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109th Concert

  

アンサンブル山手バロッコ第110回演奏会
山手234番館サマーフェスティバル

西洋館で味わう

「古楽器の笛の愉しみ」 

Ensemble music with historical recorders and flutes 

 “洋館で親しむバロック音楽”第121

2022820日(土) 15時開演(1430分開場) 山手234番館(横浜市中区山手町234-1
15:00
 20th August. 2022 at Yamate 234 House

主催:公益財団法人横浜市緑の協会、協力:アンサンブル山手バロッコ

 

出演

 

国枝 俊太郎 (リコーダー、ヴォイス・フルート、フラウト・トラヴェルソ、クラシカル・フルート)

東京都出身。リコーダーを安井敬、フラウト・トラヴェルソを故中村忠の各氏に師事。1995年開催の第16回全日本リコーダー・コンテスト「一般の部・アンサンブル部門」にて金賞を受賞。現在はバロック室内楽を中心に、リコーダー・アンサンブルによるルネサンス〜現代までの作品や、ギターとのアンサンブルによる19世紀のサロンピースの演奏、さらには古楽器オーケストラによる数々の演奏会に出演するなど、幅広く活動を行っている。バロックアンサンブル「クラングレーデ」、古楽アンサンブル「ムジカ・レセルヴァータ」メンバー。

 

朝岡 聡 (リコーダー、お話し)  

鹿慶應義塾大学卒業。テレビ朝日にアナウンサーとして入社。「ニュースステーション」初代スポーツキャスターとして活躍。フリーとなってからはテレビ・ラジオ・CM出演のほか、クラシック・コンサートの司会や企画構成にも活動のフィールドを広げている。ソリストや指揮者と繰り広げるステージ上の会話や興味深い内容を軽妙なトークで展開する独自の世界は、新しい芸術ファンのすそ野を広げる司会者として注目と信頼を集めている。リコーダーを大竹尚之氏に師事。1998年にフラウト・トラヴェルソの曽禰寛純と共に、アンサンブル山手バロッコを結成し、横浜山手地区西洋館でのコンサートを継続している。日本ロッシーニ協会副会長。東京藝術大学客員教授。

 

清野 由紀子 (フラウト・トラヴェルソ、クラシカル・フルート)

昭和音楽大学管弦打楽器科卒。卒業後は音楽出版社勤務の傍ら研鑽を続け、モダンフルートを岩花秀文氏、フラウト・トラヴェルソを中村忠の各氏に師事。バロックアンサンブル『ラ・クール・ミュジカル』主宰。アンサンブル山手バロッコメンバー。

 

曽禰 寛純 (クラシカル・フルート)

フルート演奏を経て、フラウト・トラヴェルソを独学で習得、慶應バロックアンサンブルで演奏。1998年に朝岡聡と共に、アンサンブル山手バロッコを結成し、洋館でのコンサートを継続。カメラータ・ムジカーレ同人。

 

日和ア 祐介 (フラウト・トラヴェルソ、クラシカル・フルート)

フルートを菅宗次、Geoffrey Collins、白尾彰の各氏に師事。また、リコーダーを大竹尚之、フラウト・トラヴェルソを有田正広の各氏に師事する。 慶応大学在学中より、アンサンブルやオーケストラ、時代と楽器を問わず長く活動している。
1997
年第8回フルートコンベンションのアンサンブル部門(一般・大学生)にて第1位。1998725日放映「新・題名のない音楽会」で、Tin Whistle 奏者として白鳥恵美子と共演。アンサンブル小竹町メンバー。


 

 

アンサンブル山手バロッコ第110回演奏会
山手234番館サマーフェスティバル

西洋館で味わう

「古楽器の笛の愉しみ」 

Ensemble music with historical recorders and flutes 

 “洋館で親しむバロック音楽”第120

 

プログラムノート

山手234番館は、朝香吉蔵の設計により、1927年頃に建築された外国人向けのアパートメントハウスで、横浜市に現存する数少ない西洋館の1つです。1998年に横浜市は山手地区の西洋館の市民利用に向けた実験公開をこの234番館で行いました。その機会に朝岡聡さんの呼びかけで誕生したのが「アンサンブル山手バロッコ」です。それ以来、西洋館の雰囲気、響きやスタッフのみなさん・お客さまとの一体感を味わえるコンサートとして定着し、演奏家のみなさんも徐々に参加をしていただき、今年は25年目にあたります。今回は、国枝俊太郎さんに友情出演いただき、当時の縦横の笛の音楽と響きをご一緒に楽しみたいと思います。

 

♪  ♪  ♪

 

J.B.ボワモルティエ(1691-1755
J.B.de Boismortier
  

5本のフルートのための協奏曲 op.15-1
Concerto for five flutes without Bass in G-Major OP.15-1

アダージョ - ラルゴ - アレグロ
Adagio / Allegro / Allegro

ボワモルティエは、音楽家は宮廷や教会に仕えて生活するのが当たり前の時代に、歴史上初めてのフリーランスの音楽家として、出版楽譜の販売などで独立した生計を立てた非常に珍しい音楽家でした。1724年頃パリに住むようになり、同年に最初の作品を発表して以来、1747年までの間に100以上の曲集を出版するなど大変精力的な作曲・出版活動をしています。

最初にお届けする、5本のフルートのための協奏曲ト長調は、1727年に出版された6曲の協奏曲集(OP.15)に含まれています。この曲は5本のフルートだけで協奏曲を構成するもので、このような編成はこの曲の前後で例をみません。また、当時フランス風趣味とイタリア風趣味の対立や混合の時代に、フランス人が出版した最初の協奏曲にもなりました。演奏する第1番のト長調の協奏曲は、曲集の巻頭を飾る曲で、5つの楽器が緩やかに絡み合うフランス風の第1楽章、ユニゾンのトュッティ(全奏)とソロ(独奏)の協奏曲の原理に基づいた第2楽章、第3楽章が続きます。演奏はフラウト・トラヴェルソ3本と同じD管のリコーダー(ヴォイス・フルート)2本で構成します。最後の第3楽章は3拍子の舞曲風の曲で、最後の部分はト長調からト短調の翳りをへて、ト長調の主音で穏やかに終わります。この曲の通奏低音を担当する第5フルートには、曲の和声構成を示す数字が付けられており、響きを理解しながらアンサンブルができるようになっています。

 

G.P.テレマン(16811767 
G.P.Telemann

無伴奏フルートのためのファンタジー第10番 嬰ヘ短調 TWV 40:11 
Fantasia for unaccompanied flute in F-sharp minor  TWV 40:11

ア・テンポ・ジュスト - プレスト - モデラート
A Tempo giusto / Presto / Moderato

テレマンは、ドイツのエアフルト近郊に生まれました。テレマンは若くから音楽の才能に恵まれ、独学で音楽を修めました。1701年ライプツィヒ大学に入ると、教会のカンタータを作曲し始め、学生オーケストラ「コレギウム・ムジクム」を創設し、市民の人気を博しました。1721年ハンブルクの音楽監督に就任して以来、ドイツで最も有名かつ影響力のある音楽家になりました。台頭した市民階級の音楽需要を満たすために市民音楽会や家庭音楽会が多く開かれるようになりましたが、テレマンは、その機会に望まれるあらゆる組合せの楽曲を作曲し、自ら楽譜出版を手がけ成功しました。

2曲目にお届けする、無伴奏フルートのためのファンタジアは、1733年に12曲の曲集として出版されました。弦楽器のように重音の出せないフルートの制約と特長を知り尽くしたテレマンは、音の跳躍やフレーズの切り替えで、複数の声部や隠れた音が響くような工夫を盛り込んでいます。演奏する嬰ハ短調の曲も、対位法の響きを追求した第1楽章、第2楽章につづき、舞曲風の第3楽章で締めくくられますが、可愛らしいこの楽章でもいくつかの声部が聴き取れます。

 

J.B.ボワモルティエ
J.B.Boismortier
1691-1755

3本のフルートのためのソナタ ト長調 op.7-5
Sonata for three flutes in G-major Op7-5

アルマンド(モデレマン) -レジェレマン - レントマン - ジーグ
Allemande
Moderement / Legerement / Lentement / Gigue

3曲目にお届けする、3本のフルートのためのソナタ第5は、1725年にパリで出版されたもので、通奏低音のない、3本のフルートだけで構成するユニークな曲集です。6曲のソナタは、それぞれに工夫が凝らされており、イタリア風のソナタの構想のなかに、フランス人好みの舞曲やフランス風の揺らぎなども巧みに組み込まれています。演奏する5番目のソナタも、イタリア趣味に偏っていますが、第1楽章はアルマンドという組曲の冒頭のような色合いになっています。続く2つの楽章はフランス風標題の楽章で、最後の楽章は、イタリア風の舞曲ジーグで締めくくります。どの楽章も3本のフルートのいずれもが活躍するように作曲されています。

 

G.P.テレマン(16811767 
G.P.Telemann

2本のリコーダーのためのソナタ ハ長調 op.2-3 TWV 40:103 
Sonata for two recorders in C-Major Op.2-3 TWV 40:103

シシリアーノ - ヴィヴァーチェ - アンダンテ - アレグロ
Siciliana / Vivace / Andante / Allegro

4曲目の2本のリコーダーのためソナタは、2人の音楽愛好家に献呈されたもので、1727年に6曲の曲集として出版されました。楽器は、フルートの他リコーダー、ヴァイオリンでも演奏できるとされています。テレマンは生涯で4つのフルート二重奏曲集を出版しましたが、そのなかでも、最も知られた曲集で、構築力があり対位法的にも優れ、良い趣味の二重奏曲が含まれています。演奏するハ長調のソナタは、ゆっくり〜はやい〜ゆっくり〜はやいの4つの楽章から構成されています。出版譜はフルートでの演奏としてイ長調で書かれていますが、リコーダーでは、当時の習慣に合わせ、3度高いハ長調で演奏します。

 

 

A.シュターミッツ(17541800頃)
Anton Stamitz

フルート2重奏曲 ニ長調 op.1-1
Duet for two flutes in D-Major Op.1-1

アレグロ - ロンド
Allegro/Rondeau

アントン・シュターミッツは、チェコ系のドイツ人音楽家の家系に生まれ、5歳年上のカール・シュターミッツとともにマンハイム楽派のヴァイオリンの名手・作曲家としてマンハイム宮廷楽団で活躍しました。20歳の時に兄と一緒に演奏活動で訪問したパリで王室宮廷楽団に就職し、その後の半生をパリ(ヴェルサイユ)で過ごし、1800年頃に没しました。

フルートのためのカプリッチョの作曲で知られていますが、このフルート二重奏曲1785年ころにパリで作曲出版された作品1の曲集の最初を飾る華やかでさわやかな曲です。2つの楽章とも技巧的なパッセージが散りばめられており、フルートの名手ドヴィエンヌの活躍したパリの音楽界を彷彿とさせます。

 

 

L.v.ベートーヴェン(17701827)
L.v.Beethoven

フルート三重奏曲 ニ長調 op.87より アレグロ
Allegro from Trio for three flute in D-Major Op.87

べートーヴェン20代の1794年に2本のオーボエとイングリッシュホルンという3本のダブルリード楽器のためのトリオを作曲し、出版しました。このトリオは、このオリジナルの編成以外に様々な編成に編曲され、出版し親しまれました。演奏する3本のフルートのための編曲版は、べートーヴェンの晩年1825年にイギリスで出版され、原曲以上に有名になりました。

当時べートーヴェンの曲のカタログを作成したキンスキーは、この曲の演奏には経験豊かで各パートを味わい深く、丁寧に表現できる演奏者が必要だと書いています。本日はこの曲の4つの楽章のうち、最初のアレグロを演奏します。どのようにお聴きいただけるでしょうか。

 

たくさんの拍手をいただきましたので

ボワモルティエの5本のフルートのための協奏曲 op.15-1の第1楽章アダージョをお聴きいただきます

ありがとうございました。

 

使用楽器

アルトリコーダー: 

           @ J.Denner(18世紀前半)をモデルに木下邦人氏が製作(国枝)
A J.Denner(18世紀前半)をモデルに平尾重治氏が製作(朝岡)

 

ヴォイス・フルート: 

           @ P.BressanをモデルにD.Coomber氏が製作(国枝)

           A P.Bressan(18世紀前半)をモデルにF..Huene(米国)が製作(朝岡)

 

フラウト・トラヴェルソ: 

          @ Sattler(ライプツィヒのメーカー)によるオリジナル(18世紀中頃?)(国枝)

          A I.H.RottenburghをモデルにS. Weemaels(ベルギー)が製作(清野)

          B G.A.RottenburghをモデルにR. Cameron(米国)が製作(日和ア)

          C G.A.Rottenburgh(1745年頃)をモデルに木下邦人氏が製作(曽禰) 

      

クラシカル・フルート: 

          @ Bühner & Keller(ストラスブールのメーカー)によるオリジナル(19世紀初頭)(国枝)

          A C.A.GrenserをモデルにR. Cameron(米国)が製作(清野)

          B F.G.A.Kirst 1790年頃)をモデルに、C.Soubeyran(フランス)が製作(曽禰、日和ア)

 

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