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クラングレーデ コンサートシリーズ Vol.19
結成10周年記念
ヴィヴァルディ 室内協奏曲の楽しみ
2018年9月29日(土)14:00開演 近江楽堂
主催:クラングレーデ
協力:アンサンブル山手バロッコ http://www.geocities.co.jp/yamatebarocco
クラングレーデ(Klangrede)
クラングレーデとは「音の言葉、音による対話」という意味です。
クラングレーデが演奏するのは、三百年から二百年も昔の、はるかに遠いヨーロッパの音楽です。バロック音楽は単なる「ヒーリング音楽」ではありません。その音楽を聴いて呼び起こされるのは、時代や場所に関わらない普遍的な人間のさまざまなアフェクト(情感)です。アフェクトによってそれぞれの「心象風景」を心に描き出すのです。作曲家が作品を書いた当時に使われていた楽器を使って演奏し、お客様と共に同じ情感を味わう、そんな演奏体験を目指して活動しているアンサンブルです。
------ クラングレーデ(音の言葉)
出演
国枝 俊太郎 (リコーダー)
リコーダーを安井敬、フラウト・トラヴェルソを中村忠の各氏に師事。1995年開催の全日本リコーダー・コンテスト「一般の部・アンサンブル部門」にて金賞を受賞。これまで東京リコーダー・オーケストラのメンバーとしてNHK教育テレビ「ふえはうたう」「トゥトゥアンサンブル」に出演、CD録音にも参加する。現在はバロック室内楽を中心に、古楽器オーケストラによる数々の演奏会に出演するなど、幅広く活動している。バロック・アンサンブル「ムジカ・レセルヴァータ」、ルネサンス・フルート・コンソート「ソフィオ・アルモニコ」メンバー。
大山 有里子 (バロック・オーボエ)
大阪教育大学音楽科卒業。同大学専攻科修了。オーボエを大嶋彌氏に師事する。卒業後、関西を中心に活動し、「大阪コレギウム・ムジクム」のソロオーボエ奏者として、バロック時代の作品を中心に数多くの月例演奏会、定期演奏会等に出演する。その後ピリオド楽器による演奏に専念し、バロック・アンサンブル「アルモニー・アンティーク」等に参加。近年はバロック時代だけでなく古典期のオーボエ曲のピリオド楽器による演奏にも取り組んでおり、関東を中心に活発に活動している。2016年、17年リサイタル「バロック・オーボエの音楽」を開催し好評を博す。「ダブルリーズ」メンバー。
石川 和彦 (バロック・ヴァイオリン)
大阪音楽大学器楽科卒業後バロック・ヴァイオリンを始め、コレギウム・ムジクム・テレマンの主な公演に出演。2001年に渡仏し、ストラスブール音楽院にてバロック・ヴァイオリンとバロック音楽の研鑽を積む。フランスで“Le Parlement de Musique”などで活躍、現在、室内楽やオーケストラでモダン、古楽器とも活発に活動している。ヴァイオリンを曽田義嗣、林泉、佐藤一紀、バロック・ヴァイオリンを中山裕一、フランソワ・フェルナンデス、ステファニー・フィステー、桐山建志各氏に師事。
永谷陽子(バロック・ファゴット) 賛助出演
朋学園大学卒業。同大学研究科及びオーケストラアカデミー修了。バロック・ファゴットを堂阪清高氏に師事。2012年横浜・西洋館de古楽で、モーツァルト作曲ファゴット協奏曲をピリオド楽器で熱演。第26回国際古楽コンクール(山梨)にて奨励賞を受賞。古楽、モダン両分野でオーケストラや室内楽、CD録音に参加。八王子音楽院、ドルミール音楽教室講師、「烏山バロック倶楽部」主宰。「ダブルリーズ」メンバー。
永瀬拓輝(バロック・チェロ)
桐朋女子高等学校音楽科(男女共学)を経て桐朋学園大学音楽学部卒業。その後、東京芸術大学古楽科別科を経て、同大学大学院音楽研究科修士課程修了。
2012年Stage de Musique Baroque de BARBAST(フランス)にてR・ツィパーリング氏のマスタークラスを受講。これまでにチェロを金谷昌治、花崎薫、倉田澄子の各氏に、バロック・チェロを武澤秀平、E・ジラール、酒井淳、鈴木秀美の各氏に師事。
伊藤 一人(チェンバロ)
東京藝術大学大学院修了。チェンバロ・通奏低音を岡田龍之介、鈴木雅明、大塚直哉各氏に師事。ボブ・ファン・アスペレン、クリスティーネ・ショルンスハイム、アリーン・ジルベライシュ各氏らのマスタークラスを受講。江崎浩司氏のCD「テレマン:12のメトーディッシェ・ゾナーテン」(フォンテック。2014年度レコードアカデミー賞[音楽史部門]受賞)ほかに参加。ソロ活動を行うほか、通奏低音奏者として多くのアーティストと共演している。
東京藝術大学教育研究助手(2015-2017)。日本チェンバロ協会会員。
ホームページhttp://kazutoitocembalo.jimdo.com
クラングレーデ コンサートシリーズ Vol.19
結成10周年記念
ヴィヴァルディ 室内協奏曲の楽しみ
2018年9月29日(土)14:00開演 近江楽堂
本日はお忙しい中、ご来場いただきまして、ありがとうございます。
私たち「クラングレーデ」は、2008年に行った第1回公演「ヴィヴァルディ
音の宝石箱」を皮切りに、そこから東京と横浜で地道に活動を行ってまいりました。
今回は結成10周年という記念の回でもありますので、グループとしての原点に返って初回公演と同じヴィヴァルディの作品のみでプログラムを組んでみました。10年前とはまた違ったヴィヴァルディをお楽しみいただければ幸いです。(なお、原語のタイトル(RV番号以外)は自筆譜、手稿譜によるものです。)
室内協奏曲 RV 88、RV 92、RV 105、RV 95、RV 94
通常「協奏曲(コンチェルト)」といえば、独奏楽器とオーケストラのための作品を指します。ヴィヴァルディは《四季》を初め、約350曲もの協奏曲を書いただけでなく、独奏楽器による華麗なソロと、弦楽オーケストラによる力強い総奏(トゥッティ)が交代するという協奏曲の形式を整え、バッハなどの音楽家の模範となったことで、「協奏曲の父」とも呼ばれています。
一方で、ヴィヴァルディは、弦楽オーケストラを伴わないタイプの協奏曲も残しています。これは、協奏曲の形式で書かれた音楽を、4-5人程度の演奏者のみで演奏するというもので、楽器の編成も様々です。ヴィヴァルディ自身は二つのタイプを区別せず「コンチェルト」と呼んでいますが、今日では、後者のタイプを「室内協奏曲concerto da camera / chamber concerto」と呼ぶことがあります。P. リオムの編纂した『A. ヴィヴァルディ主題目録』では、このタイプの作品が22曲リストアップされています (RV 87-108:異稿・散逸作品等を除く)
アントニオ・ヴィヴァルディ (1678-1741): 室内協奏曲 ハ長調 RV 88
Antonio
Vivaldi: Concerto RV 88
Allegro
/ Largo / Allegro Molto
この室内協奏曲は、リコーダーとファゴットの対話が聴きどころです。
アントニオ・ヴィヴァルディ (1678-1741): 室内協奏曲 ニ長調 RV 92
Antonio
Vivaldi: Concerto RV 92
Allegro
/ (Andante) / Allegro
この室内協奏曲の楽器編成は「フラウト、ヴィオリーノ、ファゴットまたはヴィオロン・チェロ」となっていますが、今回は一番下の声部をファゴットではなくチェロを使って、チェンバロを伴わない3つの旋律楽器だけの親密な対話をお楽しみいただければと思います。両端楽章では3つの楽器がせわしなく動き回ります。
アントニオ・ヴィヴァルディ (1678-1741): チェロ・ソナタ ホ短調 RV 40
Antonio
Vivaldi: Sonata à Violoncello Solo RV 40
Largo
/ Allegro / Largo / Allegro
この曲は1740年頃にパリで出版され、生前最後の出版作となったチェロ・ソナタ集(全6曲)に含まれています。有名な教育法のスズキ・メソードの曲集にも収められていることや、チェリストのピエール・フルニエがオーケストラ用に編曲して演奏したこともあり、ヴィヴァルディのチェロ・ソナタの中でもとりわけ親しまれている曲です。
慣習的な緩-急-緩-急の四楽章形式のソナタです。同音反復の主題が印象に残る、瞑想的な雰囲気の第一楽章、ソロとトゥッティの対比を思わせる第二楽章、バスのゆるやかなリズムがゴンドラのオールのように曲とともに進む第三楽章、軽快なパスピエを思わせる第四楽章から成ります。
アントニオ・ヴィヴァルディ (1678-1741): 室内協奏曲 ト短調 RV 105
Antonio
Vivaldi: Concerto RV 105
Allegro
/ Largo / (Allegro Molto)
この室内協奏曲は、冒頭からいきなりファゴットの妙技で始まる異色な作品です。コンチェルトの形式に依らない自由な作風で書かれており、各楽器に見せ場があります。
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アントニオ・ヴィヴァルディ (1678-1741): 室内協奏曲 ニ長調 RV 95「ラ・パストレッラ」
Antonio
Vivaldi: Concerto RV 95 “La Pastorella”
Allegro
/ Largo / Allegro
《ラ・パストレッラ》=田園風というタイトルは、直接的には第2楽章の舞曲「パストレッラ」に由来すると考えられます。他の楽章もまた田園風な趣を持っています。
アントニオ・ヴィヴァルディ (1678-1741): ヴァイオリン・ソナタイ長調 RV 758(マンチェスター・ソナタ集より)
Antonio
Vivaldi: Suonate à Violino e
Basso per il Cembalo RV 758
Preludio / Corrente
/ Andante / Corrente
このソナタは「マンチェスター・ソナタ集」の6番目の曲です。ヴィヴァルディがグレート・ブリテン島のマンチェスターとゆかりがあるのかな?とお思いになるかもしれませんが、そうではありません。このソナタ集は1974年にマンチェスターの図書館で新たに発見されたので、こう呼ばれています。
ヴィヴァルディはヴァイオリン協奏曲ではヴァイオリンのテクニックの可能性をとことん追求しましたが、このソナタ集ではそのような華やかな技巧はひかえめで、ヴァイオリン本来の歌謡性を全面に出したような曲が多く見受けられます。この曲はパストラーレ風にはじまり、きびきびとしたコレンテ、重音をゆったりと使って和声的に紡ぐアンダンテ、開放的で速いプレスト、と魅力いっぱいの曲です。
アントニオ・ヴィヴァルディ (1678-1741): 室内協奏曲 ニ長調 RV 94
Antonio
Vivaldi: Concerto RV 94
Allegro
/ Largo / Allegro
最後にお聴きいただく室内協奏曲は、リコーダーとヴァイオリンの二重協奏曲のような作品です。終楽章ではオーボエも積極的に加わって、華やかに終わります。
ありがとうございました。たくさんの拍手をいただきましたので、室内協奏曲 ニ長調 RV 95「ラ・パストレッラ」から第三楽章を演奏します。
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