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アンサンブル山手バロッコ 第9回演奏会
9th Concert
第9回 2002年12月14日(土) PM 2:00開演
横浜山手 ベーリックホール
2:00pm 14 December 2002 at Berrick Hall
「オリジナル楽器によるバロック・コンサート クリスマスにバロック音楽を」
"Baroque Music in Christmas"
出演 EnsembleYamate-Barocco
わたしたち「アンサンブル山手バロッコ」は、98年、横浜山手の洋館 山手234番館のリニューアルに行なわれた記念のコンサートをきっかけに、山手在住のリコーダー愛好家 朝岡聡を中心に結成された、バロック時代の楽器(古楽器)を使った演奏団体で、継続的に山手の洋館での演奏活動を続けています。本日の演奏メンバーを紹介します。
朝岡 聡 Satoshi Asaoka(リコーダーRecorder): 慶応大学卒業後、テレビ朝日に入社、95年よりフリーキャスターとして活躍中。慶応バロックアンサンブルでリコーダーを演奏。大竹尚之氏に師事。当アンサンブル主宰。著書に 「笛の楽園 私のリコーダー人生」がある。
曽禰 寛純 Hirozumi Sone(フラウト・トラヴェルソFlauto traverso) : フルート演奏を経て、フラウト・トラヴェルソを独学で学び、慶応バロックアンサンブルで演奏。カメラータ・ムジカーレ同人。当アンサンブル発足メンバー。
江口 陽子 Yoko Eguchi(フラウト・トラヴェルソFlauto traverso) : フルート演奏を経て、フラウト・トラヴェルソを学ぶ。菊池香苗氏に師事。
角田 幹夫 Mikio Tsunoda(バロック・ヴァイオリンBaroque violin、ヴィオラ・ダ・ガンバViola da gamba) :慶応バロックアンサンブルでバロック・ヴァイオリンを演奏。独学でヴィオラ・ダ・ガンバを学ぶ。現在、カメラータ・ムジカーレ同人。当アンサンブル発足メンバー。
天野寿彦 Toshihiko Amano(バロック・ヴァイオリンBaroque violin):3歳からヴァイオリンを始め、最近バロックに転向。現在東京芸術大学古楽科で、バロック・ヴァイオリンを若松夏美氏に、アンサンブルを小島芳子氏に師事
鈴木 忠 Atsushi Suzuki(バロック・ファゴットBaroque fagott) : 名大出身、現在は慶応大学生物学教室でクマムシを研究中。多くの師や友人から音楽を学ぶ。ファゴットを堂阪清隆氏に師事。カメラータ・ムジカーレ同人。
脇田 美佳 Mika Wakita(チェンバロCembalo) : チェンバロを岡田龍之介氏に師事。大学卒業後、渡邊順生、曽根麻矢子両氏にレッスンを受け、研鑽を積んでいる。カメラータ・ムジカーレ同人。
オリジナル楽器によるバロック・コンサート クリスマスにバロック音楽を
"Baroque Music in Christmas"
プログラム
F.
クープラン 神秘な障壁(クラブサン小曲集より)
F.Couperin / "Les Baricade
Mistérieuses" from Pieces for Cembalo
本日は、プログラムに無い小品のクリスマスプレゼントから始まります。クープランは、フランスのバロック時代を代表する作曲家で、チェンバロ(フランス語でクラブサン)のための組曲を数多く作曲し、出版しました。この小品も組曲に含まれていますが、単独で演奏される機会も多い曲です。ルイ王朝の宮殿での恋物語にも関係しているのでしょうか、チェンバロの音の重なりの向こうに物語を感じさせます。
J. S.
バッハ チェンバロとフルートのためのソナタ 変ホ長調 BWV1031
J.S.Bach / Sonata for
Flute and Cembalo Eb-Major BWV-1031
アレグロ・モデラート − シチリアーノ − アレグロ
バッハはバロック最大の作曲家ですが、当事は鍵盤楽器演奏の大家として知られていました。この曲はバロックからクラシックへ橋渡しされる気分を持ったバッハには珍しい分かりやすい曲想を持った作品です。チェンバロ(右手、左手)とフルートでの三重奏の形で作られています。チェンバロの独奏から始まりフルートと掛け合いの楽しい曲想の1楽章、フルートの悲しげなメロディーにチェンバロが寄り添う有名なシチリアーノの2楽章と軽快な2部分形式の3楽章からなります。
J. M. ルクレール 2本のヴァイオリンのためのソナタ ホ長調 作品12−2
J.M.Leclair / Sonata for
Two Violins E-Major Op.12-2
アレグロ・マ・ポコ − (ラルゴ) - メヌエット・ノン・トロッポ・アレグロ - アレグロ
ルクレールはバロック時代のフランスの作曲家でありヴァイオリンの名手でもありました。フランスの趣味に、イタリアの趣味を混ぜ、親しみやすい曲や、ヴァイオリンのための技巧曲をたくさん残しています。この曲は、2本のヴァイオリンのためのソナタ集に収められている曲で、重音奏法や凝った掛け合いが駆使されており、たった2丁のヴァイオリンとは思えない大きな世界が広がります。この曲は、はつらつとした両端の楽章の間に、しっとりしたラルゴと、こった作りのメヌエットがはさまれており、曲集で最も充実した大作に仕上げられています。
A.
ヴィヴァルディ リコーダーとファゴットのためのソナタ イ短調
A.Vivaldi / Sonata for Recorder, Fagot and Basso
continuo a-minor
ラルゴ − アレグロ − ラルゴ − アレグロ モルト
ヴィヴァルディは有名な協奏曲集 「四季」のように、急ー緩ー急の協奏曲の形を完成させた人でもありますが、一方で緩ー急―緩―急の4楽章からなるソナタでも多くの作品を残しました。この曲は高音域のリコーダーと低音域のファゴットを組み合わせてちょっと変わった しかし とても魅力的な味付けのトリオソナタです。ヴィヴァルディが教えていたヴェネツィアの女子孤児院の生徒達が自慢の腕を披露するために演奏したことでしょう。
J. Ph.ラモー コンセール 第一番
J.Ph.Rameau / 1st Concert
ラ・クーリカン − ラ・リヴリ − ラ・ヴィジェネ
ラモーは、バロック後期のフランスの鍵盤曲およびオペラ作曲家。本日は、コンセール(室内合奏曲集)第1番をお聴き頂きます。この曲はヴァイオリン(またはフルート)、ヴィオラ・ダ・ガンバを従えて、チェンバロの右手と左手が、独立して書かれています。円熟したフランスのチェンバロ(フランス語でクラブサン)音楽の趣味にかなって書かれており、ヴァイオリンやヴィオラ・ダ・ガンバは伴奏に廻ることも多い曲です。事実、ラモーによる出版譜の注記では2つの弦楽器なしで演奏できるとしていますし、後年、チェンバロ独奏用にいくつかの曲を編曲し出版したくらいチェンバロが中心で活躍します。曲は、はやい、ゆっくり、はやいの3楽章からなります。クーリカンはペルシャの英雄の名前、リヴリは同時代のフランス貴族、ヴィジェネはパリ近郊の村の名と、それぞれラモーに関わりのある名前であり、音によるポートレートともなっています。
G. Ph.テレマン リコーダー、2本のフルートと通奏低音のための四重奏曲 ニ短調
G.Ph.Telemann / Quartet for Recorder, 2 Flutes and
Basso continuo d-minor from "Tafelmusik"
アンダンテ − ヴィヴァーチェ − ラルゴ − アレグロ
テレマンの数多い作品の中でも有名な「食卓の音楽」(1733にハンブルクで出版)の第2集に収められた四重奏曲で、縦と横の3本の笛が織りなす響きにテレマンならではの魅力をたたえた名曲です。テレマン自身演奏を得意としたリコーダーによる協奏的名人芸が展開される第2楽章、ポーランド風の野趣に富んだ主題の第4楽章などが特徴的です。「食卓の音楽」は、超多作家テレマンの器楽曲の集大成とも言える曲集で、無数にある自作の傑作選と考えられています。この四重奏曲についてもフランクフルトで初期稿の存在が確認されており、ベストアルバムに残る名曲としてテレマン自身が選んだものと言えましょう。
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