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山手234番館 古楽器による夏のコンサート
NEW!!
16th Concert
アンサンブル山手バロッコ 第16回演奏会
〜協奏的バロック音楽〜
"Concerted Baroque Music"
2005年7月3日(日) 午後2時開演
山手234番館 1Fギャラリー(元町公園前、えのき亭隣り)
大変大勢のお客さまにおいでいただき有難うございました。予定を変更し、
234番館1Fのギャラリーを開放していただき、より多くの皆様に聴いていただく様にいたしました。
本当に、有難うございました。
なお、山手の洋館の「夏の宵コンサート」シリーズの第一回ということで、NHK、読売新聞、毎日新聞の取材があり、TVや新聞に掲載されました。どうも有難うございます。
毎日新聞サイト: http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/kanagawa/archive/news/2005/07/04/20050704ddlk14200193000c.html
2:00pm 3 July. 2005 at Yamate234 House
出演 アンサンブル山手バロッコ
わたしたち「アンサンブル山手バロッコ」は、98年、横浜山手の洋館 山手234番館のリニューアルに行なわれた記念のコンサートをきっかけに、山手在住のリコーダー愛好家 朝岡聡を中心に結成された、バロック時代の楽器(古楽器)を使った演奏団体で、継続的に山手の洋館での演奏活動を続けています。本日の演奏メンバーを紹介します。
朝岡 聡 Satoshi Asaoka(リコーダーRecorder):
元テレビ朝日アナウンサー。現在はフリー。リコーダーを大竹尚之氏に師事。愛好暦は30年以上。著書「笛の楽園」(東京書籍)のほか、コンサート司会・FM番組でもクラシック活動中。
曽禰 寛純 Hirozumi Sone(フラウト・トラヴェルソFlauto
traverso,リコーダーRecorder):
フルート演奏を経て、フラウト・トラヴェルソを独学で学び、慶応バロックアンサンブルで演奏。カメラータ・ムジカーレ同人。当アンサンブル発足メンバー。
原田 純子Junko Harada(バロック・ヴァイオリンBaroque
violin、バロック・ヴィオラBaroque
viola):
慶應バロックアンサンブルでモダンヴァイオリンを演奏。その後バロック・ヴァイオリンを渡邊慶子氏に師事。現在は室内楽を中心にモダン楽器とバロック楽器の両方で活躍。
川本 浩史 Koushi Kawamoto(バロック・ヴァイオリンBaroque
violin、ヴィオラ・ダ・ガンバViola da
gamba) :
川口洋、木村義之、大田也寸子、の各氏にヴァイオリンを師事。ラテン系音楽と並行して古楽演奏で活動中。バロック・ヴァイオリンを渡邊慶子、ヴィオラ・ダ・ガンバを神戸愉樹美の各氏に師事
川崎 恵子 Keiko Kawasaki (バロック・ヴィオラBaroque
viola) :
15歳よりヴィオラを始める。洗足学園大学及び大学院にて岡田伸夫氏に師事、またバロックヴィオラを森田芳子氏に師事。フリーでオーケストラ、室内楽などで活動中。
中尾 晶子 Akiko Nakao(バロック・チェロBaroque
violoncello):
2000年〜2003年の都留音楽祭に参加。アマチュア・チェリストとして、モダン、バロック・チェロで活躍中。カメラータ・ムジカーレ同人。
渡辺 比登志Hitoshi Watanabe(ヴィオラ・ダ・ガンバViola da
gamba):
慶応バロックアンサンブルでチェロを演奏。ヴィオラ・ダ・ガンバを神戸愉樹美氏に師事。現在、カメラータ・ムジカーレ同人
酒井 絵美子 Emiko Sakai(チェンバロCembalo):
洗足学園音楽大学ピアノ科卒業。在学中よりチェンバロを岡田龍之介氏に師事。現在、ピアノ及びチェンバロ奏者としてルネサンスから現代音楽まで幅広く音楽活動を行っている。
浅川 真理 Mari Asakawa(アルト
Alto) 、曽禰
愛子Aiko Sone (ソプラノ
Soprano) :
声楽を川上勝功氏に師事。横浜雙葉学園聖歌隊メンバー
アンサンブル山手バロッコ 第16回演奏会
〜協奏的バロック音楽〜
"Concerted Baroque Music"
プログラム
本日はアンサンブル山手バロッコのコンサートにおいで頂きありがとうございました。今回は「協奏的バロック音楽」のテーマでお届け致します。
バロック時代は、複数の声部がお互いに独立したメロディーで時に模倣したり、対抗したりする、いわゆるポリフォニーが基盤になっていました。また、別名通奏低音の時代ともいわれ、曲を通じて演奏される低音(通奏低音:通常チェロとチェンバロ)が音楽の基盤と和声を形作り、歌やヴァイオリンなどのソロの声部を支えたり、競い合ったりします。
イタリアを発祥の地としてConcerto〔コンチェルト〕ができたのもバロック時代です。協奏曲は1つまたは複数の独奏楽器が、合奏と競い合う形式で、ヴァイオリンや管楽器の名手が輩出したバロック時代に発展しました。また、バッハが1720年頃にそれまで合奏では通奏低音の裏方だったチェンバロを独奏楽器として発展させ、その後のピアノ協奏曲の源ともなったと言われています。
一方、フランスでは、協奏曲の原理よりも、色々な楽器が溶け合い、響き合うような合奏曲が好まれ、Concert〔コンセール〕と呼ばれました。
今回の選曲は、バッハの協奏曲を中心に、バロック音楽の協・競の世界を構成しました。それぞれの曲で、どのように競い合い響きあっているかをお聴き頂ければ幸いです。
J.S.バッハ(1685 - 1750)
チェンバロ協奏曲 第4番 イ長調 BWV1055
J.S.Bach / Cembalo Concerto A-Major BWV-1055
アレグロ - ラルゲット - アレグロ・マ・ノン・タント
チェンバロ協奏曲 第5番 イ長調は、バッハのライプチッヒの音楽監督の時代に、市内のコーヒーハウスのコンサートで有名になった楽団「コレギウムムジクム」のために作曲し、演奏したチェンバロ協奏曲の1つと考えられています。チェンバロが独奏楽器として活躍する協奏曲は当時大変珍しく、人々はバッハの妙技を曲の素晴らしさとともに味わったに違いありません。
バッハは、1台、2台、3台そして何と4台のチェンバロ独奏のための協奏曲を合わせて10曲以上作曲していますが、殆どが他の独奏楽器の協奏曲をチェンバロ独奏に編曲したものと考えられています。このイ長調の原曲は失われていますが、オーボエダモーレ独奏だったと推定されています。愛のオーボエと呼ばれる独奏楽器のための曲らしく、全体に軽やかで愛らしい曲に仕上がっています。
はやい・ゆっくり・はやい、のヴィヴァルディ型の3楽章構成ですが、チェンバロの分散和音と歌うような旋律が魅力的な第1楽章、シシリアーノの調べに乗せたしっとりとした第2楽章、舞曲風の軽やかな第3楽章、どこをとってもチェンバロの魅力が十分引き出されています。
F. クープラン(1668-1733)
王宮のコンセール 第4番
F. Couperin / Concerts Royaux Quatrieme concert
プレリュード - アルマンド - フランス風クーラント - イタリア風クーラント - サラバンド - リゴードン- フォルラーヌ
王宮のコンセールは、フランスの太陽王ルイ14世の時代にヴェルサイユの王宮で鳴り響いた曲です。
作曲したフランソワ・クープランは、バッハとならび称せられる音楽一家の頂点をなした人で、チェンバロのための組曲を多数残しています。この王宮のコンセールは宮殿で当時のヴァイオリン、フルート、オーボエやヴィオラ・ダ・ガンバの名手たちとクープランが共演し王様におきかせした曲を、後年合奏曲集として出版したものです。 演奏する4番目の合奏曲(コンセール)は、フランスで好まれた踊りの曲を組み合わせた組曲の形式をとっています。楽器の編成は指定されていないので、当時の習慣に合わせて、本日はフルート、ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロので、様々な音色の組み合わせをお聴きいただきます。
G.B.ペルゴレージ(1710 - 1736)
スターバト・マーテル(悲しみの聖母)より "Quando corpus morietur"(肉体が死に行く時)
G.B. Pergolesi/ "Quando corpus morietur" from Stabat Mater
スターバト・マーテル(悲しみの聖母)は、イタリアバロック宗教曲の代表的名曲といわれています。作曲者のペルゴレージは、イタリアに生まれ、幼少時から才能を発揮し、ナポリで活躍しましたが、病気のためわずか26歳でその生涯を終えました。
このスターバト・マーテルは、療養中の聖フランチェスコ修道院で死の直前に作曲されたもので、ソプラノ、アルトの独唱・重唱と弦楽合奏により、深い悲しみを描いており、作曲家の死後、ペルゴレージの代表作として有名になりました。かの大バッハも、ライプチッヒ時代にこの曲を編曲し、ドイツ語の詩篇の歌詞を付けて演奏しています。 「肉体が死に行く時」は、この曲の最後の楽章で、ヘ短調の鎮痛な曲想を経て、最後は、ソプラノ、アルトと弦楽での畳み込むようなアーメンの祈りで曲を閉じます。
歌詞大意 : Quando corpus morietur ( 肉体が死に行く時 ) fac ut animae denetur ( 魂が天国の栄光に)paradisi gloria.( 捧げられるようなしたまえ) Amen(アーメン)
G.サンマルティーニ(1695〜1750)
ソプラノ・リコーダーと弦楽合奏のための協奏曲 ヘ長調
G.Sammartini / concerto
F-Major for Soprano Recorder and String orchestra
アレグロ - シシリアーノ - アレグロ・アッサイ
リコーダーと弦楽合奏のための協奏曲を作曲したサンマルティーニは、バッハより10歳年下のイタリアの作曲家ですが、イギリスに渡って活躍しました。
この曲は、サンマルティーニの曲の中では演奏される機会の多い曲で、明るく伸びやかな曲想と、ソプラノ・リコーダーの軽やかな音色がマッチしています。バッハの協奏曲と同じく、3楽章構成で、第1楽章アレグロは、堂々とした弦楽の導入部のあと、冴え冴えとしたソプラノ・リコーダーが妙技を披露します。続く、第2楽章シシリアーノは、イタリアの舞曲を骨組みとしていますが、リコーダーを歌手と見立てた、しっとりとしたアリアのような作りとなっており、弦楽を伴奏にリコーダーが歌います。最後の楽章は、舞曲風のメロディーの上でリコーダーが飛び回り、楽しく曲が終了します。
J.S.バッハ(1685 - 1750)
ブランデンブルク協奏曲 第6番 変ロ長調 BWV1051
J.S.Bach / Brandenburg
Concert No.6 B-Major BWV-1051
(速度記号なし) - アダージョ・マ・ノン・タント - アレグロ
ブランデンブルク協奏曲 第6番は、バッハの曲の中でも最も有名な曲の1つであるブランデンブルク協奏曲の最後を飾る曲です。この協奏曲は、バッハのケーテン宮廷楽長時代の1721年にブランデンブルク辺境伯ウr−ドウィヒ候に献呈されたため、この名前で呼ばれています。 バッハの元々のタイトルは、「種々の楽器のための協奏曲集」であり、新しい就職も期待し、他所のお殿様へ捧げたバッハ自選の傑作集とも言えるものだったと思います。
この6番は、ヴァイオリンを含まず、ヴィオラやチェロの活躍する珍しい編成になっています。独奏楽器の2台のヴィオラに,伴奏と一部独奏に参加する2台のヴィオラ・ダ・ガンバが加えられており、中音域の充実した曲になっています。 ケーテンのお殿様は、このヴィオラ・ダ・ガンバを愛し、演奏したこと、バッハはヴィオラをよくアンサンブルで演奏したことから、この曲は、ケーテンの宮廷での王様を交えた演奏のための曲であるという説や、バッハが当時の王侯貴族の楽器で、かつ独奏楽器として華やかだったヴィオラ・ダ・ガンバを伴奏(下僕)とし、縁の下の力持ち的だったヴィオラ(庶民)を、独奏楽器として活躍させた社会風刺であるという説もあります。 いずれにせよ、バッハらしい緻密で、掛け合いの妙が随所に表れる名曲だと思います。曲は、本日の他の協奏曲と同じく、はやい・ゆっくり・はやい、の3楽章構成になっています。
J.S.バッハ(1685 - 1750)
カンタータ18番 「天より雨、雪がくだり」より シンフォニア BWV18
J.S.Bach / Sinfonia
from Cantata No.18
アンコールには、バッハのワイマール時代の教会カンタータ「天より雨、雪がくだり」の最初に演奏されるシンフォニアを演奏しました。4本のヴィオラと通奏低音が、雨や雪の天から降る様を表し、その上に2本のフルートとヴィオラが美しい掛け合いを演じます。
ご来場有難うございました。
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