これまでの演奏会へ戻る
アンサンブル山手バロッコ 第3回演奏会
3rd Concert
2000年3月25日(土) 午後2時開演 山手234番館 2Fホール
pm2:00 25 March 2000, at Yamate 234 House
オリジナル楽器による 「古楽の巡り道」(2000山手洋館スタンプラリー協賛)
"Baroque Music from Various
Countries"
出演 EnsembleYamate-Barocco
和田章:チェンバロ
朝岡聡Satoshi Asaoka: お話&リコーダー
Recorder
曽禰寛純Hirozumi Sone: フラウト・トラヴェルソ
Flauto Traverso
角田幹夫Mikio Tsunoda: バロック・ヴァイオリン
Baroque Violin, ヴィオラ・ダ・ガンバ Viola
da gamba
渡辺比登志:ヴィオラ・ダ・ガンバ Viola
da gamba
和田章 Aquilla
Wada: チェンバロ Cembalo
古楽の巡り道
今回は、バロックから初期クラシックまでのヨーロッパの音楽(お国振り)を巡るプログラムをお届けします。
当時のヨーロッパでは、大きく分けてフランス風の趣味、イタリア風の趣味が流行していました。どちらも自分たちの音楽が一番だといって争いにまでなりましたが、そんな中で、国力を背景に、大陸から多くの音楽家を招聘した音楽大消費国イギリスや、フランス・イタリアを合わせた自分たちの様式が一番趣味が良いなどといったドイツ、また、スペイン、ポルトガルやハンガリーなどでは土臭い民族音楽との融合も盛んでした。何と言っても、このお国振りをすべて飲み込みバロック音楽を最高の芸術に昇華させたのはバロック最大の音楽家、大バッハです。バッハは巡り旅の終点といえましょう。また、そこからバッハの息子たちをへて、ハイドン、モーツアルトの古典派の扉が開かれるわけです。
今日は(別格のバッハは抜きにして)バロック初期から古典派の入り口まで、音楽のお国振りをスタンプラリーのように進めます。さあ、ヨーロッパを巡る旅に出かけましょう。今日演奏する曲の、作曲家と曲をヨーロッパの国に結び付けて、お楽しみください。(正解は曲目解説にあります)
曲目解説
ヨハン ヨアヒム クヴァンツ(1697-1773):リコーダー、フルートと通奏低音のためのソナタ ハ長調
J.J.Quantz / Sonata for Recorder, Flute and Basso
continuo C-major
クヴァンツはドイツのバロック時代随一といわれるフルートの名人で、ベルリンのフリードリッヒ大王につかえ、大王が自らも玄人はだしの演奏をしたという楽器フルートのために、独奏曲や協奏曲を何百曲も作曲しました。この曲は、バロックの前半に大いに栄えたリコーダー(縦吹きのフルート)と新しいフラウトトラヴェルソ (横吹きのフルート)を組み合わせた珍しい編成の曲です。自分の楽器のフルートに「えこひいき」をせずに縦・横を対等に組みあわせて作曲しています。曲は、ゆっくり−速い−ゆっくり−速いの4楽章からなります。
フランチェスコ・マリア・ヴェラチーニ: ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ト短調
F.M.Veracini /
Sonata for Violin and Basso continuo g-minor
ヴェラチーニは、有名なヴィヴァルディやコレルリと同時代のイタリアバロックの作曲家で、自らもヴァイオリンの名手として知られていました。本日演奏する曲は、作品1のヴァイオリンソナタ集の1番目で、ソナタを生んだイタリアの趣味で作曲されています。曲はヴァイオリンの技巧的な活躍が見られることから、自らの大事な演奏レパートリーの一つになっていたのかもしれません。【正解はイタリア】
ヨゼフ・ハイドン(1732-1809): フルート、ヴァイオリン、チェロのためのトリオ ト長調 作品38-2
J.Haydn / Trio for Flute, Violin and Violoncello
G-major Op.38-2
ハイドンは、本日演奏する内で一番新しい音楽家で、バロックから古典派の扉を開いたといわれています。実際バロック時代の楽器で演奏すると、ハイドンがいかに前衛的な音楽を書いているかが良くわかります。長く宮廷音楽家として過ごしましたが、名声はヨーロッパ中に鳴り響いていました。今日演奏するトリオは、宮廷作曲家時代の作品ですが、ロンドンで出版され売り出され、晩年のイギリスでの活躍の先駆けになるものです。曲は、親しみやすいテーマによる、はやい−ゆっくり−はやい、の3楽章からなっています。【正解はオーストリア、イギリス】
作者不詳:グリーンスリーブスに基づくヴィオラダガンバのための変奏曲
Anonym / Variation for Viola da gamba
作曲家は不明ですが、おそらくイギリス人で、本日演奏する内ではバードとともにもっとも古い時代の音楽家です。活躍したのは1600年ごろ、あのシェイクスピアの時代です。当時は器楽曲、声楽曲(歌曲)および鍵盤楽曲が大変栄え、シェイクスピアの劇中でも歌や器楽が組み合わされていました。本日の曲は有名な民謡グリーンスリーブスに基づく変奏曲です。 【正解はイギリス】
ウィリアム・バード(1543-1628): セリンジャーの旋律による合奏曲
W.Byrd / Consort
バードは、イギリスに花開いた初期バロックの代表的作曲家です。この曲は、民謡風の旋律による5つのパートからなる合奏曲で、本日は2本のリコーダー、2本のヴィオラダガンバで演奏します。舞曲風のテーマが繰り返されるうちに、変奏が積み重なり、最後にもう一度テーマが単純なかたちで繰り返されます。 【正解はイギリス】
ゲオルグ・フリードリッヒ・ヘンデル(1685-1759): リコーダー,ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ヘ長調
G.F.Handel / Sonata for Recorder, Violin and
Basso continuo F-major
ヘンデルは、大バッハと同じ年に、ドイツで生まれ、イタリアで勉強をし、イギリスで活躍したバロック時代を代表する音楽家です。最終的にはイギリスに帰化し、ジョージ・フレデリック・へンデルと呼ばれました。オペラ、オラトリオ、また幕間で自ら演奏するオルガン協奏曲などの新しい分野やイタリア風の合奏協奏曲を発展させました。本日演奏するトリオソナタは、作品2としてイギリスで出版されました。当時人気のあった2つの楽器にぴったりあったヘンデルらしいおおらかな楽想からなる曲で、ゆっくり−速い−ゆっくり−速い−速いの変則的な5楽章から出来ています。 【正解はドイツ、イギリス】
ジャン・フィリップ・ラモー(1683-1764): コンセール第3番
J.P.Rameau / 3rd Concert
ラモーは、後期のフランスバロック音楽を代表する音楽家です。ウィーン古典派をも超える表現力を駆使した多数のオペラ作曲家、また本日の演奏曲のようにチェンバロ(フランス語でクラブサン)の名手、そして自ら調律法などを考案する音楽理論家でもありました。本日のクラブサン・コンセール曲集(チェンバロとヴァイオリン、ヴィオラダガンバによる合奏曲集)は5曲からなり、各曲3,4曲の人名やおしゃべりなどのしゃれた性格曲からなっています。曲は、チェンバロ、ヴァイオリンとヴィオラダガンバが対等に活躍する、古典派に突き抜けるような斬新なスタイルでかかれています。 【正解はフランス】
これまでの演奏会へ戻る