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山手234番館 古楽器コンサート

 NEW!!
19th Concert

 

アンサンブル山手バロッコ第19回演奏会

 

山手洋館 夏の宵のコンサートシリーズ

〜 夏の宵のバロック 笛の宴 〜   

 

"Baroque Flute Music in a Summer Night"

2006年7月8日(土) 午後4時30分開演 

山手234番館 1F展示室 (元町公園前、えのき亭隣り) 

4:30pm 8 July 2006 at Yamate234 House

 

NEW!! 音楽雑誌「音遊人」2006年10月号にアンサンブル山手バロッコが紹介されました!!

記事掲載された集合写真(練習時)です。

出演 アンサンブル山手バロッコ 

わたしたち「アンサンブル山手バロッコ」は、98年、横浜山手の洋館 山手234番館のリニューアルに行なわれた記念のコンサートをきっかけに、山手在住のリコーダー愛好家 朝岡聡を中心に結成された、バロック時代の楽器(古楽器)を使った演奏団体で、継続的に山手の洋館での演奏活動を続けています。本日の演奏メンバーを紹介します。

朝岡 聡 Satoshi Asaoka (お話し、アルト・リコーダー、ヴォイス・フルート Recorder):
元テレビ朝日アナウンサー。現在はフリー。リコーダーを大竹尚之氏に師事。愛好暦は30年以上。著書「笛の楽園」(東京書籍)のほか、コンサート司会・FM番組でもクラシック活動中。

山本 勉 Tsutomu Yamamoto (アルト・リコーダー、ヴォイスフルート Recorder):
リコーダーを独学で学び、慶應バロックアンサンブルで演奏。カメラータ・ムジカーレ同人。

曽禰寛純 Hirozumi Sone(フラウト・トラヴェルソ Flauto traverso,):
フルート演奏を経て、フラウト・トラヴェルソを独学で学び、慶應バロックアンサンブルで演奏。カメラータ・ムジカーレ同人。当アンサンブル発足メンバー。 

清野由紀子 Yukiko Kiyono (フラウト・トラヴェルソ Flauto traverso,):
昭和音楽大学卒。アマチュアオーケストラを中心に、ソロ・室内楽の分野でも活動している。モダンフルートを岩花秀文氏、フラウト・トラヴェルソを中村忠氏に師事。

中尾晶子 Akiko Nakao(チェロ Violoncello: 
2000年〜03年の都留音楽祭に参加。アマチュア・チェリストとして、モダン、バロック・チェロで活躍中。カメラータ・ムジカーレ同人。 。 

脇田美佳 Mika Wakita(チェンバロ Cembalo
洗足学園大学ピアノ専攻卒業。在学中にチェンバロに出会い、チェンバロと通奏低音を岡田龍之介氏に師事。また、曽根麻矢子、渡邊順生、上尾直毅各氏のレッスンを受ける。


 

アンサンブル山手バロッコ第19回演奏会

 

山手洋館 夏の宵のコンサートシリーズ

〜 夏の宵のバロック 笛の宴 〜   

"Baroque Flute Music in a Summer Night"

 

プログラム
Program

 

 横浜山手の洋館での古楽器による音楽のひとときに、ようこそおいでいただきました。このコンサートは、山手洋館で開催される夏の宵コンサートの一環でお届けします。今回は、縦笛(リコーダー)、横笛(フルート)のバロック時代の笛のために書かれ、貴族や商人の館などサロンで楽しまれた曲をご一緒に楽しみたいと思います。

 バロック時代に愛好された笛としては、何と言ってもリコーダーがあげられます。初期バロックの時代には、ソロから何本ものリコーダーでの合奏(コンソートといいます)まで、広く親しまれ、後期になっても室内楽、協奏曲や声楽曲でのソロ楽器として活躍しました。王侯貴族は、リコーダーの冴え冴えとした音色、よく他の楽器と調和する響きを大変愛し、お城や館で演奏する為の楽器を沢山所有していました。銀や象牙細工の調度品とも思えるような贅を尽くした楽器も多く作られ、笛族(属)の王様のような地位を築いていたといって良いと思います。今と違って、当時は単に「フルート」というとリコーダーを意味しました。

 一方、フルートは、初期には合奏のなかで使われる程度に止まっていましたが、18世紀の初めころに楽器が改良されると、強弱の表現のしやすいことも好まれ、ソロの旋律楽器として急速に使われるようになりました。しかし、地位はまだ高くなく、フルート(リコーダー)と区別する為に、わざわざ「横に吹くフルート」という意味のフラウト・トラヴェルソという名前で呼ばれていました。

 やがてバロックも押し詰まり、古典派に向かうころから、よりダイナミックな表現が好まれるようになるにつれて、リコーダーは徐々に使われなくなり、フルートの言葉の意味も、縦のフルートから横のフルートに次第に切り替わっていきました。

 

J.B.de ボアモルティエ(1689〜1755) 5本のフルートのための協奏曲第3番二長調 作品15

アレグロ − アダージョ − アレグロ

J.B. de Boismortier /  Concerto for Five Flutes  D-Major Op.15-3

Allegro - Adagio - Allegro 

 

 1689年生まれで、バッハ、ヘンデルより4歳年下のフランスの作曲家J.B.deボアモルティエは、残念ながら今日正当な評価を受けていない作曲家の一人だと思います。当時は、ありとあらゆる組み合わせの多くの器楽曲を出版し、フランスで、いや欧州でも人気作曲家でした。当時台頭した王侯貴族や富裕な商人の楽器演奏のための親しみやすい曲を作曲し、生涯で何と102作品を出版し、大きな財をなしました。

 多作家ゆえに粒ぞろいの名作ばかりとは行きませんが、作曲家としてもなかなかの腕前で、演奏効果と楽器の特徴を上手くバランスさせた曲作りをしている点では、先にご紹介した人気作曲家テレマンに通ずるものがあります。また、当時は格式を重んじていたフランスの音楽に、ヴィヴァルディの音楽でお馴染みのより自由でダイナミックなイタリアの様式を導入した最初の作曲家としても特筆されます。

 5本のフルートのための協奏曲は、編成の点でも、その歴史的意味でも全くユニークなものです。まず編成については、無伴奏の5本のフルート(横のフルート)のために作曲されました。この編成で書かれた曲は、おそらく現在までもこのボアモルティエの曲を除いては無いと思います。また、1727年に作曲されたこの曲は、フランスの作曲家がイタリア様式の協奏曲を書いた第一号になりました。

 編成は、フルートの第1〜第4を、リコーダーとフルートを組み合わせて、また第5フルートの部分は、作曲者自身も代案として指示している、チェロとチェンバロの通奏低音の形で演奏します。この曲では、D管(最低音がレの音)のリコーダーでヴォイスフルートと呼ばれる楽器を2本使用します。人の声(ヴォイス)と同じような響きがすることからこの名前になったと言われていますが、フルートと同じ音域を持ち、フルートともよく響きあうので、フルートの曲を演奏するときに好んで用いられました。曲は、フルートとリコーダーが、協奏曲のオーケストラ部分とソロを受け持ちますが、テーマになる全奏とソロが交互に出てくる、いわゆるヴィヴァルディの協奏曲の形式に、フランスならではの、しゃれたリズムや響きをスパイスとして加えたつくりになっています。

 第3番ではヴォイス・フルートが第1番、2番を、フラウト・トラヴェルソが第3番、4番を、チェロとチェンバロが第5番を担当します。

 

J.S.バッハ(1685〜1750) プレリュード、フーガとアレグロ 変ホ長調 BWV-998

J.S.Bach / Prelude, Fuga and Allegro E flat Major BWV-998

 

 プレリュード,フーガとアレグロは、バッハ50歳の1735年ごろに作曲されました。大家として知られていたバッハの家には、ライプチッヒを訪れる音楽家は立ち寄り親交を結ぶのが常でした。この曲はバッハの自筆楽譜で「リュートまたはチェンバロのためのプレリュード・・」と書かれており、バッハと親交のあったリュートの名演奏家ヴァイスがバッハ家を訪れた際に作られたのではないかとも言われています。

 曲は、流れるような3連符で構成されるプレリュード、自由な中間部を持つフーガという一般的な構成に、もう一楽章舞曲風のアレグロが追加された形になっています。(チェンバロでの演奏になります。)

 

 

J.S.バッハ(1685〜1750) 2つのフルートと通奏低音のためのソナタ ト長調 BWV-1039 

アダージョ − アレグロ マ ノン プレスト  − アダージョ エ ピアノ − プレスト

J.S.Bach / Sonata for two flute and Basso continuo G-Major BWV-1039

Adagio - Allegro ma non tanto - Adagio e piano - Presto 

 J.S.バッハはライプチッヒの音楽監督の時代に、テレマンの設立した市民向け演奏団体、コレギウムムジクムを引き継ぎ、市の名物に仕立て上げました。

  2本のフルートと通奏低音のためのソナタは、このコレギウムムジクムで演奏されたのではないかと考えられています。お気に入りの曲だったらしく、本日演奏する形以外にも、ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロの組み合わせやオルガン独奏の形にも編曲されて現在に伝えられています。 2本のフルートのための楽譜の筆跡は、バッハの息子ヨハン・ゴットフリート・ベルンハルトではないかとも言われています。このベルンハルトはフルートの名手だったので、お父さんの曲を合奏し披露する為の演奏譜が現在に伝わったのかもしれません。 

 曲は2本のフルートをソロ楽器としてトリオソナタの形式書かれています。当時のトリオソナタ様式どおり緩急緩急の4楽章からなりますが、明るい曲想の裏側で、掛け合いや模倣など、2本のフルート間のやりとりだけでなく通奏低音のチェンバロ、チェロにもバッハならではの、凝った仕掛けが組み込まれており、演奏していても緊張感のある曲に仕上げられています。

 

G.Ph.テレマン(1681〜1767) / 2本のリコーダーのためのカノンによるソナタ  第5番 ハ長調 作品5

ヴィヴァーチェ − カンタービレ − スケルツァンド

 

G.P.Telemann / Sonata by canon for two Flute C-Major Op.5-5  

Vivace - Cantabile -Scherzando

 

 1681年生まれで、大バッハより4歳年上のテレマンは、小さい時から数多くの楽器の演奏し、弦楽器、管楽器や鍵盤楽器の演奏に長けていました。ライプチッヒの大学時代には、自らコレギウムムジクムと呼ばれる学生楽団を組織し、市民に演奏するという当時の時代の先端を行く試みをするなど、多彩な音楽家でした。大学を卒業し、オルガニスト、宮廷音楽家として仕えた後、ハンブルグの音楽監督として活躍しました。劇場音楽、教会音楽から家庭音楽まで幅広いジャンルに、あらゆる組み合わせの作曲をし、各国の音楽様式を取り入れた作曲でヨーロッパにその名声は知れわたり、そして楽譜を自ら刻印し、出版し財産を作るという才人でもありました。 

 2本のリコーダーのためのカノンによるソナタは、1735年に作品5として6曲のセットで出版された曲ですが、数多くあるテレマンの曲の中でもユニークな存在として知られています。というのも、全曲がカノン(=2つの楽器が全く同じ旋律を少しずらして輪唱のように演奏する曲)で作られているからです。カノンは古い時代の様式で、堅苦しい音楽には適していますが、親しみやすい曲には向かないと考えられていました。そのカノンの様式を敢えて選んで腕前を見せたかったのでしょうか? テレマンの意気込みどおり、カノンの約束を守りながら、2つの楽器が独奏風に活躍したり、長調から短調に転調し気分を切り替えたりと、カノンの枠にはまっているのを忘れるくらい生き生きとした大変素晴らしい曲集に仕上がっています。 

 本日は、曲集の5番目の曲を演奏します。テレマンは2つのフルート(トラヴェルソ)またはヴァイオリン用に出版しましたが、リコーダー演奏してもよく響くので、当時の習慣により、短3度高く移調してハ長調にし、アルト・リコーダー演奏します。

 

J.B.de ボアモルティエ(1689〜1755) / 5本のフルートのための協奏曲第6番ホ短調 作品15 

アダージョ − アレグロ − アレグロ

J.B. de Boismortier /  Concerto for Five Flutes  e-minor Op.15-6

Adagio - Allegro - Allegro 

 本日最初に演奏した曲集の第6番を演奏します。第6番ではフラウト・トラヴェルソが第1番、2番を、ヴォイス・フルートが第3番、4番を、チェロとチェンバロが第5番を担当します。

 

アンコールは パッヘルベルのカノン ニ長調を 2本のヴォイスフルートとフラウトトラヴェルソで、通奏低音(チェロ、チェンバロ)とともに演奏しました。

 

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