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クラングレーデ コンサートシリーズ Vol.3

テレマン 〜18世紀自由人の花開く才能〜

2009918 () 午後7時開演(630分開場)

場所: 近江楽堂(東京オペラシティ3F

主催:クラングレーデ

協力:アンサンブル山手バロッコ

出演:

クラングレーデ(Klangrede)

私たちが演奏するバロック音楽は、今から二百年以上も昔の、はるかに遠いヨーロッパの音楽です。それは単なる「ヒーリング音楽」ではありません。人間のさまざまなアフェクト(情感)を呼び起こすものとして作られた音楽です。楽士たちは物語るように雄弁に音楽を奏で、聴く人の心にさまざまな「心象風景」を描き出そうとしました。

お客様と共に時代や場所を超えた普遍的な情感を味わう、私たちはそんな演奏体験を目指しています。  ------ クラングレーデ(音の言葉)

 

国枝俊太郎 (リコーダー、フラウト・トラヴェルソ)

大山 有里子 (バロック・オーボエ)

石川和彦 (ヴァイオリン)

西谷尚己 (ヴィオラ・ダ・ガンバ)  賛助出演

酒井絵美子(チェンバロ)


 

クラングレーデ コンサートシリーズ Vol.3

テレマン 〜18世紀自由人の花開く才能〜 

 

 

 

プ ロ グ ラ ム

 

リコーダー、オーボエ、ヴァイオリンと通奏低音のための四重奏曲 ト長調

Quartett (Concerto) G-dur für Brockflöte, Oboe, Violine, und Basso continuo

 

Allegro / Grave / Allegro

 

リコーダー、ヴァイオリンと通奏低音のためのトリオ・ソナタ ニ短調

Sonata a 3 d-moll für Blockflöte,Violine und Basso continuo

 

Allegro/Adagio/Allegro/Presto

 

リコーダーと通奏低音のためのソナティーナ イ短調(「新しいソナティーナ集」より)

Sonatina a-moll für Blockflöte und Basso continuo [Neuen Sonatinen]

 

Andante / Allegro / Andante / Presto

 

オーボエ、ヴァイオリンと通奏低音のためのトリオ・ソナタ 変ロ長調  (6つのトリオ集」より)

Trio B-dur für Oboe, Violine und Basso continuo [6 Trio] TWV 42: B1

 

Vivace / Siciliana / Allegro

 

     休憩

 

フルート、ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音のためのソナタ第2番 ト短調(「クァドリ」より)

Sonata Seconda g-moll für Querflöte, Violine, Viola da gamba und Basso continuo [Quadri]

 

Andante / Allegro / Largo / Allegro

 

ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ イ長調  

(「食卓の音楽」第2集より)

Sonata (Solo) A-dur für Violine und Basso continuo ["Musique de Table"U]

 

Andante / Vivace / Cantabile / Allegro-Adagio-Allegro-Adagio

 

 

フルート、オーボエ、ヴァイオリンと通奏低音のための四重奏曲 ト長調 (「食卓の音楽」第1集より)

Quaetett (Quatuor) G-dur für Querflöte, Oboe, Violine, und Basso continuo [ "Musique de Table" I ] TWV 43: G2

 

Largo - Allegro - Largo / Vivace - Moderato - Vivace / Grave / Vivace

 

 

 

 

 

♪♪♪ プログラム・ノート ♪♪♪

 

 私ども「クラングレーデ」は昨年9月にオール・ヴィヴァルディ・プログラムの演奏会を開催して以来、これまでいくつかのコンサートを行なってきました。その中で感じた事の中に、「やっぱりテレマンの存在は偉大だなぁ」とメンバーの意見が一致した事があります。

 例えば日本の音楽教育を考えてみると、「バッハ」「ヘンデル」「ヴィヴァルディ」の三人の作品がバロック音楽の代表として取り上げられています。しかも、バッハは「音楽の父」、ヘンデルなどは「音楽の母(ヘンデルは男性ですが)」と呼ばれてしまう始末です。この教育現場の現状を考えた時、「テレマン」の名前が置き去りにされるのは仕方がないのかもしれません。

 では、実際に彼らが生きていた時代に目を移してみると、今の評価とは全く違う事に驚かされます。18世紀初頭に生きた多くの音楽家の中で、テレマンの存在は一目置かれていたようです。この時代の音楽家の多くはパトロンの支えがあって生活が成り立つ状況でしたが、テレマンの場合は自分自身の力で生き抜いていた「自立した音楽家」でした。楽器と名のつく物はほとんど演奏して、楽譜も自分で銅版に彫り込んで印刷し、海外の人々向けに予約販売までしていました。また、町の一音楽家として過ごす人がほとんどだった時代に、彼は興味のある地域に自ら赴いて、その土地の人との交流を積極的に持っていました。

 そんなわけで、今回はテレマンへの敬意を表する意味もこめて、彼の代表的な曲集に含まれた曲を中心に、オール・テレマン・プログラムを組んでみました。魅力溢れる18世紀自由人テレマン」の世界をご堪能いただけるような選曲をいたしましたので、ここで作品についても簡単に触れさせていただきます(順不同)

6つのトリオ」は彼がフランクフルトで活動していた1718年に出版された初期の代表作で、今回の変ロ長調のトリオはこの曲集の冒頭に置かれています。

「新しいソナティーナ集」1730-31年頃に出版された曲集で、長い間旋律楽器のパートしか存在が知られていませんでした。しかし、1980年代になってやっとバスのパート譜が発見されて完全な形で復元されました。今回のイ短調のソナティーナはこの中の5番目の作品です。

「クヮドリ」1730年にハンブルクで出版されましたが、この曲集がきっかけになって1737年に念願のパリ旅行が実現しました。この時にパリの一流の音楽家と交流を持てた事は、彼にとって非常に実りある時間だった事でしょう。協奏曲・ソナタ・組曲がそれぞれ2曲ずつ含まれていますが、今回は第2番のソナタを取り上げます。

「食卓の音楽」はテレマンを語る上で最も重要な曲集で、規模としても第3集まである膨大な物でした。今回はこの曲集の第2集からイ長調のヴァイオリン・ソナタ、第1集からト長調の四重奏曲を取り上げます。

残りの2(冒頭のト長調の四重奏曲と次のニ短調のトリオ・ソナタ)は、どちらもまとまった形の曲集には含まれていませんが、しっかりと筆写譜の形で残されています。

どの作品も音楽をする楽しみに満ち溢れていて、楽器が喜んでいる雰囲気を感じ取っていただけるのではないかと思っております。今晩をきっかけに、少しでもこの偉大なる「自由人」に興味を持っていただければ幸いです。

(国枝俊太郎)

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