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115th Concert
アンサンブル山手バロッコ第115回演奏会
ブラフ18番館 30周年記念コンサート
三つの古楽器とチェンバロで味わうバロック音楽
Baroque Music with Three Period Instruments
and a Cembalo
“洋館で親しむバロック音楽”第128回
2023年5月14日(日) 14時開演(13時30分開場) ブラフ18番館ホール (横浜市中区山手町16)
14:00 14th May. 2023 at Bluff 18 Hall
主催:公益財団法人 横浜市緑の協会/ブラフ18番館
協力:アンサンブル山手バロッコ
出演
曽禰
寛純(フラウト・トラヴェルソ)
フルート演奏を経て、フラウト・トラヴェルソを独学で習得、慶應バロックアンサンブルで演奏。1998年に朝岡聡と共に、アンサンブル山手バロッコを結成し、洋館でのコンサートを継続。カメラータ・ムジカーレ同人。
角田 幹夫(バロック・ヴァイオリン)
慶應バロックアンサンブルでヴァイオリンを演奏。独学でヴィオラ・ダ・ガンバを習得。 現在、カメラータ・ムジカーレ同人、NHKフレンドシップ管弦楽団団員。 アンサンブル山手バロッコ発足メンバー。
坪田 一子(ヴィオラ・ダ・ガンバ) ゲスト
国立音楽大学楽理学科卒業在学中よりヴィオラ・ダ・ガンバを神戸愉樹美氏に師事。ベルギーでヴィーラント・クイケン氏、ポルトガルでパオロ・パンドルフォ氏のマスタークラスに参加、ヨーロッパの中世からルネサンス・バロック音楽まで、アンサンブルを中心に演奏活動をしている。上野学園中学校・高等学校、国立音楽大学非常勤講師
小林 美耶子(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
北鎌倉女子学園中学校音楽コース、同高等学校音楽科卒業。国立音楽大学音楽文化教育学科音楽情報専修卒業。大学在学時よりヴィオラ・ダ・ガンバを坪田一子氏に師事。現在、国立音楽大学西洋古楽コースにて古楽アンサンブルの研鑽中。
野口 詩歩梨(チェンバロ)
桐朋学園大学音楽学部古楽器科卒業、同大学研究科修了。チェンバロを鍋島元子に師事。これまでに国内外の数々の音楽家や室内オーケストラと共演。チェンバロのソロ楽器としての可能性やアンサンブルにおける新たな存在感を示し、各方面より高い評価を得る。ソロCD「バロックの華」/ワオンレコード(「レコード芸術」誌・準特選盤)
アンサンブル山手バロッコ第115回演奏会
ブラフ18番館 30周年記念コンサート
三つの古楽器とチェンバロで味わうバロック音楽
Baroque
Music with Three Period Instruments and a Cembalo
“洋館で親しむバロック音楽”第128回
プログラムノート
(曽禰寛純)
横浜山手西洋館、ブラフ18番館の公開30周年記念を祝うコンサートへようこそ。歴史ある建物やイタリア山公園の素晴らしい庭園を眺めるブラフ18番館にて、いにしえのサロンコンサートの愉しみを、フラウト・トラヴェルソ、バロック・ヴァイオリンとヴィオラ・ダ・ガンバという3つの古楽器の音色をチェンバロの響きとともに味わいます。
♪ ♪ ♪
J.S.バッハ(1685-1750) /
ゴルトベルク変奏曲よりアリア BWV988
J.S.Bach / Aria from Goldberg-Variations BWV988
J.B.de.ボワモルティエ(1689-1755) / フルートとチェンバロのためのソナタ ト短調 作品91-2
J.B.de.Boismortier / Sonata for Flute and Cembalo in g-minor Op91-2
快活に - 優雅に - 快活に
Gayement - Gracieusement
– Gayement
本日のコンサートは、古楽器アンサンブルを支えるチェンバロの響きからお聴きいただきます。ヨハン・ゼバスチャン・バッハ(1685-1750)は1741年にアリアと30の変奏からなる大曲を作曲し「クラヴィーア練習曲集第4巻」として出版しました。この曲は、バッハの弟子のJ.G.ゴルドベルクが、仕えていた宮廷で、不眠症の主人に何度もこの変奏曲を弾くように命ぜられた、という逸話からゴルドベルク変奏曲とも呼ばれてます。本日はこの曲集の最初に収められたアリアをお聴きいただきます。この変奏曲の主題(アリア)は、バッハが、二度目の奥さんで音楽家でもあった アンナ・マグダレーナ・バッハのために贈った家庭音楽帳にも含まれていますので、家庭でも好んで弾かれたと考えられています。
ジョゼフ・ボダン・ド・ボワモルティエ(1689-1755)はフランスの作曲家です。オペラバレー、カンタータなどの大きな作品から無伴奏のソロ、デュエット、トリオなど数多くの室内楽作品を作曲し出版し、成功しました。100作品以上の出版をした多作家としても有名でした。演奏するフルートとチェンバロのためのソナタ ト短調を含む6曲から成る曲集(作品91)は、フルートとチェンバロの右手が協奏的に競い合うソナタ・協奏曲というイタリア由来の形式に、フランスらしい舞曲や明暗のニュアンスを加えたもので、1740年代の初めにパリで出版された、フランスで初めてフルートと独奏チェンバロの構成としても知られています。曲は、イタリアの協奏曲風に始まる第1楽章、フランスらしい揺らぎをもった第2楽章、そして舞曲風の快活な第3楽章の3つの楽章から構成されています。
F.クープラン(1668 -1733) / 2本のヴィオラ・ダ・ガンバのためのコンセール 第13番 ト長調
F.Couperin / Suite for two viola da gambas
in G-major 13th Concert
生き生きと -エール(快く) -サラバンド(優美に) - シャコンヌ(軽快に)
Vivement – Air (Agreablement) -
Sarabande (Tendrement)- Chaconne (Legere)
引き続き、フランスのバロック音楽をお聴きいただきます。フランソワ・クープラン(1668 -1733) は、フランスの有名な音楽家家系のなかで最も成功した音楽家です。オルガニストとして活動を開始し、ルイ14世に宮廷オルガニストに任命され、宮廷楽団のためのアンサンブル曲(コンセール)やチェンバロの独奏曲を数多く作曲しました。演奏する13番目のコンセールは、クープランが様々な楽器のためのアンサンブル曲として出版した「趣味の融合、あるいは新コンセール(1724)」に含まれている曲で、ヴィオラ・ダ・ガンバ2本での演奏される愛らしい曲です。生き生きした掛け合いで始まる前奏曲から、しっとりとしたエール、サラバンドが続き、最後はフランス人に愛されていた舞曲(シャコンヌ)で曲を閉じます。
C.P.E.バッハ (1714〜1788)/ フルート、ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ト長調 Wq.153
C.P.E.Bach / Sonata for Flute ,
Violin and Basso contiuo in G-Major Wq.153
アンダンテ - アレグレット - アレグロ
Andante - Allegretto – Allegro
カール・フィリップ・エマニュエル・バッハ(1714〜1788)は、J.S.バッハの次男で、ベルリンのバッハ、ハンブルクのバッハと呼ばれ、バロック時代と古典派時代との橋渡しをした重要な作曲家です。1738年に父のもとを離れ、ベルリンのフリードリヒ大王の宮廷の鍵盤奏者として仕えたのち、1767年に、父バッハと親交があり自身の名付け親でもあったテレマンの後任として、ハンブルク市の音楽監督に就任し、父親をしのぐ名声を手に入れました。本日演奏する曲は、1755年に作曲され、 2つの旋律楽器と通奏低音の編成(Wq.153)と、フルートとオブリガート・チェンバロ(右手で旋律、左手で低音)の編成の(Wq.86)2つが残されており、ベルリンの宮廷で好まれた、ゆっくり、はやい、はやいの3つの楽章から構成されています。初めに作曲されたのは、フルートとヴァイオリンと通奏低音のための編成で、本日はこちらの編成で演奏します。ト長調の幸せな響きが全曲を通じて感じられ、楽章ごとの拍子やテンポの変化も楽しめる佳曲です。
G.P.テレマン (1681−1767)/ フルート、ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音のための四重奏曲 ト長調 (パリ四重奏曲 協奏曲第1番)
G.P.Telemann / Parisian Quartet No.1
"Concerto Primo" in G-Major for Flute, Violin,
Viola da Gamba and Basso continuo
グラーヴェ/アレグロ/グラーヴェ/アレグロ - ラルゴ - プレスト - ラルゴ - アレグロ
Grave/Allegro/Grave/Allegro - Largo -
Presto - Largo – Allegro
ゲオルグ・フィリップ・テレマン(1681−1767)は当時ヨーロッパ中に知られた最も有名な作曲家で、大変な数の曲を残しています。バッハより4歳年上のテレマンはドイツのマクデブルクに生まれ、幼少のときから多くの楽器を演奏する楽才に恵まれ、20歳の時には、ライプチヒの大学に入学し法学を学ぶ一方で、大学でコレギウム・ムジクム(学生演奏団体)を組織し活動をはじめ評判を呼びました。卒業後は音楽家として活躍をはじめ、いくつかの宮廷楽長を経験した後、1721年、現在では横浜港と姉妹港であるハンブルク港を持つ商業都市ハンブルクの音楽監督に就任し、生涯その地で精力的な音楽活動を続けました。
テレマンは、いろいろな趣味(お国ぶり、音楽形式)の融合を進め、新しい楽しみを提供し続けた作曲家であり、いくつかのジャンルは彼を発信地としその周辺へ広まりました。「フルート、ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバ(またはチェロ)と通奏低音のための四重奏曲」というジャンルもその一つです。本日演奏するト長調の四重奏曲(協奏曲第1番)はハンブルクで1730年に出版された6曲の四重奏曲の中に含まれています。6曲は協奏曲、ソナタ、組曲がそれぞれ2曲の構成になっています。この曲集は「ハンブルク四重奏曲」とも呼ばれていますが、出版された曲集の評判は上々で、気位の高いパリの音楽界も唸らせ、1736年にはフランス語のタイトルを付けてパリでも出版され、それは翌年、パリの一流の音楽家たちがテレマンをパリへ招待する契機にもなりました。そのため「パリ四重奏曲」とも呼ばれています。
曲は、曲集のオープニングを飾るに相応しく、フランス趣味も採り入れ、しゃれた作りになっています。序曲形式の第1楽章のあと、短いラルゴの第2楽章を経て、そのまま、すべての声部が対位法的に組合さった精緻なプレストの第3楽章のあと、再び短い経過の第4楽章に引き続き、最後に楽しい舞曲(ジーグ)のリズムの終楽章で曲を閉じます。
たくさんの拍手をいただきましたので
テレマンの2つのフルートまたはヴァイオリン、2つのファゴットまたはチェロのための四重奏曲 ト長調からGiocando(遊び)をお聴きいただきます。
ありがとうございました。
参考文献
礒山雅・小林義武・鳴海史生/バッハ事典(東京書籍、1996年)
(1) E.Higginbottom/The
New Grove French Baroque Masters, Norton & Company(1986)
(2) C.Wolff/The
New Grove BACH FAMILY, Norton & Company(1983)
(3) M.Ruhnke/The
New Grove North European Baroque Masters, Norton & Company(1985)
(4) G.Braun/J.B.de Boismortier Six Sonatas for Flute and Harpshichord
Op.91,Universal Edition(1984)
(5) S.Zohn/Music
for a Mixede Taste,Oxfrod
Univ. Press (2008)
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