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クラングレーデ コンサートシリーズ Vol.12
ロマン派への架け橋
〜モーツァルトが残した足跡をたどって〜
2013年4月1日(月) 19:00開演 (18:30開場) スタジオSKホール
主催:クラングレーデ
協力:アンサンブル山手バロッコ http://www.geocities.co.jp/yamatebarocco
クラングレーデ(Klangrede)
クラングレーデとは「音の言葉、音による対話」という意味です。
クラングレーデが演奏するのは、三百年から二百年も昔の、はるかに遠いヨーロッパの音楽です。バロック音楽は単なる「ヒーリング音楽」ではありません。その音楽を聴いて呼び起こされるのは、時代や場所に関わらない普遍的な人間のさまざまなアフェクト(情感)です。アフェクトによってそれぞれの「心象風景」を心に描き出すのです。作曲家が作品を書いた当時に使われていた楽器を使って演奏し、お客様と共に同じ情感を味わう、そんな演奏体験を目指して活動しているアンサンブルです。
------ クラングレーデ(音の言葉)
出演
国枝 俊太郎 (フラウト・トラヴェルソ)
東京都出身。リコーダーを安井敬、フラウト・トラヴェルソを中村忠の各氏に師事。1995年開催の第16回全日本リコーダー・コンテスト「一般の部・アンサンブル部門」にて金賞を受賞。これまで東京リコーダー・オーケストラのメンバーとしてNHK教育テレビ「ふえはうたう」などに出演、CD録音にも参加する。
現在はバロック室内楽を中心に、リコーダー・アンサンブルによるルネサンス〜現代までの作品や、ギターとのアンサンブルによる19世紀のサロンピースの演奏、さらには古楽器オーケストラによる数々の演奏会に出演するなど、幅広く活動している。
「クラングレーデ」、ルネサンス・フルート・コンソート「ソフィオ・アルモニコ」メンバー。
石川 和彦 (ヴァイオリン)
大阪音楽大学器楽科卒業後バロック・ヴァイオリンを始め、コレギウム・ムジクム・テレマンの主な公演に出演。2001年に渡仏し、ストラスブール音楽院にてバロック・ヴァイオリンとバロック音楽の研鑽を積む。 フランスで“Le Parlement de Musique”などで活躍、
現在、室内楽やオーケストラでモダン、古楽器とも活発に活動している。ヴァイオリンを曽田義嗣、林泉、佐藤一紀、バロック・ヴァイオリンを中山裕一、フランソワ・フェルナンデス、ステファニー・プィステー、桐山建志各氏に師事。「クラングレーデ」メンバー。
原田 純子(ヴィオラ)
洗足学園音楽大学卒業。
ヴァイオリンを鈴木嵯峨子氏・海野義雄氏に、ヴィオラ・室内楽を岡田伸夫氏に師事。 卒業後古楽器での演奏に興味を持ちバロックヴァイオリン・ヴィオラを渡邊慶子氏に師事する。
また都留・札幌・福岡での古楽祭、フランスでのマスタークラスに参加し研鑽を積む。モダン・バロックのヴァイオリン、ヴィオラ奏者として室内楽を中心に活動している。
「クラングレーデ」、弦楽合奏団アンサンブルデュナミスメンバー。
永瀬 拓輝(チェロ)
桐朋女子高等学校音楽科(男女共学)を経て桐朋学園大学音楽学部卒業。在学中に古
楽に興味をもち、卒業後、東京芸術大学古楽科別科入学。2013年今春、修了。
2012年Stage de Musique Baroque de BARBAST(フランス)に参加。
R. ツィパーリングのレッスン受講。 これまでにチェロを金谷昌治、花崎薫、倉田澄子氏に。バロックチェロを武澤秀平、 Eジラール、酒井淳、鈴木秀美の各氏に師事。「クラングレーデ」メンバー。
クラングレーデ コンサートシリーズ Vol.12
ロマン派への架け橋
〜モーツァルトが残した足跡をたどって〜
2013年4月1日(月) 19:00開演 (18:30開場) スタジオSKホール
プ ロ グ ラ ム
今夜は古楽器アンサンブルとして私達が取り組んで来たバロック音楽から、時代を下った古典派〜初期ロマン派の室内楽を、前半はモーツァルトを中心に、後半は19世紀前半に初期ロマン派として活動したシューベルト、ライヒャを取り上げます。
W.A.モーツァルト:歌劇「魔笛」(J.ヴェント編曲)から アリア「俺は鳥刺し」
Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791) (Arr. Johann Wendt (1745-1801))
:
Aria
”Der Vogelfänger bin
ich ja” from Die Zauberflöte
C.F.アーベル: 弦楽三重奏曲 イ長調 WK95(op.16-4)
Carl
Friedrich Abel (1723-1787) : Trio in A major WK95 (op.16-4) for Violin, Viola and
Cello
Moderato - Adadio ma non troppo - Tempo
di Minuetto
W.A.モーツァルト:フルート四重奏曲 ト長調 K.285a
W.A.
Mozart : Quartet in G major
K.285a for Flute, Violin, Viola and Cello
Andante
- Tempo di Menuetto
W.A.モーツァルト(J.ヴェント編曲):歌劇「フィガロの結婚」より
序曲
W.A. Mozart (Arr. Johann Wendt) : Ouverture from ” Le Nozze di Figaro”
****
F.シューベルト:弦楽三重奏曲 第1番 変ロ長調 D471(未完)
Franz Schubert (1797-1828) : String Trio in B flat major D471
(fragment)
Allegro
A.ライヒャ:フルート四重奏曲 ホ短調 op.98-4
Antonin
Rejcha (1770-1836) : Quartet in e minor op.98-4 for Flute, Violin, Viola and Cello
Allegro
moderato – Larghetto - Minuetto, Allegretto - Finale, Allegro
W.A.モーツァルト(1756〜1791)の代表的な歌劇「魔笛」「フィガロの結婚」の抜粋をフルート四重奏に編曲をしたのはJ.ヴェント(1745〜1801)という、オーボエ奏者です。「売れた」交響曲やオペラを家庭で室内楽の編成で気軽に、というのは当時流行った楽しみ方で、ヴェント以外にも色んな作曲家による編曲が残されています。「魔笛」からは「俺は鳥刺し」、「フィガロの結婚」からは「序曲」、少ない編成で原曲の雰囲気が楽しめますでしょうか。
モーツァルトはフルート四重奏曲を4曲残しています。1777年に職探しにパリに行きますがその途中マンハイムにも立ち寄り、そこで有数の宮廷オーケストラへの就職を試みますが失敗してしまいます。
そこで知り合ったこの楽団の名フルート奏者ヴェンドリングに紹介されたオランダの裕福な商人で音楽愛好家でもあるドゥジャンから「軽い感じのフルート四重奏曲と協奏曲」を注文され作曲した内の2曲目です。フルートと弦楽器が織り物の様にしっとりと音楽が紡がれて行くアンダンテ、ギャラントな中にも素朴で優しい響きのメヌエットになっています。
ちなみにモーツァルトは父宛の手紙でフルートについて「我慢できない楽器」と書いていますが、キーが少なく難しい楽器だったのでしょうか?・・しかし残っている曲は素晴らしい曲ばかりです。
前半後半と殆ど演奏される機会が無い2曲の弦楽三重奏の為の作品を演奏します。3つの楽器を対等に扱うという作曲は難しかったようで、例えばモーツァルトでは弦楽四重奏曲が23曲なのに対して三重奏曲は編曲したものを別にすれば1曲しか残していません。前半はバロック時代最終〜古典派前期に位置するC.F.アーベル(1723〜1787)、後半は歌曲「魔王」「野ばら」で有名な「歌曲の王」F.シューベルト(1797〜1828)。74歳差!の同じ編成の曲ですが趣は全く異なります。アーベルの方は通奏低音が無いながらもどこかバロック時代のトリオ・ソナタを思わせます。モーツァルトはアーベルを非常に尊敬していたようで、1787年のアーベルの死への追悼でしょうか、自身のヴァイオリン・ソナタにアーベルの作品の主題を引用しています。一方シューベルトは19歳の時の作品で、モーツァルトやベートーヴェンといった先達の作品を研究し自分の物にする過程で未完に終わってはいますが、歌謡性に富んだ流れる様な旋律に多彩な転調はその後にショパンやシューマンに繋がって行くものを感じます。
プログラムの最後にお届けするA.ライヒャ(1770〜1836)はチェコ出身の作曲家で、15歳の時にケルン選帝候の宮廷楽団のフルート奏者としてボンに移り住んだ時に、同い年のベートーヴェンと友人になります。その後ウィーンでハイドンやモーツァルトの影響を受け、1817年にパリ音楽院の教授として後進の指導もして行きました。理論家として名高く、弟子にはベルリオーズやリストがいます。1817〜19年頃に書かれたフルート四重奏曲の4曲目のこの曲は、形式こそ、古典派時代の形式を踏襲してはいますが、モーツァルトやハイドンの作品には見られない、深い和声表現や大胆な転調、キーが増えたフルートの可能性を最大限に追求した難易度の高い作品に仕上がっています。ベートーヴェンを思わせる劇的な音楽にご注目ください。
モーツァルトが残した足跡がどう変化して行くか、ピリオド楽器による演奏でお楽しみ下さい。本日はありがとうございました。
(石川和彦)
アンコールはW.A.モーツァルト:歌劇「魔笛」(J.ヴェント編曲)から アリア「復讐の炎は地獄のように我が心に燃え」。ありがとうございました。
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