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103rd Concert
音楽による礼拝
- テレマンの教会カンタータと器楽作品 –
Telemann’s Cantata and Instrumental Pieces
“洋館で親しむバロック音楽”第112回
2021年10 月 19 日(火)19:00 開演 横浜市イギリス館(横浜市中区山手町115-3)
19:00 19th Oct. 2021 at Yokohama Port Opening Memorial Hall
主催:アンサンブル山手バロッコ/フラウト・カンタービレ事務局
出演
曽禰 愛⼦
(メゾ・ソプラノ)
横浜市出⾝。⿅児島国際⼤学短期⼤学部⾳楽科、同専攻科卒業。洗⾜学園⾳楽⼤学⼤学院 ⾳楽研究科修了。その後スイスに渡り、バーゼル・スコラ・カントルムにて Bachelor 及び Master を修了。第 28 回⿅児島新人演奏会、第 85 回横浜新⼈演奏会出演。第32 回国際古楽コンクール〈⼭梨〉ファイナリスト。ルネサンスからバロック、ロマン派のドイツリートなど幅広い時代の作品をレパートリーとし、ソリストとしてまた声楽アンサンブルメンバーとしてヨーロッパ各地でのコンサートに参加、研鑽を積む。バッハのカンタータ、C.P.E.バッハ マニフィカート、C.グラウプナーのオラトリオ、モーツァルト レクイエムのソリスト等を務める。これまでに声楽を川上勝功、ウーヴェ・ハイルマン、ゲルト・テュルク、ローザ・ドミンゲスの各⽒に師事。
細岡 ゆき(リコーダー)
上野学園⼤学⾳楽学部器楽学科リコーダー専攻卒 業。これまで、リコーダーを⼭岡重治、濱⽥芳通、 ヒストリカル・ハープを⻄⼭まりえ、中世・ルネサ ンス・初期バロックの演奏解釈を濱⽥芳通、声楽を 阿部早希⼦の各⽒に師事。ヴァルター・ファン・ハ ウヴェ、コリーナ・マルティにリコーダーを、ロベ ルタ・マメリ、ドロン・シュライファー、ジル・フ ェルドマンに歌のレッスンを受講。歌えるリコーダ ー奏者を⽬指し研鑽を積み、アントネッロ〈オペ ラ・フレスカ〉公演(2013 年モンテヴェルディ「オ ルフェオ」、2019 年レオナルド・ダ・ヴィンチプロ デュース「オルフェオ物語」本邦初演)、「モンセラ ートの朱い本」(NHK BS プレミアム「クラシック倶 楽部」で放映)などへリコーダー奏者、兼、歌⼿と して出演するほか、NHKE テレへゲスト出演。「リコ ーダーアンサンブル百花繚乱」「リコーダーアンサン ブル・ステラ」「古楽アンサンブル gmt」メンバー。 公式 HP yuki-hosooka.com
国枝 俊太郎(フラウト・トラヴェルソ、リコーダー)
リコーダーを安井敬、フラウト・トラヴェルソを故 中 村忠の各⽒に師事。1995 年開催の第 16 回全⽇本リコ ーダー・コンテスト「⼀般の部・アンサンブル部⾨」 にて⾦賞を受賞。 これまで東京リコーダー・オーケストラのメンバーと して NHK 教育テレビ「ふえはうたう」「トゥトゥアン サンブル」に出演、CD 録⾳にも参加する。2018 年開 催の「東京・春・⾳楽祭」において、ロシアの世界的 ピアニスト、コンスタンチン・リフシッツと共演する。 現在はバロック室内楽を中⼼に、古楽器オーケストラ による数々の演奏会に出演するなど、幅広く活動して いる。バロックアンサンブル「クラングレーデ」「ムジ カ・レセルヴァータ」メンバー。
島根 朋史(チェロ、ヴィオラ・ダ・ガンバ)
東京藝術大学を附属高校から修士課程までを経て、博士 号(チェロ)を取得。研究は、17 世紀末フランスのヴィ オラ・ダ・ガンバの時代から 19 世紀初頭のチェロ奏者デ ュポール、及びベートーヴェンの初期チェロ作品に至る までの奏法史について。同声会賞、大学院アカンサス賞 受賞。パリ・サティ音楽院 バロックチェロ/ヴィオラ・ ダ・ガンバ科修了。 故 A.ビルスマ、E.バルサ、P.プリュボウ、鈴木秀美、福 澤宏などの諸氏に師事。 東京文化会館、スービズ邸(パリ)にてソロリサイタル を開催。ソロ CD「Les Monologus」は5誌の推薦盤に選 出された。 古楽オーケストラ La Musica Collana サブディレクタ ー・首席奏者。バッハ・コレギウム・ジャパン、オーケ ストラ・リベラ・クラシカ、レ・ボレアードなど各メン バー。日本弦楽指導者協会 正会員。昭和音楽大学 非常 勤講師(チェロ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、ピリオド楽器 研究)。 寺村朋⼦ チェンバ
寺村 朋子(チェンバロ)
東京芸術⼤学チェンバロ科卒業。同⼤学⼤学院修⼠課程 修了。チェンバロと通奏低⾳を⼭⽥貢、鈴⽊雅明の両⽒ に師事。第7回国際古楽コンクール<⼭梨>チェンバロ 部⾨にて第2位⼊賞。シエナ、ウルビーノ、インスブル ック、アントワープなど国内外の講習会を受講し研鑽を 積む。NHK「FM リサイタル」に出演。マスタークラス の伴奏やバロックダンスとのアンサンブルなど、様々な 団体の通奏低⾳奏者、またはソリストとして活動。トリ ム楽譜出版より「フルート・バロックソナタ集」、「J.S.バ ッハ作品集」(増刷)を編曲、出版。ソロ CD「お気に召 すまま Capriccio」(レコード芸術準推薦)リリース。⼩ ⾦井アネックス(宮地楽器)チェンバロ科講師。⽇本チ ェンバロ協会会員。現在 YouTube チャンネル「Cembalo チェンバロう!」を開設し演奏動画を配信中。
アンサンブル山手バロッコ第103回演奏会
音楽による礼拝
- テレマンの教会カンタータと器楽作品 –
Telemann’s Cantata and Instrumental Pieces
“洋館で親しむバロック音楽”第112回
プログラムノート
G.P.テレマン(1681−1767)
Georg Philipp Telemann
《クラヴサンのための 36 のファンタジア》より第1番 ロ短調 アダージョ TWV33:1 〜 《6つのコレッリ風トリオソナタ》より第3番 ロ短調 TWV42:h3
«36 Fantaisies
pour le Clavessin» Nr. 1, h-moll Adagio & «6 Sonates Corellisantes» Nr. 3,
h-moll
グラーヴェ〜ヴィヴァーチェ〜アダージョ・エ・スタッカート〜アレグロ・アッサイ〜ソアーヴェ〜プレスト
《クラヴサンのための 36 のファンタジー》より 第1番 ロ短調 アダージョ TWV33:1 の含まれているファンタジー曲集は、1732~1733 年にかけてハンブルグで出版されました。 今回は、第1曲⽬第2セクションのアダージョを次のコレッリ⾵ソナタへ 続くプレリュード的扱いとして取り上げました。⼩品ながらもメランコリ ーな旋律が印象的で⼤変美しい作品です。 《6 つのコレッリ⾵トリオソナタ》より 第 3 番 ロ短調 TWV 42:h3 の含まれている曲集は 1735 年にハンブルクで 6 曲セットの形で出版されて、 その 2 年後にはパリで再版されました(この年にテレマンはパリを訪 れて、⼀流の⾳楽家達との交流をたくさん持つことになります)。旋 律楽器としては「ヴァイオリン、または、トラヴェルソ」という⾵に なっていますが、今回はヴォイスフルート(D 管のテナーリコーダー) を使って演奏いたします。ゆっくりな楽章では 2 本の旋律楽器が穏や かな気分で語り合う雰囲気ですが、速い楽章はいかにもヴァイオリン 的な⾳型が頻繁に表れて、⼀変してスリリングな展開になります。ヴ ァイオリンともトラヴェルソとも違うヴォイスフルートの⾳⾊でお楽 しみください。(細岡ゆき/ 国枝俊太郎)
G.P.テレマン(1681−1767)
Georg Philipp Telemann
教会カンタータ集《音楽による礼拝》続編(1731〜1732)より
三位一体主日後 第2主日のためのカンタータ 「魂よ、飢え渇くように求めなさい」TWV1:31a
»Harmonischer Gottes-Dienst«
2. Sonntag nach Trinitatis “Ach, Seele, hungre, dürste, lechze”
アリア(ソアーヴェ)〜レチタティーヴォ〜アリア(テンポ・ジュスト)
教会カンタータ集 《⾳楽による礼拝》(1725〜1726)と その続編(1730〜1731)について この2つの教会カンタータ集は、ゲオルク・フィリップ・テレマンが多忙な⽇々を過ごしたハンブルク時代に出版されま
した。彼が活躍したバロック時代には、教会カンタータ集が出版され ることは極めて珍しいことでした。なぜなら、教会⾏事として年に1
度ほどしか演奏されない作品集を出版しても多くの販売が⾒込めず採 算が取れなかったからです。にもかかわらず、テレマンはこのカンタ
ータ集を予約販売で出版し、出版社の依頼を受けて続編も刊⾏しまし た。楽譜はハンブルクだけでなく、ドイツ各地に広まっていきまし
た。 この作品集は、教会での演奏のみならず、家庭内での⾳楽礼拝でも 使えるよう、⼤編成ではなく、《⾳楽による礼拝》では最⼩限1つの
歌パートと1本の旋律楽器と通奏低⾳で、《続編》では1つの歌パー トと2本の旋律楽器と通奏低⾳で演奏できるように編成されました。
そのために、家庭内で、また友⼈同⼠で気軽に⾳楽を楽しもうといっ
た層に⼈気の作品集の1つとなりました。声域は基本的に指定されて おらず、楽譜を⾒て歌いやすい曲を選ぶようにとも書かれています。
旋律楽器については、リコーダー、トラヴェルソ、ヴァイオリン、オ ーボエなど多様で、多くの愛好家が楽しめるようにしてあるのもテレ マンらしさを感じます。 今回は、その中から、リコーダーとトラヴェルソの指定のある作品
を選曲しました。 作品の書き⽅についても序⽂で触れられています。「アリアは激し
さよりも優美さを⽬指すようにしました。ですから、快活さ、喜び、 怒りなどへ進んでいく部分は、激しくなりすぎないように演奏してく
ださい。レチタティーヴォについては、発⾳が聞こえるように⼼が
け、区切り点には、できる限り注意を払いました。そして、詩の感情 が呼び起こされるような⾳楽修辞フィグーラ*を使いました。」奏者
もこのことを踏まえ過度になり過ぎず、節度を持ちながら、詩を理解 し感情が呼び起こされるような演奏にしなくてはならないと⽰されて
います。 テレマンと同時代の⾳楽学者、作曲家でもあるマテゾンは、この曲集 を「価値ある⼀流の家庭⾳楽」と称し、ヘンデルは、テレマンへのオマ
ージュとして、この曲集からも多くの旋律を借⽤しています。愛好家の みならず、⾳楽家にも評価の⾼い作品集でした。
また、出版に際して、初めの《⾳楽による礼拝》は⻲の⼦⽂字で出版
されましたが、《続編》は外国⼈でも読めるようラテン⽂字で出版する
など、ドイツを超えた〈グローバル〉な展開を想定しており、テレマン の視野の広さを感じさせる曲集でもあります。 *⾳楽修辞フィグーラ:⾳楽の内容を表わすために⽤いる、特別な⾳の使い⽅や
⾳型のこと。 (細岡ゆき)
G.P.テレマン(1681−1767)
Georg Philipp Telemann
《ターフェルムジーク(食卓の音楽)》第1集より
フルート・ソナタ ロ短調 TWV41:h4
»Tafelmusik«
Band 1, Nr. 5 Flute Sonata h-moll
カンタービレ〜アレグロ〜ドルチェ〜アレグロ
《ターフェルムジーク》第1集より フルート・ソナタ ロ短調 TWV 41:h4 このソナタは 1733 年にハンブルクで出版された⼤規模な曲集「タ ーフェルムジーク」(全部で第 3 集まである)の第 1 集に収められてい ます。この曲集は各巻とも「序曲、四重奏曲、協奏曲、トリオ・ソナ タ、ソロ・ソナタ、終曲」という⾮常に⼤掛かりな構成になっていま すが、ソロ・ソナタに関していえば第 1 集はトラヴェルソ、第 2 集は ヴァイオリン、第 3 集はオーボエが旋律楽器として選ばれています。 低⾳がメロディを奏でる形で始まる印象的な第 1 楽章、得意のロンバ ルディア・リズムなども効果的に使った快活な第 2 楽章、歌⼼溢れる 第 3 楽章、そしておおらかな流れの低⾳の上でトラヴェルソが忙しく 動き回る第 4 楽章から成っています。( 国枝俊太郎)
♪♪♪ 休憩 ♪♪♪
G.P.テレマン(1681−1767)
Georg Philipp Telemann
教会カンタータ集《音楽による礼拝》(1725〜1726)より
公現後 第4主日のためのカンタータ 「激情を抑え、復讐心を追い払え」TWV1:730
»Fortsetzung
des Harmonischen Gottes-Dienstes«
Am vierten Sonntage nach dem Feste der heil. drey Könige “Hemmet den Eifer, verbannet
die Rache”
アリア(スピリトーゾ)〜レチタティーヴォ〜アリア(ドルチェ)
G.P.テレマン(1681−1767)
Georg Philipp Telemann
《無伴奏ヴィオラ・ダ・ガンバのための 12 のファンタジア》より 第 7 番 ト短調 TWV40:32
«12 Fantaisies pour la Basse de Violle» Nr. 7, g-moll
アンダンテ〜ヴィヴァーチェ〜アレグロ
《無伴奏ヴィオラ・ダ・ガンバのためのファンタジー》は、1735 年 刊⾏という記録が残っていますが、⾮常に⻑い間楽譜が失われ、幻の 作品であると⾔われていました。しかし刊⾏から 280 年を経て 2015 年、幸運にも楽譜が再発⾒されたのです。 本作品はハンブルクの実業家・銀⾏家であるピエール・ショネルへの 「献呈作品」となっています。ショネルがヴィオラ・ダ・ガンバを演奏できたかは定 かではありませんが、フランス系の⾎筋を引き、フランス⾳楽の愛好 家でした。1735 年ごろのドイツでは、チェロの⼈気に押されヴィオラ・ダ・ガンバのプロ奏者はほぼ絶滅してしまっていましたが、フランスではヴィオラ・ダ・ガンバの最後の名⼿の 1 ⼈である A.フォルクレが活躍していた頃でもあるた め、太陽王ルイ 14 世が愛したヴィオラ・ダ・ガンバの作品を書くことは⾮常に意義 のあることだったかと思われます。第7番は「緩・急(フーガ)・ 急」の「ストレッタ形式」で書かれています。 アマチュアも楽しめるような器楽作品を多く書き残したテレマンで すが、この作品は⾼⾳域を多⽤し、プロ奏者(特にフォルクレ)を意 識したものとなっています。 (島根朋史)
G.P.テレマン(1681−1767)
Georg Philipp Telemann
教会カンタータ集《音楽による礼拝》続編(1731〜1732)より
公現祭のためのカンタータ「すこやかな精神よ」TWV1:1145
»Fortsetzung
des Harmonischen Gottes-dienstes«
Heilige 3 Könige “Muntre Gedanken”
アリア(アレグロ)〜レチタティーヴォ〜アリア(ドルチェ)
アンコール
たくさんの拍手をいただきましたので
同じく教会カンタータ集《音楽による礼拝》より、アリア「あさましい富を求める熱い渇きが」よりお聴きいただきます。
ありがとうございました。
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