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クラングレーデ コンサートシリーズ Vol.11
洋館で親しむバロック音楽”シリーズ
新時代の息吹
〜ヨーゼフ・ハイドンと同時代人の作品を集めて〜
2012年12月8日(土)18時開演 横浜市イギリス館
主催:クラングレーデ
協力:アンサンブル山手バロッコ http://www.geocities.co.jp/yamatebarocco
クラングレーデ(Klangrede)
横浜山手の洋館での、古楽器によるひとときにようこそおいでいただきました。
クラングレーデとは「音の言葉、音による対話」という意味です。
クラングレーデが演奏するのは、三百年から二百年も昔の、はるかに遠いヨーロッパの音楽です。バロック音楽は単なる「ヒーリング音楽」ではありません。その音楽を聴いて呼び起こされるのは、時代や場所に関わらない普遍的な人間のさまざまなアフェクト(情感)です。アフェクトによってそれぞれの「心象風景」を心に描き出すのです。作曲家が作品を書いた当時に使われていた楽器を使って演奏し、お客様と共に同じ情感を味わう、そんな演奏体験を目指して活動しているアンサンブルです。
------ クラングレーデ(音の言葉)
出演
国枝 俊太郎 (フラウト・トラヴェルソ)
東京都出身。リコーダーを安井敬、フラウト・トラヴェルソを中村忠の各氏に師事。1995年開催の第16回全日本リコーダー・コンテスト「一般の部・アンサンブル部門」にて金賞を受賞。これまで東京リコーダー・オーケストラのメンバーとしてNHK教育テレビ「ふえはうたう」などに出演、CD録音にも参加する。
現在はバロック室内楽を中心に、リコーダー・アンサンブルによるルネサンス〜現代までの作品や、ギターとのアンサンブルによる19世紀のサロンピースの演奏、さらには古楽器オーケストラによる数々の演奏会に出演するなど、幅広く活動している。
「クラングレーデ」、ルネサンス・フルート・コンソート「ソフィオ・アルモニコ」メンバー。
石川 和彦 (バロック・ヴァイオリン)
大阪音楽大学器楽科卒業後バロック・ヴァイオリンを始め、コレギウム・ムジクム・テレマンの主な公演に出演。2001年に渡仏し、ストラスブール音楽院にてバロック・ヴァイオリンとバロック音楽の研鑽を積む。フランスで“Le Parlement de Musique”などで活躍、
現在、室内楽やオーケストラでモダン、古楽器とも活発に活動している。ヴァイオリンを曽田義嗣、林泉、佐藤一紀、バロック・ヴァイオリンを中山裕一、フランソワ・フェルナンデス、ステファニー・プィステー、桐山建志各氏に師事。「クラングレーデ」メンバー。
小林 奈那子(チェロ)
慶応義塾大学文学部ドイツ文学専攻卒業、東京芸術大学音楽学部大学院古楽器専攻修了。
チェロを鈴木秀美、ケルテース・オットーの各氏に、室内楽を植田克己、河野文昭、カーロイ・ボトヴァイ、ゲーザ・ハルギタイの各氏に師事。
2005年より、ハンガリー国立リスト音楽院に留学。シュレスヴィヒ・ホルシュタイン音楽祭を始めとする各地での演奏会や、オーケストラなどでの演奏活動を経て、2008年に帰国。
現在は都内オーケストラへの客演、スタジオレコーディング、室内楽など、多方面で演奏活動を行っている。
東京ジュニアオーケストラソサエティ(NHK交響楽団第一コンサートマスター篠崎史紀主宰)準講師。音楽制作ユニット「七風-nanagalle-」メンバー。
クラングレーデ コンサートシリーズ Vol.11
洋館で親しむバロック音楽”シリーズ
新時代の息吹
〜ヨーゼフ・ハイドンと同時代人の作品を集めて〜
2012年12月8日(土)18時開演 横浜市イギリス館
プ ロ グ ラ ム
本日演奏する編成は「室内楽」というジャンルに属するものですが、「協奏曲」のような華やかさも「交響曲」のような壮麗さもありません。「室内楽」は各楽器の親密なおしゃべりです。このトリオの夕べに「新時代の息吹」とタイトルをつけましたが、「トリオ・ソナタ」のようなバロック時代の低音が土台に徹して旋律楽器を支える様なものではなく、3つの楽器が平等にお話をするような形式が主流となって行きます。テレマンらバロックの巨匠が老年期を迎え、ハイドンが活躍を始める1750年代後半から「新しい古典派」時代が夜明けを迎えます。今夜はハイドンを中心に同時代の作曲家の作品を演奏します。
K.ヴァイス:ソナタ 第2番ニ長調
Karl Weiss(1738-1795):Sonata U D-major
Allegro
/ Adagio / Menuetto
R.リンドリー:ヴァイオリンとチェロの為の2重奏曲 変ロ長調
Op.2-2よりアレグロ
Robert
Lindley(1776-1855):Allegro from Duett U B♭-major,Op.2-2
F.J.ハイドン: トリオ ト長調 Op.38-2
Franz
Joseph Haydn(1732-1809): Trio G-major,Op.38-2
Allegro
/ Adagio / Allegro
L.A.ルブラン:トリオ ニ長調 Op.2-6
Ludwig
August Lebrun(1752-1790): Trio D-major,Op.2-6
Andante / Tempo
di Minuetto
F.クーラウ: ロンド ホ短調 Op.10-7 (〜「無伴奏フルートの為の変奏曲とソロ」)
Friedrich
Kuhlau(1786-1832): Rondo in E-minor,op.10-7 (〜”Variations et Solos pour la Flute”)
F.J.ハイドン: トリオ イ長調 Op.38-5
Franz
Joseph Haydn: Trio A-major,Op.38-5
Andante con espressione / Adadio
/ Tempo di Minuetto
F.J.ハイドン: トリオ ニ長調 Op.38-1
Franz
Joseph Haydn: Trio D-major, Op.38-1
Adagio
Cantabile / Allegro / Tempo di Menuetto
F.J.ハイドンは円熟期に書かれた交響曲「驚愕」などが有名です。本日の3曲は作曲家として波に乗り始めた1761〜1770年頃、当時仕えていたハンガリーのエステルハージ家のニコラウス伯爵の趣味であったバリトンという楽器の為に作曲した「ディヴェルティメント(喜遊曲)」のいくつかの楽章と、1777年作曲のオペラ「月の世界」の中のアリアを編曲して組み合わせたものを、ハイドンの人気に目を付けたロンドンの出版社が1784年に「6つのディヴェルティメント」として出版したものです。ニ長調Op.38-1はフルートの柔らかな響きが印象に残る、静かさと優雅さを兼ね備えた出だしから軽快なアレグロと典雅なメヌエット。ト長調Op.38-2は軽快な第一楽章からほの暗いト短調のシチリアーノを経てト長調のアレグロに戻りますが、突然ト短調のジプシー風の主題が出て来ます。イ長調Op.38-5は変奏曲になっていて優美で静かなイ長調と陰りのあるイ短調が交互に出てくる明暗に富んだ楽章に続き、厳粛なユニゾンで始まるイ短調のアダージョを経て優美なイ長調のメヌエットで終わります。
同時代人の作品に目を向けると、K.ヴァイスについてはフルート奏者としてロンドンのジョージ3世に雇われたという説があります。このソナタはフルート奏者らしく、無理のない音域で愛好家でも楽しめるように書かれています。チェロパートには通奏低音用の数字が書かれていて、過渡期を思わせます。J.A.ルブランはオーボエの卓越した名手で、オーボエ協奏曲が重要視されますが、バレエ音楽やフルートの曲も書いていて、オーボエでも吹けるよう書かれていますが歌謡性に富んだフルートの特徴を生かしたニ長調特有の華やかさがあります。
ピアノ学習者にはおなじみのF.クーラウは少し後の時代に生き、フルート作品を数多く書いていますが、彼がフルートを吹いた記録も無い為、おそらく名手がいたのでしょう。「ロンドホ短調」を含む「無伴奏フルートのための変奏曲とソロ op.10」は、初期の作品で、当時の流行歌の変奏やロンドが含まれていて、後期の作品ほど難易度が高くない事もあり、楽しんで演奏できる初期ロマン派の薫り高い曲集に仕上がっています。
R.リンドリーはロンドン王立オペラの首席チェリスト兼作曲家として活躍しました。また当時ハイドンのチェロ協奏曲と関わった人物のようです。自身もチェロ協奏曲を書いていますが、このデュエットもチェロパートは非常に難易度が高く聴きごたえがあります。
今夜お聴き頂いたお客様に古典派の新たな息吹を感じて頂ければ幸いです。
(石川和彦)
アンコールはF.J.ハイドン: トリオ ニ長調 Op.100-6からプレストでした。ありがとうございました。
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