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22nd Concert
アンサンブル山手バロッコ第22回演奏会(特別演奏会)
〜 観月会バロックコンサート 〜
"Baroque Concert in a Harvest Moon Night"
2007年9月23日(日)午後4時30分開演
三溪園 旧燈明寺本堂
主催:財団法人 三溪園保勝会
4:30pm 23rd Sept. 2007 at Kyu-Tomyoji Hondo in Sankei-en
出演 アンサンブル山手バロッコ
わたしたち「アンサンブル山手バロッコ」は、98年、横浜山手の洋館 山手234番館のリニューアルに行なわれた記念のコンサートをきっかけに、山手在住のリコーダー愛好家 朝岡聡を中心に結成された、バロック時代の楽器(古楽器)を使った演奏団体で、継続的に山手の洋館での演奏活動を続けています。本日の演奏メンバーを紹介します。
曽禰寛純 Hirozumi Sone(フラウト・トラヴェルソ Flauto
traverso,):
フルート演奏を経て、フラウト・トラヴェルソを独学で学び、慶應バロックアンサンブルで演奏。カメラータ・ムジカーレ同人。当アンサンブル発足メンバー。
角田幹夫Mikio Tsunoda(バロック・ヴァイオリンBaroque Violin):
慶応バロックアンサンブルでヴァイオリンを演奏。独学でヴィオラ・ダ・ガンバを学ぶ。現在、カメラータ・ムジカーレ同人。当アンサンブル発足メンバー。
譜久島譲Yuzuru Fukushima(ヴィオラ・ダ・ガンバViola da gamba):
16才よりギターを始める。クラシックギターを江間常男,フラメンコギターを飯ヶ谷守康の各氏に師事。その後バロック音楽に興味を持ち,ヴィオラ・ダ・ガンバを平尾雅子氏に師事。劇団青年座との共演、ロぺ・デ・ベガの作品やミヒャエル・エンデの童話の音付けなど、帽広い活動を行なっている。また,リコーダー製作を平尾重冶氏に師事し,製作家としても高い評価を得ている。
酒井絵美子Emiko Sakai (チェンバロCembalo):
洗足学園音楽大学ピアノ科卒。チェンバロを岡田龍之介氏に師事。現在、ピアノ及びチェンバロ奏者として幅広く音楽活動を行っている。
曽禰愛子Aiko Sone (ソプラノSoprano):
声楽を川上勝功氏に師事。横浜雙葉学園聖歌隊メンバー。
アンサンブル山手バロッコ第22回演奏会(特別演奏会)
〜 観月会バロックコンサート 〜
"Baroque Concert in a Full-Moon Night”
プログラム
Program
横浜の名勝三渓園の観月会でのバロックコンサートにお越しいただきありがとうございました。本日は、三重塔と同じく京都の燈明寺から移築された重要文化財の本堂でのコンサートです。室町時代の建築といわれていますので、今から600年以上前の日本の古いお堂で、同じく300年以上前にヨーロッパで作られたバロック音楽を、当時の様式の楽器で演奏します。名月と名園、古い建物と古い音楽とをご一緒に楽しみましょう。
J.M.ルクレール(1697 〜 1764) / フルート、ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ
二長調 作品2-8
アダージョ – アレグロ – サラバンド – アレグロ アッサイ
J,M,Leclair / Sonata for Flute, Violin and Basso continuo D-Major
Adagio – Allegro – Sarabanda – Allegro assai
フランスバロック時代の作曲家ルクレールは、ルイ15世の頃ヨーロッパ中に名前をとどろかせたヴァイオリン奏者でもありました。自分の楽器ヴァイオリンのためのソナタや組曲、合奏曲を作り、オペラも作曲した人気作曲家でもありました。ソナタ 二長調は、イタリアのソナタの形式を採りながらも、フランスの趣味であるサラバンドやタンブーランなどの舞曲の要素を上手に取り入れ個性的な世界を作り出しています。
H.パーセル(1659 - 1695) / オイディプスより「ひとときの音楽」
H.Purcell / “Music for a while”
パーセルはバッハより少し前のイギリスの天才作曲家。惜しくも若くしてなくなりましたが、珠玉のような作品を残しています。「ひとときの音楽」は、劇音楽「オイディプス」中の曲です。ひととき音楽を聴くことで、すべての悩みが癒され、奇跡のように痛みが消え去ること、そんな音楽の力を歌っています。
ひとときの音楽は
あなたの心の悩みをすべていやすだろう
「音楽」は自分があなたの痛みを和らげたことを不思議に思い
人々に喜ばれることをいぶかしく思い続けるのだ
復讐の女神アレクトが
死者を永遠のいましめから自由にするときまで
彼女の頭から蛇が落ちるときまで
手から鞭が落ちるときまで「音楽」はそう思い続ける
音楽はほんのひとときで
あなたの心の悩みをすべていやすだろう
(訳 波多野睦美)
F.J.ハイドン(1732〜1809) / トリオ 二長調
アダージォ・カンタービレ - アレグロ - テンポ・ディ・メヌエット
J.Haydn / Trio for Flute, Violin and Violoncello D-major Op38-1
Agagio cantabile – Allegro – Tempo di
Menuetto
ハイドンは、古典派の父として今日知られていますが、長らくエステルハージ候の宮廷楽長として、オペラ、宗教曲、交響曲、協奏曲や室内アンサンブルの作曲と演奏を行いました。今日演奏するトリオは、1784年にロンドンで出版されました。もともとはハイドンが楽長をつとめる宮廷お抱えのヴァイオリン、フルートとチェロの名手によるアンサンブルを披露するために作られたと考えられますが、台頭してきたアマチュア演奏家を目当てに売り出されました。第1番は、3つの楽章からなっていますが、第1楽章は、自作のオペラ「月の世界」の第2幕の曲を3重奏に仕立て直したものです(月の世界を想像しながらお聴きください)。曲は、緩やかな歩みを楽しむ第1楽章で始まり、軽快な第2楽章を経て、踊りの形式で書かれた、しゃれた終楽章の3つの楽章からなっています。
J.S.バッハ(1685〜1750) /トッカータ 二長調 BWV912
J.S.Bach / Toccata for Viola da gamba BWV912
ドイツ生まれでバロック最大の作曲家バッハは、同時にオルガンやチェンバロといった鍵盤楽器の名手でもありました。このトッカータ二長調は、若き日より才能を発揮したバッハが20歳前後で作曲したと考えられています。トッカータとはイタリア語で「触れる」という意味の動詞トッカーレに起源を持ち、主に鍵盤楽器によって鍵盤や弦に触れる感触を楽しむような速い走句(パッセージ)や細かな音形の変化などを伴った即興的な楽曲を指します(父親の死後、引取られた先の兄の家の楽譜を、月明かりで夜な夜な勉強した成果を最初に発揮した時代の曲です)。ファンファーレのように華やかな楽句で始まったあと、協奏曲のような名人芸と語るようなアダージォの部分が続きます。次いで、短調のフーガから走り抜けるような走句を経て、最初の二長調に戻りジーグ(踊り)のリズムに乗った輝かしいフーガが始まります。最後は16分音符の華やかな名人芸を織り込んで、若き日のバッハの腕前を見せ付けるように曲が終わります。
G.F.テレマン(1681-1767) / パリ四重奏曲 第6番 ホ短調
前奏曲 - 陽気に(Gai) - 速く(Vite) -優雅に(Graciousment) - うわのそら(Distrait) – 中庸の速さで(Modere)
G.P.Telemann / Quartet in es-minor
Prelude / Gai / Vite / Graciousment / Distrait / Modere
テレマンは、バッハと同時代のドイツの音楽家で、当時はバッハを遥かにしのぐ名声を獲得していました。この時代のドイツの音楽家たちは、協奏曲に代表される単純明快な形式と歌うような旋律美を特徴とするイタリア様式とともに、いかにも洒落た雰囲気のフランス趣味(舞曲が中心、短い旋律線、装飾音の多用、種々の特徴的なリズムパターン、など)を競って取り入れました。テレマンはこの点でも才能を発揮し、プライドの高いフランスの音楽家たちからも異例の高い評価を得ていました。そして、フランスの著名な音楽家たちからの招きに応じて、1737年にテレマンはパリを訪れます。そのときに作曲された、今日「パリ四重奏曲」として知られるフルート、ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音のための四重奏曲は「6つの組曲風の新しい四重奏曲集」として1738年に出版され、パリの音楽家や市民から熱狂的に迎えられました。「組曲風の」とは、舞曲のリズムを借りた楽章が多いことを指しています。第6番は曲集の最後を飾る大曲で、ヴァイオリンのソロでイタリア風に味付けされたフランス風の序曲(前奏曲)、いくつかの踊りの曲を経て、うわのそらというヴィオラ・ダ・ガンバの独奏が目立つ小曲を経て、壮大で情感豊かなシャコンヌでこの曲集を締めくくります。
アンコールはルクレール「音楽の楽しみ」よりタンブーランほかを演奏しました。どうもありがとうございました。
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