアンサンブルによる19世紀のサロンピースの演奏、さらには古楽器オーケストラによる数々の演奏会に出演するなど、幅広く活動している。バロックアンサンブル「クラングレーデ」メンバー。
中尾晶子(バロック・チェロ)
Akiko Nakao (Baroque
Violoncello)
チェロを佐々木昭、アンサンブルを岡田龍之介、花岡和生の各氏に師事。カメラータ・ムジカーレ同人。
和田章 (チェンバロ)
Akira Wada(Cembalo)
小林道夫にチェンバロを師事。慶応バロックアンサンブルで演奏。カメラータ・ムジカーレ同人。当アンサンブル発足メンバー。
野口詩歩梨(チェンバロ)(賛助出演)
Shihori Noguchi (Cembalo)
福井県・敦賀市生まれ。幼少よりピアノをはじめる。仁愛女子高等学校音楽科卒業、桐朋学園大学古楽器科卒業、同研究科修了。ピアノを伊原道代、雨田信子、チェンバロを故鍋島元子、アンサンブルを有田正広、本間正史、中野哲也の各氏に師事。
その後クイケン兄弟、モルテンセン氏などの指導も受ける。M.ラリュー、F.アーヨ、中野哲也、本間正史など内外の音楽家や数々の室内オーケストラと共演。また、“音の輝きをもとめて”と題したリサイタルシリーズで各方面より好評を得る。
NHK教育テレビ「ふえはうたう」、古楽情報誌アントレ制作のビデオ出演、横浜・山手バロッコ主催「山手西洋館シリーズ」出演など、通奏低音奏者、ソリストとして幅広く活動している。2011年1月初ソロCD「バロックの華」リリース。
アンサンブル山手バロッコ第36回演奏会
三溪園新春コンサート
バロック・フルートで楽しむバッハ親子
"Flute Music of Bach Family”
横浜の名勝、三溪園で行われる新春バロックコンサート。このコンサートは、三渓園構築の租、原三渓の旧居宅である「鶴翔閣」で行われます。
この築100年以上の名建築の広間で、300年ほど前のバッハ親子の音楽を、ヨーロッパの王侯貴族に愛されたバロック・フルート(フラウト・トラヴェルソを中心としたアンサンブルで演奏し、新たな年を祝います。
≪第1部≫
J.Ch.バッハ(1735〜1782)
J.Ch.Bach
2本のフルートと通奏低音のためソナタ ト長調
Sonata for two flutes and basso continuo G-Major
アレグロ アッサイ – ラルゲット – プレスト
Allegro assai -Larghetto - Presto
バッハの末息子、ヨハン・クリスチャンは、15歳の時に父親を亡くし、兄のもとで音楽を修業したのち、イタリアに渡りカトリックに改宗し、ロンドンに渡りハイドンやモーツアルトに影響する新たな境地を開きました。2本のフルートと通奏低音のためソナタは、手稿譜が、ミラノにある音楽院図書館に所蔵されていますが、18世紀後半の作と考えられます。父親の時代の上声部と低音の対等な会話は、より和声的、旋律的な趣味に変化し、低音はフルートを支える役割に徹しチェンバロなしでも演奏できるようになっており新たな世代を強く感じさせます。
J.S.バッハ
J.S.Bach
組曲 イ短調 BWV996
Suite for Cembalo “Lautenwerk” BWV996
プレリュード − プレスト − アルマンド − クーラント − サラバンド − ブーレ
Prelude - Presto - Allemande - Courante - Sarabande - Bouree – Gigue
組曲 イ短調はバッハの若い時代、ヴァイマル宮廷につかえていた時代の作品。残されている楽譜には、ラウテンクラヴィア(リュートチェンバロ)と書かれており、リュートの音色を模したチェンバロで演奏されたと考えられていますが、その楽器自体については良くわかっていない状況です。本日は北ドイツにも影響のあったイタリア様式のチェンバロで演奏します。
C.P.E.バッハ(1714〜1788)
C.P.E. Bach /
フルートと通奏低音のためソナタ イ短調 Wq128
Sonata for flute and basso continuo a-minor Wq128
アンダンテ– アレグロ– ヴィヴァーチェ
Andante -Allegro
– Vivace
バッハの二男、カール・フィリップ・エマニュエルはベルリンのバッハ、ハンブルクのバッハと呼ばれ父親を凌ぐ名声を獲得しました。フルートと通奏低音のためソナタ イ短調は、1740年に仕えていたベルリンの宮殿で作曲されました。
ベルリンの宮殿王様の好みの、緩急急という楽章構成になっていますが、他のベルリンの作曲家に比べると、大きな感情の変化や和声の変化など進歩的な様式になっています。
.J.S.バッハ
J.S.Bach
プレリュードとアレグロ 変ホ長調 BWV998より
J. S. Bach / Präludium und Allegro Es-dur BWV998
バッハ家には家族と師弟だけでなく、高名なバッハとの親交を求め、ヨーロッパ各地の名演奏家も頻繁に訪れており、その機会に作られた作品も残されています。リュートのドイツにおける最大の名手ヴァイス(1687〜1750)は、ライプツィヒのバッハ家をたびたび訪問し、「とびきり優雅な音楽会」を催したといわれています。そのような親交の結果、バッハからヴァイスに贈られたのではないかといわれているのがプレリュード、フーガとアレグロで、自筆譜には「リュートまたはチェンバロのためのプレリュード」と記されています。リュートを爪弾くような分散和音が印象的なプレリュードで始まり、自由な形式の4声のフーガが続きます。最後のアレグロでは組曲を締めくくるのに使われる舞曲(ジーグ)の味わいをもって広い音域を駆け巡り、この友情の曲が締めくくられます。本日は、その中から、プレリュードと最後のアレグロを演奏します。
J.S.バッハ(1685〜1750)
J.S.Bach
2本のフルートのためと通奏低音のためのソナタ ト長調 BWV1039
Sonata for Two Flutes and Basso continuo G-major BWV1039
アダージョ − アレグロ マ ノン プレスト − アダージョ エ ピアノ − プレスト
Adagio - Allegro ma non tanto - Adagio e piano – Presto
J.S.バッハはライプチッヒの音楽監督の時代に、テレマンの設立した市民向け演奏団体「コレギウムムジクム」を引き継ぎ、市の名物に仕立て上げました。2本のフルートと通奏低音のためのソナタは、このコレギウムムジクムで演奏されたのではないかと考えられています。お気に入りの曲だったらしく、本日の形以外にも、ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロの組み合わせやオルガン独奏の形にも編曲されて現在に伝えられています。楽譜の筆跡は、バッハの息子ヨハン・ゴットフリート・ベルンハルト(1715-1739)ではないかと言われています。このベルンハルトはフルートの名手だったので、腕前を披露する為の演奏譜が現在に伝わったのかもしれません。 曲は2本のフルートをソロ楽器としてトリオソナタの形式書かれています。当時の様式どおり緩急緩急の4楽章からなりますが、明るい曲想の裏側で、掛け合いや模倣など、2本のフルート間のやりとりだけでなく通奏低音のチェンバロ、チェロにもバッハならではの、凝った仕掛けが組み込まれており、演奏していても緊張感のある曲に仕上げられています。
≪第2部≫
W.F.バッハ(1710〜1784) /
W.F.Bach
2本のフルートと通奏低音のためソナタ ニ長調 Falck-48
Sonata for two flutes and basso continuo D-major Falck-48
アンダンテ– アレグロ– ヴィヴァーチェ
Andante -Allegro – Vivace
バッハの長男、ヴィルヘルム・フリーデマンは、特に父親が手塩にかけて音楽教育をしたことで有名です。10歳の時に父親より、「フリーデマン・バッハの音楽帳」が与えられ、インヴェンションやフランス組曲、さらに平均律クラヴィーア曲集の初期稿が徐々に書き足され、チェンバロ演奏と作曲技法の訓練ががされました。フリーデマンは父親の英才教育を受け、ドレスデンの宮廷やハレのオルガニストとして音楽家としての好スタートを切りましたが、偉大な父親の音楽と新たに流行してきた啓蒙思想時代の音楽との間に揺れ動いたのでしょうか、性格的にも不安定な部分が多かったようで、晩年にはベルリンで音楽教師を務め不遇のなかで人生を終えました。この2本のフルートと通奏低音のためのソナタは1750年頃の曲で、この編成で2曲残されている内の1曲です。楽譜用紙の調査でドレスデンの宮廷音楽家時代に作られたものだと推定されています。フリーデマンの良い面が凝縮されたような曲で、バロック時代の掛け合いの妙が巧みに軽やかに始まる第一楽章、歌う旋律と分散和音で掛け合う2本のフルートを、広い音域を行き来する低温で支え疾走する第二楽章、舞曲のリズムギャラントな第三楽章の3つの部分より構成されています。
J.S.バッハ
J.S.Bach
組曲 イ短調 BWV996
Suite for Cembalo “Lautenwerk” BWV996
プレリュード − プレスト − アルマンド − クーラント − サラバンド − ブーレ
Prelude - Presto - Allemande - Courante - Sarabande - Bouree – Gigue
組曲 イ短調はバッハの若い時代、ヴァイマル宮廷につかえていた時代の作品。残されている楽譜には、ラウテンクラヴィア(リュートチェンバロ)と書かれており、リュートの音色を模したチェンバロで演奏されたと考えられていますが、その楽器自体については良くわかっていない状況です。本日は北ドイツにも影響のあったイタリア様式のチェンバロで演奏します。
J.S.バッハ(1685〜1750)
J.S.Bach
フルートと通奏低音のためソナタ ホ長調 BWV-1035
Sonata for Flute and Basso continuo E-major
アダージョ・マ・ノン・タント - アレグロ – シシリアーナ – アレグロ・アッサイ
Adagio ma non tanto – Allegro - Siciliana - Allegro assai
バッハは晩年、次男エマニュエル・バッハが宮廷鍵盤楽器奏者として仕えていたプロイセンのフリードリッヒ大王の宮廷を2度訪問しています。自ら達者にフルートを演奏し、多くのソナタや協奏曲を作曲するという音楽好きの王様は、ライブチッヒの鍵盤楽器と対位法の名人として知られた老バッハを招いたと考えられています。
この機会に大王の与えたテーマを元に作曲し自費出版し献呈した「音楽の捧げもの」が晩年の名作として良く知られていますが、この訪問はもうひとつフルート吹きにはとても大切な珠玉のような名曲フルートと通奏低音のためソナタ ホ長調を残しています。この曲は1741年または47年の訪問時に、大王と同じくフルートを上手に演奏したと言う、大王の侍従、フレーデルスドルフのために作曲されたものです。プロイセンで流行の軽やかで感情変化の大きい多感様式を取り入れて書かれていますが、旋律と低音の掛け合いの妙、特に第三楽章は、シシリアーノの舞曲を旋律と低音の完全な掛け合いであるカノンで作曲しており、対位法名人として招かれたバッハの面目躍如と言えましょう。
.J.S.バッハ
J.S.Bach
プレリュード 変ホ長調 BWV998より とブーレ ロ短調 BWV831
J. S. Bach / Präludium Es-dur BWV998 and Bouree b-minor from French Overture BWV831
第一部に演奏した「リュートまたはチェンバロのためのプレリュード」と、フランス風序曲から舞曲「ブーレ」を演奏します。
C.P.E.バッハ
C.P.E..Bach
2本のフルートと通奏低音のためソナタ ホ長調 Wq162
Sonata for two flutes and basso continuo E-Major Wq162
アダージョ・マ・ノン・タント - アレグロ – シシリアーナ – アレグロ・アッサイ
Allegretto - Adagio di molto - Allegro assai
2本のフルートと通奏低音のためソナタは、ベルリンの宮廷時代1749年の作品で、無類のフルート好きで玄人はだしの演奏をしたという王様のための曲になっています。保守的だったベルリンの宮廷でしたが、エマニュエルのこの曲は、2つのフルートが語り合うとともに大きな感情のうねりを組み込んだ進歩的な形式になっており宮廷の好みを大きくはみ出した名曲です。第二楽章は父親譲りの2本のフルートの絡み合いが、第三楽章は、フルート1本で消え入るように終了するなど工夫が凝らされています。
アンコール
どうもありがとうございました。
沢山の拍手をいただきましたので、第1部、第2部とも
管弦楽組曲より、第2曲 「アリア(Air)」
をリコーダーとバロックフルートの組み合わせでお送りします。
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