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113th Concert
19世紀ギターと巡る歌曲の世界
ギタリストの残した歌曲たち
Songs with 19 century Guitar by Guitar
Virtuosi
Musica Lego コンサートシリーズ “洋館で親しむバロック音楽”第124回
2023年2月10日(金)19:00開演*(18:30開場) 2月11日(土・祝)14:00開演**(13:30開場) 横浜市イギリス館
17:00 10th Feb. and 14:00 11th Feb. 2023 at British house Yokohama
主催: Musica Lego ムジカ・レゴ 協力: アンサンブル山手バロッコ
*共催:アンサンブル山手バロッコ ** 横浜山手芸術祭 参加公演
出演
曽禰 愛子(メゾソプラノ)
横浜市出身。鹿児島国際大学短期大学部音楽科、同専攻科卒業。洗足学園音楽大学大学院 音楽研究科修了。その後スイスに渡り、バーゼル音楽院スコラ・カントルムにてBachelor及びMasterを修了。第28回鹿児島新人演奏会、第85回横浜新人演奏会出演。第32回国際古楽コンクール〈山梨〉ファイナリスト。ルネサンスからバロック、ロマン派のドイツリートなど幅広い時代の作品をレパートリーとし、ソリストとしてまた声楽アンサンブルメンバーとしてヨーロッパ各地でのコンサートに参加、研鑽を積む。バッハのカンタータ、C.P.E.バッハ マニフィカート、C.グラウプナーのオラトリオ、モーツァルト
レクイエムのソリスト等を務める。これまでに声楽を川上勝功、ウーヴェ・ハイルマン、ゲルト・テュルク、ローザ・ドミンゲスの各氏に師事。Musica Lego発足メンバー。
大野 彰展(テノール)
愛知県出身。国立音楽大学音楽学部及び同大学院修了。その後更なる知識を求めバーゼル音楽院スコラ・カントルムの門を叩き、中世〜ロマン派の演奏様式を集中的に学ぶ。それらの経験を活かしソリスト・アンサンブルメンバーとしてヨーロッパ各地の著名なアンサンブルと共演、音楽祭にも多数客演している。近年ではとりわけ声楽アンサンブルの分野での活躍が目覚ましく、収録に参加した多数のCDは国際的に高い評価を得ているほか、NHK FM「古楽の楽しみ」等にも音源出演を果たしている。ビアージョ・マリアーニ
コンクール第2位(声楽アンサンブル部門最高位)。第30回国際古楽コンクール〈山梨〉声楽部門最高位。Musica Lego発足メンバー。
松本 富有樹(19世紀ギター)
湯布院(大分県)出身。クラシックギターを中野義久、レオナルド・ブラーボ、福田進一各氏に師事。2011年からバーゼル音楽院に留学し、パブロ・マルケス氏に師事しルネッサンス時代から現代までの音楽を幅広く勉強する。2015年BA(バッチェラーオブアーツ)を満場一致の最高点にて卒業。2017年修士課程を修了。在学中より古楽に傾倒し、2017年からバーゼル・スコラ・カントルムにて巨匠ホプキンソン・スミス氏に師事しルネッサンスギター、バロックギター、19世紀ギターなど各時代の異なるギターを学ぶ。第54回九州ギター音楽コンクール首席2位。第1回韓国国際ギターコンクール首席2位。第9回リヒテンシュタイン国際ギターコンクール4位。2019年に8年間の留学生活を終え帰国。2020年にルネッサンスリュート曲を集めた1stアルバム「ロス・マエストロス」を発表する。城南ギターセンター講師。Musica Lego発足メンバー。
Musica Lego ムジカ・レゴ
スイス・バーゼルの音楽院スコラ・カントルムで出会い、古楽を中心に学ぶ日本人音楽家たちで結成されたアンサンブル。2018年8月に東京・横浜・大分にて演奏会を行い、 その後2019年から団体としての活動を開始した。ラテン語でMusicaは「音楽」、Legoは 「集める、読む、組み立てる」などの意味がある(ブロックのおもちゃで有名なあのLEGOもここに由来するという)。団体名には、音楽をするために集まった仲間たちで思い思いに音楽を読み込み、それを皆で組み立てていこうという思いが込められている。
アンサンブル山手バロッコ第113回演奏会
19世紀ギターと巡る歌曲の世界
ギタリストの残した歌曲たち
Songs with 19
century Guitar by Guitar Virtuosi
Musica Lego コンサートシリーズ
“洋館で親しむバロック音楽”第124回
プログラムノート
本日はMusica Lego コンサートシリーズ・19世紀ギターと巡る歌曲の世界「ギタリストの残した歌曲たち」にお越しくださいましてありがとうございます。18世紀末から19世紀にかけて、市民階級の人々にも楽しまれる楽器として人気を博していったギターと、その伴奏によって楽しむ歌の作品にスポットをあてた演奏会です。横浜市イギリス館で当時のサロンのような雰囲気を感じながら、ギタリストたちが思い描いた歌の世界をお楽しみいただけたら幸いです。
♪ ♪ ♪
M.ジュリアーニ
M.Giuliani (1781-1829)
6つのカヴァティーナ (作品39) Sei Cavatine より
魂は喜びでいっぱい Par che di giubilo
l’alma deliri
私のこの涙を見て Alle mie tante lagrime
私が女の子に愛を感じたこと Ch’io sent’amor per fermine
南イタリアで生まれたジュリアーニは25歳の時にウィーンに移り、各地で行われた演奏会で大成功を納め、一流音楽家の仲間入りを果たした。ウィーンではベートーヴェン、フンメル、モシェレス(ピアニスト)、マイゼダー(ヴァイオリニスト)など錚々たる面々と交流を深め、ギターソロ曲だけでなく多くの室内楽作品を残した。彼は上記の面々(ベートーヴェンを除く)とシェーンブルン宮殿にて「ドゥカーテン・コンツェルト」という演奏会を行っていたが、これは現代のワンコインコンサートの先駆けであったかもしれない。ジュリアーニはいくつかのイタリア語とドイツ語の歌曲を書いており、どちらもギターとピアノ両方の伴奏譜が書かれている。
F.モレッティ
F.Moretti (1769-1839)
ギター伴奏による12のカンツォン より
12 Canciones con acompañamiento de guitarra
反射 La Reflexion
自由 La Libertad
迂闊 El Descuido
モレッティは5コースギター(バロックギター)から6単弦ギター(19世紀ギター)へ移り変わる過渡期を生きたギタリストだった。イタリア・ナポリで生まれたが、1794年にスペインに渡っている。軍人の家系だったそうで、モレッティ自身もスペインの軍隊に入り、同時に音楽活動もしていたそうだ。F.ソルがモレッティの演奏を聴いた際に非常に感銘を受けたという記述も残っている。今回演奏する曲も、スペイン語の言葉とリズムも相まってパッションを感じる曲となっている。
L.シュポーア
L.Spohr (1784-1859)
ガゼール
Ghasel
初めての口づけ Der erste Kuss
シュポアはドイツ出身のヴァイオリニスト、指揮者で、ヴァイオリンの顎当てを発明したり、指揮棒を使い始めた人物として知られている。また作曲家としてもオペラ、交響曲、室内楽など多くの作品を残している。今日演奏する2曲は元々ピアノ伴奏付きで出版されたが、ギター伴奏版でも出版されており、編曲者は不明である。ギター編曲が非常に良くできているので、ギタリスト兼出版者であったA.ディアベリが書いたのではと考えられている。
N.コスト
N.Coste (1805-1883)
オートゥイユの夜
作品23
Les Soirées D’Auteuil
東フランスの小さな町アモンダンで生まれたコストは母からギターの手ほどきを受け、1829年にパリに移り、F.ソルに教えを受けた。ソルもコストの為に2重奏曲を書いている。19世紀半ばはギターの衰退期であり、コストにとって苦難も多かったと想像できるが、その中でも多くの名品を書き続けた。コストは晩年の写真が残っているが、多くの弦を持ったギターなど、様々なギターと一緒に写っていて非常に興味深いものである。
今回演奏する 「オートゥイユの夜」は思い出という7作品の内の一曲で、抒情的なセレナーデとテクニカルな
スケルツォの2部構成で書かれている。
F.ソル
F.Sor (1778-1839)
あなたが誓ったことを思い出す Ti ricordo che giurasti
愛する人から遠く離れて Lungi da te, mia
cara
希望を持って生まれた恋は Amor che nasce
ソルは古典期のギタリストとして最も名を馳せた一人だが、シンフォニー、バレエ音楽、歌曲など、ギター曲以外の曲も多数残している作曲家である。ソルは幼少期にスペイン・バルセロナ近郊にあるモンセラート修道院の聖歌隊に入隊しており、また彼の作品からも見てとれるように、ソルにとっても歌は特別なものであったと想像できる。ソルはイギリス・ロンドンに滞在中の1815〜1823年の間に、アリエッタ、デュエット、カノンを作曲しており、いずれもイタリア語による歌曲で全てピアノ伴奏譜で書かれている。今回は松本富有樹によるギター版編曲で演奏する。
L.ブランビッラ
L.Brambilla (ca.1780-ca.1840)
ただあなたのものになりたいと願うだけ Sol d’esser tuo desio
ルイジ・ブランビッラの生涯についての情報はほとんどないが、恐らくイタリア・ミラノ出身で、一家で歌手を生業としていたということがわかっている。今回取り上げたデュエットは「イタリアンアリエッタとデュエット Op.5」というタイトルで1811年にウィーンで出版されている。このことからジュリアーニとも面識があった可能性が高い。伴奏はピアノとギター両方書かれており、恐らくギターパートもブランビッラ自身が書いたと思われる。歌の掛け合いがとても美しい曲である。
たくさんの拍手をいただきましたので
ジュリアーニのデュエット「もしも私にできないのなら Almen se non poss’io」をお聴きいただきます。
ありがとうございました。
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