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100th Concert
アンサンブル山手バロッコ第100回演奏会
西洋館で味わう 〜バロック・ヴァイオリンとチェンバロの調べ〜
Salon Concert with Baroque
Violin and Cembalo
“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 第109回
2021年9月4日(土)14:30(14時開場)、17:30開演(17時開場) 外交官の家(横浜市中区山手町16)
14:30/17:30 4th Sept.
2021 at Yokohama Gaikoukan-no-ie
主催:公益財団法人 横浜市緑の協会/外交官の家 協力アンサンブル山手バロッコ
出演
宮崎 蓉子(バロック・ヴァイオリン)
東京音楽大学器楽科を卒業後、2004年渡英。ギルドホール音楽院で研鑽を積み、ディプロマを終了。バロック・ヴァイオリンを渡邊慶子、R・ポジャー、S・スタンデイジの各氏に師事。渡英中、オーケストラ・エイジ・オブ・エンライトメント、ロンドンフェスティバル・オーケストラ等、イギリス及びヨーロッパ各地で演奏活動をし帰国。帰国後はソロ、およびアンサンブル奏者として活動を広げる一方、後進の指導にあたっている。
大村 千秋(チェンバロ)
東京藝術大学大学院古楽科を大学院アカンサス賞を得て修了。2009年度文化庁新進芸術家海外研修員としてオランダに留学、アムステルダム音楽院チェンバロ科およびフォルテピアノ科にて学ぶ。第21回古楽コンクール山梨において最高位受賞。帰国後は、ソリストとして、また通奏低音・アンサンブル奏者として演奏活動を行うほか、後進の指導にも力を注いでいる。桐朋学園芸術短期大学非常勤講師。http://chiakiomura.wordpress.com/
山手西洋館サマーフェスティバル
アンサンブル山手バロッコ第100回演奏会
西洋館で味わう 〜バロック・ヴァイオリンとチェンバロの調べ〜
Salon Concert with Baroque Violin and Cembalo
“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 第109回
美しいイタリア式庭園を望む外交官の家にようこそ。本日は、宮崎蓉子さんと大村千秋さんによるヴァイオリンとチェンバロによるデュオ・コンサートをお楽しみいただきます。お二人は一緒にCD録音をされているほど音楽活動を共にされています、山手西洋館では初めての共演をお届けします。
プログラムノート(宮崎蓉子・大村千秋)
ヘンデル / アフェットゥオーゾ〜 ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ 二長調 より
Georg Frederic Handel (1685-1759) / Affetuoso
from Sonata for Violin and Basso continuo in D major Op.1-13
ヘンデルはバロック時代を代表するドイツの作曲家にして鍵盤楽器の名手です。彼はドイツ国内、そしてイタリアで活躍したのち、イギリスへ渡りオペラ作曲家としても成功を収めました。ヘンデルの作品はオペラ作曲家らしく歌心に溢れ、また器楽や室内楽作品においても劇場を彷彿とさせるスケールの大きさや魅力があります。ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ 二長調は、ヘンデル晩年の1750年頃に作曲された、彼の最後の室内楽作品と考えられています。本日は情感豊かな第1楽章を演奏しコンサートの幕を開けることといたしましょう。
テレマン / 無伴奏ヴァイオリンのためのファンタジア 第7番 変ホ長調
Georg Philipp Telemann (1681-1767) / Fantasia for solo violin No. 7
in E-flat major TWV 40 : 14
ドルチェ - アレグロ - ラルゴ - プレスト
Dolce - Allegro - Largo – Presto
ドイツの作曲家で、生前はバッハやヘンデルを遥かに凌ぐ名声を得ていたテレマンは、幼い時期より管楽器、弦楽器、鍵盤楽器など多くの楽器を独学で弾きこなし、特性を熟知した音楽家でした。テレマンは種々の楽器のために無伴奏の幻想曲(ファンタジー)を書いています。無伴奏ヴァイオリンのためのファンタジアは、ソナタ、組曲、協奏曲の要素をあわせ持つ、バラエティに富んだ曲集で、演奏する第7番は、緩―急―緩―急の4楽章から成り、短い曲の中に込められた、類例のない創造性と聴くものの想像力をかき立たせる手腕は、驚異的であり先例がないものです。
コレッリ / ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ 第3番 ハ長調
Arcangelo Corelli (1653-1713) / Sonata for Violin and Basso
continuo Op. 5-3 in C major
アダージョ - アレグロ - アダージョ - アレグロ
Adagio - Allegro - Adagio – Allegro
イタリアは、オペラの発祥の地であり、ダイナミックで、自由で即興的な装飾の多い音楽が好まれました。そして器楽においてはソナタ、コンチェルトといったジャンルを確立し、特に技巧的で華やかな音楽が数多く作曲されました。中でもコレッリは、ヴァイオリンのヴィルトゥオーゾとしても名を馳せ、その作品はヴァイオリン音楽の歴史上、今日に至るまで大きな地位を占めています。中でも作品5のヴァイオリンソナタ集は有名で、出版後、様々な作曲家によってリコーダーをはじめ各種の楽器や合奏協奏曲にも編曲されました。演奏する第3番ハ長調は、5つの楽章からなり、おだやかな第1楽章、重音を交えフーガ風の第2楽章、切々と歌う第3楽章、そして活発な第4楽章を経て、終楽章ではヴァイオリンが楽しげに駆け巡り曲が閉じられます。
ビーバー / ロザリオ・ソナタ 第1番 ニ短調「受胎告知」
Heinrich Ignaz Franz von Biber
(1644-1704) / Rosary sonata No.1 in D minor, “The
Annunciation”
ビーバーはボヘミアで生まれ。ザルツブルクの宮廷のヴァイオリニスト、宮廷楽長として活躍し多くのヴァイオリンの作品を残しました。ロザリオ・ソナタは1674年頃に作曲された曲集で、特殊な調弦法(スコラダトゥーラ)を駆使し、作曲当時のヴァイオリン演奏技法を集大成したと言われています。ロザリオのソナタの構成は、聖母マリアとイエス・キリストの生涯を、受胎告知からキリストの受難・復活、聖母マリアの戴冠までの場面を表した15のソナタと、「守護天使」を表す無伴奏のパッサカリアから構成された作品です。演奏する「受胎告知」は曲集の冒頭を飾る曲です。
フィッシャー / 《音楽のパルナッソス山》 より シャコンヌ ヘ長調
Johann Kaspar Ferdinand Fischer
(1646-1716) / Chaconne in F major from “Musical
Parnassus”
フィッシャーは、ビーバーと同じボヘミア生まれの鍵盤楽器の名手で作曲家でした。バッハの次男エマヌエル・バッハは、父バッハがフィッシャーの曲から多くを学んだと証言していますし、バッハ家の楽譜コレクションにもフィッシャーの曲が複数残されています。フィッシャーの前奏曲とフーガの曲集のテーマがバッハの24の前奏曲とフーガ(平均律クラヴィア曲集)で借用(活用)されていることも知られています。「音楽のパルナッソス山」は鍵盤楽器のための組曲集で、優れた音楽家のみ入れるという、神話のパルナッソス山を標題に掲げ、そこに住む音楽の女神(ミューズ)の名前が各組曲のタイトルに付けられています。演奏するシャコンヌは、音楽と叙情詩を司る女神「エウテルペ」を冠した組曲の終曲にあたり、延々と繰り返される低音主題の上で変奏が華やかに展開されます。
バッハ / ヴァイオリンとオブリガート・チェンバロのためのソナタ 第2番イ長調
J.S. Bach / Sonata for Violin and Obligato harpsichord No.2 in A
major BWV 1015
(指定なし) - アレグロ・アッサイ - アンダンテ・ウン・ポコ – プレスト
(-) - Allegro assai - Andante un poco - Presto
バッハは、室内楽〔ソナタ〕の分野で新しい取組みをしました。それはオブリガート付きソナタと呼ばれる形式で、ソロ楽器〔この曲ではヴァイオリン〕とチェンバロの右手がメロディーを演奏し、チェンバロの左手が低音をひき全体を支えるものです。バッハはチェンバロが伴奏でなく、ソロ楽器と対等に競い合うこの形式がお気に入りだったらしく、フルートなど他の楽器のためにも同種の曲を残しています。このヴァイオリンとオブリガート・チェンバロのためのソナタは、バッハがケーテン公の宮廷楽長をしていたときに作曲された6曲のソナタの3番目で、甘美な第1楽章、勢いのあるテーマによる掛け合いが魅力的な第2楽章、歩くような低音の上でヴァイオリンとチェンバロが歌を交わす第3楽章を経て、フーガが際立つ最終楽章につながります。
プログラムノート(宮崎蓉子・大村千秋)
拍手をたくさんいただきましたので、アンコールに、バッハのヴァイオリンとオブリガート・チェンバロのためのソナタ 第一番より第3楽章 アンダンテをお聴きいただきます
ありがとうございました。
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