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クラングレーデ コンサートシリーズ Vol.16
ウィーン古典派の輝きT
2014年11月16日(日)14時開演 近江楽堂
主催:クラングレーデ
協力:アンサンブル山手バロッコ http://www.geocities.co.jp/yamatebarocco
クラングレーデ(Klangrede)
クラングレーデとは「音の言葉、音による対話」という意味です。
クラングレーデが演奏するのは、三百年から二百年も昔の、はるかに遠いヨーロッパの音楽です。バロック音楽は単なる「ヒーリング音楽」ではありません。その音楽を聴いて呼び起こされるのは、時代や場所に関わらない普遍的な人間のさまざまなアフェクト(情感)です。アフェクトによってそれぞれの「心象風景」を心に描き出すのです。作曲家が作品を書いた当時に使われていた楽器を使って演奏し、お客様と共に同じ情感を味わう、そんな演奏体験を目指して活動しているアンサンブルです。
------ クラングレーデ(音の言葉)
出演
国枝 俊太郎 (フルート)
リコーダーを安井敬、フラウト・トラヴェルソを中村忠の各氏に師事。1995年開催の全日本リコーダー・コンテスト「一般の部・アンサンブル部門」にて金賞を受賞。
これまで東京リコーダー・オーケストラのメンバーとしてNHK教育テレビ「ふえはうたう」「トゥトゥアンサンブル」に出演、CD録音にも参加する。
現在はバロック室内楽を中心に、古楽器オーケストラによる数々の演奏会に出演するなど、幅広く活動している。「ムジカ・レセルヴァータ」、ルネサンス・フルート・コンソート「ソフィオ・アルモニコ」メンバー。
大山 有里子 (オーボエ)
大阪教育大学音楽科卒業。同大学専攻科修了。オーボエを大嶋彌氏に師事する。卒業後、関西を中心に活動し、「大阪コレギウム・ムジクム」のソロオーボエ奏者として、バロック時代の作品を中心に数多くの月例演奏会、定期演奏会等に出演する。
その後ピリオド楽器(バロック・オーボエ)による演奏に専念し、バロック・アンサンブル「アルモニー・アンティーク」等に参加。現在、バロックから古典のオーボエ奏者として、関東を中心に活発に活動している。「ダブルリーズ」メンバー。
石川 和彦 (ヴァイオリン)
大阪音楽大学器楽科卒業後バロック・ヴァイオリンを始め、日本テレマン協会の主な公演に出演。2001年に渡仏し、ストラスブール音楽院にてバロック・ヴァイオリンとバロック音楽の研鑽を積む。フランスで“Le Parlement de Musique”などで活躍、現在、室内楽やオーケストラでモダン、古楽器とも活発に活動している。ヴァイオリンを曽田義嗣、林泉、佐藤一紀、バロック・ヴァイオリンを中山裕一、フランソワ・フェルナンデス、ステファニー・プィステー、桐山建志各氏に師事。
原田 純子(ヴィオラ)
洗足学園音楽大学卒業。
洗足学園音楽大学卒業。ヴァイオリンを鈴木嵯峨子氏・海野義雄氏に、ヴィオラ・室内楽を岡田伸夫氏に師事。卒業後古楽器での演奏に興味を持ちバロックヴァイオリン・ヴィオラを渡邊慶子氏に師事する。
また都留・札幌・福岡での古楽祭、フランスでのマスター・クラスに参加し研鑽を積む。モダン・バロックのヴァイオリン、ヴィオラ奏者として室内楽を中心に活動している。弦楽合奏団アンサンブルデュナミスメンバー。
永瀬 拓輝(チェロ)
桐朋女子高等学校音楽科(男女共学)を経て桐朋学園大学音楽学部卒業。その後、東京藝術大学古楽科別科を経て、現在、東京藝術大学院音楽研究科修士課程バロック・チェロ科に在籍中。
2012 年Stage de Musique Baroque de BARBAST(フランス)にてR・ツィパーリング氏のマスター・クラスを受講。
これまでにチェロを金谷昌治、花崎薫、倉田澄子の各氏に、バロック・チェロを武澤秀平、E・ジラール、酒井淳、鈴木秀美の各氏に師事。
クラングレーデ コンサートシリーズ Vol.16
ウィーン古典派の輝きT
2014年11月16日(日)14時開演 近江楽堂
プ ロ グ ラ ム
18世紀後半から19世紀初頭にウィーンで活躍した作曲家たち。今回のコンサートで取り上げるのは、ウィーン古典派の代表ともいえるモーツァルト、チェコ人でウィーンでも活動したミーチャ、ハイドンに学び、後には出版業やピアノ会社などで活躍したプレイエル、サリエリに師事してモーツァルトとも親交のあったジュスマイヤー、ベートーヴェンの師のひとりアルブレヒツベルガー。当時のままのスタイルの楽器(ピリオド楽器)で演奏いたします。フルートとオーボエが弦楽器に加わった五重奏曲は、これまでコンサートでとりあげられることがほとんどありませんでしたが、ピリオド楽器ならではの軽やかなアンサンブルで演奏することにより、新鮮な響きをお楽しみいただけることでしょう。
I.J.プレイエル:五重奏曲ト長調 作品18-1
Ignace(Ignaz) Joseph Pleyel (1757-1831):Quintetto
G-Dur Op.18-1
Allegro
/ Rondo Andante
イグナツ・プレイエルはウィーン近郊の町に生まれ幼少の頃から作曲を学び、その後アイゼンシュタットのエステルハージ家の楽長として仕えていたハイドンの弟子となるなど
恵まれた環境で音楽を学びました。
ストラスブール大聖堂の楽長を経てイギリスへ渡り、楽団を率いて演奏会を行うなどハイドンと共にロンドンの音楽界を盛り上げ成功を収めます。その後パリで出版社を立ち上げ楽譜の出版を、またピアノ製作会社プレイエルを設立するなど起業家として活動しました。プレイエル社は現在でもショパンの愛したピアノとして知られています。
フルート・オーボエと弦楽三部の珍しい編成の五重奏曲は3曲作曲されています。ト長調のこの作品は、さわやかな印象のアレグロと、弦楽器から始まりフルート・オーボエのソロへと展開していくロンド形式の落ち着いたアンダンテの2楽章で構成されています。(原田純子)
F.A.ミーチャ:オーボエ四重奏曲 ハ長調
Frantisek
Adam Mica(Micza,Mitscha)(1746-1811): Oboe Quartett C-Dur
Allegro
/ Andante / Allegretto
フランチシェク・アダム・ミーチャはチェコ生まれの作曲家です。父のカレル・アントニーン・ミーチャはウィーン帝室の門衛兼音楽家で、息子は父に音楽を学んだものと思われます。彼はウィーンで法律を学んだ後官吏となり、ウィーンを離れる39歳頃までをアマチュアとして音楽に打ち込みました。作曲の他に数種類の楽器を演奏し、作品は特にW.A.モーツァルトや皇帝ヨーゼフ2世からかなりの評判を得たということです。
このオーボエ四重奏曲
ハ長調がどのような目的でいつ頃作曲されたのかはわかりませんが、チャーミングな一曲です。(大山有里子)
J.G.アルブレヒツベルガー:弦楽三重奏曲 イ長調 Op.9-2
Johann
Georg Albrechtsberger (1736-1809):Terzetto A-Dur, Op.9-2
Allegro
moderato / Menuetto: Poco vivace / Adagio / Finale: Moderato
ヨハン・ゲオルク・アルブレヒツベルガーはウィーンで育ち、名高いシュテファン大聖堂の楽長も務め、モーツァルトとも親交のあった作曲家で、対位法の大家として、ベートーヴェン他数多くの弟子を育てました。
本日演奏する弦楽三重奏曲はイ長調の優美な曲調の中に、対位法に精通したこの作曲家ならではの複雑な転調やフーガなどのユニークな試みが感じられます。メヌエットは当時のウィーンが目に浮かぶような素朴な楽章です。余談ですがアルブレヒツベルガーはアルト・トロンボーンや口琴という珍しい楽器の為の協奏曲も書いています。(石川和彦)
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W.A.モーツァルト:フルート四重奏曲 第3番 ハ長調
Wolfgang Amadeus Mozart(1756-1791): Flute Quartet Nr.3 C-Dur K.Anh.171(285b)
Allegro
/ Andantino
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトはフルートに対して「耐えられない楽器」という風に父親にあてた手紙に書いていることから、「モーツァルトはフルートが嫌いだった」という説が言われるようになっています。でも、それは本当なのか?と疑いを持ってしまうほど、彼がフルートのために残した作品は魅力に溢れています。実際、マンハイムのオーケストラでフルートを吹いていたJ.B.ヴェンドリングと親しくしていましたし、この交流がきっかけで知り合ったドゥジャンというオランダの音楽愛好家からフルート四重奏曲やフルート協奏曲の作曲を依頼されました。
フルート四重奏曲
ハ長調 K.Anh.171(285b)は1778年にマンハイムで作曲されたもので、第2楽章は「13管楽器のためのセレナード 変ロ長調K.370a/K.361(グラン・パルティータと呼ばれている曲)」の第6楽章と同一の音楽になっています。(国枝俊太郎)
F.X.ジュスマイヤー:五重奏曲 ニ長調 SmWV 602
Franz
Xaver Süssmayer(1766-1803): Quintetto D-Dur SmWV 602
Allegro
con brio / Adagio / Rondo, Allegretto
モーツァルト最後の作品であるレクイエム(未完)を、作曲者の死後に引き継ぎ完成させた事で有名なフランツ・クサーヴァー・ジュスマイヤーは、オーバーエスターライヒのシュヴァ―ネンシュタットに生まれました。作曲をサリエリなどに学び、舞台作品を中心に多くの作品を残しました。ジュスマイヤーはモーツァルトのオペラ「魔笛」や「皇帝ティートの慈悲」を浄書している事から、モーツァルトとの関係は親密であったようです。存命中からジュスマイヤーの作品は人気が高く、後にベートーヴェンやパガニーニがジュスマイヤーの作品の主題を使った変奏曲など残しており後世への影響が伺えます。
本日演奏する五重奏曲
ニ長調は器楽曲ですが、まるでオペラのように劇的で、明るい作品となっていて、モーツァルトのオペラの影響も感じさせられます。オペラの序曲を思わせる第1楽章から始まり、劇的で美しい第2楽章、楽器間の軽妙なやり取りやユーモアがたくさん詰まった第3楽章から成ります。(永瀬拓輝)
アンコールはW.A.モーツァルト:メヌエット K.1(五重奏版)でした。ありがとうございました。
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