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クラングレーデ コンサートシリーズ Vol.4
洋館で親しむバロックシリーズ 第7回
洋館で親しむ ヘンデルの室内楽
2009年10月17日(土) 午後6時開演
山手234番館 レクチャールーム
主催:(財)横浜市緑の協会 ホームページ http://www.hama-midorinokyokai.or.jp
協力:アンサンブル山手バロッコ:ホームページ http://www.geocities.co.jp/yamatebarocco
出演:
クラングレーデ(Klangrede)
私たちが演奏するのは、三百年から二百年も昔の、しかもほとんどの日本人にとっては、はるかに遠いヨーロッパの音楽です。しかし、バロック音楽は単なる「ヒーリング音楽」ではありません。その音楽を聴いて呼び起こされるのは、時代や場所に関わらない普遍的な人間のさまざまなアフェクト(情感)です。そして、聴き手はそのアフェクトによってそれぞれの「心象風景」を心に描き出すのです。
作曲家が作品を書いた当時に使われていた楽器(複製)を使って演奏し、お客様と共に同じ情感を味わう、私たちはそんな演奏体験を目指しています。
------ クラングレーデ(音の言葉)
国枝俊太郎 (リコーダー、フラウト・トラヴェルソ)
東京都出身。リコーダーを安井敬、フラウト・トラヴェルソを中村忠の各氏に師事。1995年開催の第16回全日本リコーダー・コンテスト「一般の部・アンサンブル部門」にて金賞を受賞。これまで東京リコーダー・オーケストラのメンバーとしてNHK教育テレビ「ふえはうたう」「トゥトゥアンサンブル」に出演、またCD録音にも参加する。ムシカ・フラウタのメンバーとしても、NHK-FM「名曲リサイタル」にも出演する。現在はバロック室内楽を中心に、リコーダー・アンサンブルによるルネサンス〜現代までの作品や、ギターとのアンサンブルによる19世紀のサロンピースの演奏、さらには古楽器オーケストラによる数々の演奏会に出演するなど、幅広く活動している。
大山 有里子 (バロック・オーボエ)
大阪教育大学音楽科卒業。同大学専攻科修了。モダン・オーボエを大嶋弥氏に師事する。卒業後、関西を中心にオーケストラやアンサンブルで、またソロ奏者として活動する。1982年より1993年まで、大阪コレギウム・ムジクムのソロオーボエ奏者として、バロック時代の作品を中心として数多くの月例演奏会、定期演奏会等に出演する。そのかたわらピリオド楽器によるバロック音楽の演奏に興味を持ち、
バロック・オーボエを始める。これまでに各地でオリジナル楽器によるオーケストラやアンサンブルに参加している。「アルモニー・アンティーク」メンバー。横浜音楽文化協会会員。
石川和彦 (ヴァイオリン)
大阪音楽大学器楽科卒業後バロック・ヴァイオリンを始め、コレギウム・ムジクム・テレマンの主な公演に出演。2001年に渡仏し、ストラスブール音楽院にてバロック・ヴァイオリンとバロック音楽の研鑽を積む。フランスで“Le Parlement de Musique”などで 活躍、2005年にディプロマを得て帰国。現在、東京を拠点に室内楽やオーケストラでモダン、古楽器とも活発に活動している。2007年、リサイタル開催、ヴァイオリンを曽田義嗣、林泉、佐藤一紀、バロック・ヴァイオリンを中山裕一、フランソワ・フェルナンデス、ステファニー・ブイステー、桐山建志の各氏に師事。モーツァルト・アカデミー・トウキョウ(MAT)のメンバー。オーケストラ・オン・ピリオド・トウキョウ ゲストコンサートマスター。
西谷尚己 (ヴィオラ・ダ・ガンバ) 賛助出演
桐朋学園大学古楽器科、同大学研究科を経て、デン・ハーグ王立音楽院をソリスト・ディプロマを得て卒業。ヴィオラ・ダ・ガンバをヴィーラント・クイケンに、アンサンブルをクイケン兄弟などの各氏に師事。ネーデルランド・ダンスシアターのプロジェクト、ユトレヒト古楽フェスティバルに出演するなど、オランダを中心にソロやアンサンブル活動を繰り広げ、2000年に帰国後もヨーロッパと日本での演奏活動を積極的に行なっている。
酒井絵美子(チェンバロ)
洗足学園高等学校音楽科を経て、同音楽大学ピアノ科卒業。ピアノを池谷淳子、冨岡英子の両氏に師事。在学中チェンバロに出会い、岡田龍之介、家喜美子の両氏に師事。故
小島芳子、A.プリャエフ、N.パール、M.メイヤーソン、E.バイアーノ、K.ハウグサンの各氏のレッスンを受ける。また、フォルテピアノの伊藤深雪氏のレッスンを受講。CD「篠原理華 リコーダー&ミュゼット」に参加。現在、チェンバロ及び通奏低音奏者として、日本各地で演奏、講習会のアシスタントを務める傍ら、ピアノ奏者として様々なアンサンブルに参加するなど、意欲的に音楽活動を行なっている。
クラングレーデ コンサートシリーズ Vol.4
洋館で親しむ ヘンデルの室内楽
プ ロ グ ラ ム
G.F.ヘンデル(1685〜1759)
Georg Friedrich Händel
今年2009年はヘンデルの没後250年という記念すべき年で、日本に限らず世界中で様々なイヴェントが開催されています。その中には、今まであまり取り上げられる機会のなかったオペラやオラトリオなどの声楽作品も含まれています。
さて、日本ではヘンデルを「音楽の母(ヘンデルは男性ですが)」という不思議な呼び名で呼んでいます。音楽の授業ではバッハ(彼は「音楽の父」という呼び名です)やヴィヴァルディと並んで登場しますが、取り上げられる曲といえば「メサイア」のハレルヤ・コーラスくらいしか思い浮かびません。もちろん、これしか名曲がないわけではないのですが・・・
我々が演奏する楽器は、バロック時代に一般的に使われていたタイプの物(またはそのコピー)です。最近ではこのような楽器を使った演奏が多く行われるようになりましたが、我々「クラングレーデ」はこれらの楽器を通じて「当時の再現をする」のではなく(そんな事は出来るわけもありませんし)、「今生きる私たちの目を通して当時を想像する」事からどんなに小さくても何かを発見して、それを皆様と共有できればと思っています。
ソナタ
ト短調 HWV404
Sonata for oboe, 2 Violins and Basso continuo
in g minor HWV404
Andante / Allegro / Adagio / Allegro
そろそろ、今日の主役であるヘンデルの作品に眼を移していきましょう。最初に取り上げるソナタ ト短調は彼の最初期の作品の一つで、第一楽章は「アポロとダフネ」に含まれるアリア(終曲)と同じメロディーが使われています。おそらく20代前半頃の作品ではないかと思われますが、はっきりした作曲年代はわかりません。
ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ
ニ長調 HWV371(作品1-13)
Sonata for Violin and Basso
continuo in D major HWV371 op.1-13
Affetuoso / Allegro /
Larghetto / Allegro
次のヴァイオリンと通奏低音のためのソナタは彼の晩年である1750年頃の作品で、内容の充実振りは目を見張るものがあります。第三楽章以外は既に若い時期に発表した作品の主題からの転用ですが、それでも過去に使った「お気に入りのメロディー」をさらに練りこんで作り上げた曲は聴き所満載です!
オーボエ、ヴァイオリンと通奏低音のためのトリオ・ソナタ
ニ短調 HWV381
Trio Sonata for Oboe, Violin
and Basso continuo in d minor HWV381
Adagio / Allegro / Affetuoso
/ Allegro
前半最後のオーボエ、ヴァイオリンと通奏低音のためのトリオ・ソナタは、ヘンデル旧全集によると「ヘンデルが11歳の作品(!)」とされていますが、最近は偽作説が強くなっているようです。ただ、誰の作品であったとしても内容の素晴らしさに対する評価は何ら変わることはありませんし、今回は敢えて取り上げる事にいたしました。
*** 休憩 ***
クラヴィーア組曲
第7番 ト短調 HWV432
Klaviersuite No.7 in g minor HWV432
Ouverture / Andante / Gigue /
Passacaille
リコーダー,ヴァイオリンと通奏低音のためのトリオ・ソナタ
ヘ長調 HWV389 Op. 2-4
Trio Sonata for Recorder,
Violin and Basso continuo in F major HWV389 Op. 2-4
Largetto / Allegro / Adagio
/ Allegro / Allegro
後半最初のクラヴィーア組曲第7番は1720年に出版された「クラヴサン曲集(第1集)として出版された物の中に収められていますが、今日はその中から抜粋して序曲・アンダンテ・ジーグ・パッサカイユを取り上げます。
合奏協奏曲
変ロ長調 HWV312(作品3-1)
Concerto Grosso in B flat major HWV312 op.3-1
(Allegro) / (
リコーダー,ヴァイオリンと通奏低音のためのトリオ・ソナタが含まれている作品2は1730年頃に出版されましたが、この曲には他にもいくつかの筆者譜も残されています。なお、この曲の初版譜の第1ヴァイオリン・パートには「Traversa(トラヴェルソ)」と表記されていますが、今日はそのパートをリコーダーで演奏いたします。
今日最後に取り上げる合奏協奏曲
変ロ長調が含まれる作品3は1734年に出版されましたが、もともと弦楽合奏、オーボエ、ファゴット各2本(第2楽章にはリコーダーが2本加えられています)と通奏低音の編成で書かれています。今日はこれを我々オリジナルのアレンジ版を使って演奏いたします。
ヘンデル・イヤーにちなんだ企画ではありますが、我々メンバーのお気に入りを集めてプログラムを組んでみました。雰囲気たっぷりの貴族の館にサロンコンサートを聴きに来た気分で、どうぞ最後までお楽しみください。
(国枝俊太郎)
アンコールはヘンデルの「水上の音楽」より、アリアでした。ありがとうございました。
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