これまでの演奏会へ戻る
NEW!!
クラングレーデ コンサートシリーズ Vol.5
バロックアンサンブルの楽しみ
2010年9月17日(金) 午後7時開演
近江楽堂
出演:
クラングレーデ(Klangrede)
クラングレーデとは「音の言葉、音による対話」という意味です。
クラングレーデが演奏するのは、三百年から二百年も昔の、はるかに遠いヨーロッパの音楽です。バロック音楽は単なる「ヒーリング音楽」ではありません。その音楽を聴いて呼び起こされるのは、時代や場所に関わらない普遍的な人間のさまざまなアフェクト(情感)です。アフェクトによってそれぞれの「心象風景」を心に描き出すのです。作曲家が作品を書いた当時に使われていた楽器を使って演奏し、お客様と共に同じ情感を味わう、そんな演奏体験を目指して活動しているアンサンブルです。
------ クラングレーデ(音の言葉)
国枝俊太郎 (リコーダー、フラウト・トラヴェルソ)
東京都出身。リコーダーを安井敬、フラウト・トラヴェルソを中村忠の各氏に師事。1995年開催の第16回全日本リコーダー・コンテスト「一般の部・アンサンブル部門」にて金賞を受賞。これまで東京リコーダー・オーケストラのメンバーとしてNHK教育テレビ「ふえはうたう」などに出演、CD録音にも参加する。現在はバロック室内楽を中心に、リコーダー・アンサンブルによるルネサンス〜現代までの作品や、ギターとのアンサンブルによる19世紀のサロンピースの演奏、さらには古楽器オーケストラによる数々の演奏会に出演するなど、幅広く活動している。
大山 有里子 (バロック・オーボエ)
大阪教育大学音楽科卒業。同大学専攻科修了。オーボエを大嶋弥氏に師事する。卒業後、関西を中心にオーケストラやアンサンブルで、またソロ奏者として活動する。大阪コレギウム・ムジクムのソロオーボエ奏者として、バロック時代の作品を中心として数多くの月例演奏会、定期演奏会等に出演する。そのかたわらピリオド楽器によるバロック音楽の演奏に興味を持ち、バロック・オーボエを始める。これまでに各地でオリジナル楽器によるオーケストラやアンサンブルに参加している。「アルモニー・アンティーク」メンバー。横浜音楽文化協会会員。
石川和彦 (ヴァイオリン)
大阪音楽大学器楽科卒業後バロック・ヴァイオリンを始め、コレギウム・ムジクム・テレマンの主な公演に出演。2001年に渡仏し、ストラスブール音楽院にてバロック・ヴァイオリンとバロック音楽の研鑽を積む。フランスで“Le Parlement de Musique”などで活躍、現在、室内楽やオーケストラでモダン、古楽器とも活発に活動している。ヴァイオリンを曽田義嗣、林泉、佐藤一紀、バロック・ヴァイオリンを中山裕一、フランソワ・フェルナンデス、ステファニー・ブイステー、桐山建志各氏に師事。オーケストラ・オン・ピリオド・トウキョウ
ゲストコンサートマスター。
西谷尚己 (ヴィオラ・ダ・ガンバ) 賛助出演
桐朋学園大学古楽器科、同大学研究科を経て、デン・ハーグ王立音楽院をソリスト・ディプロマを得て卒業。ヴィオラ・ダ・ガンバをヴィーラント・クイケンに、アンサンブルをクイケン兄弟などの各氏に師事。ネーデルランド・ダンスシアターのプロジェクト、ユトレヒト古楽フェスティバルに出演するなど、オランダを中心にソロやアンサンブル活動を繰り広げ、2000年に帰国後もヨーロッパと日本での演奏活動を積極的に行なっている。
酒井絵美子(チェンバロ)
洗足学園高等学校音楽科を経て、同音楽大学ピアノ科卒業。ピアノを池谷淳子、冨岡英子の両氏に師事。在学中チェンバロに出会い、岡田龍之介、家喜美子の両氏に師事。故 小島芳子、A.プリャエフ、N.パール、M.メイヤーソン、E.バイアーノ、K.ハウグサンの各氏のレッスンを受ける。また、フォルテピアノの伊藤深雪氏のレッスンを受講。CD「篠原理華 リコーダー&ミュゼット」に参加。2009年横浜イギリス館で、2010年山手234番館でソロ・リサイタルを開催。現在、チェンバロ及び通奏低音奏者として、日本各地で演奏、講習会のアシスタントを務める傍ら、ピアノ奏者として様々なアンサンブルに参加するなど、意欲的に音楽活動を行なっている。
クラングレーデ コンサートシリーズ Vol.5
バロックアンサンブルの楽しみ
プ ロ グ ラ ム
今晩は私どもクラングレーデの第5回演奏会にお越しくださいまして、ありがとうございます。これまでは一人の作曲家に焦点を当てた企画が多かったのですが、今回はフランスとドイツの作曲家の作品を集めてプログラムを組んでみました。
F. クープラン (1668 - 1733)
François Couperin
王宮のコンセール
第1番 ト長調
Premier Concert ( Les Concerts Royaux ) Sol Majeur
Prélude / Allemande / Sarabande / Gavotte / Gigue
/ Menuet en Trio
F. クープランは1693年にヴェルサイユ宮殿礼拝堂のオルガニストに就任したのをきっかけに、その後ルイ14世の御前演奏のためにたくさんの作品を作りました。鍵盤曲はもちろん、声楽曲や室内楽曲も多数残しました。
「王宮のコンセール」は1722年に出版された曲集ですが、旋律パートに明確な楽器指定がないため、今回は楽章によって様々な楽器編成で演奏いたします。
J-B. スナイエ (1687 - 1730)
Jean-Baptiste Senaillé
ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ
第1番 ニ短調 (ソナタ集第1巻より)
Sonate no 1 re mineur (Livre
1)
Adagio / Allegro /
Allemanda (Allegro) / Giga (Allegro)
J-B. スナイエはボローニャでヴィターリに学んで、イタリアの作風を積極的に取り入れて、後のルクレールの先駆けになるような独創的な曲を残しました。「ヴァイオリン・ソナタ第1番 ニ短調」は1710年に出版されたソナタ集に収められています。
F.クープラン
François Couperin
「クラヴサン奏法」より プレリュード 第5番 イ長調
5e Prélude de 《L'Art de Toucher le Clavecin》La Majeur
「クラヴサン奏法」は1717年に出版されたもので、8曲のプレリュードの他、演奏する姿勢や準備練習、装飾の例や鍵盤演奏の心構えまで事細かに記されています。
J. B. de. ボワモルティエ (1689 - 1755)
Joseph Bodin de Boismortier
ソナタ イ短調
Sonata Y la mineur op.34-6
Adagio / Allegro /
Largo / Allegro
J. B. de. ボワモルティエはパリで活躍した作曲家で、多くの芸術家がパトロンの援護に頼っていた時代に、彼はそうした庇護者の力なしに生活できた珍しい存在でした。
残された作品を見ると、そのどれもが彼の人気の高さを伺わせる親しみ易さを備えています。
「4声のソナタ集 op.34」は1731年に出版された曲集で、旋律楽器の編成については「3つのフラウト・トラヴェルソ、ヴァイオリン、または他の楽器のための/1stパートはリコーダーでも演奏できる」と書かれています。
*** 休憩 ***
J. F. ファッシュ (1688 - 1758)
Johann Friedrich Fasch
ソナタ変ロ長調
Sonata B-Dur FWV N:B1
Largo / Allegro /
Grave / Allegro
J. Fr. ファッシュはライプツィヒでクーナウに作曲を学んで、その後はバイロイトの宮廷楽団のヴァイオリニストを経て、ツェルブストの宮廷学長として亡くなるまで過ごしました。
彼の作品は全て写本として残っていますが、「ソナタ 変ロ長調」はダルムシュタットの図書館にパート譜の形で保管されています。
J. S. ヴァイス (1690頃 -
1737)
Johann Sigismund Weiß
オーボエと通奏低音のためのソナタ
ト短調
Sonata g-moll
Adagio / Rondeau / Sarabande
/ Gigue
J. S. ヴァイスは18世紀初頭のドイツで最も高名なリュート奏者であるS.L.ヴァイスの弟で、一時期まで父や兄と共にデュッセルドルフで暮らしていたようです。
彼についてはほとんど知られていませんが、今回の「オーボエ・ソナタ ト短調」はブリュッセル音楽院図書館に保管されている54曲のソロ・ソナタを含む写本の中に収められています。
G. P. テレマン (1681 - 1767)
Georg Philipp Telemann
協奏曲 第1番 ト長調(「クァドリ」より)
Grave - Allegro - Grave - Allegro / Largo / Presto / Largo /
Allegro
G. Ph. テレマンは18世紀を通じてヨーロッパ全土で最も人気のあった作曲家の一人で、あまりの作品の数の多さで、未だにその全貌が明らかになっていないほどの多作家でした。
「クァドリ」は最初1730年にハンブルグで出版されましたが、1737年のパリ旅行の際に再版されました。
この中には協奏曲・ソナタ・組曲がそれぞれ2曲ずつ収められていますが、ト長調の協奏曲はその冒頭に置かれています。
G. P. テレマン (1681 - 1767)
Georg Philipp Telemann
協奏曲
イ短調
Concerto
(Quartett) a-moll TWV 43: a3
Adagio / Allegro /
Adagio / Vivace
「協奏曲 イ短調」は彼の若い時期の作品で、ダルムシュタットの図書館にパート譜の形で残されています。
今晩のステージの中から、「当時の人々は初演の曲を熱狂的に楽しんでいたのだろうなぁ」というテイストを少しでも感じていただけたら幸いに思います。
どうぞ、最後までお楽しみください。
(国枝俊太郎)
アンコールはボワモルティエのコンチェルト
ハ長調(作品28より) 第1楽章アレグロでした。ありがとうございました。
これまでの演奏会へ戻る