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32nd Concert
アンサンブル山手バロッコ第32回演奏会
“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 特別コンサート
開港記念会館で親しむ
〜 バッハの市民音楽-U 〜
"Bach’s Public Concert Part-II”
2010年6月19日(土)午後2時開演(1時30分開場)
2:00pm
19th June. 2010 at Kaikou-kinen-kaikan Hall
後援: 横浜市中区役所、協力: 財団法人 横浜市緑の協会
出演 アンサンブル山手バロッコ
わたしたち「アンサンブル山手バロッコ」は、98年、横浜山手の洋館 山手234番館のリニューアルに行なわれた記念のコンサートをきっかけに、山手在住のリコーダー愛好家 朝岡聡を中心に結成された、バロック時代の楽器(古楽器)を使った演奏団体で、継続的に山手の洋館での演奏活動を続けています。本日の演奏メンバーを紹介します。
木島千夏(ソプラノ)
Chinatsu Kijima (Soprano)
国立音楽大学卒業後、同大学音楽研究所の研究員として、バロック歌唱の研究と演奏活動に従事。
川口絹代、橋本周子に師事。92年英国へ留学し、J.キャッシュに声楽を師事、ギルドホール音楽院にて E.カークビー、D.ロブロウ、 N.ノースのレッスンを受ける。
第30回ブルージュ国際古楽コンクールにて4位入賞。翌年同音楽祭に招待され、モーツァルトの「聖墓の音楽」のソロ等を歌う。W.Christie指揮によるシャルパンティエのオペラ公演「ダヴィデとヨナタン」に参加。
帰国後は、バロックを専門にグレゴリオ聖歌から現代曲まで幅広いレパートリーに取り組みソリストまたはアンサンブルで活躍している。
2002年より横浜山手の洋館でのリサイタルを継続している。現在、聖グレゴリオの家教会音楽科講師。
松野美樹 (バロック・トランペット)
Haruki Matsuno (Baroque Trumpet)
1989年東京芸術大学卒業。
以来、フリーのトランペット奏者として、ソロ、オーケストラ、室内楽、吹奏楽等の演奏を積極的に行う。
特に、バロック音楽の分野において明るくピュアで華やかな音色と色彩感のある音楽性で、ピッコロ・トランペット奏者、バロック・トランペット奏者として
各地において、ソリスト、及び客演第一奏者(バッハやヘンデル等の作曲家を中心とした作品)として活躍し高い評価を受ける。現在迄にトランペットを北村源三、田中昭両氏に師事。
また、大学在学中よりバッハカンタータクラブにて小林道夫氏にバロック音楽の教えを受け、卒業後も薫陶を受ける。
朝岡聡(お話、リコーダー)
Satoshi Asakoka (Recorder and Concert Navigation)
1959年横浜市生まれ。慶應義塾大学卒業後テレビ朝日にアナウンサーとして入社。
1995年フリーとなってからはTV・ラジオ・CM出演のほか、コンサート・ソムリエとしてクラシックやオペラの司会や企画構成にも活動のフィールドを広げている。
リコーダーを大竹尚之氏に師事。福岡古楽音楽祭にも毎年参加して、オープニングコンサートで軽妙かつ的確な司会は好評を得ている。
「音楽の友」などに音楽関連の連載多数。1998年にフラウト・トラヴェルソの曽禰寛純と共に、アンサンブル山手バロッコを結成し、横浜山手の洋館でのコンサートを継続している。
横濱・西洋館de古楽2010実行委員長。
国枝俊太郎(フラウト・トラヴェルソ)
Shuntaro Kunieda (Flauto Traverso)
東京都出身。リコーダーを安井敬、フラウト・トラヴェルソを中村忠の各氏に師事。
1995年開催の第16回全日本リコーダー・コンテスト「一般の部・アンサンブル部門」にて金賞を受賞。
これまで東京リコーダー・オーケストラのメンバーとしてNHK教育テレビ「ふえはうたう」「トゥトゥアンサンブル」に出演、またCD録音にも参加する。
ムシカ・フラウタのメンバーとしても、NHK-FM「名曲リサイタル」にも出演する。現在はバロック室内楽を中心に、リコーダー・アンサンブルによるルネサンス〜現代までの作品や、
ギターとのアンサンブルによる19世紀のサロンピースの演奏、さらには古楽器オーケストラによる数々の演奏会に出演するなど、幅広く活動している。 「クラングレーデ」メンバー
曽禰寛純(フラウト・トラヴェルソ)
Hirozumi Sone (Flauto Traverso)
フルート演奏を経て、フラウト・トラヴェルソを独学で学び、慶應バロックアンサンブルで演奏。
1998年にリコーダーの朝岡聡と共に、アンサンブル山手バロックを結成し、横浜山手の洋館でのコンサートを継続。カメラータ・ムジカーレ同人。
大山有里子(バロック・オーボエ)
Ariko Ohyama(Baroque Oboe)
大阪教育大学音楽科卒業。同大学専攻科修了。モダン・オーボエを大嶋彌氏に師事。
1982年〜1993年「アンサンブル・シュッツ」のメンバーとして、またフリーで活動するかたわらバロック・オーボエを始める。
これまでに各地でオリジナル楽器によるアンサンブルやオーケストラに参加している。「アルモニー・アンティーク」、「クラングレーデ」メンバー。横浜音楽文化協会会員。
石川和彦 (バロック・ヴァイオリン)
Kazuhiko Ishikawa (Baroque Violin)
大阪音楽大学器楽科卒業後バロック・ヴァイオリンを始め、コレギウム・ムジクム・テレマンの主な公演に出演。2001年に渡仏し、ストラスブール音楽院にてバロック・ヴァイオリンとバロック音楽の研鑽を積む。
フランスで“Le
Parlement de Musique”などで活躍、現在、室内楽やオーケストラでモダン、古楽器とも活発に活動している。
ヴァイオリンを曽田義嗣、林泉、佐藤一紀、バロック・ヴァイオリンを中山裕一、フランソワ・フェルナンデス、ステファニー・ブイステー、桐山建志各氏に師事。
オーケストラ・オン・ピリオド・トウキョウ ゲストコンサートマスター。バロックアンサンブル「クラングレーデ」メンバー。
角田幹夫(バロック・ヴァイオリン)
Mikio Tsunoda (Baroque Violin)
慶應バロックアンサンブルでヴァイオリンを演奏。独学でヴィオラ・ダ・ガンバを学ぶ。現在、カメラータ・ムジカーレ同人。アンサンブル山手バロッコ発足メンバー。
小松久子(バロック・ヴァイオリン)
Hisako Komatsu (Baroque Violin)
慶応バロックアンサンブルでヴァイオリンを演奏。カメラータ・ムジカーレ同人。
エッフェ弦楽アンサンブルコンサートミストレス。
原田純子(バロック・ヴァイオリン)
Junko Harada (Baroque Violin)
慶應バロックアンサンブルでヴァイオリンを演奏。バロックヴァイオリンを渡邊慶子氏に師事。
モダンとバロックの両楽器で活躍。カメラータ・ムジカーレ同人
山口隆之(バロック・ヴィオラ)
Takayuki Yamaguchi (Baroque Viola)
学生時代、独学でバロック・ヴァイオリン、ヴィオラを始める。アンサ
ンブルを千成千徳氏に師事。
カメラータ・ムジカーレ同人。都留音楽祭実行委員。歌謡曲バンド「ふじやま」リーダー。
小川有沙(バロック・ヴィオラ)
Arisa Ogawa (Baroque Viola)
慶應バロックアンサンブルでヴィオラを演奏。卒業後、オーケストラ、室内楽の両面で活動している。
中尾晶子(バロック・チェロ)
Akiko Nakao (Baroque Violoncello)
チェロを佐々木昭、アンサンブルを岡田龍之介、花岡和生の各氏に師事。カメラータ・ムジカーレ同人。
飯塚正己(コントラバス)
Masami Iizuka (Contrabass)
学生時代よりコントラバスを桑田文三氏に師事。卒業後河内秀夫、飯田啓典の各氏より指導を受け演奏を続けている。
野口詩歩梨(チェンバロ)
Shihori Noguchi (Cembalo)
©篠原栄治
桐朋学園大学古楽器科卒業、同研究科修了。ピアノを伊原道代、雨田信子、チェンバロを故鍋島元子、又アンサンブルを有田正広、本間正史、中野哲也の各氏に師事。その後クイケン兄弟、モルテンセン氏などの指導を受ける。
通奏低音奏者、ソリストとして幅広く活動。これまでにもフルートのM.ラリュー、F.アーヨ、中野哲也など数々の音楽家や室内オーケストラと共演。「音の輝きをもとめて」と題したソロリサイタルを開催、各方面より好評を得る。
古楽情報誌アントレ製作ビデオ等に出演。山手西洋館で、ソロコンサート「洋館で親しむバッハのチェンバロ」で“洋館で親しむバロック音楽”シリーズの第1回に出演、好評を博す。
酒井絵美子(チェンバロ)
Emiko Sakai (Cembalo)
洗足学園音楽大学ピアノ科卒業。在学中チェンバロに出会い、岡田龍之介、家喜美子の両氏に師事。
CD「篠原理華 リコーダー&ミュゼット」に参加。2009年横浜イギリス館にてソロリサイタル開催。
現在、チェンバロ及び通奏低音奏者として講習会のアシスタントや日本各地で演奏するなど、意欲的に音楽活動を行っている。
バロックアンサンブル「クラングレーデ」メンバー。
開港記念会館で親しむ
〜 バッハの市民音楽-U 〜
"Bach’s Public Concert Part-II”
昨年、横浜開港150周年記念の行事として、重要文化財で歴史的な西洋建築である横浜市開港記念会館でのコンサート「バッハの市民音楽」を開催いたしました。バッハの曲を中心に据えた西洋館でのお客様・演奏者の出会いの楽しい空間は、おかげさまで好評をいただきました。本年も横浜市中区役所のご支援をいただき、山手西洋館で活躍の大勢のゲスト演奏家にも賛同・参加いただき、Part-IIとして、さらに趣向をこらしたコンサートをトークとともにお楽しみいただけるよう企画いたしました。
151年前の横浜開港は、同時に日本の西洋音楽の本格的な受容の開始される年でもありました。日本は開国ということで1700年から1850年の150年の西洋音楽を一度に受けいれることになりました。日本の開国・開港と共に入ってきた西洋クラシック音楽の原点であるバッハの音楽を、100年ほど前に市民の集いの場として建設された開港記念会館で、バッハ自らがそれまでの貴族の音楽会から,一般市民に解放した公開コンサートのように演奏してみることにいたしました。
バッハの生涯とライプツィヒでの市民音楽
「しばらく中断していた、バッハ氏率いるコレギウム・ムジクムによる素晴らしい演奏会が、再開される予定。17日水曜日の午後4時から、グリムシュタイン通りのツィンマーマンの庭園にて。当地ではまだ演奏されたことのない新しいチェンバロが披露されるとのこと、音楽愛好家も専門家も大いに期待されたし」
これは1733年にライプツィヒで発行された新聞の記事の一節です。コレギウム・ムジクムはライプツィヒ大学の学生を中心とする合奏団。ツィンマーマンは有名なコーヒーハウス(当時ヨーロッパ中で流行したコーヒー専門の喫茶+娯楽施設)経営者で、彼の店や庭園で毎週開かれたこのコーヒー付コンサートは、ライプツィヒの街の呼び物となっていました。記事にある「新しいチェンバロ」を弾いたのはもちろんバッハ自身です。ここでは、バッハ自身の作曲の協奏曲、ソナタや独奏曲、カンタータなどが演奏されましたし、記録によれば、ヘンデルやテレマン、イタリアのヴィヴァルディの曲なども演奏され、当時台頭し始めた富裕な商人などの市民の楽しみの場を提供していたのでした。
ヨハン・ゼバスチャン・バッハ(1685〜1750)
ブランデンブルク協奏曲 第5番
ニ長調 BWV1050
アレグロ – アフェトゥオーソ – アレグロ
Brandenburg Concerto No.5 D-major BWV1050
Allegro - Affetuoso – Allegro
バッハはライプツィヒの音楽監督になる直前は、ケーテン候の宮廷楽長を勤めていました。音楽好きのお殿様のもとで幸せな時を過ごしたと自身で語っているように、名手を集めた宮廷楽団のために協奏曲や器楽曲の多くを作曲しました。ブランデンブルク協奏曲として知られる6曲から成るこの有名な協奏曲集は、ケーテン時代の末の1721年に、ブランデンブルクの領主に献呈されたために後世この名前で呼ばれるようになりました。当時バッハのつけた名前は「様々な楽器のための協奏曲」。いろいろな組み合わせの協奏曲を編んだもので、いわば当時のバッハの自選傑作集とでも言えるものだったと思います。献呈された領主様はどのような気持ちだったのでしょうか?(今も昔も誰かに作品を捧げるときには、たいてい何か見返りを期待するものですが、当時ケーテンの宮廷楽長だったバッハも、そろそろ新しい就職先を探しており、斡旋を期待していたようです。)
1719年にバッハはケーテン候の依頼でベルリンへチェンバロを購入しに行きます。当時の記録でも大変高価な楽器で最近の研究では、ベルリンの宮廷にも楽器を納めていたミートケという名工の作であったと推定されています。2段鍵盤で高い性能を持った楽器を使って、チェンバロの活躍する協奏曲を書き上げました。それが、今日ブランデンブルク協奏曲第5番として知られる曲で、チェンバロを独奏楽器とした世界で最初の協奏曲であるともいわれています。
独奏楽器はフルート、ヴァイオリンとチェンバロですが、チェンバロの活躍が目立ちます。ケーテン宮廷ではもちろんバッハ自身がチェンバロを弾いたのでしょう。第1楽章の終わり近くには長大なチェンバロ独奏によるカデンツァがあります。情感を込めてと題された第2楽章は、ヴァイオリンとフルートを独奏楽器とするトリオソナタのように始まりますが、チェンバロの右手がソロとして入り3つの独奏部をもつ四重奏曲の形となります。バッハは「伴奏をするときに即興で声部を加え、ソロソナタをトリオに、トリオをカルテットにして演奏した」と伝えられていることを想い起こさせます。舞曲(ジーグ)のリズムによる軽快な第3楽章では再びチェンバロの技巧的な独奏が聴かれます。
さて、市民音楽との関係ですが、バッハも息子たちも鍵盤楽器の名手でしたので、ブランデンブルク協奏曲も市民音楽会で演奏されたのではないでしょうか?
アントニオ・ヴィヴァルディ(1678〜1741)
4つのヴァイオリンのための協奏曲 ロ短調「調和の幻想」作品3-10
Concerto for 4 Violins b-minor Op.3-10
Allegro - Largo – Allegro
バッハのチェンバロ協奏曲は、独奏チェンバロが1台のものから4台のものまで、13曲が現存しています。これらのチェンバロ協奏曲は、この音楽会でバッハ自身が(ときには息子達と一緒に)腕前を披露するために書かれたと思われます。同時代の作曲家に比べバッハがチェンバロを独奏楽器とした協奏曲をこれほど残しているのは、このためなのでしょう。
この中で最大の編成である4台のチェンバロのための協奏曲は、ヴィヴァルディの4つのヴァイオリンのための協奏曲の編曲であることがわかっています。この曲は、バッハがワイマールの宮廷に使えていた時期に知った、ヨーロッパ全体を震撼させるほど斬新で有名となったヴィヴァルディの合奏協奏曲集「調和の幻想」の中の曲です。原曲の4台のヴァイオリンの独奏パートを4台のチェンバロの右手に当てはめ、対旋律や内声を加え厚みの有る曲に仕上げています。
本日は、ヴィヴァルディの書いた原曲の形でお楽しみください。ヴィヴァルディの原曲は、明快な旋律と特徴あるヴァイオリンの音色の取り扱いが魅力的です。独奏ヴァイオリンとチェロがそれぞれ腕前を発揮する活気に溢れた第1楽章、4つのヴァイオリンの独自の分散和音のフレーズを積み重ねることで全体が豊かな織物のように作られている、ゆったりとした第2楽章、再びソロの妙技が光る、流れるような第3楽章、の3つの楽章より構成されています。
*** 休憩 ***
ブランデンブルク協奏曲 第2番へ長調 BWV1047
(アレグロ) – アンダンテ – アレグロ・アッサイ
Brandenburg Concerto No.2 F-major BWV1050
(Allegro) - Andante – Allegro assai
ブランデンブルク協奏曲第2番の独奏楽器は、同時代でも他に類を見ない構成です。リコーダー、オーボエとヴァイオリンに加えトランペットが独奏楽器として選ばれています。バロック時代のトランペットは、現在の楽器のように管の長さを変化させるピストンはなく、ただ管を巻いただけの構造をしており自然倍音を使った高度な奏法で演奏されました。バロック時代以降、この楽器は使われなくなり同時にその奏法も途絶えてしまいました。
現在のトランペットとリコーダーではとてもバランスがとれませんが、ようやく20世紀になってオリジナルな楽器による演奏が復活しました。しかし、現在でもこのブランデンブルク協奏曲のF管のバロック・トランペットを吹きこなす演奏家は世界でも数えるほどしかいません。
(バロックトランペットを紹介する松野さん)
本日は、オリジナルの楽器編成で、バッハの意図した華やかさと親密さをお楽しみください。トランペットは第1楽章、第3楽章の2つの速い楽章で他の独奏楽器と対等に掛け合い活躍します。中間の第2楽章では、確かな足取りの通奏低音の上で、リコーダー、オーボエとヴァイオリンが美しい会話を重ねる四重奏の形式で書かれています。
さて、市民音楽との関係ですが、ライプツッヒのバッハの楽団にはライヒェというトランペットの名手がいましたので、この協奏曲も市民音楽会で演奏されたのではないでしょうか?
カンタータ「我は満ち足れり」
BWV82(第2稿)
アリア – レチタティーヴォ – アリア - レチタティーヴォ – アリア
Cantata for Soprano and Orchestra “Ich habe genug” BWV82
Aria – Recitativo – Aria - Recitativo – Aria
バッハは教会暦にもとづく礼拝のための音楽(教会カンタータ)を200曲以上残しています。これらの教会カンタータは、ライプツィヒの教会の礼拝での説教に合わせ、宗教的な題材をもとに、独奏者、合唱と器楽アンサンブルで演奏する、語り(レチタティーヴォ)、歌(アリア)や讃美歌(コラール)を組み合わせたもので、バッハ自身はコンチェルト(協奏音楽)と呼んでいました。本日演奏するカンタータ「我は満ち足れリ」 は「マリアの潔めの祝日」に演奏される曲で、独唱と器楽アンサンブルの構成で作られています。バッハのお気に入りの曲だったらしく、独唱パートを、ソプラノ、アルト、バスと変化させ、生涯に何度も演奏しています。(本日はソプラノ独唱の版で演奏します。アンサンブルでは独奏のフルートが活躍します。)また、2番目のアリア「眠れ、疲れた眼(まなこ)よ」は、バッハの2番目の妻で優れたソプラノ歌手だったアンナ・マグダレーナのための音楽帳にも(伴奏を通奏低音にし、少しコンパクトにした形で)記載されていますので、バッハの家庭音楽会でもしばしば歌われたのではないかと考えられています。当時は教会で牧師さんのお説教とカンタータを聴くのもある意味で市民の楽しみで、世俗と教会が近い時代でしたので、バッハの市民のための演奏会にも相応しい曲として本日はこのカンタータを全曲演奏します。
この曲は、イエスの誕生後、当時の習慣により、幼子を神殿に奉げ、自身の産後の潔めをするために、マリアがイエスをつれエルサレム神殿を訪れたことを記念するものです。最初のアリアでは、神殿で救い主であるイエスに会うことができ心満たされて死に赴いたシメオンの物語にもとづき、深い信仰心でイエスを感じることができることの満足を歌います。続く2番目、3番目のアリアでは、イエスを信じる者に訪れる安らかな死を、子守歌の形式(2番目のアリア)と心浮き立つ舞曲の形式(3番目のアリア)で対比させ、死と来世への熱烈な憧れを表現しています。
アンコール
どうもありがとうございました。
沢山の拍手をいただきましたので、
バッハのカンタータ 第147番よりコラール「主よ人の望みの喜びよ」、
をお送りします。
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