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ダブルリーズ 西洋館コンサートVol.5
〜西洋館で味わうバロックの劇音楽〜
洋館で親しむバロックシリーズ 第65回
2016年9月11日(日)18時 山手234番館
主催:公益財団法人
横浜市緑の協会/山手234番館
出演
大山有里子(バロック・オーボエ)
大阪教育大学音楽科卒業。同大学専攻科修了。オーボエを大嶋彌氏に師事する。卒業後、関西を中心に活動し、「大阪コレギウム・ムジクム」のソロオーボエ奏者として、バロック時代の作品を中心に数多くの月例演奏会、定期演奏会等に出演する。その後ピリオド楽器(バロック・オーボエ)による演奏に専念し、バロック・アンサンブル「アルモニー・アンティーク」等に参加。近年はバロック時代だけでなく古典期のオーボエ曲のピリオド楽器による演奏にも取り組んでおり、関東を中心に活発に活動している。2016年リサイタル「バロック・オーボエの音楽」開催し好評を博す。「クラングレーデ」メンバー。
今西香菜子(バロック・オーボエ)
13歳よりオーボエを始め、これまでにオーボエを東野正子、故 本間正史、故 柴山洋の各氏に師事。桐朋学園大学及び研究科修了。在学中よりバロック・オーボエを故
本間正史氏に師事。リチャード・ウッドハムス、若尾圭介、ジョナサン・ケリー等のマスタークラスを受講。在学中よりオーケストラ、吹奏楽の指導、エキストラ出演、室内楽などで活動。現在モダン、古楽両分野で活動中。エンゼルミュージック講師。
永谷陽子(バロック・ファゴット)
桐朋学園大学音楽学部演奏学科卒業。同大学研究科及びオーケストラアカデミー修了。 ファゴットを浅野高瑛、武井俊樹、馬場自由郎の各氏に、バロック・ファゴットを堂阪清高氏に師事。2012年横浜・西洋館de古楽で、モーツァルトのファゴット協奏曲をピリオド楽器で熱演。 2013年第26回国際古楽コンクールにて、奨励賞を受賞。古楽、モダン両分野でオーケストラや室内楽、CD録音に参加。「クラシカル・プレイヤーズ東京」、「桜・winds」他メンバー。 「さくら村合奏団」副村長、「烏山バロック倶楽部」主宰。八王子音楽院講師。
寺村朋子(チェンバロ)
東京芸術大学チェンバロ科卒業。同大学大学院修士課程修了。チェンバロと通奏低音を山田貢、鈴木雅明の両氏に師事。第7回国際古楽コンクール第2位入賞。シエナ、ウルビーノ、インスブルック、アントワープなど国内外の講習会を受講し研鑽を積む。NHK「FMリサイタル」に出演。その他オーケストラやバロックダンスとのアンサンブル、ソロ、マスタークラスの伴奏など多方面で活動し、多くの団体と様々なコンサートを行う。トリム楽譜出版より1999年「フルート・バロックソナタ集」、2002年「J.S.バッハ作品集」(2009年増刷)を編曲、出版。2010年チェンバロ・ソロCD「お気に召すままCapriccio」(レコード芸術準推薦)リリース。小金井アネックス(宮地楽器)チェンバロ科講師。日本チェンバロ協会正会員。
ダブルリーズ 西洋館コンサートVol.5
〜西洋館で味わうバロックの劇音楽〜
洋館で親しむバロックシリーズ 第65回
プログラム
横浜山手西洋館の古楽器にコンサートにようこそ。山手234番館は、昭和2(1927)年頃、外国人向けの共同住宅として建設されました。本日は、山手西洋館で産声を上げた女性4名のアンサンブル「ダブルリーズ」の第5回のコンサートをお届けします。「ダブルリーズ」とは、二枚のリードたちという意味で、オーボエとファゴットという2枚のリードで音を出す楽器の奏者3名にチェンバロ奏者を加えた4名構成のユニットです。この親密な空間で、オペラの場面や劇場風景を想い起こさせるいにしえの響きをお楽しみください。
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.J.B.d.ボワモルティエ(1689-1755):トリオ・ソナタ 第5番 ヘ長調Op 28/5
Joseph Bodin de Boismortier:Sonate en trio(SonataXa)Op 28/5
Largo / Presto / Adagio / Gavotta
J.B.d.ボワモルティエは、さまざまなジャンルの膨大な数の作品を作曲し、フリーランスとして財をなしたフランスの作曲家です。貴族などのパトロンの庇護のもとで活動するのが普通だった当時の音楽家のなかでは、異色の存在と言えるでしょう。作品28には2本のオーボエと通奏低音のための6曲のトリオ(フルート、ヴァイオリンでもよい)と、2曲のコンチェルトが含まれています。
M.コレット(1709-1795):ファゴット・ソナタ第2番「孤独の喜び」ニ短調 Op 20/2
Michel Corrette :Sonata No.2 “Les
delices de ja solitude” Op.20/2
Allegro / Aria Affettuoso / Allegro staccato
M.コレットはフランスの作曲家、教会オルガニストです。当時フランスで使われていたさまざまな楽器による器楽曲を作曲し、それらの奏法について少なくとも17の教則本を出版しています。特に当時のフランス、イタリア、イギリスなどでの《オルフェウス楽派》におけるヴァイオリン奏法に関する記述は、歴史的にも貴重な資料になっています。ソナタ「孤独の喜び」はファゴットの他ヴィオールやチェロでも演奏されます。
G.F.ヘンデル(1685-1759):オーボエ・ソナタ ト短調 Op I/6, HWV 364a
Georg Friedrich Händel:Violin Solo [Sic] Op I/6, HWV 364a
Larghetto / Allegro / Adagio / Allegr
G.F.ヘンデルはドイツ生まれのドイツ人です。1710年にイギリスに移住し、イギリスで活動しました。
オーボエ・ソナタ ト短調は、自筆譜はヴァイオリンのために書かれています。1724年頃作曲されました。オーボエで演奏するにあたって音域など一部変更しています。1,3楽章の優雅さ、繊細さと対照的に2,4楽章では躍動感あふれる展開を楽しめます。
. G.Ph.テレマン(1681-1767):トリオ・ソナタ(フランス風)ハ短調TWV 42:c4
Georg Philipp Telemann:Sonata “alla
francese” TWV 42:c4
Lentement / Vite / Avec doucer.Lentement / Gay
G.Ph.テレマンのトリオ・ソナタは、作曲技法の多様性と「さまざまな趣味」を取り入れているという点で匹敵するものがないといえます。このソナタは幾つかの手稿譜で残されていますが、「フランス風」という副題が付けられています。
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G.F.ヘンデル:クラヴィーア組曲
第5番 ホ長調 HWV 430より 前奏曲 〜 エアと変奏「調子の良い鍛冶屋」
Praeludium 〜 Air with 5 Variations
クラヴィーア組曲第1巻は1720年に出版されましたが、スケッチは1705年頃、すなわちまだドイツにいながらイタリアの音楽に憧れていた時代に遡ることができると考えられます。なぜ「調子の良い鍛冶屋」という通称が使われるようになったのかは諸説ありますが、ヘンデル自身が付けたタイトルではありません。
G.F.ヘンデル:歌劇「リナルド」HWV 7aより
Georg Friedrich Händel:“Rinaldo” HWV
7a
1.序曲Ouverture
2.アリア「わたしを泣かせてください」 〜 3.アリア「ああ、つれない人よ」
〜 4.アリア「いざ戦え,そして勝利を」 〜 5.アリア「胸に沸き上がる喜びが」
〜 6. 行進曲 〜 7. バッタリア(戦い) 〜 8.合唱 「おぞましい恨みの感情は」
Ouverture 〜 Aria: Lascia ch’io pianga 〜 Aria: Ah!
crudel, il pianto mio 〜 Aria:Vo’far guerra, e vincer voglio
〜 Sorge nel petto 〜 March 〜 Battaglia 〜 Coro:
Vinto è sol della virtù
オペラ「リナルド」は1711年にロンドンで初演され、大変な評判となりました。物語は11世紀、十字軍占領下のエルサレムを舞台としています。十字軍の騎士リナルド、総司令官ゴッフレードの娘でリナルドの許嫁のアルミレーナ、敵方エルサレムの王アルガンテ、その恋人で女魔術師(!)のアルミーダの間で繰り広げられる恋と策略、魔法と冒険のエンターテインメント的な内容です。最後にはアルガンテ軍は壊滅し、捕らえられたアルガンテとアルミーダはキリスト教に改宗して命を許され、リナルドとアルミレーナはめでたく結ばれて幕となります。
序曲 弦楽合奏と2本のオーボエとファゴットの原曲をアレンジして演奏します。
アリア「わたしを泣かせてください」(アルミレーナ:オーボエ今西)
エルサレムの女魔術師に囚われたアルミレーナは、敵軍の王アルガンテに求愛されます。しかし愛するリナルドへの貞節を守るため「自由にしてください」と歌います。
アリア「ああ、つれない人よ」(アルミーナ:オーボエ大山)女魔術師のアルミーナは、りりしいリナルドに惹かれてしまいます。アルミレーナに姿を変えてリナルドを誘惑しようとしますが、リナルドは騙されず、去って行きます。「ああ、つれない人、私の涙が貴方に哀れみの情を起こさせますように」と歌います。
アリア「いざ戦え,そして勝利を」(アルミーナ:オーボエ今西)アルガンテとアルミーナは二人とも敵方の相手に心を奪われ誘惑しました。その事実を知り、お互いに嫉妬し合い、言い争います。アルミーナが「私を傷つけた者への怒りで、この屈辱の仕返しを」と歌う。華やかなチェンバロソロで有名なアリアです。
アリア「胸に沸き上がる喜びが」(ゴッフレード:ファゴット永谷)司令官ゴッフレードは、リナルドとともに女魔術師アルミーナの手から娘アルミーナ(リナルドの許嫁)を助け出します。「胸に沸き上がる喜びが、心に平安を約束する」と歌うアリアです。
行進曲 ゴッフレード率いるキリスト教軍は、お互いの浮気を許し合ってヨリを戻したアルガンテとアルミーナの軍隊と戦うことになりました。
【キリスト教徒軍のすべての楽器が鳴り響く。徒歩や馬に乗った軍隊は、いつもの軍隊式敬礼をしながら、威風堂々とゴッフレードとリナルドの前を通り過ぎる】
バッタリア(戦い):【互いに牽制しつつ戦いが始まり、戦局はどちらに有利ともつかない。しかしすでに市街を占領したリナルドが、一部隊を率いて山を下り敵の側方から攻撃すると、敵は敗走するが彼はそれを許さない】
合唱
「おぞましい恨みの感情は」:【おぞましい恨みの感情は 徳によってのみ打ち負かされる そして幸福は 心の虚(うろ)を 目的で満たす者だけに訪れる】
(ダブルリーズ)
*歌詞は「オペラ対訳プロジェクト」を参考にさせていただきました。https://www31.atwiki.jp/oper/
アンコールは、たくさんの拍手をいただきましたので、同じくヘンデルのトリオ・ソナタ へ長調 作品5-6 第一楽章 ラルゴをお届けします。
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