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クラングレーデ コンサートシリーズ Vol.13

真夏の古典派(クラシック) 

〜モーツァルトと同時代人の音楽〜

2013731日(水) 1900開演 (1830開場)

鶴見区民文化センター サルビアホール

主催:クラングレーデ

クラングレーデ(Klangrede)

クラングレーデとは「音の言葉、音による対話」という意味です。

クラングレーデが演奏するのは、三百年から二百年も昔の、はるかに遠いヨーロッパの音楽です。バロック音楽は単なる「ヒーリング音楽」ではありません。その音楽を聴いて呼び起こされるのは、時代や場所に関わらない普遍的な人間のさまざまなアフェクト(情感)です。アフェクトによってそれぞれの「心象風景」を心に描き出すのです。作曲家が作品を書いた当時に使われていた楽器を使って演奏し、お客様と共に同じ情感を味わう、そんな演奏体験を目指して活動しているアンサンブルです。  

------ クラングレーデ(音の言葉)

 

出演

 

大山有里子(オーボエ)

使用楽器(オーボエ):ロバート・コットンRobert Cotton 2キー 、1770年以前から1794年以後までロンドンで働いていた管楽器製作者

大阪教育大学音楽科卒業。同大学専攻科修了。オーボエを大嶋彌氏に師事する。卒業後、関西を中心に活動し、大阪コレギウム・ムジクムのソロオーボエ奏者として、バロック時代の作品を中心に数多くの月例演奏会、定期演奏会等に出演する。
そのかたわらピリオド楽器によるバロック音楽の演奏に興味を持ち、バロック・オーボエを始める。これまでに各地でピリオド楽器によるオーケストラやアンサンブルに参加し、現在は関東を中心に活動している。「ダブルリーズ」「アルモニー・アンティーク」メンバー。

 

石川 和彦 (ヴァイオリン)

大阪音楽大学器楽科卒業後バロック・ヴァイオリンを始め、コレギウム・ムジクム・テレマンの主な公演に出演。2001年に渡仏し、ストラスブール音楽院にてバロック・ヴァイオリンとバロック音楽の研鑽を積む。
フランスで“Le Parlement de Musique”などで活躍、現在、室内楽やオーケストラでモダン、古楽器とも活発に活動している。
ヴァイオリンを曽田義嗣、林泉、佐藤一紀、バロック・ヴァイオリンを中山裕一、フランソワ・フェルナンデス、ステファニー・プィステー、桐山建志各氏に師事。

 

原田 純子(ヴィオラ)

 

洗足学園音楽大学卒業。

ヴァイオリンを鈴木嵯峨子氏・海野義雄氏に、ヴィオラ・室内楽を岡田伸夫氏に師事。卒業後古楽器での演奏に興味を持ちバロックヴァイオリン・ヴィオラを渡邊慶子氏に師事する。

また都留・札幌・福岡での古楽祭、フランスでのマスタークラスに参加し研鑽を積む。モダン・バロックのヴァイオリン、ヴィオラ奏者として室内楽を中心に活動している。弦楽合奏団アンサンブルデュナミスメンバー

 

永瀬 拓輝(チェロ)

 

桐朋女子高等学校音楽科(男女共学)を経て桐朋学園大学音楽学部卒業。在学中に古 楽に興味をもち、卒業後、東京芸術大学古楽科別科入学。2013年今春、修了。 2012Stage de Musique Baroque de BARBAST(フランス)に参加。
R.
ツィパーリングのレッスン受講。 これまでにチェロを金谷昌治、花崎薫、倉田澄子氏に。バロックチェロを武澤秀平、 Eジラール、酒井淳、鈴木秀美の各氏に師事。

 

 


クラングレーデ コンサートシリーズ Vol.13

真夏の古典派(クラシック) 

〜モーツァルトと同時代人の音楽〜

2013731日(水) 1900開演 鶴見区民文化センター サルビアホール

 

今回は前回に引き続きまして古典派の室内楽を取り上げます。今回はフルートに替えてオーボエを含んだ四重奏曲を演奏いたします。
この時代の管楽器は音楽の変化に伴って短い時間にモデルチェンジを繰り返していきました。
古典派の先駆けとも言える、J.C.バッハ(大バッハの息子)のオーボエ四重奏曲や、モーツァルトが大バッハのテーマを用いて作曲した弦楽三重奏曲K. 404a-1 など、
当時のままの2つのキーを備えた古典オーボエとガット弦の弦楽三重奏の織りなす響きを、非常に音響のすばらしい鶴見区民文化センターサルビアホールの3F音楽ホールでお楽しみください

 

 

プログラム

(大山有里子、石川和彦)

 

 

        J.C.バッハ(1735-1782):オーボエ四重奏曲 変ロ長調 Hob.II B:4

 Johann Christian Bach : Quartetto (Sonata, Divertissement) Hob. II B:4

        Allegro / Rondeau. Grazioso

ヨハン・クリスティアン・バッハは、J.S.バッハの末の息子で、ロンドンで活躍しました。旅行に訪れた少年モーツァルトにも多大な影響を与えた前古典派の作曲家です。この時代にはオーボエのための通奏低音つきのソナタやトリオ・ソナタは急速に人気をうしない、その代わりにオーボエ四重奏が作曲されるようになります。この曲はバッハ・アーベルコンサートという公開コンサートシリーズで演奏するために書かれたものと思われます。当時の習慣に従い、楽器編成の違ういくつかの版(フルート四重奏、弦楽四重奏など)が出版されています。誤ってハイドンの作品とされていたことがあったため、Hob番号がついています。オーボエパートは、まだ前の世代のバロックオーボエで自然に吹ける音域にとどまっていますが、曲全体の雰囲気は古典派のギャラントな雰囲気にあふれています。

 

 

 L.ボッケリーニ(1743-1805):弦楽三重奏曲 ニ長調 作品14-4G.98  

 Luigi Boccherini : String Trio D-Dur, Op. 14-4, G. 98

        Allegro Giusto / Andantino / Allegro Assai

4つの弦楽器(ヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロ)で4つの声部(ソプラノ、アルト、テナー、バス)を無理なく分担して作曲できるのが弦楽四重奏なら、1つ楽器が少ない弦楽三重奏は作曲にも工夫が必要です。当時の作曲家にとっても難しかったようで、残っている曲もそれほど多くはありません。その中からあまり演奏される機会がないけれども非常に美しい3曲をお届けします。  ルイジ・ボッケリーニは「ボッケリーニのメヌエット」で有名なイタリア人の作曲家・チェロの名手ですが、スペイン宮廷のドン・ルイス皇子の庇護を受けてマドリッドで活動しました。曲調もスペインの民謡なのが取り入れられたりして、一種独特の異国情緒(ドイツ圏から見た)が漂っています。第2楽章のひたすらP(ピアノ)で弓を跳ばす奏法が印象に残ります。 

 

         F.クロンマー(1759-1831):オーボエ四重奏曲 第2番 ヘ長調

 Franz Krommer : Quartet WV IX: 21-22

        [Allegro] / Menuetto / Rondo

 

 フランツ・クロンマー(ドイツ語読み)はボヘミア(現在のチェコ)生まれの作曲家です。ヴァイオリン奏者としてキャリアをスタートし宮廷作曲家にまで上りつめた彼は、ウィーンで活躍したチェコ人作曲家としては最も成功をおさめた人物です。当時はハイドンと並ぶ弦楽四重奏曲の代表的な作曲家、またベートーヴェンの主要なライバルと見なされていました。オーボエ四重奏曲第2番 ヘ長調は、オーボエが主役の曲ではありますが、第1ヴァイオリンが出だしからロマンティックな旋律で耳を引きつけ、また華やかなソロを受け持つ部分もあり、彼の弦楽器の扱いに対する造詣の深さを、垣間見ることができます。

 

****

 

 

 P.ヴラニツキー(1756-1808):弦楽三重奏曲 イ短調「ホフマイスター」

 Paul  Wranitzky : String trio No.1 a-moll "Hoffmeister"

        Allegro / Poco Adagio / Allegretto

パウル・ヴラニツキー(ドイツ語読み)はチェコ(モラヴィア)出身でヴィーンで活躍した作曲家で、モーツァルトとも同い年の親友でフリーメイソンのメンバーでした。今日では彼の名を耳にする事は殆どありませんが、作曲技術はモーツァルトや同時代人からも大変評価されていて、オペラや交響曲や室内楽の逸品を沢山書いています。この曲は1788年に書かれた初期の作品で、ホフマイスターという出版社から作品番号の無い作品として出版されましたが、3つのパートが丁度良い難易度で書かれていて、第1楽章の厳粛なユニゾンと優しい調べとの対比、第2楽章の素朴さ、終楽章のヴィオラとチェロで奏される民族調のテーマは彼が生まれたボヘミアを思い起こさせます。

 

 W.A.モーツァルト(偽作?):プレリュードとフーガ 第1 K.404a-1

 Wolfgang Amadeus Mozart (?) : Preludes and Fugues, K.404a

新モーツァルト全集では偽作として分類されているK404aのプレリュードとフーガは、かってはモーツァルトの真作と思われていました。なぜなら1782年にヴィーンに於いてバロック音楽に熱中していた愛好家スヴィーテン男爵と知り合い、そこで男爵が所有していたヘンデルやJ.S.バッハの自筆譜のコレクションに触れたのがきっかけで、バロックの対位法に傾倒する事になります。その時に父宛の手紙の中でバッハのフーガの自分用コレクション(編曲)を作っていると書いてあるため、男爵邸での演奏は弦楽三重奏が基本であったためです。 しかしこの記述とこの曲集との関連は現在では否定されています。この第1番のフーガはJ.S.バッハ「平均律クラヴィーア曲集第1巻第8曲」の編曲、アダージョはフーガに合わせて新しく作られています。  モーツァルトの筆から生み出されたとは証明できないものの、 決してディレッタントによるものではなく、彼に匹敵する才能の持主である事を思わせる、ただならぬ雰囲気がある神秘的な曲です。

 

W.A.モーツァルト(1756-1791):オーボエ四重奏曲 ヘ長調 K.370

    Wolfgang Amadeus Mozart Quartet  K.370/368b

        Allegro / Adagio / RONDEAU (Allegro)

ヴォルフガング・アマデウス・モーツアルトのオーボエ四重奏曲へ長調は、オーボエの曲の中でも最も愛されている名曲といってよいでしょう。この曲は1780年から81年にミュンヘンに滞在したおり、モーツァルト(当時24歳)が友人のオーボエ奏者フリードリヒ・ラムのために作曲しました。81年といえば、かねてから反発していた雇い主のコロレド大司教と決定的に決裂した年です。そのため、気を揉んでいた父レオポルトとも折り合いがますます悪くなります。青年モーツァルトはそれでも「音楽家として一人でやっていける」という自信があり、自立への決断をした、そんな頃の作品です。

 

 

 

 

 

アンコールは「モーツァルトのアレルヤ」でした。ありがとうございました。

 

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