これまでの演奏会へ戻る
NEW!!
29th Concert
山手西洋館 夏の宵のコンサートシリーズ
アンサンブル山手バロッコ第29回演奏会
〜 チェンバロで巡るヨーロッパ 〜
(“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 第4回)
"Cembalo around Europe”
2009年7月28日(火) 午後4時開演(3時30分開場)
イギリス館(
4:00pm
28TH July. 2009 at Igirisu-kan
主催: 財団法人
出演 アンサンブル山手バロッコ
わたしたち「アンサンブル山手バロッコ」は、98年、横浜山手の洋館 山手234番館のリニューアルに行なわれた記念のコンサートをきっかけに、山手在住のリコーダー愛好家 朝岡聡を中心に結成された、バロック時代の楽器(古楽器)を使った演奏団体で、継続的に山手の洋館での演奏活動を続けています。本日はチェンバロソロでお聴きいただきます。
酒井絵美子(チェンバロ)
Emiko Sakai (Cembalo)
洗足学園高等学校音楽科を経て、同音楽大学ピアノ科卒業。
ピアノを池谷淳子、冨岡英子の両氏に師事。在学中チェンバロに出会い、岡田龍之介、家喜美子の両氏に師事。
故 小島芳子、A.プリャエフ、N.パール、M.メイヤーソン、E.バイアーノ、K.ハウグサンの各氏のレッスンを受ける。また、フォルテピアノの伊藤深雪氏のレッスンを受講。
CD「篠原理華 リコーダー&ミュゼット」に参加。現在、チェンバロ及び通奏低音奏者として、日本各地で演奏、講習会のアシスタントを務める傍ら、
ピアノ奏者として様々なアンサンブルに参加するなど、意欲的に音楽活動を行なっている。バロックアンサンブル「クラングレーデ」メンバー
山手西洋館 夏の宵のコンサートシリーズ
アンサンブル山手バロッコ第29回演奏会
〜 チェンバロで巡るヨーロッパ 〜
(“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 第4回)
"Cembalo around Europe”
チェンバロとフラワーアレンジメント
(フラワーアレンジメント:デザイナー森田朋子(Atelier Moet主宰))
本日は、夏の宵のコンサートにお越しいただきありがとうございます。
今回は「チェンバロで巡るヨーロッパ」と題して、チェンバロが辿った時代や国、作曲家の特徴をみなさまと共に味わいたいと思います。
J.P.スヴェーリンク (1562 〜1621)
Jan Pieterszoon Sweelinck
トッカータ第21番
Toccata 21
大公のバッロ
Ballo del granduca
ヤン・ピーテルスゾーン・スヴェーリンクはオランダ、アムステルダムの作曲家で鍵盤楽器奏者です。声楽曲や鍵盤曲を多数作曲し、オルガンとチェンバロの即興の名手で、北ヨーロッパの巨匠として不動の地位を築きました。生涯アムステルダムを出ることはほとんどなく、穏やかな生活を送ったとされています。254曲もの声楽曲は当時出版されていましたが、鍵盤曲はほとんど即興で行っていたため、弟子たちの手稿譜により約70曲が残されています。
本日の演奏曲「トッカータ 第21番」「大公のバッロ(舞踏)」はイタリア、そしてイギリスの鍵盤技法の影響を受けています。特に「大公のバッロ」はイギリス、ヴァージナル(箱型の小型チェンバロ)音楽の定旋律による変奏曲の特徴が色濃くあらわれています。ドイツから集まったスヴェーリンクの弟子たちが北ドイツのオルガン音楽を育て、後にバッハへと繋がっていきます。
L.クープラン(1626?〜1661)
Louis Couperin
組曲 第1番 イ短調
プレリュード:プロベルガー氏を模倣して - アルマンド:愛らしいもの - クーラント:小さなお嬢さん - サラバンド- ピエモンテ人
Suite I in A minor
Prelude a l'imitation de Mr.Froberger
- Allemande l’Amiable -
Courante dite La Mignonne – Sarabande - La Piemontaise
パヴァーヌ 嬰へ短調
Pavane in F-sharp minor
ルイ・クープランはフランスの作曲家でクラヴサン(チェンバロ)、オルガン奏者です。1600年頃から200年以上続いた音楽一族で、大クープランと言われる、フランソワ・クープランの伯父にあたります。シャンボニエールから伝統的様式を受け継ぎ、フロベルガーなどの影響も受けましたが、リュートの手法をクラヴサンに生かしたことが大きな功績と言えます。リュート(洋梨を半分にしたような形の撥弦楽器)は奏者の指が直接弦に触れることで人間の心情を繊細に伝えようとしていました。クラヴサンは指ではなく、撥弦機構のジャックが作動して、鳥の羽が弦を弾いている点が違いますが、リュート奏者たちから、趣のある音色、装飾、意味深なタイトル…、など多くを受け継ぎました。
本日の演奏曲、「プレリュード (フロベルガー氏を模倣して)」は全音符で書かれ、小節線もなく、奏者の即興性が重視される作品です。「アルマンド」「クーラント」「サラバンド」は伝統的な舞曲。「ピエモンテ人」は2拍子の活発な舞曲。「パヴァーヌ」は父、シャルルが亡くなったのを悼んで作曲されたと考えられています。
*** 休憩 ***
H.パーセル(1659〜1695)
Henry Purcell
組曲 第6番 ニ長調 Z.667
プレリュード - アルマンド - 〔ホーンパイプ〕
Suite No.6 in D major
Prelude - Almand – [Hornpipe]
新しいグラウンド ホ短調 Z.T682
A New Ground in E minor
新しいアイルランドの調べ[リリブレロ] ト長調 Z.646
A New Irish Tune 〔Lilliburlero〕 in G major
ヘンリー・パーセルは17世紀後半のイギリス最大の作曲家です。宮廷音楽家の父や伯父のもと、幼少より王室礼拝堂の聖歌隊員をつとめ、15歳で王室の鍵盤楽器の調律を任されるなど王室での地位を高めていきました。青年期以降は作曲家、鍵盤楽器奏者として本格的に活動をし、とりわけ声楽作品の創作に情熱を注ぎました。自由奔放、不規則なフレージング、拍子とリズムの衝突など、情熱に身をまかせるような作風であるとともに、幼少時に学んだエリザベス朝時代の音楽家たち(バード、ブル、ギボンズら)の様式とイタリア、フランス音楽の構成を取り入れ、パーセルの輝かしい個性を確立していきました。
「組曲」は全8曲あり、すべてアン王女に捧げられています。今回は「第6番」を演奏します。ホーンパイプはイギリスの伝統的な舞曲。
「新しいグラウンド」はパーセルが1683年に作曲した『ここに神々はよしとし給う(Here the Deities Approve)』の編曲で、8分音符の低音(グラウンド)の上に旋律が変奏されていきます。
「新しいアイルランドの調べ」は二部形式の舞曲です。
J.S.バッハ(1685〜1750)
Johann Sebastian
Bach
フランス組曲第5番 ト長調
BWV816
アルマンド- クーラント- サラバンド- ガヴォット - ブーレ - ルール - ジーグ
French Suite No.5 in G major
Allemande - Courante – Sarabande – Gavotte – Bourree – Loure – Gigue
本日最後の演奏曲、ヨハン・ゼバスティアン・バッハはドイツバロック最高峰の作曲家です。オルガニストや宮廷楽長としてドイツ各地を転々とし、その間に作曲した作品のジャンルや曲数の多さ、内容の豊かさは「音楽の父」と呼ぶにふさわしいものがあります。
バッハには6曲ずつまとまった鍵盤組曲集が3つあります(「イギリス組曲」「フランス組曲」「パルティータ」)。なかでも「フランス組曲」は規模が小さいものの、洗練された美しさが特徴的です。「フランス組曲」の名称の由来は不明ですが、前妻に先立たれ、再婚したばかりの若い妻のためにまとめられた曲集「アンナ・マグダレーナ・バッハのためのクラヴィーア小曲集」に含まれています。「プレリュード」はなく、バロック組曲の基本要素の「アルマンド」「クーラント」「サラバンド」「ジーグ」の4つの舞曲を中心とし、第5番は「ガヴォット」「ブーレ」「ルール」の当世風舞曲を挿入しています。いずれの曲も優美で親しみやすい曲想です。
スヴェーリンクからバッハの間には約100年の時が流れています。
悠久の時をみなさまと共に共有できれば幸いです。
アンコール
どうもありがとうございました。
沢山の拍手をいただきましたので、本日のフラワーアレンジメントにあわせ
F.クープラン クラヴサン曲集より「百合の花ひらく」
をお送りします。
これまでの演奏会へ戻る