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J. D. ハイニヒェンの音楽
洋館で親しむバロックシリーズ 第142回
2024年5月5日 (日) 13:30 / 18:00 開演 横浜市イギリス館
主催:クラングレーデ
コンサート事務局、協力:アンサンブル山手バロッコ、後援:日本チェンバロ協会
出演
大山有里子(バロック・オーボエ)
大阪教育大学音楽科卒業。同大学専攻科修了。オーボエを大嶋彌氏に師事する。卒業後、関西を中心に活動する。その後ピリオド楽器(バロック・オーボエ)による演奏に専念する。近年はバロック音楽だけでなく古典期のオーボエ曲のピリオド楽器による演奏にも取り組んでおり、関東を中心に活発に活動している。3回に渡りリサイタル「バロック・オーボエの音楽」を開催し好評を博す。「古楽団あおば」メンバー。。
今西香菜子(バロック・オーボエ)
13歳よりオーボエを始め、これまでにモダン・オーボエを東野正子、故本間正史、故柴山洋に、バロック・オーボエを故本間正史に師事。桐朋学園大学及び同研究科終了。若尾圭介、ジョナサン・ケリー、リチャード・ウッドハムス等のマスタークラスを受講。現在エンゼルミュージック(小田急相模原)、フォレストミュージック(学芸大学)各講師。また、自宅レッスン、出張レッスン、リード販売、エキストラ出演などの活動を行う。
永谷陽子(バロック・ファゴット)
桐朋学園大学卒業、同大学研究科及びオーケストラアカデミー修了。バロック・ファゴットを堂阪清高氏に師事。第26回国際古楽コンクール(山梨)にて奨励賞。古楽、モダン両分野でオー ケストラや室内楽、CD録音に参加。NHK Eテレ「ららら♪クラシック」ファゴット特集に出演。YouTubeチャンネル「烏山バロック倶楽部」好評中。
加藤久志(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
洗足学園音楽大学卒業、同大学大学院修士課程を修了。ヴィオラ・ダ・ガンバを福澤宏、武澤秀平、小池香織の各氏に師事。2015年ニース夏期国際音楽アカデミーにてマリアンヌ・ミュラー氏のマスタークラスを受講しディプロマを取得。同年、中野哲也氏のレッスンを受講し、感銘を受ける。古楽を中心に様々な活動を行っている。「古楽団あおば」メンバー。
寺村朋子(チェンバロ)
東京藝術大学チェンバロ科卒業。同大学大学院修士課程修了。山田貢、鈴木雅明の両氏に師事。第7回国際古楽コンクール<山梨>チェンバロ部門にて第2位入賞。「フルート・バロックソナタ」「J.S.バッハ作品集」(増刷)を編曲、出版。ソロCD「お気に召すまま Capriccio」(レコード芸術準推薦)リリース。宮地楽器チェンバロ科講師。日本チェンバロ協会会員。(一財)チェンバロ振興財団クープラン理事。現在YouTube チャンネル「Cembaloチェンバロう!」を開設し演奏動画を配信中。
ダブルリーズ 西洋館コンサート Vol.13
J. D. ハイニヒェンの音楽
洋館で親しむバロックシリーズ 第142回
ご挨拶
本日は、ダブルリーズ西洋館コンサート Vol.13 にご来場いただきありがとうございます。今回はヴィオラ・ダ・ガンバ奏者の加藤久志氏をお迎えして、ドイツ後期バロック音楽の作曲家、J. D. ハイニヒェンの音楽をお送りします。
作曲者について
ヨーハン・ダーフィト・ハイニヒェン (1683-1729) は、ドイツのヴァイセンフェルス近くのクレッスルンという小さな村で、牧師の父親のもとに生まれました。ヨーハンも、自身の父と同じくライプツィヒのトーマス学校に通い、音楽をヨーハン・シェレに、チェンバロをヨーハン・クーナウに学びました。彼は学生時代から音楽に強い興味を持ち、ナウムブルクやライプツィヒでオペラを作曲し、ヴァイセンフェルスで弁護士として短期間働いていた間も、特に熟練した対位法奏者であり、当時最も有能な音楽理論家の一人とみなされていました。1711年に通奏低音に関する論文を刊行。ヘンデルと同様、奨学金を得てイタリアへ留学しました。そこではカンタータとセレナーデの作曲家として特に名声を博しました。その後、アルンハルト=ケーテン侯レオポルトの宮廷においてJ. S. バッハの同僚となり、その後ザクセン選帝侯フリードリヒ・アウグスト1世に雇われて宮廷楽長となりました。宮廷音楽監督として、ハイニヒェンは生涯の終わりまで広範な作曲活動を展開し、考えられるあらゆる場面でオペラ、教会、室内楽に求められる音楽を書きました。
ハイニヒェンは、生前には大変活躍したにもかかわらず、バッハやヘンデルとは違い、一度はほぼ忘れられた作曲家でした。近年ピリオド楽器の復興と時を同じくしてその名声が再浮上し、録音されるようになりました。しかしまだコンサートで取り上げられることは多くありません。本日は、様々な楽器の組み合わせで、宮廷で様々な機会に貴族たちが楽しんだと思われる室内アンサンブル曲を演奏します。お楽しみいただけましたら幸いです。 (大山有里子)
ハイニヒェン著「新しい通奏低音奏法
(1711年)」について
ハイニヒェン著「新しい通奏低音奏法 (1711年)」の序文に「いったい誰によって全ての連続5度とオクターブの連続が絶対にそしてひとつの例外もなく禁止されるという厳格な規則が作られたのか.....それが何の役に立つのか」と読者に問う場面があります。
思えばオーケストラのチェロとコントラバスは、連続オクターブで響くことが多いですが、これは禁則と解釈されていません。「すなわち規則は、それが存在する根拠を失えば、その効力を失うものである」と続き、通奏低音を弾く上で、やはり守られるべきものとして連続5度と連続オクターブは避けるように記述しています。
このように当たり前と思われる慣習に流されず常に新しい目で色々な角度から音楽を眺め精査し活動していたハイニヒェン。彼の作品について皆様がどのような印象を持たれるのか興味深いところです。(寺村朋子)
プログラム
ヨーハン・ダーフィト・ハイニヒェン
Johann David Heinichen(1683 – 1729)
トリオ・ソナタ 変ロ長調(2本のオーボエと通奏低音)
Sonata a trio
Andante / Allegro / Larghetto / Vivace
オーボエと通奏低音のためのソナタ ト短調 H III, 5
Sonata [XXXiii]
Largo / Allegro / Lamentabile et appoggiato / Allegro
4声のコンチェルト ト長調(オーボエ、ファゴット、ヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音)
Concerto
Andante / Vivace / Adagio / Allegro
トリオ・ソナタ ハ短調 H
III, 16(オーボエ、ヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音)
Sonata a 3 Voc.
Affetuoso / Allegro /Adagio / Vivace
ファゴットと通奏低音のためのソナタ ニ長調
Sonata
Andante / Vivace / Adagio / Allegro
4声のソナタ 変ロ長調 H III, 20a, b(2本のオーボエ、ファゴットと通奏低音)
Sonata à 3
Affectuoso / Allegro / [Aria] / Allegro
アンコールは、たくさんの拍手をいただきましたので、ハイニヒェン/序曲(組曲)ト長調よりエアをお届けいたしました。
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