これまでの演奏会へ戻る
NEW!!
山手西洋館コンサートシリーズ
時をかける音楽
“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 第50回コンサート
2014年8月23日(土)18時開演
横浜市イギリス館
主催:クラングレーデコンサート事務局/アンサンブル山手バロッコ
アンサンブル山手バロッコ ホームページ:http://www.geocities.co.jp/yamatebarocco
クラングレーデブログ:http://blog.livedoor.jp/klangredeconcert/
出演:
大山有里子 Ariko Oyama バロック・オーボエ:
大阪教育大学音楽科卒業。同大学専攻科修了。オーボエを大嶋彌氏に師事する。卒業後、関西を中心に活動し、「大阪コレギウム・ムジクム」のソロオーボエ奏者として、バロック時代の作品を中心に数多くの月例演奏会、定期演奏会等に出演する。その後ピリオド楽器(バロック・オーボエ)による演奏に専念し、バロック・アンサンブル「アルモニー・アンティーク」等に参加。現在、バロックから古典のオーボエ奏者として、関東を中心に活発に活動している。「クラングレーデ」「ダブルリーズ」メンバー。
原田純子 Junko Harada バロック・ヴァイオリン/ヴィオラ :
洗足学園音楽大学卒業。ヴァイオリンを鈴木嵯峨子氏・海野義雄氏に、ヴィオラ・室内楽を岡田伸夫氏に師事。卒業後古楽器での演奏に興味を持ちバロックヴァイオリン・ヴィオラを渡邊慶子氏に師事する。また都留・札幌・福岡での古楽祭、フランスでのマスター・クラスに参加し研鑽を積む。モダン・バロックのヴァイオリン、ヴィオラ奏者として室内楽を中心に活動している。「クラングレーデ」、弦楽合奏団「アンサンブルデュナミス」メンバー。
永瀬拓輝 Hiroki Nagase バロック・チェロ :
桐朋女子高等学校音楽科(男女共学)を経て桐朋学園大学音楽学部卒業。その後、東京芸術大学古楽科別科を経て、現在、東京芸術大学院音楽研究科修士課程バロック・チェロ科に在籍中。2012 年Stage de Musique Baroque de BARBAST(フランス)にてR・ツィパーリング氏のマスター・クラスを受講。これまでにチェロを金谷昌治、花崎薫、倉田澄子の各氏に、バロック・チェロを武澤秀平、E・ジラール、酒井淳、鈴木秀美の各氏に師事。「クラングレーデ」メンバー。
岡田龍之介 Ryunosuke Okada チェンバロ:
東京生まれ。慶應義塾大学経済学部、東京藝術大学卒業。同大学院修了。音楽学を角倉一朗、チェンバロを有田千代子、渡邊順生各氏に師事。またW.クイケン、J.V.インマゼール、T.コープマン各氏にレッスンを受ける。全国各地の演奏会に出演し、国内外のバロック奏者との共演を通じてアンサンブル経験を深める一方、ソロ、教育活動にも力を注ぐ。栃木[蔵の町]音楽祭、目白バ・ロック音楽祭、北とぴあ国際音楽祭、ソウル国際古楽祭などに出演。第13回および第23回甲府古楽コンクールでは審査員を務める。ほぼ毎年訪れる韓国や、ドイツでの公演など海外での演奏の機会も多い。ソロCD「銀色の輝き」(レコード芸術誌準特選)をはじめ、これまでに10枚のCDをリリース。古楽アンサンブル「ムジカ・レセルヴァータ」主宰。現在、洗足学園音楽大学、都留音楽祭、各講師。鴻巣FM音楽番組「クラシックの散歩道」メイン・パーソナリティー。
時をかける音楽
プログラム
春のイギリス館にようこそ。18世紀の「組曲」と「パルティータ」は、アルマンド、クーラント、サラバンド、メヌエット、ジークなど、いくつかの舞曲を一組にして作られているという共通点があります。バッハのパルティータの楽譜扉には「愛好人士の心の憂いを晴らし、喜びをもたらさんことを願って、〜」と記されています。山手西洋館周辺の爛漫の桜とともに、典雅なバロック音楽の世界をお楽しみください
G.Ph.テレマン:トリオ・ソナタ ハ短調 TWV 42:c5
Georg Philipp
Telemann (1681-1767): Sonata c-moll TWV 42:c5
Adagio / Vivace / Affettuoso / Allegro
G.Ph.テレマン:チェロ・ソナタ ニ長調 TWV 41:D6「忠実な音楽の師」より
Georg Philipp Telemann:Sonata D-Dur TWV 41:D6
(Der getreue Music-Meister)
Lent
/ Allegro / Largo / Allegro
G.F.ヘンデル:トリオ・ソナタ ハ短調 Op.2-1 HWV 386a
Georg Friedlich Handel(1685-1759):Sonata c-moll Op.2-1 HWV
386a
Andante
/ Allegro / Andante / Allegro
♪♪♪♪♪
G.F.ヘンデル:ヴァイオリン・ソナタ イ長調 HWV 372
Georg Friedlich Handel:Sonata A-Dur HWV
372
Adagio / Allegro / Largo / Allegro
J.S.バッハ:平均率クラヴィア曲集
第一巻より
プレリュードとフーガ 第13番
嬰ヘ長調 BWV 858
Johann Sebastian Bach (1685-1750):Präludium und Fuge Fis-Dur
(Das Wohltemperirte
Clavier Band 1) BWV 858
J.S.バッハ:トリオ・ソナタ
ハ長調 BWV 529 (オーボエ、ヴィオラと通奏低音編)
Johann Sebastian Bach:(原曲)Triosonate für Orgel Nr.5 C-Dur BWV 529
Allegro / Largo / Allegro
♪♪♪♪♪
アンコールはG.F.ヘンデル作曲オペラ「ラダミスト」HWV 12よりQuando mai spietata sorte「教えてください、冷酷な運命」でした。
満員の会場のみなさんと一緒に、時をかける3名の作曲家と4名の演奏家によるコンサートに感謝し、大きな拍手で締めくくりました。
プログラム・ノート
(永瀬拓輝)
この度は「時をかける音楽」にお越し頂き誠にありがとうございます。
今回はバロック音楽を代表するドイツ生まれの三人の作曲家、G.Ph.テレマン、G.F.ヘンデル、J.S.バッハを取り上げ、それぞれのトリオ・ソナタとソロの作品をお楽しみ頂きたいと思います。
冒頭を飾るG.Ph.テレマン(1681-1767)はドイツのエアフルト近郊に生まれ、音楽を独学で学び、ポーランドやハンブルグなどで活躍した作曲家です。ありとあらゆる楽曲を数多く作曲し、さらに自ら楽譜出版も手掛け、生前はバッハやヘンデルも凌ぐ名声を得ていました。
テレマンが数多く作曲したジャンルの中で、特に力を入れていたのがトリオ・ソナタでした。多種多様の楽器の組み合わせの曲を残しましたが、今回演奏する「トリオ・ソナタ ハ短調TWV 42:c5」では旋律楽器にオーボエとヴィオラという珍しい組み合わせを選んでいます。全体的に瞑想にふけるような落ち着いた曲想ですが、味わい深く、楽章ごとの性格も明確でメリハリがあり、親しみやすいテレマンらしい曲です。
続く「チェロソナタ ニ長調 TWV 41:D6」は、テレマン自身が刊行していた曲集「忠実な音楽の師」(1728-28年)に収められている曲です。多作家なテレマンですが、チェロを独奏楽器として書かれたソナタは現在確認できるのはこの一曲のみとなっています。チェロの特性をいかした伸び伸びとした曲です。
二人目の作曲家G.F.ヘンデル(1685-1759)はドイツのハレで生まれ、ドイツ、イタリアを経て、イギリスに渡り活躍した作曲家です。
「トリオ・ソナタ ハ短調HWV 386a」は1733年ロンドンで出版されたトリオ・ソナタ集 作品2の第一番の異稿で手稿譜が残っています。作品2の方と異稿譜は編成が異なり、今日はオーボエとヴァイオリンで演奏します。曲は哀愁感に包まれていますが、心地よいメロディーや巧みな楽器の書法で劇的で色彩豊かな曲になっています。
「ヴァイオリン・ソナタ イ長調HWV 372」は当時の楽譜出版の習慣もあり(当時は著作権がなかった)、ヘンデルの許可なくロンドンのロジャーやウォルシュによって勝手に出版されました。この曲も他のソナタ同様偽作の疑いがありますが、ヘンデルらしい華やかできれいなメロディーは真作としてもおかしくないと思われます。
本日最後の作曲家はJ.S.バッハ(1685-1750)です。彼は、アイゼナハで代々有名な音楽家の家系で生まれました。ヘンデルのように他国で活躍する事はせずに、生涯ドイツで活動しました。
バッハの一曲目はチェンバロの独奏で「平均律クラヴィア曲集 第一巻より 第13番 嬰へ長調 BWV858」を演奏します。平均律クラヴィア曲集は二巻から成る鍵盤楽器のための曲集で、現在でもピアノを学習するものにとって大事なレパートリーとして親しまれています。タイトルの平均律は「音程を程よい具合に加減した」という意味で必ずしも12平均律という調律法を指すわけではないようです。曲集には24の全ての調性の曲が含まれていて、一曲ごとにプレリュード(前奏曲)とフーガが組み合わされています。短いながらも職人芸と思わせる音楽の構成や巧みな対位法書法は、バッハらしい強くこだわりのある世界観を感じます。
本日最後の曲「トリオ・ソナタ ハ長調BWV 529」はバッハが作曲家として円熟期であったライプツィヒ時代の1727年頃に作曲されたオルガンの為のトリオ・ソナタです。このオルガンのための原曲は、一般的に色々な楽器が組合わされるトリオ・ソナタの編成とは異なり、三声部をオルガンで右手、左手、バスを足のペダルでと一人で演奏するものです。どの声部も器楽のパッセージを思わせる部分が多く、今回はオーボエとヴィオラと通奏低音で演奏します。
互いに影響をうけながら同時期に活躍し現代にいたるまで大きな影響 を残しとても人気のある三人の作曲家達。作曲家の個性も楽しみつつ、三百年以上の時を経て蘇る三人の名作群を今晩、お楽しみ頂ければ幸いです。
これまでの演奏会へ戻る