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クラングレーデ コンサートシリーズ Vol.14
Les Quatre Sonsレ・キャトル・ソン
ヴァイオリンだけによる素敵な音たち
2013年9月23日 14:00 近江楽堂
主催:クラングレーデ
クラングレーデ(Klangrede)
クラングレーデとは「音の言葉、音による対話」という意味です。
クラングレーデが演奏するのは、三百年から二百年も昔の、はるかに遠いヨーロッパの音楽です。バロック音楽は単なる「ヒーリング音楽」ではありません。その音楽を聴いて呼び起こされるのは、時代や場所に関わらない普遍的な人間のさまざまなアフェクト(情感)です。アフェクトによってそれぞれの「心象風景」を心に描き出すのです。作曲家が作品を書いた当時に使われていた楽器を使って演奏し、お客様と共に同じ情感を味わう、そんな演奏体験を目指して活動しているアンサンブルです。
------ クラングレーデ(音の言葉)
出演
石川和彦 Kazuhiko Ishikawa
大阪音楽大学器楽科卒業後バロック・ヴァイオリンを始め、コレギウム・ムジクム・テレマンの主な公演に出演。2001年に渡仏し、ストラスブール音楽院にてバロック・ヴァイオリンとバロック音楽の研鑽を積む。
フランスで“Le Parlement de Musique”などで活躍、現在、室内楽やオーケストラでモダン、古楽器とも活発に活動している。
ヴァイオリンを曽田義嗣、林泉、佐藤一紀、バロック・ヴァイオリンを中山裕一、フランソワ・フェルナンデス、ステファニー・プィステー、桐山建志各氏に師事。「クラングレーデ」メンバー。
片桐 恵里 Eri Katagiri
東京藝術大学音楽学部卒業。同大学院修了。埼玉県新人演奏会に出演。ヴァイオリンを掛谷洋三、多久興、浦川宜也の各氏に、バロック・ヴァイオリンを小野萬里氏に師事。
室内楽をピュイグ・ロジェ、ルイ・グレーラーの各氏に師事。東京ハルモニア室内オーケストラのメンバーとして、デンマーク、チェコ、フランス各地でのコンサートにも出演。バッハ・カンタータ・アンサンブル、シンフォニア・フォンス、アルモニエのメンバー。
尚美学園大学オーケストラ演奏助手。室内楽、古楽アンサンブルを中心に活動している。
小池はるみ Harumi Koike
東京藝術大学にて、ヴァイオリンを海野義雄氏・外山滋氏に、室内楽を浅妻文樹氏・兎束俊之氏・巌本真理弦楽四重奏団に師事。在学中、札幌での「芸大生によるコンサート」にソロと弦楽四重奏で出演。小林道夫氏指揮芸大バッハカンタータクラブ公演に参加。横浜イギリス館での弦楽四重奏リサイタルに出演。ドイツでの研鑽の後、東京アカデミカーアンサンブル(現在の東京ハルモニア室内オーケストラ)に入団、国内外の著名ソリストを迎えての演奏会、音楽祭、NHK音楽番組などに出演、現在に至る。
また、バロック・ヴァイオリンを寺神戸亮氏・渡邊慶子氏に師事。岡田龍之介氏主宰古楽アンサンブル、ムジカ・レセルヴァータに参加。津田雄二郎氏指揮ザ・サインズ・オブ・バッハにおいてコンサートミストレスを務める。
2007年にピアニストの姉、水上いづみと共に、讃美歌を編集編曲したCD「GIFT」をリリース、日本各地及び海外の教会、病院、学校、福祉施設に招かれて演奏。
また2012年には書道家の白石雪妃氏とのコラボレーションライブを行うなど様々な分野に活動を広げている。
http://harumikvn.wix.com/harumi
原田 純子 Junko Harada
洗足学園音楽大学卒業。
ヴァイオリンを鈴木嵯峨子氏・海野義雄氏に、ヴィオラ・室内楽を岡田伸夫氏に師事。
卒業後古楽器での演奏に興味を持ちバロックヴァイオリン・ヴィオラを渡邊慶子氏に師事する。
また都留・札幌・福岡での古楽祭、フランスでのマスタークラスに参加し研鑽を積む。モダン・バロックのヴァイオリン、ヴィオラ奏者として室内楽を中心に活動している。弦楽合奏団アンサンブルデュナミスメンバー。「クラングレーデ」メンバー。
クラングレーデ コンサートシリーズ Vol.14
Les Quatre Sonsレ・キャトル・ソン
ヴァイオリンだけによる素敵な音たち
2013年9月23日 14:00 近江楽堂
台風が過ぎ、急速に秋らしさが増して来たような今日この頃、本日の公演にお越し頂きありがとうございます。
さて4つのヴァイオリンによる編成ですが、どこで?どのように?成立したのかは実はあまりよくわかっていません。
おそらくは冒頭と最後に演奏するテレマンによる4曲の協奏曲が、知られている限りでは現存する4つのヴァイオリン「だけ」のオリジナルの作品といえるでしょう。
テレマンを含め、4本のヴァイオリンが作り出す音楽。同じ楽器でありながらソプラノ、アルト、テナー、バスと役割が異なるなど、その役割の変化を感じ取って頂ければ幸いです。
プログラム
(解説 石川和彦)
G.P.テレマン(1681-1767):4つのヴァイオリンの為の協奏曲 ニ長調 TWV40:202
Georg Philipp Telemann: Concerto in D major
for 4 violins
Adagio
/ Allegro / Grave / Allegro
テレマン(1681-1767)は現ドイツのマグデブルグに生まれハンブルクで長年楽長として活躍した作曲家で、難解ではなく分かりやすい曲を数多く作曲して、当時の貴族、富裕層の愛好家に絶大な人気がありました。本日の2曲も4つのパートが大変弾きやすく書かれていますが、音を意図的にぶつけて不協和音を作り出したり、テレマンの遊び心が随所に楽しめる作品です。
J-M.ルクレール(1697-1764):2つのヴァイオリンの為のソナタ ホ短調 Op.3-5
Jean-Marie Leclair : Sonate
en mi mineur pour deux violons seul
Allegro
ma poco / Andante=Gavotta Gratioso / Presto
メンバーが二手に分かれて、ルクレールの2つのヴァイオリンの為のソナタを2曲演奏します。ルクレールも同じくフランス人で当代随一のヴァイオリンの鬼才でありました。
当初は興味深い事に刺繍職人としてスタートしたのち、ヴァイオリンの天才の名を欲しいままにしますが、パリで何者かに殺害されてしまうのです。
ラベ・ル・フィス(1727-1803):J.P.ラモーのオペラ・アリアによる組曲より
L’abbé le fils:Opera Suite (Arrangement for 4
violins by Les Quatre Violons)
Ouverture(Pygmalion) / Gigue(Zaïs) / Chaconne(J-B.Forquray:Piece
de viole ,1747)
ラベ・ル・フィス(1727-1803)はフランスの作曲家でヴァイオリニストで子供の頃、ルクレール(1697-1764)に学びました。ヴァイオリン教師としての方が有名で、本日演奏する曲は「Pricipes du Violon(ヴァイオリンの原理)」という教則本に収められている、2つのヴァイオリンによるオペラ組曲が1998年「レ・キャトル・ヴィオロン(ヴァイオリン4人によるユニット)」によって編曲されたものです。この本でラベ・ル・フィスは18世紀フランス最高のオペラ作曲家、J.P.ラモーの作品を教材にしているわけですが、フランス・バロックは舞曲と密接な関わりがある訳で、 この教本は今日では当時舞曲がどのようにヴァイオリンで演奏されていたかを知る貴重な資料にもなっています。序曲は「ピグマリオン」、ジグは「ゼウス」、とギリシャ神話を題材にしたもので、終曲シャコンヌだけはヴィオラ・ダ・ガンバの名手でもあった同じくフランス人フォルクレ(1699-1782)の作品を使って組曲の終わりとしています。フランス・バロックの織り成すギャラントな魅力をお楽しみ下さい。
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W.A.モーツァルト(1756-1791):歌劇「魔笛」より「俺は鳥刺し」「愛を感じる男の人達には」「復讐の炎は地獄のように我が心に燃え」
Opera “Magic
Flute” arranged by Les Quatre
Violons , based on an anonymous arrangement
オペラ「魔笛」はモーツァルト(1756-1791)最晩年に書かれた傑作ですが、その頃人気のオペラや管弦楽作品を家庭で気軽に楽しめるように編曲する事が流行したのもあり、2本のヴァイオリン(またはフルート)用にのこされているものをレ・キャトル・ヴィオロンが編曲したものです。3曲演奏しますが、「俺は鳥刺し」の中でパパゲーノの鈴の音をヴァイオリンの特殊奏法であるフラジョレット(倍音奏法)を使っているところが聴きものです。
J-M.ルクレール:2つのヴァイオリンの為のソナタ
イ長調 Op.3-2
Jean-Marie
Leclair : Sonate en La majeur pour deux violons seul
Allegro-Sarabanda-Allegro
G.P.テレマン:4つのヴァイオリンの為の協奏曲ト長調 TWV40:201
Georg
Philipp Telemann: Concerto in G major for 4 violins
Largo
e staccato / Allegro / Adagio / Vivace
(リハーサル風景)
アンコールは「モーツァルト 「魔笛」 より「パ・パ・パ」」でした。ありがとうございました。
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