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118th Concert
アンサンブル山手バロッコ第118回(結成25周年記念)演奏会
横浜市イギリス館サマー・コンサート
西洋館で味わう
クラシカル・フルートの魅力〜IV
Ensemble music of Classical
Flutes、Viola and Violoncello
“洋館で親しむバロック音楽”第131回
2023年8月18日(金) 19時開演(18時30分開場)横浜市イギリス館(横浜市中区山手町115-3)
19:00 18th August 2023 at
British House Yokohama
主催:アンサンブル山手バロッコ
出演
清野 由紀子 (クラシカル・フルート)
昭和音楽大学管弦打楽器科卒。卒業後は音楽出版社勤務の傍ら研鑽を続け、モダンフルートを岩花秀文氏、フラウト・トラヴェルソを故中村忠の各氏に師事。バロックアンサンブル『ラ・クール・ミュジカル』主宰。
曽禰
寛純(フラウト・トラヴェルソ)
フルート演奏を経て、フラウト・トラヴェルソを独学で習得、慶應バロックアンサンブルで演奏。1998年に朝岡聡と共に、アンサンブル山手バロッコを結成し、洋館でのコンサートを継続。カメラータ・ムジカーレ同人。
日和ア 祐介 (クラシカル・フルート)
フルートを菅宗次、Geoffrey Collins、白尾彰の各氏に師事。また、リコーダーを大竹尚之、フラウト・トラヴェルソを有田正広の各氏に師事する。 慶応大学在学中より、アンサンブルやオーケストラ、時代と楽器を問わず長く活動している。1997年第8回フルートコンベンションのアンサンブル部門(一般・大学生)にて第1位。1998年7月25日放映「新・題名のない音楽会」で、Tin Whistle 奏者として白鳥恵美子と共演。アンサンブル小竹町メンバー。
小川 有沙 (クラシカル・ヴィオラ)
慶應バロックアンサンブルでヴィオラを演奏。卒業後、オーケストラ、室内楽の両面で活動している。アンサンブル山手バロッコメンバー。
永瀬 拓輝 (クラシカル・チェロ) ゲスト
桐朋学園大学音楽学部器楽科チェロ専攻卒業。東京藝術大学大学院古楽科バロック・チェロ専攻修了。チェロを金谷昌治、花崎薫、倉田澄子の各氏に、バロック・チェロを武澤秀平、E・ジラール、酒井淳、鈴木秀美の各氏に師事。ソロ、室内楽を中心に、モダンおよびバロック・チェロの演奏活動を積極的に行っている。「コーヒーカップ・コンソート」(大塚直哉指揮)メンバー。
現在、永瀬音楽教室、和幸楽器講師。2022年第23回大阪国際音楽コンクールアーリーミュージック部門最高位受賞
アンサンブル山手バロッコ第118回(成25周年記念)演奏会
横浜市イギリス館サマー・コンサート
西洋館で味わう
クラシカル・フルートの魅力〜IV
Ensemble music of Classical Flutes、Viola and Violoncello
“洋館で親しむバロック音楽”第131回
プログラムノート(曽禰、永瀬)
横浜市イギリス館は、1937年に、英国総領事公邸として建設された由緒ある建物です。その素晴らしい客間で、クラシカル・フルート、ヴィオラとチェロのアンサンブルによる18世紀のサロンコンサートをお届けします。
クラシカル・フルートのコンサートを始めたのは、わたしたちがバロック・アンサンブルのコンサートで使用する楽器はA=415Hzのバロック・フルート(フラウト・トラヴェルソ)であり、古典派に向かうA=430Hzのクラシカル・フルートは合奏の機会がなかなかなかったからです。新たな楽器や楽曲を学び、アンサンブルを積み重ねようという考えでコンサートを企画しました。クラシカル・フルートと同時代の鍵盤楽器であるフォルテピアノとも共演を重ね、また、小編成だけではなく、モーツァルトの協奏曲や交響曲も演奏曲目に加えられるようになり、クラシカル・フルートも徐々に身体の一部になってきています。室内楽シリーズ4回目の今回は、これまで演奏してきた曲と新たに取り上げる曲の組み合わせで、ロンドンやパリなどで楽しまれた家庭音楽をお届けします。
♪ ♪ ♪
F.J.ハイドン(1732-1809)
F. J. Haydn
2本のフルートとチェロのための「ロンドントリオ」第1番 ハ長調Hob. IV-1
The London trio No.1 in C-Major for two
Flutes and Violoncello Hob. IV-1
アレグロ・モデラート − アンダンテ − ヴィヴァーチェ
Allegro moderato – Andante - Vivace
ハイドン(1732-1809 )は長らくアイゼンシュタットに居を構えるエステルハージ候の宮廷楽長として、候の館に留まり、そこで交響曲、協奏曲や室内アンサンブルの作曲と演奏を行いました。長い間、都会から離れた地方都市に留まっていましたが、ハイドンが新しい古典派の扉を大きく開いた楽曲や演奏の名声はヨーロッパ中に知れ渡っていました。エステルハージ侯が亡くなり、自由な身になった晩年には、英国の興行師ザロモンの招聘を受け二度に渡ってロンドンに滞在し、現在多く演奏されるロンドンセットなどの交響曲や弦楽四重奏曲の名曲を作曲・演奏し熱烈な歓迎を受けました。ロンドントリオは、ハイドンが、2回目のロンドン滞在中の1794/95年に作曲され、出版されたもので、フルート2本とチェロの編成で4曲残されています。
第1番ハ長調のトリオは、3つの楽章からなり4曲の内で最も充実した構成になっていますが、重苦しいことは1つもなく、生気に溢れる喜遊曲といった趣の曲に仕上がっています。第1楽章はアレグロ・モデラート。第1フルート、第2フルートが重なって進行したり、交互に掛け合ったりしながら進み、チェロの低音の上で活躍します。チェロも要所要所で、技巧的な旋律でフルートに対抗し、楽しいやり取りが散りばめられています。第2楽章アンダンテはシシリアーノの雰囲気の佳曲、最後の楽章ヴィヴァーチェは軽快に3つの楽器で駆け抜けます。
F.J.ハイドン(1732-1809)
F. J. Haydn
2本のフルートとチェロのための「ロンドントリオ」第2番 ト長調 Hob. IV-2
The London trio No.2 in G-Major for two
Flutes and Violoncello Hob. IV-2
アンダンテ/アレグロ
Andante/Allegro
第2番ト長調のトリオは、4曲のなかで唯一変奏曲の形をとっています。最初に提示されるアンダンテの主題と6つの変奏からなり、第1、第2フルートとチェロの、それぞれが活躍するやり取り続き、最後には快活なアレグロで締めくくられます。
W.F.E.バッハ(1759-1845)
Wilhelm Friedrich Ernst Bach
2本のフルートとヴィオラのためのトリオ ト長調
Trio for two Flutes and Viola in G-major
アンダンテ/アレグロ
Andante/Allegro
ヴィルヘルム・フリードリヒ・エルンスト・バッハ (1759-1845)は、バッハ直系最後の音楽家です。父親(大バッハの息子であり、ヴュッケブルグのバッハと呼ばれた音楽家ヨハン・クリストフ・フリードリヒ(J.C.F.バッハ))から音楽の手ほどきを受けました。1778年に父に連れられ、ロンドンで大成功した音楽家である叔父ヨハン・クリスチャン・バッハ(J.C.バッハ)を訪問。その指導を受け、フォルテピアノの演奏家として、教師として名を揚げました。
1782年に叔父が亡くなると、パリやオランダに移住し、最終的にミンデンの楽長に就任。その後、プロイセン国王フリードリヒ・ヴィルヘルム2世にベルリンに招かれ、プロイセン国王フリードリヒ・ヴィルヘルム2世の宮廷楽長として活躍しました。
演奏する2つのフルートとヴィオラのためのトリオは、その作曲時期や用途は不明ですが、ヴィオラを含む楽器編成を活かし、低音と2つのフルートの対比だけでなく、3つの声部の掛け合いなど、多面的な表現が面白い作品です。第1楽章ラルゲットは、半音階で歌うようなテーマで各楽器が絡みあい重厚なオープニングとなっています。第2楽章アレグロは第1フルートのテーマで始まる模倣風の楽章。テーマとエピソードが繰り返され静かに終わります。第3楽章ポコ・アダージョはシシリアーノのリズムで各楽器が歌います。最後の楽章プレストは、軽快で分かりやすいテーマで始まり、いくつもの間奏部分を挟んで進みます。
C.グラツィアーニ(生年不詳-1787)
Carlo Graziani
無伴奏チェロのためのカプリス
ハ長調
Caprice for unaccompanied cello in C
major
カルロ・グラツィアーニ(生年不詳-1787)は、イタリア北部アスティ生まれのチェロ奏者で、ヨーロッパ各地で活躍した後、ベルリンのプロイセン皇太子フリードリヒ・ヴィルヘルム二世のチェロ教師、および室内楽団員として活躍しました。無伴奏チェロのためのカプリスは、ヴィルヘルム二世が演奏をするために書かれた作品と推測されています。作風はロココを思わせる軽妙さと優美さがありながらも、技巧的で細やかなパッセージ、ハイポジションの多用、多彩な重音奏法などが随所に使われており、ヴィルヘルム二世がいかに優れたチェロの腕前の持ち主であったかが窺えます。
F.J.ハイドン(1732-1809)
F. J. Haydn
2本のフルートとチェロのための「ロンドントリオ」第4番 ト長調 Hob. IV-4
The London trio No.4 in G-Major for two
Flutes and Violoncello Hob. IV-4
アレグロ
Allegro
第4番ト長調のトリオは、ただ1つの楽章で残されていますが、流れるような主題から始まるこの曲も、ロンドントリオの他の曲に劣らず充実した構成になっています。。
F.J.ハイドン(1732-1809)
F. J. Haydn
2本のフルートとチェロのための「ロンドントリオ」第3番 ト長調 Hob. IV-3
The London trio No.3 in G-Major for two
Flutes and Violoncello Hob. IV-3
スピリトーゾ – アンダンテ – アレグロ
Spiritoso – Andante – Allegro
第3番ト長調のトリオは、3つの楽章からなり第1番と同じく充実した構成になっています。第1楽章スピリトーゾは、付点のリズムが特徴的な主題で始まり、第1フルート、第2フルートが交互に重要な役割を果たし、チェロの低音の上で活躍します。第2楽章アンダンテは、8分の6拍子のアリアで、2つの部分で構成されています。前半の最後には第1フルートによる装飾的なカデンツァが組み込まれています。最後の楽章アレグロは、力強い主題で、分散和音と順次進行の技巧的な動きが、2つのフルートとチェロすべてに現れます。この曲はフルートの音域が、1キー(鍵)のフルートより広い、C管の多鍵フルートを想定して作られています。
J.C.バッハ (1735 - 1782) Johann Christian Bach
2本のフルート、ヴィオラとチェロのための四重奏曲 ト長調 作品19-3
Quartet in G-Major for two Flutes, Viola
and Violoncello Op.19-3
アレグロ - アンダンティーノ − ロンド(アレグレット)
Allegro - Andantino - Rondo. Allegretto
ヨハン・クリスチャン・バッハ(1735 - 1782)は、大バッハの末息子でライプチッヒで生まれ、ロンドンで亡くなりました。活躍の中心はロンドンで、音楽監督としてオペラ、交響曲やカンタータを作曲上演し、また鍵盤楽器の名手として協奏曲や室内楽曲を多く残しました。「バッハ・アーベル演奏会」シリーズなどを通じてバロックから古典派への扉を開き、モーツァルトとも親交がありました。この曲は、バッハ・アーベル演奏会のパトロンのアビントン伯爵のために1770年代以降に作曲されました。曲はハイドンのロンドントリオにヴィオラを加えた四重奏の形式で、いっそう豊かな響きが楽しめます。ト長調の四重奏曲は全体に軽やかな曲想で、第1楽章アレグロは、2本のフルートが歌うように吹きかわします。第2楽章アンダンティーノは、2重唱のアリアのような楽章です。最後の楽章ははメヌエット風のロンドで軽快に曲が閉じます。
たくさんの拍手をいただきましたので
ボッケリーニの五重奏曲(作品17-1)から第2楽章メヌエットをお聴きいただきます。
ありがとうございました。
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