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狩のホルンとともに
洋館で親しむバロックシリーズ 第117回
2022年5月29日(日)13:00 / 17:00 開演 横浜市イギリス館
主催:クラングレーデ
コンサート事務局
後援:日本チェンバロ協会 協力:アンサンブル山手バロッコ
出演
大山有里子(バロック・オーボエ)
大阪教育大学音楽科卒業。同大学専攻科修了。オーボエを大嶋彌氏に師事する。卒業後、関西を中心に活動し、「大阪コレギウム・ムジクム」のソロオーボエ奏者として、バロック時代の作品を中心に数多くの月例演奏会、定期演奏会等に出演する。その後ピリオド楽器(バロック・オーボエ)による演奏に専念し、バロック・アンサンブル「アルモニー・アンティーク」等に参加。近年はバロック時代だけでなく古典期のオーボエ曲のピリオド楽器による演奏にも取り組んでおり、関東を中心に活発に活動している。2016~19年、リサイタル「バロック・オーボエの音楽」開催。
今西香菜子(バロック・オーボエ)
3歳よりオーボエを始め、これまでにモダン・オーボエを東野正子、故本間正史、故柴山洋に、バロック・オーボエを故本間正史に師事。桐朋学園大学及び同研究科終了。若尾圭介、ジョナサン・ケリー、リチャード・ウッドハムス等のマスタークラスを受講。現在エンゼルミュージック(小田急相模原)、フォレストミュージック(学芸大学)各講師。また、自宅レッスン、出張レッスン、リード販売、エキストラ出演などの活動を行う。。
永谷陽子(バロック・ファゴット)
桐朋学園大学卒業、同大学研究科及びオーケストラアカデミー修了。バロック・ファゴットを堂阪清高氏に師事。2012年横浜・西洋館de古楽で、モーツァルト作曲ファゴット協奏曲を熱演し、今年の秋10月1日神奈川県民小ホールでも再び協奏曲を演奏予定。第26回国際古楽コンクール(山梨)にて奨励賞。古楽、モダン両分野でオー ケストラや室内楽、CD録音に参加。NHK Eテレ「ららら♪クラシック」ファゴット特集に出演。八王子音楽院、ドルミール音楽教室講師、YouTubeチャンネル「烏山バロック倶楽部」好評中。
慶野未来(バロック・ホルン)
東京藝術大学附属高校を経て東京藝術大学器楽科卒業。オーケストラ、室内楽の他、バロック・ホルン、クラシカル・ホルンの奏者として古楽の世界でも活動。現在神奈川県立相模原弥栄高校音楽科非常勤講師。跡見女子大学ウインドオーケストラ部指揮者。
飯島さゆり(バロック・ホルン)
東京芸術大学、フランクフルト音楽大学を卒業、ブリュッセル音楽院を修了。在独中、トリア市、及びドルトムント市立歌劇場オーケストラの契約団員を務める。ホルンを堀内晴文、故田中正大、守山光三、故千葉馨、マリー・ルイゼ・ノイネッカー、ヨアヒム・ペルテル、故アンドレ・ファン・ドリーシェの各氏に、ナチュラルホルンをクロード・モーリー氏に、コナブルのボディ・マッピングを長井芽乃氏に師事。埼玉県立大宮光陵高校音楽科ホルン専攻非常勤講師、千葉県立幕張総合高校音楽コース金管楽器非常勤講師。
寺村朋子(チェンバロ)
東京芸術大学チェンバロ科卒業。同大学大学院修士課程修了。チェンバロと通奏低音を山田貢、鈴木雅明の両氏に師事。第7回国際古楽コンクール<山梨>チェンバロ部門にて第2位入賞。シエナ、ウルビーノ、インスブルック、アントワープなど国内外の講習会を受講し研鑽を積む。NHK「FMリサイタル」に出演。マスタークラスの伴奏やバロックダンスとのアンサンブルなど、様々な団体の通奏低音奏者、またはソリストとして活動。トリム楽譜出版より「フルート・バロックソナタ集」、「J.S.バッハ作品集」(増刷)を編曲、出版。ソロCD「お気に召すままCapriccio」(レコード芸術準推薦)リリース。小金井アネックス(宮地楽器)チェンバロ科講師。日本チェンバロ協会会員。現在YouTubeチャンネル「Cembaloチェンバロう!」を開設し演奏動画を配信中。
ダブルリーズ 西洋館コンサート Vol.11
狩のホルンとともに
洋館で親しむバロックシリーズ 第117回
プログラム(解説:ダブルリーズ)
本日はダブルリーズ西洋館コンサートVol.11 にご来場いただきありがとうございます。今回はバロック・ホルンのお二人をお迎えして、テレマンの管楽のための組曲ほかを演奏します。
ハンブルクの音楽監督に就任してからのテレマンは、宮廷や貴族のためのみならず、裕福な市民や都市を守る軍人たちのためにもユニークな作品を書きました。本日演奏する3曲の組曲(序曲とも呼ばれる)は、ハンブルクに駐屯する守備隊のために書かれた管楽アンサンブルです。今回はコンサート用に通奏低音にチェンバロを加えて演奏します。
G.Ph.テレマン
Georg Philipp Telemann (1681-1767)
組曲 ヘ長調「幸運」TWV 44:
9
Ouverture "La Fortune" TWV 44: 9
Ouverture / Rondeau / Menuet
/ Gigue
典型的なフランス風序曲で始まり、ロンド、メヌエット、ジグと全部で4曲からなる、比較的コンパクトな組曲です。現存する手稿譜の表紙には、2. Cornes de Chasse(2つの狩猟ホルン、フランス語)2. Hautbois & Basse と指定されています。この曲は TWV 55: F8 という番号に分類されているものと同じ曲です
J.B.d. ボワモルティエ
Joseph Bodin de Boismortier (1689-1755):
オーボエと通奏低音のための組曲 第5番 イ短調 Op. 35, No. 5
Suite de Pieces Op.35/55
Prelude / Bourree en rondeau /
Rondeau / Fantaisie / Gigue
ボワモルティエはパリで活動したフランスの作曲家です。多作家として有名で、特にフルートを使った曲に人気がありました。この組曲は1731年、パリで出版された「フルートと通奏低音のための6つの組曲集」の中の5曲目です。曲集冒頭に「必要な装飾は全て含まれているため独奏曲としても演奏可能である」との記述がありますが、今回はオーボエとチェンバロで演奏します。 (今西)
G.Ph.テレマン
Georg Philipp Telemann (1681-1767)
組曲 ヘ長調「喜び」TWV 44:
8
Ouverture "La Joie" TWV 44: 8
Ouverture / Chasse 狩り / Menuet / La Joie 喜び / Sarabande / Loure
序曲で始まり、2曲目には「狩り」とタイトルがつけられています。狩の合図をするホルンが模倣されています。メヌエットに続いて、4曲目には「喜び」というタイトルがついていて、狩の成功を祝う高揚した様子が思い浮かびます。そして、サラバンド、ルールと続きます。現存する手稿譜の表紙には、2/ Corn di Caccia(2つの狩猟ホルン、原文まま)2. Hautbois ou Violons, Bassonと指定されています。この曲は TWV 55: F5 という番号に分類されているものと同じ曲です。
E. ジャケ・ド・ラ・ゲール
Elisabeth-Claude Jacquet
de La Guerre (1665-1729)
プレリュード / 気まぐれなシャコンヌ (クラヴサン組曲 第1番 ニ短調より)
Prelude / Chaconne L'Inconstante (suite 1)
太陽王ルイ14世統治下のパリに活躍したエリザベートは、楽器職人の家系ジャケ家出身、父親はオルガニストで鍵盤楽器教師でした。彼女は幼少期から神童として注目を集め、その後は国王の目に留まり、15歳頃から王宮に出仕して様々な教育にあずかりながら寵臣として活動しました。22歳のときに王への献呈が叶った《クラヴサン曲集》は、王の勅許により出版されるという異例の待遇を受けています。本日演奏のプレリュードは、その曲集の冒頭を飾る作品で、古風なノン・ミュズレ(リズムが即興的に奏されるスタイル)で開始されます。同じ組曲中に含まれる「気まぐれなシャコンヌ」は題名通り気まぐれに長調と短調が入れ替わりお洒落な仕立てとなっております。(寺村)
J.W.ヘルテル
Johann Wilhelm Hertel (1727-1789):
ファゴット協奏曲 イ短調(チェンバロ伴奏版)
Basson Concerto a-moll
Allegro con spirito / Grave / Allegro molto
アイゼナッハ生まれで、父は作曲家、ガンバ奏者のクリスチャン・ヘルテル。J.S.バッハの弟子ハイルに鍵盤を習い、J.F. ファッシュが宮廷楽長を務めるコンサートマスターに音楽を習いました。テレマンが名付け親でもある同時代のC. P. E. バッハ(1714-1788)の演奏に感銘を受け、ヴァイオリン、チェンバロ奏者になり、シェヴェリーンの宮廷楽長になりました。6つのファゴット協奏曲を書きましたが、そのうち3つがブリュッセル王立図書館に残っています。
この「ファゴット協奏曲 イ短調」の編成は、弦楽合奏と通奏低音ですが、ファゴット独奏部分は弦楽合奏が無く、ほぼバスだけの伴奏で書かれています。今回は前奏や間奏を大胆にカットしたチェンバロ伴奏で演奏します。(永谷)
G.Ph.テレマン
Georg Philipp Telemann (1681-1767)
組曲 ヘ長調「狩り」TWV 44:
10
Ouverture "La Chasse" TWV 44: 10
Ouverture / Passepied / Sarabande / Rigaudon
/ La Plaisir 喜び
フランス風序曲で始まり、パスピエ、サラバンド、リゴドン、と続き、最後に「La Plaisir 悦び」と題された幸福感の漂う曲で締めくくります。現存する手稿譜の表紙には、2. Cornes de Chasse(2つの狩猟ホルン)2. Hautbois , Basson と指定されています。この曲は TWV 55: F9 という番号に分類されているものと同じ曲です。
ヨハン・フリードリヒ・ファッシュはバッハと同時代のドイツの音楽家で最も重要な人物の一人です。1722年にツェルプストの宮廷楽長に就任し没年までその地位にありました。ほぼ同年代のJ.S.バッハはファッシュのいくつかの作品を写譜、編曲しており、彼の作品を高く評価し研究していたことが伺えます。 ファッシュの作品はその生前には1曲も出版されませんでした。そのため19世紀にはバッハなどの陰に隠れて注目されませんでしたが、最近はますますその重要性が認識されてきている作曲家です。管弦楽の中でのオーボエや他の管楽器の扱いは、バロックの枠を出て古典様式へと向かう特徴と独創性が見られます。
アンコールは、たくさんの拍手をいただきましたので、三曲目にお聴きいただいた、組曲
ヘ長調「喜び」TWV 44: 8よりLa Joie 喜びを
屋外の守備隊のバンド(チェンバロなし)と室内アンサンブル(チェンバロあり)を交互に聴き比べを、お届けいたしました。
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