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ダブルリーズ 西洋館コンサートVol.7
〜 春のソナタ 〜
洋館で親しむバロックシリーズ 第78回
2018年3月21日(水・祝)14時開演(13時30分開場)
会場:横浜市イギリス館
主催:クラングレーデ コンサート事務局、アンサンブル山手バロッコ
出演
大山有里子(バロック・オーボエ)
大阪教育大学音楽科卒業。同大学専攻科修了。オーボエを大嶋彌氏に師事する。卒業後、関西を中心に活動し、「大阪コレギウム・ムジクム」のソロオーボエ奏者として、バロック時代の作品を中心に数多くの月例演奏会、定期演奏会等に出演する。その後ピリオド楽器(バロック・オーボエ)による演奏に専念し、バロック・アンサンブル「アルモニー・アンティーク」等に参加。近年はバロック時代だけでなく古典期のオーボエ曲のピリオド楽器による演奏にも取り組んでおり、関東を中心に活発に活動している。2016年、27年リサイタル「バロック・オーボエの音楽」開催。「クラングレーデ」メンバー。
今西香菜子(バロック・オーボエ)
13歳よりオーボエを始め、これまでにオーボエを東野正子、故 本間正史、故 柴山洋の各氏に師事。リチャード・ウッドハムス、若尾圭介、ジョナサン・ケリー等のマスタークラスを受講。桐朋学園大学及び同大学研究科修了。在学中よりバロック・オーボエを始め、故
本間正史氏に師事。現在フリーで演奏活動中。音楽教室エンゼルミュージック、フォレストミュージック講師。「アンサンブル・ミラコ」メンバー。
永谷陽子(バロック・ファゴット)
桐朋学園大学卒業。同大学研究科及びオーケストラアカデミー修了。バロック・ファゴットを堂阪清高氏に師事。2012年横浜・西洋館de古楽で、モーツァルト作曲ファゴット協奏曲をピリオド楽器で熱演。第26回国際古楽コンクール(山梨)にて奨励賞を受賞。古楽、モダン両分野でオーケストラや室内楽、CD録音に参加。八王子音楽院、ドルミール音楽教室講師、「烏山バロック倶楽部」主宰。
寺村朋子(チェンバロ)
東京芸術大学チェンバロ科卒業。同大学大学院修士課程修了。チェンバロと通奏低音を山田貢、鈴木雅明の両氏に師事。第7回国際古楽コンクール山梨にて第2位入賞。シエナ、ウルビーノ、インスブルック、アントワープなど国内外の講習会を受講し研鑽を積む。NHK「FMリサイタル」に出演。その他オーケストラやバロックダンスとのアンサンブル、ソロ、マスタークラスの伴奏など多方面で活動し、多くの団体と様々なコンサートを行う。トリム楽譜出版より1999年「フルート・バロックソナタ集」、2002年「J.S.バッハ作品集」(2009年増刷)を編曲、出版。2010年チェンバロ・ソロCD「お気に召すままCapriccio」(レコード芸術準推薦)リリース。小金井アネックス(宮地楽器)チェンバロ科講師。日本チェンバロ協会会員。
ダブルリーズ 西洋館コンサートVol.7
〜 春のソナタ 〜
洋館で親しむバロックシリーズ 第78回
プログラム
横浜山手西洋館の古楽器にコンサートにようこそ。本日は、山手西洋館で産声を上げた女性4名のアンサンブル「ダブルリーズ」の第7回のコンサートをお届けします。
「ダブルリーズ」とは、二枚のリードたちという意味で、オーボエとファゴットという2枚のリードで音を出す楽器の奏者3名にチェンバロ奏者を加えた4名構成のユニットです。この親密な空間で、いにしえの木管の響きをお楽しみください。
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J. D. ハイニヒェン (1683-1729):トリオ・ソナタ 変ロ長調
Johann David Heinichen : Sonata a trio
Andante / Allegro / Larghetto / Vivace
ヨハン・ダーヴィト・ハイニヒェンは傑出したドイツの作曲家であり、バロック時代の音楽理論家の第一人者でした。ライプツィヒのトーマス学校の生徒であった幼少期より抜群の才能を発揮し、イタリアで本場のオペラをまなび、その後ドレスデンで宮廷楽長の地位に就きました。彼は、フランス、イタリア各国の音楽語法を取り混ぜた様式で作曲するべきだという信条を持っており、幾分ギャラントで前古典派的な性質の作品を多数残しています。
G. Ph. テレマン (1681-1767):オーボエ・ソナタ ト短調 TWV 41:g6 (ターフェルムジーク第3集より)
Georg Philipp Telemann:Sonata “Musique
de Table”(V/5)
Largo / Presto-Tempo giust / Andante / Allegro
ゲオルク・フィーリップ・テレマンは、後期バロックを代表する作曲家です。晩年に至るまで常に新しい音楽傾向の先端に立ち続け、あらゆる楽器と声のための膨大なレパートリーを残しています。このオーボエ・ソナタは1733年に出版された曲集、「ターフェルムジーク(食卓の音楽)」の第3集の中の一曲です。1,3楽章は叙情的、2,4楽章はそれとは対照的な華やかかつ技巧的な曲です。2楽章は中間部に突如挟み込まれる牧歌的な部分が前後の速く技巧的な曲想を際立たせています。
G.サンマルティーニ (1695-1750):チェンバロ協奏曲 変ロ長調 Op.9/4
Giuseppe Sammartini:Concerto Op.9/4
Allegro / Sostenuto / Andante / Allegro
ジュゼッペ・サンマルティーニは、ミラノ生まれの作曲家で、当時最高と評判の高かった名オーボエ奏者です。ロンドンで活躍した作曲家/オルガニストのジョバンニ・バティスタは弟にあたります。Op.9は「鍵盤楽器のための協奏曲」となっており、オルガンで演奏されることもあります。伴奏はオリジナルではヴァイオリン、チェロなどの弦楽器ですが、本日はダブルリード楽器での伴奏付きチェンバロ独奏で演奏します。
G.F.ヘンデル(1685-1759):ファゴット・ソナタ ト長調 Op.1/13 HWV 371 (原曲:ヴァイオリン・ソナタ ニ長調)
George Frideric Handel:Sonata Op.1/13 HWV 371
Affettuoso / Allegro / Larghetto / Allegro
ヘンデルのヴァイオリンソナタの中で最もよく知られているこの曲は、 1749年から51年頃に作曲され、彼の器楽曲の中では最後の作品であり、テーマを他の作品から再利用していることがよくわかる重要な作品です。第1楽章は、1707年頃に作曲されたフルートのソナタ、二つの速い楽章は、イタリアで過ごしていた時代の歌曲のモチーフ、第4楽章は、オラトリオ「イェフタ」の第3幕天使が現れる前のシンフォニーに使用されています。優雅で伸びやかな旋律と華やかな技巧、ヴァイオリンとは一味も二味も違う趣きのファゴットでの演奏は本日限りの稀有な演奏です。。
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J.S.バッハ (1685-1750):プレリュードとフーガ ホ短調 BWV 879 (平均律クラヴィーア曲集 第2巻より
第10番)
Johann Sebastian Bach : Preludium und Fuga Nr.10 BWV 879 (Das Wohltemperirte Clavier)
ヨハン・セバスティアン・バッハの平均律第2巻は1742年に完成されました。原題の"wohltemperiert(e)"とは、「良く調整された(well-tempered)」という意味であり、いわゆる調律法の平均律を意味するわけではないので、この訳に疑問を持つ向きもありますが、和訳として「平均律」が定着しています。ちなみに本日の調律法は古典調律(バロッティ)で演奏します。第10番のプレリュードは二部分形式でイタリアンコレンテ風2声のインベンション。続くフーガは3声で主題が長くリズムも複雑で多彩なモチーフからなる器楽的な作品です。
J.D.ゼレンカ(1679-1745):ソナタ 第1番 変ロ長調 ZWV 181/1
Jan dismas Zelenka:Sonata Numero 1 ZWV 181/1
Adagio
ma non troppo / Allego / Larghetto / Allegro assai
ヤン・ディスマス・ゼレンカは、ボヘミア(現在のチェコ)生まれ、ザクセン帝国のドレスデンで没しました。1711年、ドレスデンの宮廷楽団でコントラバス奏者として働き始め、1716年から3年間ウィーンで宗教音楽を学び、1721年には宗教音楽の副楽長となりました。56歳で宮廷作曲家となり、66歳でドレスデンで没。生涯独身で肖像画は残っていません。ゼレンカの作品は多く残されていますが、大半はカトリックの宗教音楽で、器楽曲の割合は多くありません。その中で、ソナタ ZWV 181(全6曲)は現代の日本では最も演奏される機会がある作品かもしれません。第1番 へ長調は1721年から22年頃に作曲されました。編成は第1オーボエ、第2オーボエ、ファゴット、通奏低音です。今回通奏低音はチェンバロのみで演奏します。ダブルリード楽器のためのアンサンブルとしては、楽器の性能を試すかのような実験的ともいえる曲です。当時のドレスデン宮廷楽団のダブルリード奏者たちの技倆がうかがえます。(ダブルリーズ)
アンコールは、たくさんの拍手をいただきましたので、 A.ヴィヴァルディ 2つのオーボエと通奏低音のためのソナタ ト短調より第3楽章 アレグロをお届けいたしました。
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