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アンサンブル山手バロッコ 第8回演奏会
8th Concert
第8回 2002年10月14日(祝) PM3:00開演
横浜 山手234番館 レクチャールーム
3:00 pm 14 October 2002 at Yamate 234 House
「古楽器によるバッハの周辺探訪」
"Music around the Bach"
出演 EnsembleYamate-Barocco
わたしたち「アンサンブル山手バロッコ」は、98年、横浜山手の洋館 234番館のリニューアルに行なわれた記念のコンサートをきっかけに、山手在住のリコーダー愛好家 朝岡聡を中心に結成された、バロック時代の楽器(古楽器)を使った演奏団体で、継続的に山手の洋館での演奏活動を続けています。本日の演奏メンバーを紹介します。
朝岡 聡 Satoshi Asaoka(リコーダーRecorder): 慶応大学卒業後、テレビ朝日に入社、95年よりフリーキャスターとして活躍中。慶応バロックアンサンブルでリコーダーを演奏。大竹尚之氏に師事。当アンサンブル主宰。著書に 「笛の楽園 私のリコーダー人生」がある。
曽禰 寛純 Hirozumi Sone (フラウト・トラヴェルソFlauto traverso) : フルート演奏を経て、フラウト・トラヴェルソを独学で学び、慶応バロックアンサンブルで演奏。カメラータ・ムジカーレ同人。当アンサンブル発足メンバー。
角田 幹夫 Mikio Tsunoda (バロック・ヴァイオリンBaroque violin、ヴィオラ・ダ・ガンバViola da gamba) : 慶応バロックアンサンブルでバロック・ヴァイオリンを演奏。独学でヴィオラ・ダ・ガンバを学ぶ。現在、カメラータ・ムジカーレ同人。当アンサンブル発足メンバー。
鈴木 忠 Atsushi Suzuki (バロック・ファゴットBaroque fagott) : 名大出身、現在は慶応大学生物学教室でクマムシを研究中。多くの師や友人から音楽を学ぶ。ファゴットを堂阪清隆氏に師事。カメラータ・ムジカーレ同人。
脇田 美佳 Mika Wakita (チェンバロCembalo) : チェンバロを岡田龍之介氏に師事。大学卒業後、渡邊順生、曽根麻矢子両氏にレッスンを受け、研鑽を積んでいる。カメラータ・ムジカーレ同人。
古楽器によるバッハの周辺探訪 プログラム
"Music around the Bach" -
Program
ようこそおいで頂きました。今回は「古楽器によるバッハの周辺探訪」と題してバッハ(ヨハン・セバスチャン・バッハ)に影響を与えたヴィヴァルディやヘンデルの曲と、バッハの友人の人気作曲家テレマンとテレマンが名付け親になったバッハの次男カール・フィリップ・エマヌエル・バッハによる次代の扉を開いた音楽とを、バロック時代の楽器を組み合わせ、当時のスタイルでお届けします。
本日は、リコーダー、フラウト・トラヴェルソ、バロック・ヴァイオリン、バロック・ファゴット、ヴィオラ・ダ・ガンバ、チェンバロの編成で、お聴き頂きます。
プログラム
G. P. テレマン リコーダーとフルートのためのデュエット 第5番ハ長調 より アレグロ
G.Ph.Telemann / "Allegro" from 5th duet for
Recorder and Flute C-Major
テレマンはバッハより少し先輩のドイツの作曲家。貴族や金持ちの音楽愛好家のために多くの曲を作り、出版し、販売したのでヨーロッパ中に知られた作曲家でした。後にバッハが率いて有名になった公開演奏会コレギウムムジクムを創設したり、名付け親となったバッハ家の次男エマニュエルにハンブルグの音楽監督を引き継いだり、バッハ家にゆかりの深い人でした。今日のオープニングは2本のフルートのための2重奏曲から、緩急自在の掛け合いが楽しめる楽章です。
G. F. ヘンデル トリオソナタ ロ短調 作品2-1
G.F.Handel / Sonata for Flute, Violin and Basso continuo
b-minor Op.2-1
アンダンテ - アレグロ - ラルゴ - (指定なし)
ヘンデルは本日のテーマであるバッハと同じ年にドイツで生まれたバッハと並ぶバロック音楽の大音楽家ですが、一生ドイツの狭い地域にとどまったバッハと違い、若くしてイタリアの留学し、最後は、ドイツからイギリスに渡ってオペラやオラトリオ(舞台で演奏される宗教的な音楽劇)で大成功しました。この曲は、いくつかあるヘンデルの三重奏(トリオ)ソナタ集の中で、最初の作品である作品2の1番目の曲で、ゆっくり−速い−ゆっくり−速いの4楽章からなっています。曲はオペラやオラトリオをほうふつとさせるメロディーも使われており、堂々としておおらかな雰囲気が感じられます。なお、この曲には、半音高いハ短調で、リコーダーとヴァイオリン用の異稿も残っており、当時から人気のあった曲だったと考えられています。
C. Ph. E. バッハ フルートとヴァイオリンのためのデュエット ホ短調 W.140
C.Ph.E.Bach / Duet for Flute and Violin e-minor Wq.140
アンダンテ - アレグロ - アレグレット
C. Ph. E.(カール・フィリップ・エマニュエル)バッハは、大バッハの次男で、ベルリンのバッハ、ハンブルグのバッハと呼ばれ、バロック時代とハイドンやモーツアルトの古典派の橋渡しをした重要な作曲家です。この曲は、フルート好きの王様に仕えていた時期の作品ですが、父親譲りの掛け合い(フーガ)形式でかかれた1楽章のあとは、新しい時代の華やかな趣味で書かれた2楽章、3楽章が続きます。ヘンデルやヴィヴァルディのバロック音楽と違い。ちょっと新しい感じがしませんか?
C. Ph. E. バッハ ヴェルテンベルク・ソナタ W.49-1
C.Ph.E.Bach / Sonata for Cembalo from "Wuertenberg
Sonaten" Wq.49-1
モデラート − アンダンテ − アレグロ アッサイ
前曲に引き続き大バッハの次男エマニュエル・バッハの作曲です。6曲からなる鍵盤楽器用のソナタの第一番目で、この曲集をヴェルテンベルク公に献呈したことから、この名前がつきました。エマニュエル・バッハは、鍵盤楽器の演奏に関する著書「正しいピアノ奏法」を出版し、鍵盤楽器音楽の発展に大きく貢献しました。(現在も鍵盤楽器の奏法や当時の演奏解釈を学ぶ貴重な本で広く読まれており、日本語訳も出ています。) また、バロックから飛躍した、その新しいスタイルはベートーヴェンも学んだといわれています。
この曲は、そんなエマニュエル・バッハの代表的な名曲で、ドラマティックな一楽章、それとは対照的に穏やかな2楽章、華やかな3楽章から成っています。
A.ヴィヴァルディ フルート、ヴァイオリンとファゴットのための協奏曲 ニ長調
A.Vivaldi / Concerto for Flute, Violin and Basso
continuo D-Major
アレグロ - アンダンテ - アレグロ
ヴィヴァルディは「四季」で有名なイタリア・バロックの作曲家で、バロックの協奏曲の様式を完成させ、当時、ヨーロッパ中に協奏曲ブームを巻き起こしました。この曲は、オーケストラを持たないでいくつかの楽器で演奏できる室内協奏曲と呼ばれるタイプの曲です。明るいイタリアの日差しを感じさせる1楽章(アレグロ)、ファゴットとヴァイオリンの伴奏の上に穏やかなメロディーの流れる2楽章(アンダンテ)をへて、踊りのリズムからなる軽やかな3楽章で幕を閉じます。
A.ヴィヴァルディ リコーダーとファゴットのためのソナタ イ短調
A.Vivaldi / Sonata for Recorder, Fagot and Basso
continuo a-minor
ラルゴ − アレグロ − ラルゴ − アレグロ モルト
ヴィヴァルディは有名な協奏曲集 「四季」や前の曲のように、急ー緩ー急の協奏曲の形を完成させた人でもありますが、一方で緩ー急―緩―急の4楽章からなるソナタでも多くの作品を残しました。この曲は高音域のリコーダーと低音域のファゴットを組み合わせてちょっと変わった しかしとても魅力的な味付けのトリオソナタです。ヴィヴァルディが教えていたヴェネツィアの女子孤児院の生徒達が自慢の腕を披露するために演奏したことでしょう。
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